三上真司氏がサバイバルホラーで世界に挑む! 新作“Zwei”とTango Gameworksを語るインタビューを一挙掲載

Tango Gameworksが新作に向けていよいよ本格始動! サバイバルホラーの金字塔『バイオハザード』のディレクションを担当した三上真司氏が、ふたたび同ジャンルに挑む新プロジェクト“Zwei”にかける思いとは? 週刊ファミ通5月10日・17日合併号(4月26日発売)掲載のインタビューを一挙掲載してお届けする。

 1996年にカプコンでサバイバルホラーの金字塔『バイオハザード』のディレクションを担当し、その後も数々のヒット作を生み出した三上真司氏。2010年3月にTangoを設立し、同年10月に同社はゼニマックス・グループ傘下のTango Gameworksとして再スタートを切っている。
 ゼニマックス・グループと言えば、『ザ エルダースクロールズ』シリーズや『Fallout』シリーズなど、オープンワールドRPGの傑作を手掛けているベセスダ・ゲーム・スタジオや、『Doom』や『Quake』といったシリーズでFPSというジャンルを築き上げたid Softwareなど、世界でも一級の強力な開発スタジオを擁する。

 となれば、「ミカミはゼニマックスで一体何を作っているのか?」という疑問が世界から集まるのも道理。そして、そのTango Gameworksが、新作に向けていよいよ本格始動しているというのだ! その新プロジェクトの名は“Zwei”。しかも、本作で三上氏はサバイバルホラーにふたたび挑むのだという。果たしてそこにかける思いとは? そして三上氏はTango Gameworksをどういうスタジオにしていくのか? 週刊ファミ通5月10日・17日合併号(4月26日発売)掲載のインタビューを一挙掲載してお届けする。

今回公開されているイメージボードは、いずれも不穏な空気を漂わせるいくつかのアートワークからできている。

「イメージボードを見て何を思うかは、皆さんの自由だと思います。これらのイラストをもとにスタッフどうしで作品のイメージを広げてゲームを作っています。だから、このイラストそのものがゲームに登場するわけではありません。とは言え、作品世界のベースとなる部分なのは確かです。さすがにこのイラストを見てSFモノだと思う
人はいませんよね(笑)? どんなステージが用意されているか、想像にお任せします。」(三上氏)

●「僕が考えているサバイバルホラーの要素が凝縮された、純粋なるサバイバルホラー」

Tango Gameworks
プロジェクト“Zwei(ツヴァイ)”
ディレクター
三上真司氏

――かつて『バイオハザード』を世に放ち、サバイバルホラーというジャンルを大きく飛躍させた三上さんが、再び同ジャンルに挑戦するという話を聞いて非常に驚きました。今回の企画が立ち上がった経緯を教えてください。
三上真司氏(以下、三上) 前々から、より多くの人たちの期待に応えられるような作品を作りたいという気持ちが僕の中にありました。そこで、自分がもっとも得意としていて、かつ素材としてもチャレンジしがいのあるサバイバルホラーを選ぶことにしたのです。あとは、周囲の人間の意見もありましたね。ゼニマックスグループのミーティングで海外に行くと、現地のクリエイターから「なぜサバイバルホラーを作らないのか?」と聞かれることが非常に多くて。

――実際に企画がスタートしたのはいつですか?
三上 2010年の年末です。正月を冷却期間として過ごし、年が明けてから客観的に考えてみましたが、そのときに「これはイケそうかな」と。

――ゲームのタイトルは決まっていますか?
三上 タイトルは未定ですが、企画のコードネームは"Zwei(ツヴァイ)"。ドイツ語で"2"という意味になります。ただし、ゲーム内容とはほとんど関係がなかったりします。単純に響きがカッコイイなと思って(笑)。

――なるほど(笑)。ところで、三上さんが考える"サバイバルホラー"とは、どのようなものですか?
三上 プレイヤーが感じる恐怖と、それを自分の力で克服できるという達成感が、絶妙なバランスの上に成り立っているものです。プレイヤーをただ怖がらせるだけでは、サバイバルホラーとは呼べないと思います。やはりホラーゲームをエンターテインメントとして考えたとき、恐怖を自分の手でぶっつぶして乗り越えられることこそ、ゲームの醍醐味でしょう。この考えかたは、『バイオハザード』を作ったときから変わっていません。

――"Zwei(ツヴァイ)"は、どんなゲームになりそうですか?
三上 現時点では詳しくお答えできませんが、先ほどお伝えしたような、僕が考えているサバイバルホラーの要素が凝縮された、純粋なるサバイバルホラーを目指しています。略して"純サバ"。……この言葉、流行らへんかなあ(笑)。

――(笑)。今回公開されたイメージボードを見ると、全体的に重く暗い雰囲気で、ホラーのテイストがかなり強くなりそうな気がしますが。
三上 確かにホラー要素はちょっと強めに出していこうと思っています。ただ、今回はホラーゲームではなくサバイバルホラーゲームですから。エンターテインメントとしてしっかり楽しめるものを用意するつもりです。

――ゲームの基本設計は完成しているのでしょうか?
三上 全部ではありませんが、だいたい半分くらいは固まってきていますね。
――手応えはいかがですか?
三上 いまのところ大丈夫かなと。まだ“バグってない”から(笑)。
――(笑)
三上 "ゲームの基本設計がバグっているとどうにもならない"という教訓が僕の中にありまして。今回は、ゲームの基本設計に時間と労力をかけて、土台をしっかり築き上げてから開発するつもりです。

――ところで、"Zwei(ツヴァイ)"の対応ハードはなんですか?
三上 現時点では未定ですが、おそらくHDのコンソール機(据え置きゲーム機)になるでしょう。

――今回は、企画の立ち上げから開発まで三上さんが関わっている、正真正銘の三上真司作品と思っていいですか?
三上 はい。僕が100%現場を仕切っています。VANQUISH (ヴァンキッシュ)』以来、久しぶりのディレクション作品なので、お客さんの期待にしっかり応えたいですね。

●ベストに近い環境で作らせてもらっています

――三上さんご自身がディレクターとして現場に立つと言うことで、ただならぬ意気込みが感
じられますが、その覚悟のほどを伺いたいです。
三上 僕自身、すごいゲームを作ってみたいという気持ちがあります。今回の開発環境は充実していて、ベストに近い状況で作らせてもらっているので、相当気合が入っています。当然、ゲームファンの皆さんに期待してもらいたいですし、それに応えるだけのガッツはあります。

――開発において、Tango Gameworksのグループ会社であるベセスダ・ソフトワークスとは、どんなやり取りをしているのですか?
三上 開発というよりも、パブリッシャーとしての厚いサポートを受けています。ベセスダ・ソフトワークス側にもプロデューサーがいて、いまは週1回のテレビ会議で連絡を取り合っています。ベセスダ・ソフトワークスの実績と熱意は確かなものなので、売るのは彼らにまかせておけばいいと思っています。こちらがいいモノさえ作れば、彼らがアピールしてくれるという。そういう安心感はありますね。

――関係性は良好のようですね。
三上 いい関係性が築けているのは確かです。同じゼニマックスグループというのが大きくて、相互理解の度合いが違います。開発側が「どうしてもやりたいことがある」ときちんと説明すれば、ちゃんと認めてくれるのがいいですね。

――もちろんワールドワイドでの展開も考えているとは思いますが、意識していることはありますか?
三上 とくにありません。強いて挙げるとすれば、最近発売されている海外産のゲームを遊ぶことくらいかな? Tango Gameworksのスタッフは、海外産のゲームが好きな人間が多くて。それがワールドワイドでウケるゲームを作るための秘訣なのかな、と。開発チームの趣味嗜好で、ゲーム内容が変わってくるので。

――三上さんの目から見て、Tango Gameworksとは、どんなゲーム開発会社ですか?
三上 簡単に説明すると、ふつうの社会や組織に収まりにくいような、ちょっとハジけたクリエイターたちが集まった会社です。これをポジティブに解釈すれば、すごく個性的なクリエイター集団とも言えます。たとえば、腕利きの傭兵たちが集まってきて、自分の意見を主張しながらも、なんとなく仲間意識を持っているという。僕はそんなチーム作りが好きなんです。最終的には大ざっぱでも、どんな形でもいいから勝利を収める方向に向かえばいいのかなと。

――Tango GameworksのWebサイトでは、2012年の初頭から、"記念すべき第1作目"の開発メンバーを募集していますが、じつは"Zwei(ツヴァイ)"のスタッフ募集だったのですね。
三上 そうなんです。大募集をかけています。
――どんな人材を募集しているのですか?
三上 いまはゲームの基本ができあがってきて、そろそろ本格的に動き出す時期が近付いてきています。そのためにも、腕のあるプログラマーに来てもらいたい、という気持ちがあります。

――ちなみに、"Zwei(ツヴァイ)"がリリースされることによる、ゲームシーンの影響については、どのようにお考えですか?
三上 考えたことがありませんね。僕は自分がやりたいことをやっているだけなので。自分のゲームを作るだけですごくたいへんなので、ほかの人を気にしている余裕は正直ありません。

――現時点での開発状況を教えてください。
三上 いまのところ、初期段階をようやく通り抜けたあたりです。絵作りに関しては、現時点でかなりいい感じの雰囲気が出せているとは思います。今回、グラフィックにはかなり自信があります。さすがに今回公開したイメージボードの質感をそのまま再現、というわけにはいきませんが、これに近い雰囲気のゲーム画面を作れそうです。とは言え、まだまだ足りない部分が山のようにあるので、デザイナーといっしょにブラッシュアップしていく必要がありますね。そのほかのパートに関しても、本格稼働寸前で、まさにフルチームの体制を作っている最中です。今後はプログラマーやアニメーターの作業の割合が増えていくでしょうね。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。
三上 プロジェクト"Zwei(ツヴァイ)"は、僕にとって久しぶりの純サバイバルホラーゲームになります。ゲームのクォリティは僕が開発現場にベタ付きで上げていきます。ソフトの発売はまだ先になりますが、ぜひ期待していてください。

 いかがだったろうか? インタビュー中にもあった通り、Tango Gameworksでは本作に関わるスタッフを募集中。単に三上氏の新作に関わるというだけでなく、海外のメジャーグループ傘下の日本のスタジオで世界に通用するAAA(トリプルエー。“最上級の”という意味)タイトルを作るという、なかなかないキャリアを積めるのは間違いない。ちなみにTango Gameworksの人材募集ページ(http://tangogameworks.com/job/)によると、必須スキルを満たしていれば業界未経験者のチャレンジも受け付けているそうなので、「おっ」と思ったそこのアナタも挑戦してみてはいかがだろうか。