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NVIDIAジェンスン・フアンCEOが来日。アキバGiGOでセガ愛を語り尽くす。鈴木裕氏&セガ里見会長・内海社長&入交元社長と振り返る“絆”。『バーチャファイター クロスロード』PC実機の披露も!

NVIDIAジェンスン・フアンCEOが来日。アキバGiGOでセガ愛を語り尽くす。鈴木裕氏&セガ里見会長・内海社長&入交元社長と振り返る“絆”。『バーチャファイター クロスロード』PC実機の披露も!
 2026年7月15日、東京・秋葉原にてセガとNVIDIA(エヌビディア)の歴史的な関係を振り返るトークイベントが開催された。
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 世界最大の半導体企業である米・NVIDIAの創業社長ジェンスン・フアン氏の来日に合わせて、セガの里見治紀会長、内海州史社長、セガ元社長である入交昭一郎氏に加え、『バーチャファイター』シリーズの生みの親でありYS NET代表のゲームクリエイター鈴木裕氏が一堂に集結。ジェンスン・フアン氏が自身とNVIDIAとセガの歴史をスピーチするという貴重なイベントとなった。

セガとNVIDIAの協業30周年

 フアン氏がみずからマイクを握り、約20分にわたって熱く語った内容は“セガとNVIDIAの歴史”。

 そもそも両社の関係が始まったのは1990年代に遡る。NVIDIAが創業間もない1993年、ジェンスン・フアン氏が当時アーケードゲームとしてリリースされた『バーチャファイター』の3Dポリゴン技術に魅了され、翌年セガを訪問。PC向け移植などで実績を積み、1998年発売の家庭用ゲーム機ドリームキャストに搭載するGPU担当の開発パートナーとなる。

 しかし、NVIDIAは新型チップの開発が難航、契約を解除してくれとセガを訪れる。それはまだ規模の大きくない時代のNVIDIAにとって、自社の倒産宣告をみずから告げるに等しい、自分の足で断頭台に上るような悲痛な謝罪だった。ところが、当時の入交氏は契約解除を受け入れたうえで、当初の契約にあった支払いとさらに追加出資を行う。NVIDIAは倒産を免れた。

 その後NVIDIAは新商品がヒット、窮地を抜け出して1999年に上場。高性能GPUなどを作る半導体メーカーとして驚異的な成長を見せ、現在では時価総額約5兆ドル(約800兆円)、時価総額世界一を誇る半導体メーカーとなっている。

 つまりセガは、現在世界一となっている会社のいわば“命の恩人”とも言える存在で、創業社長のジェンスン・フアン氏はセガへの恩義を折りに触れて語っており、イベントでも改めてそのエピソードを当人たちの前で語り、感謝を伝えていた。今回の来日では、高市早苗総理大臣やソフトバンクグループの孫正義会長と面会を行った。そんな多忙な日程の中に、当イベントが組み込まれているというのは特筆すべき点だろう。

 本稿では、“セガとNVIDIAの絆”をテーマに2社の関係性を振り返り、現在“対応ハード未定”とされている『バーチャファイター』新作『
バーチャファイター クロスロード』のPC版実機披露まで行われた本イベントの内容をリポートする。

ジェンスン・フアン 氏

台湾出身の起業家。1993年にNVIDIAを共同設立し、社長兼CEOを務める。スタンフォード大学院で電気工学の修士号を取得。同社をGPUのリーダーから、世界最高峰のAI半導体企業へと成長させた。(文中はフアン)

里見治紀 氏さとみ はるき

証券会社を経てサミーに入社、UCバークレー校でMBAを取得。現在はセガサミーホールディングス社長グループCEOとセガ会長を兼務。

内海州史 氏うつみ しゅうじ

福岡県出身。一橋大学卒、ウォートン校MBA取得。ソニーでPlayStation、セガでドリームキャストの立ち上げに参画。ディズニーやワーナー等の社長を経て、セガ代表取締役社長COOを務める。

入交昭一郎 氏いりまじり しょういちろう

ホンダ副社長を経て1998年にセガ社長就任(当時の社名はセガ・エンタープライゼス)。セガ在籍時、新しいNVIDIAのジェンスン・フアン氏から直談判を受け、誠実さに動かされて出資を決断。この決断が同社の倒産危機を救った形となった。

鈴木裕 氏すずき ゆう

ゲームクリエイター。YS NET代表。1983年にセガに入社し、『ハングオン』や『スペースハリアー』といった体感ゲームを始め、世界初の3D格闘ゲーム『バーチャファイター』、『シェンムー』など歴史的名作をつぎつぎと世に送り出す。

セガとNVIDIAの“絆”:1994年の出会い

NVIDIAジェンスン・フアンCEOが来日。アキバGiGOでセガ愛を語り尽くす。鈴木裕氏&セガ里見会長・内海社長&入交元社長と振り返る“絆”。『バーチャファイター クロスロード』PC実機の披露も!
セガとの出会いについて語るフアン氏。イベントが行われた会場は秋葉原GiGO3号館6F。2000年ごろのアーケードゲームが並ぶフロアでフアン氏が熱く語った。
フアン 
私は1994年に日本に来ました。鈴木裕さんと入交昭一郎さんに会うためです。当時、エヌビディアは創業したばかりで、私たちは3Dグラフィックスのチップを開発していました。3Dグラフィックスゲームが必要だったのです。

 しかし当時、PCの世界でも欧米の世界でも、3Dのビデオゲームを作っている人は誰もいませんでした。1994年当時、唯一の3Dビデオゲームはアーケードゲームでした。そして唯一の本物の3Dゲームは、鈴木裕さんのAM2研が開発した『
デイトナUSA』や『バーチャファイター』でした。そうですよね?

 『
バーチャレーシング』は、信じられないほどすばらしいものでした。私は覚えています。1994年に『デイトナUSA』がアメリカに上陸しました。

 私たちはエヌビディアを立ち上げたばかりで、本当はチップを作っている予定でしたが、毎日ゲームセンターで遊んでいました(笑)。

 グラフィックスがどれほど美しく、滑らかであるか、信じられないほどでした。あまりにも滑らかだったので、この技術は本当の3Dではないのではないかとさえ思いました。しかし実際には完全に3Dであり、テクスチャマッピングが施されていました。そこで私たちは、何としても絶対に日本に行って、セガに「エヌビディアを支援してほしい」と頼むことを決意しました。

 また、私たちは3D向けの新しい技術を開発していました。フレームレートは非常に高く、コストは非常に低いものでした。そして、入交さんと鈴木さんに、私たちと協力して家庭用ゲーム機を作るための支援をしてくれるよう説得しました。

 その家庭用ゲーム機はセガサターンの後継機で、のちにドリームキャストとなりました。入交さんが私たちの提案を受け入れ、いっしょにゲーム機を開発することになったのは、非常に幸運なことでした。こうして私たちは共同開発を始めました。

 しかし、不運なことに、9ヵ月後に私たちはその技術が機能しないことに気づきました。

 私たちは“フォワード・テクスチャマッピング”と“曲面(カーブドサーフェス)”という技術を使っていました。しかし、正しい技術は“インバース・テクスチャマッピング”と“三角形(ポリゴン)”だったのです。私たちは間違ったアプローチを選択してしまいました。

 私は、このプログラムが成功しないことに気づきました。そこで私は、入交さんに説明するために日本にやってきました。謙虚な気持ちで「この技術は機能しない」と説明しました。そして、入交さんに助けを求めました。エヌビディアはこのプロジェクトを完了させることができなかったのです。エヌビディアはプロジェクトを最後まで完了できなかったのですが、それでもお金が必要でした。

 セガの資金援助がなければ、エヌビディアは今日存在していなかったでしょう。私は入交さんに支援をお願いし、彼は非常に寛大にもそれを受け入れてくれました。

 実際、そのときに私は日本企業の“本質(本質的な美徳)”を学びました。企業どうしがビジネスをしていても、すべてがビジネスのためだけではないということです。

 友情、パートナーシップ、そしてお互いをサポートし合うこと。これらも非常に重要なのです。セガと入交さんがエヌビディアのためにしてくれたことのおかげで、エヌビディアは生き残りました。もしあれがなければ、エヌビディアは潰れていました。

 1995年、エヌビディアが倒産寸前で、完全に間違った技術を選択していたにもかかわらず、今日私たちが世界最大の企業としてここにいることは、想像すらできないことです。

 当時、エヌビディアは間違った技術を持っていましたが、入交さんはエヌビディアには正しい人材がいることを見抜いていたのです。

 セガ、入交さん、鈴木さん。皆さんの友情、サポート、そして私たちを信じてくれたことは、私にとって非常に大きな意味を持っています。日本は私にとって常に大切な場所であり、セガも常に大切な存在です。

 エヌビディアとセガの共同歩調が、いまなおこうして続いているという歴史を、ぜひセガの皆様も(私たちと同様に)誇りに思ってください。本当にすばらしいことです。

バーチャファイターPC実機デモを披露

 と、セガとNVIDIAの歴史と関係性を語ったフアン氏がつぎに披露したのは、2027年発売予定の『バーチャファイター クロスロード』。先述の通り対応ハードの発表は行われていないが、PC上で動いているものが披露された

フアン 
今日は大きなサプライズを用意しています。じつは、私自身もまだ見たことがありません。ですので、私たち全員で、今日初めていっしょに楽しみたいと思います。『バーチャファイター クロスロード』です。とても美しい。
NVIDIAジェンスン・フアンCEOが来日。アキバGiGOでセガ愛を語り尽くす。鈴木裕氏&セガ里見会長・内海社長&入交元社長と振り返る“絆”。『バーチャファイター クロスロード』PC実機の披露も!
PC上で稼動する『バーチャファイター クロスロード』を見るフアン氏と、シリーズの生みの親である鈴木裕氏。
 両社がタッグを組むきっかけとなった『バーチャファイター』のシリーズ最新作。2027年の発売に向け目下開発中のバージョンだと思われるが、実際にPC上で滑らかに動いていた(遠目には)。

NVIDIAと日本政府・日本企業とのパートナシップ

 さらに、フアン氏は今回の来日の目的についても解説。なんでも明日(7月16日)日本政府や日本企業との数々のパートナシップが発表されるという。
フアン 
私が今回日本にやってきたのは、明日、日本政府とNVIDIAが極めて大きなパートナーシップを発表するからです。

 明日は日本にとって、本当に、本当に重要な一日になります。明日こそが、まさに“日本AI(の時代)”の始まりとなるのです。私は、数多くの企業、日本を代表する並み居る巨大企業とのパートナーシップを発表する予定です。私たちはAIやロボティクス(ロボット工学)の分野で、ともに手を取り合って取り組んでいきます

フアン氏が鈴木裕氏を激賞

 この後、会場に集結した約100人のNVIDIA&セガファンに向け、現在発売中の高性能グラフィックボードRTX 5090や、さらに未発売の次世代のノートPC“RTX Spark(アールティーエックス・スパーク)”のプレゼントイベントがあり、登壇した5名がグラフィックボードや交換券にサインを入れたり、フアン氏が当選者に直接プレゼントを手わたすなどファンと交流していた。

 そして、最後に改めてフアン氏が鈴木裕氏を激賞する熱いコメントを捧げ、セガファンとNVIDIAファンの熱気に満ちたイベントは閉幕となった。

フアン 
鈴木裕さんがここ日本で成し遂げた、3Dビデオゲームや3Dアニメーションにおける先駆的な業績がなければ、今日のゲームの世界はまったく違ったものになっていたでしょう。あなたの驚異的な、先駆者としての仕事がなければ、今日の発展はありえませんでした。本当にありがとうございました! 偉大なる鈴木裕さんです!
NVIDIAジェンスン・フアンCEOが来日。アキバGiGOでセガ愛を語り尽くす。鈴木裕氏&セガ里見会長・内海社長&入交元社長と振り返る“絆”。『バーチャファイター クロスロード』PC実機の披露も!
閉幕後の会場前。アキバの歩行者たちがジェンスン・フアン氏をひと目見ようと大混雑。取材前は、「NVIDIAの社長ぞ? 時価総額世界一ぞ?? ホンマのホンマにGiGOに来るんか??? THE・ゲーセンのフロアぞ????」という若干の疑問を抱きながら取材現場へ向かいましたが、本当にいらっしゃいましたね。

担当者プロフィール

  • 堅田ヒカル

    堅田ヒカル

    ギリ昭和生まれのファミ通編集者。富山県出身。秋葉原と神宮球場に出没。酒とゲームとスワローズと本と旅と犬と猫を適量かき混ぜたら完成。『パワプロ』、『シェンムー』、『ドラクエ』、『逆転裁判』、『グランツーリスモ』が好きな雑食系ゲーマー。内野手。右投げ右打ち。

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