本記事では、そんな『ボボステ』初演前に行われた公開ゲネプロの様子についてお伝えしていこう。

ストーリー
時は300X年――
世界はマルハーゲ帝国皇帝、ツル・ツルリーナ4世により支配されていた。
ツル・ツルリーナ4世は己の権力の象徴として、全国民をボーズにするべく全世界に配置した毛狩り隊による“毛狩り”を開始する。
そんな暗黒の時代に一人の戦士が立ち上がる。
その男の名は、ボボボーボ・ボーボボ(加藤 将)!!
鼻毛を自在に扱う≪鼻毛真拳≫の使い手であるボーボボは、人類の髪の毛の自由と平和を守るため、打倒マルハーゲ帝国を掲げ、日々毛狩り隊との戦いを続けていた。
旅の途中、謎の美少女・ビュティ(工藤晴香)と出会ったボーボボは、ハジケ村親分にして伝説のハジケリスト・首領パッチ(鯨井康介)、≪オナラ真拳≫の使い手・ヘッポコ丸(樋口裕太)、一度は敵として対峙したところ天の助(兎・ロングコートダディ)、≪バビロン真拳≫の使い手・ソフトンらと行動を共にし、毛狩り隊の基地を次々と制圧していく。
そんな彼らの前に立ちはだかる男がいた。
屈強な肉体にリーゼント頭で、異様な存在感を放つ男――軍艦(成松 修)。
かつてはボーボボと共に鼻毛道場へ通った仲だが、毛の王国の人間ではないために鼻毛真拳を継承できず、さらに技を悪用したことで道場を追放されていた。
いまやマルハーゲ四天王の一人となった軍艦は、忠誠を誓う可憐な少女・スズ(岸 みゆ)と共にボーボボの行く手を阻むのであった。
「俺を認めさせてやる…!」
激しさを増す両者の衝突は、やがて仲間たちの運命をも巻き込んでいく。
ボーボボと軍艦《因縁の戦い》が幕を開ける!
全国民の“毛の行く末”はいかに…!出典:公式サイト
引用してみたはいいが、よくわからない。
まるでマンガを読むときのようなテンポ。前回の4倍の濃度で進む『ボーボボ』
開演を心待ちにしていたころ、スタッフの方から「こちらの通路を……あの、ちょっとトゲの生えたキャストが通りますのでお気をつけて……」という案内が。たぶんオレンジ色のあいつのことだろうが、耳慣れない言葉に否応なく期待が高まってしまう。
舞台が暗転し、まず我々が目にしたものはボーボボの頭が爆発するところ。「いきなり何!?」というこちらの気持ちなどお構いなしに、巨大なボーボボの頭に今回の公演における注意事項などが表示される。ここで書かれていた言葉いわく、なんと2024年に行われた公演は“予告編”だったとのこと。今回の『ボボステ』からが本編なのだとか。
以前の公演は原作マンガ『ボボボーボ・ボーボボ』の全21巻(『真説ボボボーボ・ボーボボ』は除く)を2時間半の舞台で表現したものだが、今回の『ボボステ』は原作の1巻から5巻の軍艦編終了までを2時間半にぎゅっと押し込めたもの。つまりその濃度はじつに4倍。
制作陣が「4倍に濃縮された『ボーボボ』ってどうなると思う?」と、AIに聞いてみたところ、「状況にもよるがヤバいことになる」との回答が得られたとのことだ。
では、そんな舞台は実際のところどうだったのか――。答えはAIの言う通り「ヤバい」で間違いなかった。


まず特筆すべきは原作の再現度。とはいえこれは「衣装がすごい」という話ではない。個人的に驚いたのはテンポ。原作1巻~5巻までの展開を2時間半に収め切ったうえ、『ボーボボ』に存在するギャグシーンをほぼすべて拾いきっているので、とにかくギャグの密度が高い。原作と同じテンポ感で、怒涛のごとく不条理ギャグが飛び込んでくる。
ギャグマンガが映像化したときにありがちなテンポの消失は、この舞台においてはいっさいなかったと言っていい。あのころ夢中になって読んだ『ボーボボ』の味そのままだった。


それでいて、舞台らしいオリジナリティあふれる演出も随所で見られる。たとえば鯨井康介さん演じる首領パッチが、加藤将さん演じるボーボボ、工藤晴香さん演じるビュティと合流したシーン。原作ではボーボボが首領パッチを頭に刺して帽子のように扱う一幕があったが、この舞台では帽子ではなく首領パッチを“Yogibo”として扱っていた。
ほかにも首領パッチが手裏剣にトランスフォームする場面が首領パッチソード(ネギ)を使った殺陣になる、『ボーボボ』の作者であるマンガ家・澤井啓夫が「クリスマスの夜にひとりで週刊少年ジャンプのはがきコーナーに送っていた」というエピソードを「クリスマスの夜にちくわの懸賞に応募していた」というエピソードになるなど、一部は舞台でわかりやすく、かつ映えるようなものに変更。ちくわの話は「でもじつはその懸賞が当たっていて……」という形でひとボケ追加する形で演出されていたのが印象的だ。
ほかにも、各所で原作から省略された部分を解説するナレーションなどをつけものが担当。突如銃で撃たれるくだりなどは、手を叩いて笑ってしまった。


奈落やワイヤーアクションを使った、上下の動きもおもしろい。とくに後半、軍艦(成松修)が待つ空中要塞・ポマードリングに向かうシーンでは、ボーボボたちが空へと羽ばたく……のではなく、まさかの“株式会社L食品 第三営業部 課長 鈴木広”が空へと舞う。まさかの人選に、原作ファンとしては拍手を送らざるを得なかった。
6人いる5人衆に驚いた軍艦がポマードリングから6人を落とすシーン、地面に埋まったソフトンが“うんこ”コールをもらって立ち上がるシーンなど、各所で奈落は活用されており、物語のハジケっぷりによりわかりやすい視覚効果を与えてくれる。

拾っているギャグが非常にニッチなので、登場キャラクターが多かったのも満足度の高さにつながっていた。パっと思い出せるだけでも、ボーボボの鼻毛を閉店させたおやじ、桜山商業高校ディフェンス部、首領パッチの部下の名もなきザコ、青森のりんご……などなど、「誰が覚えてるんだよ」という1度だけしか登場しないキャラクターが多数登場。
物語上でコロコロ変わる、首領パッチの姿や顔芸も見事。しなびたり、うざい顔になったり、暴走状態のヘッポコ丸(樋口裕太さん)にトゲを嚙みちぎられたりと、衣装を変えたりパーツを追加することで細かく表現されていた。
原作未読でも、むしろ未読のほうがおもしろいかも。この6月は『ボボステ』で梅雨をハジケ飛ばそう


個人的に感じたのは、「ここまでしっかりと『ボーボボ』らしさが出ているなら、むしろ未読のほうが楽しいのでは?」ということ。やはり『ボーボボ』の魅力は、その予測不可能な展開にある。かなり原作通りの展開になっていることもあり、しっかりと予習していると「ここでそんなことやるの!?」という驚きは味わえない(そのぶん「ここ再現してくれるんだ!」という喜びに変わるのだが)。
『ボーボボ』を読んだりアニメを見たのがすごく前だったり、そもそも『ボーボボ』をうっすらとしか知らない、もしくはまったく知らないような人のほうが、この舞台をより楽しめるかも。どんな人でも飲み込んで笑わせるだけの、“ヤバさ”とハジケ”が詰まった、そんな素敵なステージだった。
DMM TVにて配信決定。どこでもハジケリストに
配信公演
2026年6月20日(土)17:00公演(マルチアングル対応)
【千秋楽】2026年6月21日(日)12:00公演(全景対応)














