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手に汗握り、登りに登れ。『White Knuckle』は強烈な難度でプレイヤーの神経を容赦なく試してくるクライミングホラーゲーム【おすすめゲームレビュー】

手に汗握り、登りに登れ。『White Knuckle』は強烈な難度でプレイヤーの神経を容赦なく試してくるクライミングホラーゲーム【おすすめゲームレビュー】
 ファミ通.comの編集者&ライターがおすすめゲームを思うがままに語る。今回、NeverAwakeManが紹介するのは、アメリカの開発会社Dark Machine Gamesが手掛けるクライミングホラーゲーム『White Knuckle』。
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NeverAwakeManのおすすめゲーム

『White Knuckle』

  • プラットフォーム:PC
  • 発売日:2025年4月18日発売
  • 発売元:DreadXP
  • 開発元:Dark Machine Games
  • ジャンル:アクション
  • 価格:2150円[税込]
  • 対象年齢:――
  • 備考:早期アクセス版、日本語未対応

【こういう人におすすめ】
  • クライミングが好き
  • 廃墟美に惹かれる
  • 握力に自信がある
 あなたの目の前には壁がある。コンクリートでできた、頑丈で冷たい壁だ。

 あなたの後ろにも壁がある。右にも壁、左にも壁。そう、ここには壁しかない。どうやって入ったのかすらわからない。

 この不条理極まりない建造物、名をサブストラクチャー17という。ここから抜け出す方法はたったひとつ。“上に行く”ことだけ。

 極限クライミングゲーム『White Knuckle』は、こうして始まる。

握力と胆力

 本作のゲーム画面にはタイトルと同じく白い拳が映っており、プレイヤーはマウスクリックで左右の拳を握ることができる。つまり、右クリックすると右手を握り、左クリックなら左手を握るという寸法だ。
手に汗握り、登りに登れ。『White Knuckle』は強烈な難度でプレイヤーの神経を容赦なく試してくるクライミングホラーゲーム【おすすめゲームレビュー】
ゲームからの指示は“ESCAPE”のみ。
 プレイヤーの周囲を取り囲む壁を観察してみると、ダクトや縁、突き出た鉄骨といったさまざまな凹凸がある。それを握ることでクライミングしていくのが基本的な流れだ。握る場所に照準を合わせると手のアイコンが出るので、どこを握っていけばいいかは直感的に理解できるだろう。

 とっかかりをつかんだら視点を上にし、Wキーを押すことでグイッと身体を持ち上げる。それからつぎのとっかかりを探してもう片方の手でつかみ、また身体をグイッと持ち上げる。この“グイッ”という感覚がよくできていて、手から腕、そして背筋へとつながるクライミングの動作をマウスとキーボード越しに伝えてくれる。
手に汗握り、登りに登れ。『White Knuckle』は強烈な難度でプレイヤーの神経を容赦なく試してくるクライミングホラーゲーム【おすすめゲームレビュー】

 このように操作はシンプルかつ直感的だが、のんきにしている暇はない。というのも、この建造物にはどこからか毒ガスらしきモヤが吹き出しており、それが次第にせり上がってくるからだ。このモヤに呑み込まれると即死する。だから、プレイヤーはそれより速く登り続けねばならない。

 ここで肝に銘じておかなければならないのは、握力には限界があるということだ。とっかかりをつかみ続けていると白い手が次第に充血して赤くなり、ブルブルと震えてくる。全体重を支えているのだから、当然と言えば当然だ。そして握力が尽きると手を離してしまい、これまた当然ながら、落下する。落下ダメージがほとんどないのは幸いだが、たいていの場合はそのまま眼下のモヤに突っ込んで死ぬ。

 握力を回復するため、適宜休憩を取ろう。
手に汗握り、登りに登れ。『White Knuckle』は強烈な難度でプレイヤーの神経を容赦なく試してくるクライミングホラーゲーム【おすすめゲームレビュー】
異様にチープなゲームオーバー画面も御愛嬌。
 また、ときには胆力を発揮してリスクを冒さないといけない。足場から足場へ全力で飛び移ったり、手の届かない高さのとっかかりにジャンプしてみたり。そうでもしないと、死のモヤに追いつかれてしまう。

 死にたくなければ登れ。ただひたすらに。

変貌の廃墟

 『White Knuckle』は廃墟美が光るゲームだ。舞台となるサブストラクチャー17はおそらく廃棄されて久しい施設で、無人のまま稼働している。存在するのはプレイヤーと、プレイヤーを仕留めようとする謎の怪物だけだ。あとは不穏な人工音声アナウンスくらいなもの。この施設がかつて一体なにをしていたのか考えるとゾッとする。

 そして、この施設は挑むたびに構造が変化する。つまり本作はローグライクでもあるということだ。ある程度のパターンはあるものの、完全な覚えゲーにできない程度には構造が変わる。だから何度挑んでも飽きない。何度遊んでも苦しめられる。ちなみに、なぜ構造が変化するのかは誰にもわからない。サブストラクチャー17は人智を超えた施設なのだ。
手に汗握り、登りに登れ。『White Knuckle』は強烈な難度でプレイヤーの神経を容赦なく試してくるクライミングホラーゲーム【おすすめゲームレビュー】
ブッスリしてアップグレードだ。
 こんなデタラメなところで生き残るには、自身をアップグレードする必要がある。サブストラクチャー17にはところどころに人体改造を施せる設備があり、そのレバーを引くと手にぶっとい針が刺さり、アップグレード注入! ものすごく痛そうだが、アップグレードは非常にありがたい。登るスピードを上げたり二段ジャンプができるようになったりと、登頂に役立つものばかりである。

 ここでひとつ問題があって、本作は日本語化されていない。操作周りは直感的なので少し遊べば言葉を介さずとも理解できるが、アップグレードの内容などはわりかしキチンと英語を読まないといけない。英語が苦手な人は翻訳アプリ片手にプレイするのをオススメする。
手に汗握り、登りに登れ。『White Knuckle』は強烈な難度でプレイヤーの神経を容赦なく試してくるクライミングホラーゲーム【おすすめゲームレビュー】
高校英語ができるならなんとかなるだろう。

プレッシャーがやってくる

 本作にはいろいろなアイテムが登場する。壁に打ち付けてとっかかりにできる杭や鉄パイプ、飲むことで握力を回復させるドリンク、なぜか通貨として使える金ピカのゴキブリ等々。

 もっとも使用頻度が高いのは杭だろう。これを使えば一定の高さを安定して稼ぐことができるからだ。だが、なにかにつかまっているときに杭を打つのは並大抵のことではない。仮に右手で杭を打つなら、残りの左手はつねに自分の体重を支えるために使わなくてはならないからだ。
手に汗握り、登りに登れ。『White Knuckle』は強烈な難度でプレイヤーの神経を容赦なく試してくるクライミングホラーゲーム【おすすめゲームレビュー】

 インベントリを開き、右手に杭を持って位置を定め、もう一度インベントリを開いてハンマーに持ち替え、杭を打ち付けて固定する。このややっこしい一連の動作をやっているうちに、体重を支える左手はみるみるうちに赤く充血していく。このプレッシャーといったら、ゲームなのに手汗がまるで止まらない。

 そう、プレッシャー。『White Knuckle』はいろいろな点でプレッシャーをかけるのがうまいゲームだ。とりわけキツいのがエレベーターの竪穴を登っていくエリアで、ここでは光が届かない。ほぼ真っ暗だ。餞別程度に懐中電灯とフレアガンこそ手に入るものの、その光はあまりにも弱々しい。
手に汗握り、登りに登れ。『White Knuckle』は強烈な難度でプレイヤーの神経を容赦なく試してくるクライミングホラーゲーム【おすすめゲームレビュー】

 さらに最悪なことに、この竪穴には人食いモンスターが現れる。真っ黒な手足を乱雑に継ぎ接ぎしたようなそいつは、出現するとプレイヤーを追いかけて食い殺さんとする。ただでさえ握力とにらめっこしてヘロヘロなのに、モンスターからも逃げなければならないのだからたいへんだ。

 一応、対策はある。このモンスターは光に弱いらしく、フレアガンを撃つことで撃退できるのだ。といってもこれは一時的なものにすぎず、ホッとしているうちに復活してまた襲いかかってくる。フレアガンの弾薬も片手で足りる程度しか手に入らないので、手持ちが尽きないうちにこのエリアを登りきらないといけない。されど握力にも限度はある。このジレンマとプレッシャー!

 まさに”White Knuckle”(手に汗握る)だ。

特定の人に向けた神ゲー

 ……ここまで書いておいて言うのもなんだが、『White Knuckle』は人を選ぶゲームだ。その点で言うと、同じ“登りゲー”の先駆け『Getting Over It with Bennett Foddy』と似ている。強烈なプレッシャーに晒されることを好み、ワンミスで成果を台無しにされても心が折れず、手に汗握るのがたまらないという、特定のタイプだけに向けたゲーム。

 たぶん、七割方の人は『White Knuckle』を序盤で投げてしまうと思う。残り三割の人は中盤までたどり着けるかもしれない。そしてクリアーできるのは、そのうち一割程度だろうか。だから、あなたがこのゲームにこっぴどくやられてしまう可能性は正直否めない。

 しかし、かといってこのゲームの出来が悪いというのは筋違いだ。ただ万人受けしないだけであって、操作性からリソース管理までバッチリとハマった、本質的に美しいゲームである。強烈な難度でプレイヤーの神経を容赦なく試してくるのは確かだが、プレイヤーがそれに耐えられるならば十分神ゲーになりうる。

 願わくば、あなたが本作のプレッシャーに耐えられることを祈ろう。
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