『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』開発陣を直撃。とにかくインディに成り切れることに注力。モーションや動きなどにもとことんこだわった【gamescom 2024】

byコンタカオ

by古屋陽一

更新
『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』開発陣を直撃。とにかくインディに成り切れることに注力。モーションや動きなどにもとことんこだわった【gamescom 2024】
 2024年8月21日~25日、ドイツ・ケルンにてヨーロッパ最大級のゲームイベント“gamescom2024”が開催。そのオープニングイベントとなる“gamescom Opening Night Live(ONL)2024”にて、ベセスダ・ソフトワークスの『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』のXbox Series X|S版とPC版の発売日が2024年12月9日となることが発表。さらには、プレイステーション5版も2025年春にリリースされることが明らかにされて話題を集めたのはご存じの通り。

 言うまでもなく本作は、1981年に公開されたシリーズ第1作
『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を端緒とする、ハリソン・フォード演じる考古学者インディアナ・ジョーンズの活躍を描く映画『インディ・ジョーンズ』シリーズのゲーム化タイトル。

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 世界中の期待も高い『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』の発売日決定の発表に合わせる形で、gamescom会期中に『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』を開発するスウェーデンの開発会社MachineGamesでクリエイティブディレクターを務めるAxel Torvenius氏と、デザインディレクターのJens Andersson氏にインタビューをする機会を得た。

 クリエイターへのインタビューは先日行われたメディア向けのプレビューイベントでも実施したばかりであるが、ここでは改めて……ということで、おふたりに開発の経緯やこだわりポイントなどを聞いた。
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Axel Torvenius氏 写真・右

MachineGames クリエイティブディレクター

Jens Andersson氏写真・左

MachineGames デザインディレクター

プレイヤーにインディ・ジョーンズそのものになってもらいたい


――本作の開発はいつごろから始まったのでしょうか?

アクセル
 開発は約4年前に始まりました。ゲームの企画はトッド・ハワードから提案されましたね。トッド・ハワードは長年、『インディ・ジョーンズ』のゲームを作るという夢を持っていて、その物語の核心となるアイデアをルーカスフィルム・ゲームズに提案する機会を得たのです。ルーカスフィルム・ゲームズもトッド・ハワードの提案に興奮し、制作が決まりました。

 その後、トッド・ハワードがMachineGamesにプロジェクトを打診してくれました。MachineGamesとしては、『インディ・ジョーンズ』のゲームを制作する機会をいただけたということで非常に興奮しました。

――トッド・ハワード氏は『インディ・ジョーンズ』がお好きなのですね。

アクセル
 はい。トッド・ハワードは長年、『インディ・ジョーンズ』の大ファンなんです。彼にとって、いつか『インディ・ジョーンズ』のゲームを作るというのは大きな夢のひとつでした。そして、ちょうどタイミングが合い、MachineGamesもそのプロジェクトに参加することができたというわけです。

――『インディ・ジョーンズ』という伝説的なIPをゲームにすることにプレッシャーはありませんでしたか?

イェンス
 もちろんありました! 私たちも『インディ・ジョーンズ』の大ファンで、このプロジェクトに関わることができるなんて、本当に感慨深いです。

 言ってみれば、私たちはこの作品とともに育ってきました。子どものころにVHSビデオを借りて映画を観て、「どうしてほかの映画はこの作品みたいじゃないんだろう?」と感じたことを覚えています。

 だから、この作品に携わることができるのは、まさに生涯の夢がかなったようなものであり、その気持ちはスタジオ全体で共有しています。だからこそ、このプロジェクトには大きな責任が伴い、この世界観にふさわしいものを作り上げることが私たちの目標です。

 その目標を達成するために、ルーカスフィルム・ゲームズと密に協力しています。プロジェクトの最初から彼らと継続的な対話を重ね、キャラクターやIPに忠実であることを確認しながら進めています。

 今回のプロジェクトは、MachineGamesの制作プロセスともうまくフィットしていて、最初の数ヵ月間で非常に詳細な物語を構築しました。この段階でもルーカスフィルム・ゲームズが協力してくれて、キャラクターや世界観に忠実であることを確認しました。そうすることで、プロジェクト全体を通じて正しい方向に進んでいることが確信できたのです。

 本作では、『インディ・ジョーンズ』の特徴をすべて盛り込むことを意識しています。たとえば、強力な敵キャラクターや仲間キャラクターを登場させること、さらにパンチの感触や、インディらしい大振りのパンチの動きなど、細かい部分にまでこだわっていて、それがこの世界観に適合するように仕上げています。そういったアプローチで進めることができたおかげで、プレイヤーが「インディ・ジョーンズになっている」と感じられる作品になったと自信を持っています。それが最初からの目標だったのです。

アクセル
 『インディ・ジョーンズ』のゲームを開発することは、プレッシャーとともに非常に責任のある仕事でした。私たち自身がシリーズのファンであり、キャラクターやフランチャイズに敬意を持っています。ルーカスフィルム・ゲームズのファンでもあります。本当に『インディ・ジョーンズ』らしいと感じられる体験を作りたいという意図がつねにありました。世界中が愛する『インディ・ジョーンズ』を、私たちも愛しているのです。

 ですから、何か奇をてらったことをするのではなく、純粋に正真正銘の
『インディ・ジョーンズ』の体験を提供することに注力しました。もちろん、ゲームを作っているわけですから、それに伴うさまざまな要素も追加しています。たとえば戦闘システムや探索など、これまで『インディ・ジョーンズ』の世界にはなかった新しい要素です。そこでの課題は、新しいシステムやゲームメカニクス、キャラクターやストーリーを追加しながらも、それがきちんと『インディ・ジョーンズ』らしく感じられるようにすることでした。既存のIPやフランチャイズを分析し、新しい要素を取り入れつつも、それがルーカスフィルム・ゲームズが描くヴィジョンと一致するようにすることが、大きな挑戦だったのです。
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――なぜ三人称視点ではなく、一人称視点を選択したのでしょうか?

アクセル
 おもにふたつの理由があります。ひとつめは、MachineGamesには、一人称視点のゲーム制作において豊富な経験と知識があることです。実際、MachineGames以前のキャリアも含め、多くのメンバーが一人称視点のゲームに関わってきました。私たちは一人称視点のゲーム制作に自信を持っています。そのため、このプロジェクトにおいても、一人称視点が自然な選択でした。このキャラクターと物語に合う形で、一人称視点のアドベンチャーとして成立すると考えたのです。

 もうひとつの理由は、プレイヤーにはインディ・ジョーンズそのものになってほしいという思いがあったからです。プレイヤーにはインディ・ジョーンズの靴を履き、帽子をかぶり、その目を通してこのファンタジーを体験してもらいたい。ゲーム内でプレイヤーはさまざまな場面で、非常に近距離での体験に遭遇します。

 たとえばパズルを解く際には、プレイヤーの手で物を動かしたり、壁に刻まれた文字を擦り取ったり、石を持ち上げて秘密の通路を見つけたりします。また、敵の顔面にパンチする場面でも、一人称視点だと非常に臨場感溢れる体験ができます。このように、一人称視点は非常に自然な選択であり、私たちは早い段階でその決断を下しました。

――ほかのアクションアドベンチャーゲームと比較して、本作が優れているポイントはどの点ですか?

イェンス
 このゲームのもっとも際立った特徴は、冒険が第一に重視されているという点です。“アクションアドベンチャー”と呼んではいますが、実際には“アドベンチャーアクション”だと考えています。つまり、冒険がゲームの中心にあるのです。

 それは、ゲームの機能面だけでなく、ペースにも関わります。本作はスローペースで進み、ゲームのペースに余裕を持たせることを恐れていません。古代の墓をじっくり探検することができます。すべての曲がり角に戦闘が待ち構えているわけではありません。プレイヤーは探検家として、自由に探索し、冒険者のような気分を味わうことができるのです。

 ゲーム全体が考古学者であるインディの特徴を反映した設計になっています。彼は格闘家ではなく、教授であり、研究者でもあります。そのため、私たちは手帳の機能に重点を置きました。プレイヤーは新しい手帳を持ってスタートし、ゲームを進めるにつれて、見つけたものをそこに書き加えていきます。これはゲームの基本構造の一部であり、最後のメモを見つけるとゲームを100%達成したことになって、ゲーム内でできることはすべて完了したということになります。私たちは、プレイヤーが探索を楽しむことを奨励したかったのです。

 探索を強力な要素にするために、カメラも重要なツールとして取り入れました。カメラを通して世界と関わり合い、インディがその世界をどう捉えているかを表現することができます。写真を撮ると、インディがそれについてコメントしたことが、ジャーナルに記録されます。

 この機能は謎解きとも非常に相性がいいのですが、謎解きもゲームの大きな特徴のひとつです。私たちのゲームには本格的で、チャレンジングな謎解きが含まれています。簡単な謎解きでゲーム体験を単純にしたくはありませんでした。謎解きは難しい挑戦であるべきですが、同時にプレイヤーが行き詰まらないようにすることも重要です。

 YouTubeでパズルの解法を検索する必要がないようにするために、バランスを調整することは課題でした。そこで、カメラが再び登場します。パズルの写真を撮ると、インディがその場でヒントをくれる仕組みになっているので、行き詰まることなく進めることができるというわけです。このシステムは非常に優れていて、プレイヤーに選択の自由を与えます。“ヒントを得るためにXボタンを押す”といった強制的な入力方法がつねに表示されることもなく、プレイヤーのペースでゲームを進められます。
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――なぜ『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(以下、『失われたアーク』)と『最後の聖戦』のあいだを時代設定に選んだのでしょうか?

アクセル
 この時代を選んだ理由はいくつかあります。まず、物語の観点から、このタイムライン上にゲームを設定することが非常に自然だったという点があります。物語の核心部分がその時代にうまくフィットしたのです。ゲームは1937年を舞台にしています。『失われたアーク』は1936年が舞台なので、物語の観点から、この時期が適切でした。

 また、制作の観点からも、この時期は参照するにふさわしい時期です。ご存じのように
『失われたアーク』は、インディ・ジョーンズというキャラクターが初めて登場した作品であり、この愛されるキャラクターが世界に初めて登場した瞬間でもあります。ですので、私たちはその起源に近づきたいと感じました。それが『失われたアーク』の時代に近い位置に物語を設定した大きな理由のふたつです。

プレイヤーに提供するアビリティは、すべてキャラクターに合ったもの


――インディが使えるアビリティには、どのような種類があるのでしょうか? 鞭に関するスキルはありますか?

イェンス
 そうですね、いくつかの重要なツールがあります。まずは鞭ですが、鞭は移動に使うだけでなく、戦闘でも使います。敵の武装を解除したり、引き寄せたりすることができ、戦闘を開始する際には非常に効果的です。

 そして、ハンドガンもあります。いつでもハンドガンを取り出して撃つことができますが、実際にはあまり使いません。それは非常に危険なプレイスタイルだからです。敵も撃ち返してくることは、インディにとってあまり望ましい状況ではありません。また、カメラやジャーナルも重要なツールです。

 アビリティに関しては、“アドベンチャーブック”というものを用意しています。これも、探索を奨励するために設計されました。世界中に散りばめられたアドベンチャーブックを見つけると、新しいアビリティをアンロックできるオプションが得られます。たとえば、隠された謎やオプションのコンテンツを発見した際の報酬として、この要素が登場します。

 gamescomでのシアタープレゼンテーションでは、“トゥルー・グリット”というアビリティを紹介しました。このアビリティは、ノックダウンされても、帽子を見つけて被ればもう一度立ち上がるチャンスが与えられるという、とてもインディらしい要素です。ゲームプレイとキャラクター性が絶妙に組み合わさっていますよね。

 ほかのアビリティとしては、ステルス能力や徒手格闘能力、鞭の能力、全般的なアップグレードがありますが、これらはプレイヤー自身が探索して見つけることが求められます。

アクセル
 重要なのは、プレイヤーに提供するアビリティはすべて、キャラクターに合ったものであるということです。たとえば、ロボットの外骨格やパワーフィストのようなものは登場しません。すべてのアビリティがインディのキャラクターやゲーム内で使用するツールに合致している必要があります。文脈に合っていて、自然に感じられることが大切です。
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シアタープレゼンテーションでは、15分にわたって『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』の最新映像が流され、たくさんの来場者を集めた。
――鞭や格闘などの近接戦闘がメインだと思いますが、映画で観られるような銃や剣を使った戦闘はあるのでしょうか?

イェンス
 銃は登場しますが、剣は出てきません。戦闘に関しては、基本的には鞭や近接戦闘が中心になりますが、詳細にはあまり触れません。ただ、戦闘システムの焦点は段階的に進むようになっています。通常では、まずはステルス(潜入、隠密行動)から始まります。変装したりしなかったりしながらエリアに侵入し、周囲をスキャンして警備員を避けるように試みます。しかし、どこかの時点で身を潜めることが難しくなったり、ミスをしたりすると、そこで徒手格闘が始まります。

 この徒手格闘は、映画でも観られた、なかば混沌としたスタイル……オブジェクトを掴んで使うような形で行われます。たとえば、瓶を敵の頭に叩きつけたりして敵を倒し、再びステルスに戻ることもできますが、近くにいる警備員が気付くこともあります。インディは暗殺者のようなキャラクターではありませんので、徒手格闘は自由な形で展開されます。物が壊れたり、インディのユーモラスな台詞が飛び出したりと、映画のようなコミカルな戦闘スタイルを意図しています。

 それでも戦闘がエスカレートした場合に、銃が登場します。プレイヤーに選択の自由を与えることが、私たちにとって重要です。プレイヤーはいつでもリボルバーを取り出すことができますが、それはインディがキャラクターとして取る最後の手段です。ゲーム全体を通じて、インディらしさを保ちながら進行することを大切にしています。

 たとえば、テーブルの上にマシンガンが置いてあっても、プレイヤーがそれを拾って撃ちまくるようなプレイスタイルは、あまり楽しくないですし、ゲームを効果的に進める方法でもありません。実際、銃を近接武器に変える機能も用意しており、プレイヤーが銃を静かに使うことができるようになっています。これは大きな音が出ず、危険も少なく、キャラクターに合ったプレイスタイルだからです。ここは、私たちが重視しているポイントでもあります。
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インディの表情を再現するために、とにかく映画を観まくった


――開発でもっとも時間をかけている要素は何でしょうか?

アクセル
 全部です(笑)。

イェンス
 いくつか例を挙げると、鞭の調整がありました。鞭は非常に象徴的なツールで、コントローラーに鞭専用のボタンを割り当てることさえも重要でした。ボタンを押せばすぐに鞭を使えるようにしたかったんです。

 ゲーム内の環境の中で鞭をどのように活かせるか……壁を登ったり、物を引き下ろしたり、戦闘で使ったりと、その使い道をできるだけ多く見つけ出しました。鞭の使い心地やフィーリングをしっかりと調整するために、優れたプログラマーとアニメーターが協力してシミュレーションやアニメーションを制作し、全体を通して直感的で気持ちよい操作感を実現しています。

 また、音響にもこだわっています。スウェーデンにいるブルウィップ(家畜の牛に対して使う鞭)のチャンピオンに会いに行き、鞭を操る音を録音したり、実際の使いかたを観察したりと、リサーチにも多くの時間をかけました。これは、重要な要素である鞭をゲーム内でしっかりと作り上げるための、大きな挑戦のひとつでした。

アクセル
 もうひとつの大きな課題は、もちろん、インディ・ジョーンズの顔や声、演技の再現です。トロイ・ベイカーがインディ・ジョーンズの声と演技を担当しており、彼のパフォーマンスがゲーム内で反映されています。体の動きだけでなく、顔の演技もです。

 トロイ・ベイカーの顔の演技データが3Dモデルに適用され、キャラクターに反映されており、若いころのハリソン・フォードのように見せるために、多くの努力が注がれました。3Dモデラー、テクニカルアニメーター、アニメーター、エンジニア、そしてカットシーンのライティングアーティストなど、多くの部署が協力して、顔の細部にまでこだわりながら制作を進めました。

イェンス
 ゲームのアイデンティティを見つけることにも、長い時間をかけて取り組んできました。私たちは、一人称のシネマティックな冒険ゲームを作っており、これに似ている既存のゲームはほとんどありません。つまり、私たちはさまざまな要素をミックスして新しいものを作り出しているのです。

 そのため、ゲームの全体像を理解し、正しい方向性を見つけるまでに時間がかかりました。ストーリーは決まっていましたが、ペースやシステムがどう機能するか、何がうまくいくのか、何がうまくいかないのかを見極める必要がありました。新たに導入された謎解きや、スタジオにとって新しい要素である鞭を使った移動など、これらが大冒険の一部としてどのように機能するかを調整するには、長い時間が必要でした。だからこそ、今回のgamescomで映像を公開し、私たちが力を注いだ本作独自の要素を観ていただけたのは、本当にすばらしいことでした。
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――インディのモーションを作るために、相当注力したようですね。

アクセル
 アニメーションチームやビジュアル面に関わるすべてのメンバーが、映画を何度も観て、インディの動きや表情を観察しました。彼が立ち上がるときの動作、小さな仕草などを細かく分析しました。また、表情も非常に重要な要素です。どのような状況であの独特の笑顔を見せるのか、すべてを調べつくしました。

 それらの情報を分析し、しっかりとキャプチャーしようと努めました。大きな視点から見ると、たとえばインディ・ジョーンズが崖から落ちそうになる場面では、どのようにふるまうのかを考えました。彼はとても人間らしいキャラクターで、少し不器用でありながら、運がいいところもある。ヒーローではありますが、スーパーパワーを持っているわけではないという点が、私たちにとって重要なポイントでした。

 プレイヤーには、インディは基本的には“冒険に出かける教師だ”ということを感じてほしいです。彼は生き残るために挑戦を恐れない勇敢な人物ですが、アスリートやパルクールの達人、忍者ではありません。そのため、映画を参考にして彼の動きを抽出し、ゲーム内でその動きを再現しようとしてきました。

 彼が崖をよじ登るシーンでは、ときどき手を滑らせることがあります。彼は強いけれど、スーパーヒーローではありません。こうした“人間らしさ”をキャラクターに反映させつつ、プレイヤーに「これは確かにハリソン・フォードが演じるインディ・ジョーンズだ」と感じてもらえるような要素を押さえることが求められました。
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――本作にはどれくらいのロケーションが用意されているのでしょうか?

アクセル
 ゲームには多くのロケーションが登場します。なぜなら、物語全体の核心となる大きな旅の中に、地球上に点在するいくつかの重要な場所が含まれているからです。しかし、それだけでなく、プレイヤーに新しい興味深い環境を提供することも重要だということもあります。ゲーム全体を通じて、プレイヤーが新しくてエキゾチックな、探検する価値のある環境を訪れることを期待しています。

 これまでにお見せしたものの一例として、インディが教鞭を取るマーシャル大学があります。また、ヒマラヤの雪に覆われた山々や、スコータイ王朝の遺跡がある深いジャングルも登場します。バチカンの断片的なシーンや、ギザの神秘的な秘密も少しお見せしています。そして、さらにいくつかのロケーションもありますが、ネタバレしたくはないので、そこはお楽しみにしておいてください。

――ちなみに、お気に入りのロケーションはありますか?

アクセル
 それは難しい質問ですね(笑)。でも、確かにありますよ。

イェンス
 開発中にお気に入りが変わったりすることもありますね。

アクセル
 たとえば、ジャングルの奥深くにある草木に覆われた寺院などは、すごくワクワクしますよね。あるいは、バチカンの地下にある神秘的な地下聖堂なども……。

 ですが、少なくとも私にとっての“お気に入り”というのは、場所そのものというよりも、そうした場所の一面にある要素だと思います。実際の場所、つまり歴史的に正確に描写しようとしている現実のロケーションがいくつか登場します。ピラミッドや、スコータイにあるワット・シー・サワイなどですね。最高にクールなロケーションですが、この規模の冒険ゲームを作る際には、実在する場所だけでは成り立ちません。

 インディ・ジョーンズの冒険を真に再現するためには、架空の場所も必要です。具体的には言えませんが、ゲームに登場する奇妙な道が、私にとってとくにお気に入りの場所です。やはりそういった架空の場所との出会いこそが、本当に冒険が生き生きと感じられる瞬間だと思います。

イェンス
 開発者としては、“お気に入り”はつねに変わっていくものです。最近、スコータイのジャングルの開発をもう一度手掛けたばかりなのですが、そこではジーナといっしょに小さなボートで密林を進んでいきます。音楽が流れてきて、いまの段階で本当にすばらしい雰囲気になっているのです。

 ジャングルの中には、座って瞑想したくなるような場所もあります。「この場所から離れたくない」という気持ちになると思いますよ。ジャングルの音を聞きながら、景色を眺めて、ただその場にいるだけで心地いいんです。ほかにも、クールな場所がたくさんあります!

――最後に、日本にもいるたくさんの『インディ・ジョーンズ』ファンにメッセージをお願いします。

アクセル
 私たちMachineGamesも『インディ・ジョーンズ』の大ファンであり、このプロジェクトに多くの情熱を注いできました。多くの時間と労力をかけて、このゲームを作り上げてきたことを誇りに思っています。ですので、もしあなたが『インディ・ジョーンズ』のファンであれば、このゲームはまさにあなたのための作品になるはずです。『インディ・ジョーンズ』のファンの皆さんには、存分に楽しんでいただける内容になっています。

イェンス
 そして、もし『インディ・ジョーンズ』をまだ知らない方にも、このゲームが彼のキャラクターを初めて体験する最高のきっかけとなるように作っています。ゲームをプレイした後には、映画もぜひ観ていただけることを願っています。
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