『007』(ダブルオーセブン)と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。俳優の顔や名前? タキシードスーツに紳士な恰好? カッコイイ車? それともレトロなFPS? いや、何も分からない? 安心してほしいのは、本作は『007』の知識がなくとも十分に楽しめる作品になっている。
IO Interactiveより2026年5月27日に発売された、スパイアクション・アドベンチャー『007 ファーストライト』。対応ハードはプレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(Steam、Epic Games)。Nintendo Switch 2版も今夏発売予定だ。
本記事では、本作をクリアーまで遊んだプレイレビューをお届けしよう。
※本記事はIO Interactiveの提供でお届けしますオリジナルの物語を描く『007』
シリーズを知らない方に説明すると、『007』は1953年に執筆された原作小説『ジェームズ・ボンド』シリーズをもとに作られた作品群の呼称・愛称。映画やゲーム、コミックなど、多岐にわたるマルチメディア展開がなされているが、世間的にはおもに映画シリーズを指すことが多いように思う。

作中では、架空の英国秘密情報部・MI6に所属する伝説の諜報員(スパイ)ジェームズ・ボンドが、世界を股にかけてダンディかつスタイリッシュに、スパイアクションをくり広げる物語が描かれる。“スパイ”と言うと諜報員や間者として、情報を盗んだりするイメージのほうが強いかもしれない。それがありつつも『007』では戦闘力や運転術などすべてに長けた、ヒーロー的な存在として描かれている。

古くから原作があることや、25本以上の映画シリーズがあるが、『007 ファーストライト』を遊ぶ際にそれらの知識は必要ない。まず本作はオリジナルストーリーになっている。いずれかの作品をゲーム化したのではなく、ゲームならではのジェームス・ボンドが描かれている。
そして、本作のジェームス・ボンドは、まだ伝説のスパイになる前をメインに描いた作品で、じつのところコードネームの“007”になるまでの候補生時代が物語のほとんどを占めている。

ただ、『007』の知識があればニヤリとできるポイントは盛りだくさん。『007』はお決まりをなぞるような部分も魅力なので、それがしっかり取り入れられていたり、映画作品のオマージュなどもたっぷり含まれている。
また、ゲームファン向けに言うと、本作の開発は『ヒットマン』シリーズを手掛けてきたIO Interactiveが担当している。ゆえに『ヒットマン』シリーズで培われたであろう開発技術のほか、箱庭の中で任務をこなす感じなど『ヒットマン』シリーズに通じるものが含まれているのも魅力だ。

若きボンドがナンバーを得るまで
物語の舞台となるのはスマートフォンが普及し、我々が生きているような現代。英国海軍艦隊航空隊のひとりとして任務にあたる26歳のジェームズ・ボンドは、偶然にもMI6の極秘任務に巻き込まれてしまい、ヘリが襲撃されてしまう。MI6の通信のおかげもありなんとか生き延びたボンドは、自分たちを襲ったのは盗賊団であることなどを知っていく。逃走することをMI6から提案されるも、持ち前の正義感でコッソリとMI6クルーを救出。


ヘリ墜落後もステージになっており、英雄誕生の瞬間を操作できる。


身体能力に優れていることや、たまたま多言語が扱えるなど、その才覚が垣間見える。


一連の流れからオープニングが展開するのは、完全に映画『007』シリーズそのもの。
救助には成功したものの、最後に取ったとある行動が常軌を逸した内容だったため、ボンドはMI6から問題児として見られてしまう。しかしMI6はボンドに傑出した才能を見出し、スカウトすることに。


マネーペニーやMなど、映画でもおなじみのキャラクターたちも登場する。

先に候補となっていたのは、1番から6番までの候補生。つまりボンドは7番目ということだ。
ほかの候補生とともに過酷な訓練生生活を送るボンドだったが、ある日、かつて諜報員だった国家反逆者“009”(ダブルオーナイン)の情報が飛び込む。009の陰謀を食い止めるために動きだすMI6とボンドたち。しかしそれが世界を股にかけた、より強大な陰謀へとつながっていくのだった。



候補生仲間であるクレシダとモンローとの友情なども描かれていく。
以上が本作のおもなあらすじ。軍人だった若きボンドという、あまり描かれることのなかったバックボーンが描かれているのが大きな特徴。初めて人を射殺してしまった際には動揺を見せたり、まだまだ未熟さの残るボンドが描写されている(序盤だけだけど)。

天才発明家のQももちろん健在だ。




MI6や研究室も探索可能で、とくに研究室は見どころばかりでオススメ。
グラフィックは非常にリアルだが、ゲーム内容としてはいい具合に調整されている。リアリティはあるけど、どこか誇張された展開があったり、細かい整合性よりもエンタメとしての勢いを重視したケレン味の効いた演出がどこか映画的で気持ちがイイ。

チャプターごとにタイトルが表示される演出も。チェスの試合会場というシチュエーションにニヤリ。

囚われてしまい、ワニに食われそうになってしまう大ピンチ。ワニと言えば……みたいな、オマージュも豊富だ。

やっぱりあるよね時限爆弾解除シーン。
チャプターごとに区切られているが、クリアー時にリザルトやスコア的なものは一切表示されず、さっとつぎのシーンへ移るのも映画的。逆に言えば中断するポイントがないので、やめどきが見つからず、無限に遊べてしまう危険な側面もある。



MI6内部など、ちょっとした幕間みたいなものはいくつか存在するので、そこで一息つくといいだろう。
ストーリーだけのプレイ時間で言えば約20時間前後でクリアーでき、昨今のゲームとしてはちょうどいいボリューム。後述するがやり込み要素も豊富なので、コンプリートを目指すとなればもっと遊べるボリュームになっている。全体的には映画6本くらいをシリーズ作品として一気に見たような感覚で、とても楽しめた。

日本語版はテキストのみローカライズされており、音声は英語。テキストサイズは変更できるなど(本記事ではちょっと大きめのテキストに変更している)、基本的にローカライズ品質は問題ナシ。ただクルマを運転するシーンではやはり運転に集中したいので、字幕を読んでいる余裕があまりない。そういうシーンでは日本語音声が欲しくなった。

オシャレなチュートリアル
物語の序盤は、スパイとして訓練を積む日々が濃密に描かれている。そこで潜入の方法や、戦闘術などを学んでいくのだが、これがプレイヤーのチュートリアルとしても機能している。ここがやたらとオシャレで、訓練の日々を切り取って高速で進んでいく(いわゆるモンタージュという演出)。


パンチ攻撃のチュートリアルを達成したら、即つぎの射撃訓練がスタート。そしてそれが済んだと思いきやアスレチックに移るなど、本当に映画に入り込んでいるかのような体験ができ、すごく楽しかった。ただ、チュートリアルとしては覚えにくい箇所もあり、そのあたりはおいおい学んでいくことになった。任務中にも、操作チュートリアルが表示されたりするので問題にはならないが、最初は戸惑うかも。

物語としてもゲームとしても、本格的に動きだすのは009の話が出てからになるため、そこまではそれなりに時間はかかる。ゲーム的な楽しさが出てくるまでの時間は長めだが、つまらない話が続くわけではないので、ストーリーをじっくりと楽しみながら操作に慣れよう。

メインとなる箱庭探索パート
プレイヤーはボンドを操作し、さまざまな任務に挑むのが本作のメインどころ。ストーリーはおもにMI6内で会話や準備をするアドベンチャーパート、任務に挑むステージパートと、そのあいだに挟まれるリニアなアクションパートに分かれている。

中心となるのは箱庭型のステージで、定められたミッション目標をこなしていくことでゲームが進んでいく。ユニークなのが、目標を達成するまでの道のりや手段がプレイヤーに委ねられ、さまざまな選択が用意されている点。
たとえば入り口にセキュリティゲートがあって入れないシーンでは、セキュリティゲートを回避して窓から侵入する、セキュリティゲートを正面から入る、職員を騙して侵入するなど豊富な選択が用意されており、何を選んでも楽しめる。これらが複合的に組み合わさっているのが、本作の醍醐味だ。


突破してもいいし、アスレチックで潜入してもよし。
いずれの選択を取ってもだいたい正解にたどり着けるような形になっており、1周目のプレイではその選択の豊富さに気づくことは難しいかも。後述するステージチャレンジという、くり返し遊べるコンテンツがあり、そこで本作の深みに気づけるだろう。とはいえ、最初はそこを意識せず、どう攻略するのか自分で考えながら遊ぶのがオススメだ。

スリをしないとアイテムが手に入らないシーンもあるが、ぶっ倒して手に入れるのもアリ。

本当は候補生仲間に見つかってはいけないシーン。見つかったのだが、ボンドがうまいこと納めるといったシーンが描かれる。これはこれで正解。
情報は自分の手で探すしかなく、盗み聞きしたり何かを調べて手に入れるなど、ヒントはたくさん用意されている。画面に表示物やガイドは極力出ないようになっているが、ボタンを押すとボンドの目に装着された特殊なレンズで敵の姿が透けて見えたり、目標の行き先が表示されるなど、しっかりボンドらしいアクションでガイドが見られるのもうれしい。あまり使用しないが、ポーズ画面で発見したヒントを見返したりもできる。



ステージは各国が2時間くらいのボリュームでまとまっているような感じで、ロンドンなどのヨーロッパ各地のほか、アフリカのモーリタニアやベトナムなどに向かうことも。バラエティ豊かなシチュエーションがプレイヤーを待ち受ける。


豊富な選択肢のあるステルス&探索
いわゆるステルスプレイに徹すると、敵の背後からコッソリ気絶させて戦闘を回避したりもできるほか、もし見つかってもその場で連絡さえされなければいいので、ゴリ押しで突破することも可能。連絡されても基本は増援が来るだけなので、さらにゴリ押して突破することもできる。


見つかったからといって終わりではなく「キミ何をしてるの?」みたいなことを言われたときに、うまく返せば切り抜けられるのもスパイ的なところ。殴り返しの選択肢だってある。
ステルスと言ってもただ敵から身を隠して進んでいくのではなく、入れる身分証などを見つけて潜入したり、多彩なガジェットを駆使して進められるのは、まさにジェームス・ボンドのスパイ術といったところ。見つかってもその場で“ハッタリ”というコマンドを使うと、ボンドがうまいこと「調査員です」、「修理工です」みたいなことをパッと言って、切り抜けられたりもする。

ガジェットはすべて持ち込めるわけではないので、自分で選択する。さすがにマップ情報がわかるわけではないが、なんとなくヒントはくれる。

ボンドはポンポン嘘をついていく。かなり無茶だが妙な説得力はある。
このハッタリは超強力な突破術だが、強すぎるためか、使用するにはポイントを消費する。ポイントは敵を打撃で排除したりしないと溜まらず、ここぞというときにしか使えないよう調整されている。


いやすみませーん、と言いながら張り倒したりもできる。
ステルスが強要される場面はかなり少ないので、面倒ならパッと正面突破してしまっても問題ない。ただ、ボンドはあくまで優れた能力を持つ人間であって超人ではないので、銃で撃たれたら死亡するし、打撃もそこまで耐えられるわけではない。ゲーム的に言えば、食らうダメージが高く倒されやすいが、うまくプレイすれば突破できるといったバランスになっている。ステルスはリスクを低減するための手段といった感じだ。

ちなみに移動すべき場所には青いシートなどが置かれている。最近のゲームによくあるガイドだが、本作はかなりさりげない感じだったので、むしろ気づかないこともあった。
ガジェットは探索中に補給することができ、電化製品から電気系のエネルギーを補給できるほか、飲み物や薬などからは薬剤系のエネルギーを補給可能。ガジェットによっては強力だが消費量の多いものもあるため、連発しにくい仕組みになっているのがうまいバランス。

アドベンチャーシーンでもガジェットを使って進行することも。
『007』では時計も重要。ボンドウォッチと呼ばれることもあり、『007』らしいガジェットの代表例とも言える。本作において腕時計はハッキングに使用できるほか、画面左下のエネルギー表示にも活用されている。そのほか物語中でもさまざまな役割を持っており、時計を通じて「やはりガジェットの活躍こそ『007』らしさだよな」と感じた。

しっかりオメガの時計がゲーム内に採用されている。昨今のボンドと言えばオメガのシーマスターを付けていた。
周囲の反応が楽しい格闘バトル
任務中では、ときに戦闘に発展してしまうことも。バトルの中心は素手での格闘アクションとなっており、殺しをよしとしないボンドだからこそ、銃はここぞというときにしか使わない。というか、殺害には上層部の許可がいるので、相手が先に発砲した場合のみ銃が使用できる“殺しのライセンス”システムを搭載している。
格闘バトルはカウンターや投げなどを狙いながら、集団戦をこなしていく。これがシンプルながら奥が深く、とても楽しい。うまくアクションできれば、まさに映画さながらの格闘シーンのようなカッコよさを演出できる。
戦闘では、敵の予兆を見て投げ技やカウンターを避けなければならない。これが1対1ならともかく集団戦となるとかなり手が忙しく、戦闘の難度は全体的にやや高め。だからこそ、見つからずに任務をこなさないといけない、というワケ。ときには、その場にある瓶などを利用するオブジェクト攻撃もある。また、ガジェットを戦闘中に使用することもできるので、ピンチのときにはイヤホン型爆弾を相手に投げ付けて突破するといったことも可能。


やり込むうちにスゴイと感じたのが、本作はバトルの展開によって、ステージのオブジェクトや壁がものすごく反応してくれる点。もう、すごく派手で、豪華で、贅沢。棚が崩れる、テーブルに乗っていた皿が割れる、ワインセラーが崩れるなどなど、これでもかというほど反応する。


テーブルに乗った豪華な本たちがドーン! と全部粉々に。

棚もバーン!

ガシャーン!
これが一流スパイらしくスマートにこなしていれば、グチャグチャにならないワケだが……。戦闘に発展したからこそ、見られる部屋のグチャグチャ加減は本当にぜいたくだと思う。
といったところで、近接戦闘は投げが非常に楽しい。本作の投げは、敵を任意の方向に飛ばすことが可能。敵と敵どうしを当てる、壁に叩きつけるなど、さまざまな活用方法がある。叩きつけたオブジェクトによっては敵を感電させたり、突き落とすことも可能だ。


テレビにバーン!

海に捨てまくったっていい。

感電すると骨が透けて見えるのはコミカルでゲーム的。
格闘とミックスした銃撃戦
銃撃戦は先述したようにそこまで発生することなく、おもに“ここぞ”という場面で発生する(もしくは中盤以降のステージなど)。基本はカバーアクション主体のTPSらしい操作感。先ほどのオブジェクト干渉にも通じるところだが、木箱に隠れていたからといって安全ではなく、木にどんどん穴が開いて最終的に壊れたりと、ドタバタな銃撃戦になりやすいのもおもしろい。


隠れていた木箱が壊れたー!
破壊できるオブジェクトは非常に多く、水の入ったタンクを撃てばピューっと水が出たり、ガソリンは液体として地面に流れてから火が付いたりと、IO Interactiveらしさ満点の反応を見せてくれる。


敵のリアクションも多く、そもそも敵を撃ち倒すと映画のようなちょっと過剰気味のリアクションをしてくれるのがうれしい。また、敵はヘッドショットだけでなく、手を撃つと武装解除できたり、両足を撃つことで無力化したりなど、部位によっても反応が異なる。率先して“殺し”はしないボンドらしい戦いも演出できる。
またボンドは大量の弾丸を持ち歩けず、せいぜいマガジン1~2個くらいの弾数しかない。銃を撃ちきると敵に銃を投げつけることができ、そこからタックルして接近戦。敵を倒してまた銃を入手するなど、流れるような動きで敵の銃を奪って戦えるのがとても気持ちよかった。

敵の銃を撃ち落としてから接近戦を仕掛ければ、弾薬を節約しながら戦えたりもする。また、ハンドガンとアサルトライフルなどの長物を使い分けることも可能だ。最初は単なるTPSっぽい作りだと感じると思うが、次第に銃&接近戦を組み合わせた立ち回りの楽しさに気づくだろう。

ちなみに本編中もMI6で射撃訓練ができたりする。
カーアクションも忘れずに
『007』と言えばボンドカーが有名なように、カーアクションも欠かせない。クルマのダメージ描写も細かく、運転が荒ければ車のパーツがぼろぼろと取れていく。


運転はちょっとだけアシストが効いているので乗りやすいが、もし道を間違って激突したりすればしっかりとゲームオーバーになる。そこまで難しくはないが、ほどよい難度なので苦手な人でも十分楽しめるだろう。ただ、チェイス中の字幕はやはり読みにくい。


ゴミ収集車や飛行機に荷物を積むためのベルトローダーなどバリエーション豊かなクルマを乗り回していくのも、『007』っぽさがあってよかったところ。また、後半には武装を施したアストンマーチンのまさに“ボンドカー”に乗るシーンもあるので、お楽しみに。

ボンドらしさ満点!
もうひとつ欠かせないのが“ボンドガール”と呼ばれる、女性ヒロイン。本作では諜報員であるミス・ロスという女性と出会うことになる。かなり謎多き人物なのだが、009と何かしらの関係があり、ときにはボンドを手助けしてくれる。ちなみに、女優の中井ノエミ氏が声(英語)とパフォーマンスを担当している。


女性といえば、ボンドは女性好きという部分もしっかり描かれており、しれっとベッドシーンが挟まっていたりすることも。女たらしというよりは、自然と女性が寄ってきてしまうみたいな描かれかたになっているので、各地で女性を口説きまわるような感じではなく、スマートなプレイボーイといったイメージ。

ジョークを交えてカッコつけたりするのは、若きボンドらしくとてもいい。若さゆえに、ちょっと軽口すぎる部分もあるのだが、そこはあえて取り入れているのかなと感じる。相手を閉じ込める前に、暇だろうからとお酒を差し入れて閉じ込めたりとやさしさ(?)が見えたりするのもイイ。

服装が豊かなのもボンドらしいポイント。ミッション各地でさまざまな服装を披露してくれるほか、ストーリーモード以外ではものすごい数の衣装が用意されている。もちろん、イメージ通りのタキシード姿もしっかり魅せ場があるので、登場したときには「おおっ!」と声をあげてしまった。



また、Qによるボンドガジェットの紹介パートは『007』での魅せ場であり、とてもワクワクするところ。使いかたを学ぶ一種のチュートリアルとして、うまく組み込まれている。何かが起きる→Qが今回のガジェットを紹介する→いざ任務へ、といった映画おなじみの流れがゲームに取り入れられていて、いちファンとしてうれしかった。



ナイフが仕込まれた靴など、細かなアイテムにもご注目を。
ほかにもマティーニに関するネタがあったり、過去のボンドを彷彿とさせるような小ネタが散りばめられている。また、映画作品を彷彿とさせるアイテムがそのまま出てくるなど、あくまで飾りなのだが、ニヤリとできる要素も多い。

やはり存在する殺し屋枠の方たち。うーん、それっぽい。

「マティーニなんてまともな奴なら頼まないだろ!」と言われてしまうボンドさん。

ちなみにいろいろな理由から、本当のヒロインはグリーンウェイなのでは? と感じた(笑)。
『ヒットマン』が感じられる人口密度
さて、発売前の本作は『ヒットマン』シリーズのIO Interactiveが開発した、という触れ込みでゲームがアピールされていたように思う。では本作が『ヒットマン』のボンド版かと言うと、その面が少しありつつも、実際に触れるとかなりの別物だと感じた。
そもそも『ヒットマン』は殺し屋で、ターゲットをいかに殺害するかがゲームの柱。事故死に見せかけるのか、直接手を下すのかなど、複数用意された殺害方法を適宜選択して、箱庭の中で自分なりのストーリーを組み上げていくのを楽しむゲームだ。また、ピタゴラスイッチ的なお笑いもある『ヒットマン』と違って、本作の主人公はあくまでもスマートなスパイ。そのためゲームの目的はもちろん、実際に遊んだ際に得られるプレイ体験もまったく異なる。

『ヒットマン』だと入っちゃいけない場所が微妙にわかりにくい場合があるが、本作は「ここは立ち入り禁止だ」と言われたら、わかりましたとコマンドで返答して引き返せたりする。
本作はボンドが任務を遂行するために、さまざまな方法を取るというゲーム性。一見似ているが、目標は誰かを殺害することではない。向かった先で何が待ち受けているのかわからないことが多く、最終目標が見えないのが物語の展開として楽しかったところもあった。

棚を倒すなどのアクションもあり、とにかく非殺傷のワンキルが美学と言える『ヒットマン』とは違って、かなりドタバタしたゲームになっている。

途中、組織に近づくためにお金を稼ぐという任務があり、ミニゲームなどに挑戦するパートがあったりと冒険感もある。
とはいえ、やはり培われた技術やゲーム表現はしっかり生かされていると感じる。とくに思うのは、ものすごい人口密度で進むゲームなこと。
本作のグラフィックはきれいだが、現実と区別がつかないほどリアルというわけでもない。が、特筆すべきはオブジェクトが多く、部屋の作り込みがすごいこと。そして、街中やパーティー会場などが舞台となると、人口密度がハンパない。きれいながらに、その表示物の多さは圧巻。注目して遊ばないと気づかないかもしれないが、本当に多すぎる。このあたりはまさに『ヒットマン』シリーズでも見た人口密度で「IO Interactiveならではだな」と思ったところ。




くり返し遊べるステージチャレンジ
もうひとつ『ヒットマン』シリーズから受け継がれている要素として、本作は“戦術シミュレーション(TacSim)”モードがある。これはストーリーをある程度進めると解放される、ストーリーとは別のモード。MI6に用意されたシミュレーション装置を使って、さまざまな任務に挑める。


任務は架空のシチュエーションを想定したシミュレーターのほか、さまざまなステージにも再挑戦できる。各ステージにはチャレンジが用意されており、たとえば「この方法で潜入した」とか「見つからずに突破した」など、多彩なお題がある。ちなみにストーリーモードステージは、チャプターセレクトでも再チャレンジ可能。

ステージ達成のほかチャレンジを達成していくとレベルが上がったり報酬がゲットでき、ボンドの見た目などをさらにカスタムできるようになる。ストーリーとは別に用意された、やり込み要素のひとつだ。オンラインランキングもあり、世界中のスパイたちとスコア勝負も可能。


このあたりの“ステージごとのチャレンジを再プレイでこなす”という部分は『ヒットマン』シリーズにもあった要素でありながらも、『007』の世界観にうまく溶け込んだシステムになっており、非常にうまい塩梅。本編クリアー後にもたくさんやることが用意されているし、物語進行中の操作練習などにも活用するといいだろう。



TacSim限定で使えるスキンは多い。性能は変わらないが黄金銃などにもできる(一撃で倒せるわけじゃない)。
総評:これぞボンドアクションの決定版
リトライ時のロードがやや長いことや、地図がないので広い建物だと迷いやすくなったりと細かな点は気になったりもするが、全体的にはノンストップでスパイアクションをたっぷりと楽しめた。「あのときこうしたらどうなるんだろう?」の気になる箇所を、あとでちゃんと試せるのもうれしい。
とくにビックリしたのが、シーンとしてはリニアに進んでいくアクションシーン。そのシーン専用のアクションなのに、すごいリッチな作りになっている。たとえば、序盤に飛行機内で戦うシーンがあるのだが、飛行機を操作して、敵兵を揺さぶりながら戦える。荷物を左右にガコガコ揺らせたりと、たった数分のためだけのとても贅沢なワンシーン。ちゃんと空いた穴に敵兵を投げ入れることもできて、まるでボンドになった気分が味わえた。


格闘しながら、飛行機を揺さぶれる驚きのアクション。

あの穴に投げたら、スポッとちゃんと敵が落ちていった。やりたいことができちゃうワケ。
ちょっとだけアクションの難しさはあるものの、これぞボンド・アクションの決定版だと言える『007』を代表するゲームと言えるだろう。『ヒットマン』シリーズのよさと、『007』の要素がここまでうまくハマるんだなと、しみじみ実感。若きボンドゆえに、ドジっても変な感じがしないというのもうまいところ。

料理を運ぶワゴンを乗り越えるって……。

ああ、やっぱお皿割れちゃうよね。と思ったら隣にいた料理人がすごい怒り出したり。こういう細かな反応もおもしろい。
今後も追加コンテンツなどの配信を予定しているそうで、おそらくTacSim内で遊びが増えていくのだろう。楽しみだ。『007』ファンはもちろんのこと、新しいアクションアドベンチャーを遊びたい人にもうってつけ。ボンドを知らない人も、これからぜひボンドの魅力を本作で知ってみてほしい。

研究室にある、日本産っぽいウィスキー? 曙光と書いてあるが、英訳すると“ファーストライト”になるようだ。

モンローが持ってきたレトロゲーム機。気になる。
『007 ファーストライト』概要
タイトル:『007 ファーストライト』
対応ハード:プレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(Steam、Epic Games)、Nintendo Switch 2
発売日:2026年5月27日
メーカー:IO Interactive
価格:8910円
対象年齢:17歳以上(CERO: D)
※Nintendo Switch 2版は2026年夏に発売予定