喜多村英梨が、新たな一面を見せるNewシングル

 声優、そしてアーティストとして活躍する喜多村英梨の3枚目のシングルが発売された。タイトルは『Happy Girl』。自身も出演しているテレビアニメ『パパの言うことを聞きない!』のオープニングテーマとして起用されている同曲は、オリコン週間シングルチャート第5位を獲得するなど、注目度バツグンの楽曲だ。そんな『Happy Girl』について、喜多村英梨にインタビューを敢行。曲のイメージやミュージッククリップの裏話、今後の展開などを語ってもらった。

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■喜多村英梨
2011年8月にスターチャイルドレーベルから『Be Starters!』を発売。代表作は『BLOOD+』音無小夜役や『魔法少女まどか☆マギカ』美樹さやか役など多数。『パパの言うことを聞きなさい!』には小鳥遊美羽役で出演中。
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――スターチャイルドさんからデビューして半年が経ちましたが、いままでの活動を振り返ってみていかがですか?
喜多村英梨(以下、喜多村) 制作期間も含めると、ほぼ1年ぐらいこのチームで活動を続けていまして、2011年の“アーティスト・喜多村英梨”としてはかなり濃厚な活動になりました。しかも、3枚ともタイアップを与えていただけるという、かなり恵まれた環境でしたので、責任を持って「いいものを作らなきゃ!」と駆け抜けてきたというのが正直なところです。あっという間に感じましたね。気づいたらもう3枚目なのか、と。

――1枚目から、いままでのイメージとは違ったところを見せてくれましたよね。
喜多村 1枚目の『Be Starters!』は『まよチキ!』という作品のイメージもあって、自分のそれまでの印象だったり、選んでこなかったコンセプトというのを新しいフィールドで披露してみるという部分があったんです。そんな話をついこないだしたような感覚なのに、気づいたらもう3枚目まで来ていて、怒涛のリリースでした。私のコンセプトとしては、声優というフィールドで確立してきたものを、アーティスト活動の中でどれだけ出していけるかということにすごく重きを置いてやっていたんです。表題曲にタイアップをいただいていたので、その作品の世界観に私がどれだけ没頭して曲を作り上げられるかということを、かなり濃厚にやってきたつもりです。全部の曲を観ていただいた方は驚かれたり、新鮮な気持ちになってくれたらいいな、といまは思っています。じつは、タイアップというもののおかげで、自分がどういう方向を向いて力いっぱいやればいいのか、明確なテーマを与えていただけたんですよ。それが、すごく恵まれていると思いました。キャラソンではないんですけれど、自分でゼロから作るというよりは、作品に歩み寄って行けるというのが、ホントに声優のお芝居をする感覚で自分の力を存分に発揮できたので、どれも満足のいく仕上がりになりました。3枚のシングルを経て、自分があまりしたことのない経験を積んでいくという“挑戦”が多かったので、今後、喜多村が音楽活動の分野でどう自分自身を表現していくのか、ということを改めて考えるいい基点にもなったと思います。改めて自分を見つめ直す機会もできて、非常に声優・喜多村英梨としても実りある活動になりました。

――お話を伺っていると、明確にビジョンを持って活動されていた印象を受けました。
喜多村 そうですね。タイアップ曲をいただいたときに自分にできることって、精いっぱい作品のことや曲を理解して、どれだけクオリティーを上げていくかということに専念することなんですよね。タイアップ曲を担当させていただくからには、作品のことはもちろんですが、レコーディングもそうですし、ジャケット撮影などのビジュアル面でもそうなんですけれど、しっかりと作品に対してのイメージが出来上がった状態でやりきりたいんですよ。たぶん、自分の素の部分でもいつもそういう意識で仕事に取り組んでいるので、タイアップという作品のフィールドで、喜多村の力量をどれだけぶつけられるかということをつねに意識していました。この3枚は自分にないものについて考えさせられたり、「もっといろいろ考えなきゃいけないな」と思いながら制作できたので、明確なビジョンというか、「こうするぞ!」というイメージはしっかりと持ったうえで、スタッフのみんなと動いてきた感じですね。だから、非常にバラエティーに富んだ3枚になったと思います。「喜多村、やればいろいろできるだね」的な(笑)。これで皆さんに注目してもらえるきっかけになれば、というのがひとつの目標でもあったので。私も声優というか、芝居をメインでやってきたところから、歌の活動を行うことになって、キャラクターソングとも違う責任を感じて。自分の名前がクレジットされるからには、クオリティーの高いものを作りたいし、自分はアニメ業界が好きで、お芝居をすることも好きだし、作品に歩み寄ることもすごく好きだったので、アニメの主題歌を作れるという恩を仇で返さないようにじゃないですけど(笑)、精いっぱいやりたいなという意識は高く持っていました。

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――そんな中で3枚目のシングルがいよいよ2月に発売ですが、どんな曲になっているのでしょう?
喜多村 テレビアニメ『パパのいうことを聞きなさい!』のオープニング曲ということで、またうれしいことに作品を代表する曲をやらせていただけることになりました。今回も作品のキャラクターを演じられるということで、演者としての喜多村英梨とアーティストとしての喜多村英梨のふたつの面から、作品世界を見せられる機会に恵まれました。『Happy Girl』は、自分も演じている3姉妹の気持ちや、ハートウォーミングな作品の雰囲気にスポットを当てて、曲調や歌詞の世界観、CD自体のビジュアル面などを決めていきました。私が演じているのは次女の小鳥遊美羽ちゃんというキャラクターなんですが、テレビアニメの作品では、長女の空ちゃんにスポットが当たることが多いので、女の子の気持ち的な部分は空ちゃんに当てはまるような歌詞になっているんです。でも、喜多村英梨が歌うということもあって、裏設定じゃないんですけれども、やっぱり美羽ちゃん感も出したくて。女子力の高い美羽ちゃんのキャラクターから、女の子が好きなキラキラしたものだったり、オシャレだったり、出てくる歌詞のワードも、より女の子らしいキャッチーな内容になっています。ジャケットのほうも、通常盤と初回限定版がバージョン違いになっていたりして、衣装なんかも美羽ちゃんをフィーチャーした格好をしているんですよ。

――衣装というと、ミュージッククリップでも、いろいろな衣装を着られたとか。
喜多村 そうなんです。ミュージッククリップでも美羽ちゃん感を出したかったので、私がいろいろな衣装に着替えつつ、本当に“Happy Girl”を演じているような仕上がりになっています(笑)。お祭り騒ぎじゃないですけど、Happyな感じになっています。もちろん曲も素敵なんですが、映像と合わせて観ていただくと、いままでに見たことがない喜多村の……ある意味コスプレなんですけれど(笑)、いろんな衣装の喜多村が見られる1枚になっていますし、これって美羽ちゃんっぽいなとか、『パパ聞き!』っぽいなという工夫もしていますので、その辺も合わせて観ていただけると、より深く楽しんでいただけると思います。これまでのシングルではやってこなかった新しいことがやりたいなと思い、ダンスパートなんかを入れたりしています。ダンスは、自分自身もそうですが、曲を盛り上げるという意味で入れたいと思っていて、あとは観て・聴いている人にも、いっしょに騒いでもらいたいなという思いもあったので、ぜひ踊りを覚えてほしいなと。ほかにも、本当に収録に時間をかけた映像のギミックがあったりします。言うだけならタダだと思って「静止画を連続再生したみたいな映像を入れたい」と言っちゃったために、すごくたいへんな撮影をしなければいけなくなりまして(笑)。ちょっとずつ動きながら撮影して、ちょっと動くと撮影、ちょっと動くと撮影みたいな感じで撮影したんですよ。本当に自分的にはたいへん時間と体力をかけてやったので、より多くの人に、できれば初回限定盤のミュージッククリップを観ていただければなと思っています。もちろん、通常盤のほうも喜多村女子力向上キャンペーンみたいな感じでいろいろなカットを撮影させていただいて、それをちゃんと使っていただいていた1枚になっているので、通常盤・初回限定盤ともにコンプリートしていただけたらうれしいです。

――本当にこれまでとぜんぜん違いますね。
喜多村 『パパ聞き!』という作品のカラフルでキャッチーな世界観と、日常感という部分を意識して作りました……けど! すごく恥ずかしかったです(笑)。恥ずかしかったので、「喜多村、がんばったんだな」という気持ちで、より多くの人に見ていただきたいなと。これでぜんぜん見向きもされなかったら泣くぞ! みたいな(笑)。

――(映像を観ながら)いま、ネコ耳が出てきましたよ!
喜多村 そうなんですよ。ファミ通さんでもお世話になった赤眼鏡とか、私物もわりと混ぜて撮影したんです。自分らしさも入れたかったので、私がお店みたいなところに入って、衣装を選ぶというシーンがあるんですけれど、そこに並んでいる衣装のいくつかは自分の本当の私服が掛かっていますし、ジャケットで私がしているポイントエクステも私物です。喜多村らしさと『パパ聞き!』の美羽ちゃんらしさというのがコラボレーションできたらいいな、と。公式の同人活動みたいな(笑)。『パパ聞き!』愛がゆえに、喜多村英梨なりきりました、みたいな感じにしました。ちなみにネコ耳も私物です(笑)。いろいろ衣装を探しているときに見つけたんですよ。この衣装に合いそうだなって。あと、これで数字稼げるなって(笑)。でも、人によって好みが分かれると思うので、ぜひ皆さんの意見を聞かせていただけたらと思います。どの喜多村が好きですか? というのを。

――作品ごとのイメージを取り込むことで、ミュージッククリップも変化させられるというのは、観ている側としても楽しいですね。
喜多村 そうなんですよー。本当に恵まれたことに、主題歌になる作品のイメージが全部種類が偏らなかったということもよかったですよね。これが『まよチキ!』みたいにメイド執事だったら、メイド執事で「あーん」だけの映像になってたかもしれないですし。あと、最後にウィンクとかしちゃうんで。がんばったんで、本当に! 売れないとヤバいです! ファミ通さんに買い取っていただかないと(笑)。

――いや、無理です(笑)。
喜多村 今井さんもいいけどね! 喜多村もね! 今井さんと合わせて、お楽しみいただければ!(笑)

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――喜多村さんのCDは、カップリング曲を本当に好き勝手やってるな、という印象なんですが。
喜多村 ホントですか(笑)。カップリングはタイアップの制限がないということで、リード曲と合わなくならない程度に喜多村色を出そうとはしています。これは勝手な私の裏設定なんですけれど、CD1枚、1枚に入るトラックすべてでひとつの世界観を作ろうと思っているんですよ。カップリングもある意味リード曲のつもりで作っているんです。今回の『Happy Girl』は“女子力”だったり、“乙女の気持ち”を歌ったCDにしようというのがテーマになっていて、歌詞だったり気持ちの面ではリード曲の『Happy Girl』も、カップリング曲の『ココロノリズム』も、女の子が主役で、異性に対しての気持ちを歌った曲になっているんですが、それを男の子に向けて歌っているのが『Happy Girl』で、女の子、同性に向けて歌って、いっしょに共感してもらおうというのが『ココロノリズム』なんです。なので、ボーカルのテイストやサウンドのテイストが、ジャンルはいっしょだけど、違った角度で聞こえたらいいなと思って作りました。『ココロノリズム』の歌詞のほうが、萌え萌えポイントというよりは、女友だちと女子会でカラオケしようぜ的な感じになっています。『Happy Girl』のサビの部分を「いやいや、それは(笑)」と捉えるのか、「ここがマジ神の部分でしょ」と捉えるのか、聴き手によっていろいろと感じてくれたらいいなと思います。そういう意味では、両方とも女の子が主体だけれども、違った曲に仕上がったな、と。

――シングルのインタビューをしにくると「つぎがもう決まってます」という感じだったんですが、今回は?
喜多村 大人の事情で深くは言えませんが、何かまた皆さんに新しいサプライズをできたらいいなという目標はあります。ですから、引き続き注目していただきたいなと思います。情報解禁ゴーサインが出たら、またファミ通さんに来ていただくということで(笑)。
山中プロデューサー インタビューに来ていただいたときに、「また違うことやってますね」と言ってもらえるようなことをできればいいかな、と思っています。
喜多村 そうですね。これまでの3枚をやりながら、“喜多村節”みたいなものをより濃くしたものもできればいいな、という思いも芽生えました。口だけじゃなくて実現できるようにいろいろ考えていますので、皆さんちょっと待っていただきつつ。そんなにお待たせしないと思います(笑)。2年後です、みたいなことはないので(笑)。ですので、ぜひぜひご期待いただければと。

――ファンとしては、アルバムだったり、ライブだったりというのも期待されていると思いますが。
喜多村 ね。「期待してます!」って言うだけじゃなくて、みんながちゃんとついてきてくれていることの確認が取れないと大人が動かない的なね(笑)。世知辛い世の中なんだよ! 皆さんといっしょになって盛り上がっていければいいなとは常々思っていて、ぜひそういった現場を提供できるようにがんばっていきますので、「ついてきてくれるかなー?」、「えりさまー!」みたいな感じで。

――そこは「えりさまー!」なんですね(笑)。
喜多村 そんな感じでゴリゴリいきますんで、よろしくお願いします(笑)。

――それでは、最後に読者の皆さんにひと言メッセージをお願いします。
喜多村 アーティストとしても役者・声優・喜多村としても2012年もとにかくひとつひとつを責任もってやりきるという精神を変わらず続けつつ、さらにその1歩上をいけるように日々反省しつつ、努力しつつ、研究しつつ、前のめりにやらせていただきますので、応援よろしくお願いしますということと、ゲームも好きなんで、ファミ通.comさんだけではなく、ファミ通さん系列の雑誌なり、なんなりで皆さんの目に触れられるように精進します! 何本か新作でお世話になるタイトルなんかも今後出てきますので、それがファミ通さんに載ってくれるはずだと(笑)。ぜひそのときは、その作品のほうも合わせてよろしくお願いします。がんばりまーす!

■喜多村英梨3rdシングル『Happy Girl』
発売日:2012年2月8日発売
価格:【DVD付き初回限定盤】1890円[税込]/【通常盤】1200円[税込]
【収録内容】
01. Happy Girl
02. ココロノリズム
03. Happy Girl off vocal ver.
04. ココロノリズム off vocal ver.

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いろいろな表情を見せる喜多村英梨3rdシングル『Happy Girl』インタビュー_02
■通常盤
■初回限定盤