『DbD(デッドバイデイライト)』は完璧にバランスの取れたゲームは目指さない、重要なのは“恐怖のファンタジー(没入感・物語性)”【DbD10周年記念インタビュー】

『DbD(デッドバイデイライト)』は完璧にバランスの取れたゲームは目指さない、重要なのは“恐怖のファンタジー(没入感・物語性)”【DbD10周年記念インタビュー】
 2016年6月14日に配信されるや“非対称の対戦マルチプレイヤーゲーム”として世界中から絶大な支持を集めた『Dead by Daylight』(デッド・バイ・デイライト)が2026年で10周年を迎えた。
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 『Dead by Daylight』の10周年に合わせてファミ通.comではクリエイターにインタビューを実施した。ここでは、Behaviour Interactiveのバイスプレジデントであるホセ・ラモス氏と副最高経営責任者のネイサン・セリン氏へのインタビューをお届けする。
『Dead by Daylight』は完璧にバランスの取れたゲームは目指さない、重要なのは“恐怖のファンタジー(没入感・物語性)”【DbD10周年記念インタビュー】

José Ramosホセ・ラモス/写真左

Behaviour Interactive バイスプレジデント兼エグゼクティブ・プロデューサー 『Dead by Daylight』のエグゼクティブ・プロデューサーを務め、プロダクト戦略や運営方針など、プレイヤー中心の施策を統括。開発チーム内で長期的なビジョンを共有できる環境づくりに注力しながら、つねに新たなコンテンツが追加され続ける『Dead by Daylight』において、Games as a Service(GaaS)としてのプレイヤー体験の継続的な改善を推進している。

Nathan Sellynネイサン・セリン/写真右

Behaviour Interactive 副最高経営責任者 2022年にBehaviour Interactiveへ入社。Chief of Staff(CoS)と戦略部門のバイスプレジデント(VP)を務めた後、副最高経営責任者(Deputy CEO)に就任。Behaviour Interactiveの企業戦略全体を統括し、ステークホルダーとの関係構築を担う。事業開発、パブリッシング、マーケティング、ライセンス事業など、幅広い領域を管掌している。

世界でもっともゲームバランスを取ることが難しいゲーム!? いかにデータを分析しユーザーの声に耳を傾けるのか?

――ホセさんの『Dead by Daylight』での役割を教えてください。

ホセ
 はい。私は『Dead by Daylight』でバイスプレジデント兼エグゼクティブ・プロデューサーとして働いています。私はこのゲームの長期的なビジョンを定義する立場にあります。そして、ビジョンの定義から逸れないようにすることを管理します。ビジョンを定義するというのは、その多くが、コミュニティの声に耳を傾け、チームの声に耳を傾け、そして私たちのビジネス目標を確実に達成すること、となります。だから、その3つの組み合わせですね。

 私としては、その3つすべてが満たされるよう手助けできているとき、自分はいい仕事をしている、と感じます。この3つの柱のどれかひとつを犠牲にすることはできないんです。

――では、その“ビジョン”について、もう少し具体的に教えていただけますか?

ホセ
 それぞれのチームには、ビジョンの特定の要素を牽引する、別のリーダーがいます。私たちのシニア・クリエイティブ・ディレクターは、プレイヤーに届けたいゲームプレイとコンテンツが何であるかを牽引します。

 私たちのシニア・プロダクト・ディレクターは、エンゲージメントのシステム――たとえば私たちが開催するイベントや、プレイヤーが購入したくなるよう、ストアに何を並べるか――を牽引します。

 それからテック責任者(Head of Tech)がいて、私たちのゲームのテクノロジーや技術的要素、そしてゲームの基盤が非常に強固であることを確実にしてくれます。そして私が行っているのは、コアチームのすべてのメンバーと協力しながら、これらすべてをいっしょに推し進めて、プレイヤーの体験によってプレイヤーが満足できるようにすることです。究極的には私たちにとって重要なのはそこだけですからね。
『Dead by Daylight』は完璧にバランスの取れたゲームは目指さない、重要なのは“恐怖のファンタジー(没入感・物語性)”【DbD10周年記念インタビュー】
インタビューに併せて、発表された今後の新展開をここで改めて紹介しよう。まずは『Dead by Daylight』史上初となる先住民のサバイバーを中心としたオリジナルチャプター“Dead by Daylight: The Life Road”が2026年6月26日にリリース予定。
――私の考えでは、おそらく『Dead by Daylight』は、バランスを取るのが世界でいちばん難しいゲームではないかと思います。というのも、片方にキラーがいて、もう片方にサバイバーがいて、それが真ん中で折り合わなければならない、ということですよね? では、プレイヤーにとって本当によい体験というのはどういうことなのでしょうか?

ホセ
 『Dead by Daylight』が非対称型のゲームであることで非常に興味深いのは、勝利の定義すら、ほかの一部の対戦ゲームほど二者択一的ではない、という点だと思います。

 つまり、たとえばキラーとして、勝利をどう定義しますか?  全員を殺したときでしょうか?  4人中3人を殺害できたとき?  場合によりますよね。サバイバーとしては、人によってはもう少しシンプルです。脱出できたか、できなかったか。でも、たとえ脱出できたとしても、必ずしもよい働きをしたとは限りません。なぜなら、たとえば仲間のサバイバーがチームメイトを助けなかったかもしれないからです。それが、『Dead by Daylight』を複雑にすると同時に、より興味深くもしているもののひとつなのです。

 バランス調整について、話をどう締めくくればいいかわかりませんが、PvPゲームはどのゲームもすべて、バランス調整に課題を抱えています。とりわけ、何百時間、何千時間とプレイしてきたプレイヤーから来るものです。ですので、それはごく自然な反応なんです。だからといって、私たちが「ああ、そういうものだから仕方ない」と考えているわけではありません。

 それで、ご質問についてですが、いちばん重要なことをひとつだけ選ぶのは難しいのですが、それはファンタジー(没入感・物語性)だと思います。これが何を意味するかというと、先ほどバランス調整について話しましたよね。バランス調整についてお話ししたのは、ときに一方のロールが、自分のファンタジーが失われたように感じることがあるからです。たとえばキラーの場合、サバイバーが上手すぎて、強すぎて、あなたを走り回らせては捕まらせてくれないために、自分が十分に強いと感じられない、ということがあるかもしれません。

 コラボレーションという観点で私たちが見出そうとしているもの、つまり、誰と組むのか? どんなキャラクターをゲームに持ち込むのか? どんなゲームプレイのメカニクスをゲームに加えるのか? どんなゲームモードを追加するのか? バランス調整にどう取り組むのか? 私たちは、市場のほかのどんなシューターのような、完璧にバランスの取れたゲームになりたいわけではないんです。それは私たちのありかたではありません。なぜなら、勝利という単一の定義が存在しないからです。

 私たちが望むのは、ファンタジーがつねにそこにあることです。キラーとしては、強いと感じる必要がある。サバイバーとしては、危機に瀕していると感じつつ、他者を助け、自分自身を助けて脱出する力がある、と感じる必要がある。それは、つねに成功するという意味ではありませんが、その状況に置かれていると感じられる、ということです。だから、ファンタジー、そして正確なデータの数値がどうあれ、私たちがそのファンタジーを尊重しようとすること……ファンタジーが満たされていれば、人々は満足します。だから、それが『Dead by Daylight』にとって何より重要なことだと、私は思います。
『Dead by Daylight』は完璧にバランスの取れたゲームは目指さない、重要なのは“恐怖のファンタジー(没入感・物語性)”【DbD10周年記念インタビュー】『Dead by Daylight』は完璧にバランスの取れたゲームは目指さない、重要なのは“恐怖のファンタジー(没入感・物語性)”【DbD10周年記念インタビュー】
2026年8月には『Dead by Daylight』初の試みとして、コミュニティとの共同開発によって実現する新チャプター“Dead by Daylight: Chorus of Sin”がリリースされる。こちらはキラー(左)とサバイバー(右)。
――語っていただいたそれらの要素は、実際にはどのように実行されているのでしょうか? 具体的に教えてください。コミュニティのフィードバックなのか、つねに記録している膨大なデータによるものなのか。

ホセ
 はい。それはつねに組み合わせです。私たちはつねに複数の情報源を持っていて、それらすべてのバランスを取ろうとしています。もちろん、データが第一です。私たちが持っているすべてのゲームプレイのデータ――いちばん有名なのはもちろんキルレート(kill rate)ですが、それはひとつにすぎません。私たちが追跡しているすべての要素について、プレイヤーがどんなパフォーマンスを見せたか。ゲーム終了後に確認できるエンブレムの内容も重要です。そして私たちは(ゲームの)切断率を見ます。特定のキャラクターを相手に、あるいは特定のマップで、プレイすることにフラストレーションを感じているか、といった要素です。だから、まずデータを見ます。

 つぎにプレイヤーの声に耳を傾けます。つまり、コミュニティの感情(センチメント)、プレイヤーの反応を見て、そのふたつを照らし合わせようとします。そしてそれらが一致しないとき、私たちはまず自問します。なぜデータで見えるものとプレイヤーが言っていることのあいだに食い違いがあるのか? それは認識の問題なのか? それとも、データや私たちが見ているものが、じつは見るべき対象として間違っている、という実際の問題なのか?

 そして最後が、クリエイティブのビジョンです。つまり、くり返しになりますが、シニア・クリエイティブ・ディレクターとデザインチームは、このゲームがどうあるべきかというビジョンを構築しています。そして、ときにデータが彼らの予想していなかった方向に進むことがある。あるいは、コミュニティが彼らの予想していなかったやりかたでゲームをプレイすることがある。そして問題は、コミュニティが望むその方向にもっと押し進めるのか、それともクリエイティブのビジョンを押し進めるのか、ということです。だから私たちは、つねにその3つのあいだでバランスを見つけようとしているんです。
『Dead by Daylight』は完璧にバランスの取れたゲームは目指さない、重要なのは“恐怖のファンタジー(没入感・物語性)”【DbD10周年記念インタビュー】
2027年より段階的に大規模なビジュアルアップデートを実装予定。キャラクターに新たな動きや表情が追加され、これまで以上に没入感と緊張感に満ちたゲーム体験が実現されるよう設計されているとのこと。また、今後数年のあいだに新たなゲームモードも順次追加される。“1v1 Mode(1対1モード)”および“Zombie Mode(ゾンビモード)”が導入予定であることが明らかにされた。
――『Dead by Daylight』では、キラーよりもサバイバーのほうがずっと多いですよね。1対4で戦うゲームですから。比率として、サバイバーよりキラーをプレイする人が少なくならないように、といったことは意識されているのでしょうか?

ホセ
 はい。それは、私たちは、1対4であることが、キラーの体験の質を犠牲にしてよりサバイバーのよい体験を推し進めなければならない、という意味ではないと考えています。とくに最近の経緯において、それがコミュニティの中で高まってきた感覚であることは理解しています。

 でも、それは目標ではありませんでした。「サバイバーのほうが数が多いから、サバイバーに注力しよう」という考えではないんです。このゲームは、完璧なバランスがあるときに機能します。そして完璧なバランスとは、キラーがその体験の中で楽しめなければならない、ということを意味します。そして私たちは、とくに一部の地域、たとえば日本では、それがより難しいことを知っています。

 私が言いたいおもな点は、私たちはそれを認識していて、そこを改善する必要があるという事実を無視していない、ということです。そして私たちは――これは個人的な見解ですが――はるかによくなったマッチメイキングが、その問題に対する大きな答えだと考えています。そして私たちはいま、新しいバージョンのマッチメイキングに取り組んでいるので、今後より改善されると確信しています。すべてを解決するのかと言われればおそらく、そうではないでしょう。ですが、キラーの体験を大きく改善することにはなります。

――プレイヤーとしての意見ですが、プレステージ100に到達したとき、それを達成した人のために、報酬か何かを作ってもらえると本当にうれしいのですが(笑)。

ホセ
 承知しました。それは私たちが加えていくつもりのものです。すでにバッジという形で新しい報酬を加え始めていますし、私たちはますます気前よくなっていきます(笑)。というのも、プレステージ100に到達するというのはとてつもない達成なので、私たちはこの点について、もっと気前よくなっていくつもりです。

ネイサン
 (インタビューに乱入)付け加えますと、プレステージ100に到達するようなそういうプレイヤーの方は、どんなライブゲームにとっても、もっとも価値のある存在です。そして、ビジネスの観点でもっとも価値があると言っているのではありません。

 私が言いたいのは、ひとつのゲームにそれだけの時間を費やすというのは、そのゲームを愛しているということなんです。そして、そんなプレイヤーの人が決して行き詰まりを感じることがなく、自分の情熱を楽しむ道がつねにある、そんな方法を見つけようとすること。とくに10年が経った後では、それは大きな挑戦ですが、同時に、つぎの10年を可能にするためにこの上なく重要なことでもあると思います。プレイヤーが、ゲームの中で、これほど情熱を注いでいるものを楽しめる道が、つねになければならないんです。
『Dead by Daylight』は完璧にバランスの取れたゲームは目指さない、重要なのは“恐怖のファンタジー(没入感・物語性)”【DbD10周年記念インタビュー】
今後登場予定の新コレクションについても先行公開され、2026年6月26日から7月17日まで開催されるアニバーサリーイベントに合わせて登場する“ブラックバンケットコレクション”では、10周年のお祝いを彩るフォーマルなコーディネイトを用意。さらに、砂漠をテーマにした“黄金の民コレクション”も追加される。
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