『迷宮クロスブラッド リローデッド』の主題歌を担当するELISAさんを直撃

迷宮クロスブラッド リローデッド』の主題歌“SCARLET WINGS”を担当する歌手のELISA(エリサ)さんへのインタビューを敢行。『迷宮クロスブラッド リローデッド』の開発元であるエクスペリエンスの千頭元プロデューサーと、安宅元也ディレクターにもインタビューに同席していただきつつ、主題歌への想いを伺った。

●楽曲が『迷宮クロスブラッド リローデッド』のイメージを固めた

 近未来の東京を舞台に、異形のモノと戦う特務隊“エクス隊”の隊員となって戦う、ダンジョンRPG『迷宮クロスブラッド リローデッド』。Xbox 360向けに開発されている本作は、PCで人気を誇るダンジョンRPG『ジェネレーションエクス』シリーズの最新作『迷宮クロスブラッド』の移植作にあたる。Xbox 360版の開発にあたっては、新規イベントやキャラクターボイスなど、数々の新要素が追加されているが、忘れてはいけないのが、オープニングムービーと主題歌の追加だ。ゲームの冒頭から、ゲーム内容に期待させずにはおかない、イメージ豊かな世界が広がるのは、主題歌のもたらす絶大な効果と言えるだろう。そこで、ここでは『迷宮クロスブラッド リローデッド』の主題歌“SCARLET WINGS”を担当する歌手のELISA(エリサ)さんへのインタビューを敢行。『迷宮クロスブラッド リローデッド』の開発元であるエクスペリエンスの千頭元プロデューサーと、安宅元也ディレクターにもインタビューに同席していただきつつ、主題歌への想いを伺った。Xbox 360用ソフト『迷宮クロスブラッド リローデッド』は、2011年11月10日に角川ゲームスより発売された。

 なお、ELISAさんは2011年9月18日をもって体調不良のため当面の間休養に入っている。“SCARLET WINGS”は休養前の最後の作品となってしまったわけだが、しっかりと静養していただきつつ、近い将来ファンの前に元気な姿を見せてくれることを、心よりお祈りしたい。


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ELISA(エリサ)
2007年にテレビアニメ『ef - a tale of memories.』のオープングテーマ“euphoric field”で歌手デビュー。以降、テレビアニメ『とある科学の超電磁砲』のエンディングテーマ“Real Force”など、8枚のシングルと3枚のアルバムをリリース。その多くは、アニメの主題歌やエンディング曲として使用されている。

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●かっこいいELISAが表現できた

――ゲームの主題歌を担当されるのは初めてとのことですね。

ELISA はい。正直うれしかったです。周りでもゲームの歌を歌っている方が多かったので、ゲームを遊びながら自分の声を聴いてみたいという夢はありました。漠然と、「いつか、やることになるのでは……」と思っていたのですが、ようやくひとつの夢がかなった感じです。デビューしてから4年間、おおむねアニメの楽曲を手掛けてきたので、アニメをご覧にならないゲームファンの方は、私のことをご存じないかもしれませんが、そういう方に私の曲を聴いていただけるのはうれしいです。

――“SCARLET WINGS”は、どのような感じでできあがったのですか?

安宅 まずはゲームの内容や今回作っていただきたい曲の方向性とコンセプトを自分のほうでまとめて、音楽プロデューサーさんや作詞家さん、作曲家さんに投げて……という感じで、いろいろと相談した上で作っていただいています。

――楽曲のキーワードみたいなものはあります?

安宅 ゲームのタイトルが『迷宮クロスブラッド リローデッド』なので、“ブラッド(血)”というのはひとつありましたね。あとは、ゲーム自体のモチーフとなっている“月夜”。試練を乗り越える話であるといったことはお伝えしました。それで、作詞家や作曲家さんとは何度かやりとりをしまして、細かいところを詰めていきました。それをELISAさんに形にしていただいた感じです。


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▲ELISAさん。

――できあがった楽曲を渡されたとき、ELISAさんはどう感じました?

ELISA 率直に言うと、(テンポが)早いなと感じました(笑)。すごく早い曲で、200BMP(曲のテンポ)くらいあるんですね。ふつうの曲が80~100BMPくらいだから、相当早い。ゲーム内容だったり歌詞だったりをしっかりと伝えないといけないので、単語がはっきりと聞こえるように気をつけなくっちゃ、と思いました。アップテンポの曲を聴いて研究したり、歌詞を早口言葉みたいにくり返したりしながら、レコーディングに臨んだんです。でも早口言葉が苦手で……。「生麦生米生卵」とか、すぐに噛んじゃう(笑)。“カミワザ”とか言われます(笑)。

――(笑)。となると、収録のときはけっこう苦労した感じですか?

ELISA わりと苦戦したと思います。時間は予想以上にかかりましたが、自分なりにこのかっこいい曲を表現し切れたと思っています。じつは、2枚前のシングル“God only know?集積回路の夢旅人”(テレビアニメ『神のみぞ知るセカイ』のオープニングテーマ)あたりから、自分の声や表現方法について学ぶ時期があって、そこから歌いかたや技法を少し変えたんですね。それまでは、ELISAらしく歌うことを大切にしていたのですが、その曲からは楽曲のイメージに近づけるためにELISAという方法を使って曲を作るというか……。歌うことに対する考えが変わっていって、“SCARLET WINGS”では、それがうまく表現できたと思っています。

――何か、気付きがあったのですね?

ELISA そうですね。やっぱり運命的な曲に出会えたというのはあると思います。9分くらいあるとても長い曲だったのですが、それまでは、「自分の声はこうだから……」と決めつけてしまっていたんです。でも、じつはそうではなくて、自分の思いや考え次第、あとは練習次第で、可能性はいくらでも広がっているんだなと思って。最近は、自分の素に近い声で歌ったこともあります。今回はすごくかっこいい曲なのですが、いままでとはまるでタイプの違う曲を表現できるようになったのかな。少しは成長できたのかなとも思います。

――かっこいいELISAさんが出せた?

ELISA そうですね。いままで“かっこよさ”は出しきれていなかったので、がんばりました! あと、今回レコーディングに時間がかかったのは、(安宅さんがレコーディングに)いらっしゃっていたから……というのもあるかもしれません(笑)。レコーディング時はブースが異なるので、顔が直接見えるわけではなかったのですが、いらっしゃっていると聞かされるだけで緊張してしまったんです。音程を外してしまったり、「噛んじゃいけない」と思ったら、余計に噛んでしまって(笑)。


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▲エクスペリエンス ディレクター 安宅元也氏。

安宅 べつに指示を出すというわけでもなく、感想をコメントしながら立ち会うという形を取らせていただいたのですが、ELISAさんを緊張させてしまったようで、たいへん申し訳なかったです。自分も同じくらい緊張していました(笑)。もともと今回は早い曲なので、「たいへんでしょうね」という話は音楽プロデューサーさんとしていたんですよ。でも、今回のコンセプトではそれでいきたいという話になって、「ELISAさんにはがんばってもらおう!」ということで応援のつもりで入らせてもらったのですが、逆に緊張させる結果になってしまったようです(笑)。

――(笑)。今回、挿入歌のほうも担当されていますよね?

ELISA はい。“Secret Labyrinth”ですね。こちらの楽曲はオープニングと同じメロディーなのですが、歌詞が英語で、キーも違うんです。ぜんぜん早くなくて、すごく歌いやすくなっています(笑)。ゲームの感動的なシーンで流れるようですね。

安宅 もともとアレンジバージョンを1曲ご用意いただけるという話はあったのですが、どういった使いかたをするとか詳細は決まっていなかったんです。それが、いざ“Secret Labyrinth”ができあがったときに、とてもやさしい曲になっていて、「これは感動的なシーンで使わざるを得ないだろう!」ということになって、すごくいいシーンで使わせてもらっています。

ELISA ありがとうございます。

安宅 終盤の泣けるシーンですね。バラードに近い、本当にやさしい感じの落ち着いた曲なのですが、その曲を載せてシーンが進むのを見ていると、本当にアニメのワンシーンを見ているかのような演出になっているんです。そこはぜひ、プレイしてほしいと思っています。

千頭 そのシーンと楽曲は、うまくまとまったとは思います。ゲームはもともと移植なので、音楽に合わせてシーンを作るということはできないじゃないですか。それでちょっと心配は心配だったのですが、来た曲がバッチリハマっていたので、そういう意味ではPC版よりもいいシーンができあがっていると思います。やっぱり、曲が入るとゲームの印象がぜんぜん変わっちゃいますね。オープニングテーマやボイスが組み込まれることによって、開発メンバーも含めて、「『迷宮クロスブラッド』ってこういう表現なんだ!」と改めて気付かされるというか。意識の共有ができて、そのあとでゲーム内容をいろいろ修正したり、アレンジしたり……というのは、起こっています。

――なるほど。新しい発見があったということですね?


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▲エクスペリエンス プロデューサー 千頭元氏。

千頭 そうですね。ゲームの感想は人それぞれだと思うのですが、「こういう印象だった」というのは、じつは開発内部でもあまりしたことがなかったんです。ゲームへの思いが詰まった曲を聴いて、みんなして「『迷宮クロスブラッド』って、こういう印象だったんだ」という共通認識みたいなものができたりしました。

安宅 それはありますね。言葉にするのが難しいコンセプトや概念とかってあるじゃないですか。それに曲がついたり、イメージとなる絵とかがあると、途端にみんな「やっぱりこうだよね」というふうに、感覚が共有できる。ぶつかっていた意見も、音になると最終的にはいいところ取りで、うまくまとまってくるみたいなところはあります。実際のところ、『迷宮クロスブラッド リローデッド』は、ELISAさんのオープニングやテーマ曲が入ることによって、PC版よりもかちっとしたイメージになりましたね。

千頭 それはあるね。色が濃くなりましたね。PC版はそれぞれみんなの『迷宮クロスブラッド』だったのですが。そういう意味では、歌の力に引っ張られました。

ELISA インタビューの見出しは決まりましたね! それぞれの『迷宮クロスブラッド』があったのですが、ELISAの曲に引っ張られたと(笑)。

――(笑)。歌の力は強いですね。

千頭 ジャンルにもよりますよね。とくにストーリー性を伝えたいゲームの場合は、とても有効かなと思います。エクスペリエンスでは、ダンジョンRPGを得意としているのですが、うちが作るタイプのゲームって、中身を伝えるのがなかなか難しいジャンルじゃないですか。ダンジョンRPGというと、構えちゃう人も多いと思うのですが、歌は、それを飛び越えて引っ張ってくれるという部分はあります。

――なるほど。ゲームに入りやすくしてくれるということですね。

千頭 Twitterとかを見ていても、ELISAさんのファンじゃない方が、「この曲は誰が歌っているのかしら?」とか、「いつ発売されるのか?」とか、ゲームに興味を持ったといった意見をたくさんつぶやかれていて、『迷宮クロスブラッド』の間口が広がっているんだな……というところは実感しました。

――最後に、ゲームの発売を楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします。

ELISA ふだんはアニメの歌を歌うことが多いので、ゲームファンの皆さんには「初めまして」の方がすごく多いかと思うのですが、今回『迷宮クロスブラッド リローデッド』のオープニングと挿入歌を担当させていただいて、かっこいい自分を出せたかなと思っています。早いテンポの曲なのですが、何度でもオープニングを聴いていただいて、その早口を噛まずにいっしょに歌ってください。そして、挿入歌もいいシーンで流れるので、そこまではけっして諦めないで遊んでくださいね(笑)。

安宅 戦うヒロインの水無瀬シズナとELISAさんの曲のイメージがぴったりと重なって、よりゲームにのめり込める内容になっていると思います。ゲームのイメージも理解しやすいと思うので、曲を聴きつつもゲームのほうにも没頭してください。ELISAさんの挿入歌が流れる、ゲームの終盤までくじけずにがんばってほしいです。

千頭 うちのゲームって、他社様に比べてシステムよりのゲームなんですよ。そのために、プレイヤーの複雑な心境だったり、思いの籠った場面だったりをユーザーの方に伝えにくいゲームだったのですが、今回オープニングや重要な戦闘シーンのBGMとして歌が入ることで、厚みのある表現が実現できていると思います。初めてプレイされる方はもちろんですが、以前にPC版を遊ばれた方も、作り手たちが感じられたようなのと同じような新鮮な印象を『迷宮クロスブラッド リローデッド』に対して感じていただけると思います。ぜひ楽しんでみてください。そして、ELISAさんの“Secret Labyrinth”が流れる終盤までがんばっていただければと思います。

安宅 そこまで行けば終わったようなものです。

千頭 プレイし始めれば、“がんばる”もなく、おもしろく遊べてしまうので、大丈夫だと思います。(発売時期を)引っ張っただけのことはあります(笑)。

ELISA 私、ダンジョンRPGって遊んだことがなかったんです。「ダンジョンって難しそうだな」って思ったのですが、東京が舞台なのがおもしろそうでした。なんか、「よく知っている場所で戦う私」みたいな感じで(笑)。この機会に遊んでみたいです!


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 『迷宮クロスブラッド リローデッド』のオープングソングとなる“SCARLET WINGS”は、ソフトの前日にあたる2011年11月9日にジェネオン・ユニバーサルより1260円[税込]にて発売された。ファンの方は、ゲームソフトと合わせて、こちらも要チェックです。


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