ロゴジャック広告

『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。深過ぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを古島ディレクターに聞いた【ネタバレあり】

『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。深過ぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを古島ディレクターに聞いた【ネタバレあり】
 2026年8月4日に発売された、プレイステーション5(PS5)、XBOX Series X|S、PC(Steam/Microsoft Store)向けソフト『Beast of Reincarnation』(ビースト・オブ・リンカネーション)(XBOX Game Pass対応)。
広告
 本作は文明崩壊後の西暦4026年を舞台に、主人公のエマと相棒犬のクゥによる旅路が描かれるアクションRPG。ゲームフリークが手掛ける完全新作として、注目を集めている。

 そんな本作のディレクターを務める古島康太氏にインタビューを実施。本稿では、世界観やキャラクター設定についてネタバレ前提で質問をぶつけ、存分に語ってもらった。

 開発の裏話や今後の展開については、先行で紹介した記事にて掲載しているため、こちらも要チェック。
『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。古島ディレクターへのインタビューで、深すぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを聞いた【ネタバレあり】

古島 康太(フルシマ コウタ)

株式会社ゲームフリーク『Beast of Reincarnation』ディレクター&シナリオライター

※この記事はハピネットの提供でお届けします。

キャラクターのコントラストと演出

――本作の世界観を彩るキャラクターたちの成り立ちや造形について聞かせてください。

古島
 まずは、主人公であるエマとその相棒のクゥについてお話します。

 本作の軸にあるのは、過酷な世界を相棒と旅をし、その中で相棒の頼もしさやぬくもり、切なさを感じていただくというコンセプトです。そこで、キャラクター造形もコンセプトを達成するために必要だと考えていました。

 物語の舞台を西暦4026年、植物が“穢れ”として世界を支配しているという構造に決めたところで、その植物がエマとクゥにも侵食しているということにしました。

 ボスである“ヌシ”を倒すたびにふたりは穢れを取り込んで成長するのですが、それがビジュアルとして示されないといけない。本作はキャラクターを後ろからの視点で見るゲームなので、エマは三つ編みが成長してどんどん伸びていく、クゥは尻尾に花が増えていくという形で表現しようとなったのが、キャラクターデザインの発端になっています。

 またすぐ隣にいるという関係性を重要視していて、ふたりはつねに目線が合うよう、クゥの身体を大きくデザインしています。カラーに関しても、黒と白という対照的な配色でコントラストを意識しています。
『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。古島ディレクターへのインタビューで、深すぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを聞いた【ネタバレあり】
――なるほど。ほかのキャラクターたちもエマとクゥを中心に考えていたのでしょうか?

古島
 そうですね。まずは拠点となるバウエラという移動浄化船を“家”として考えた場合、その中にいる擬似的な家族としてブラッドとカグラのふたりを設定しました。最初はたどたどしくても徐々に家族になっていく、そういった形にしたいなと。

 カグラは生活のうえで大切な食事を担うキャラクターです。エマのパラメータを成長させるだけではなく、挨拶や感謝といった人間的な、当たり前だけどふだん意識しない大切なことをエマに伝えます。

 エマの内面的な成長を促す役割を持っているのですが、これを年長者のブラッドではなく、エマより幼い子どもが伝えることにより、エマの無垢な状態をより際立たせるという風にデザインしました。
『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。古島ディレクターへのインタビューで、深すぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを聞いた【ネタバレあり】
古島
 一方で年長者であるブラッドは、大人にしか伝えられないことをエマに伝える役割で、歴戦の猛者のような風格と気性を持っています。

 大人だからこそ抱える秘密を描くキャラクターとして設定していて、その内面性を表現するため、登場してすぐのころはマスクをつけていました。

――ではブラッドが途中からマスクを外したのは、エマに心を開いたということを意味していたのでしょうか?

古島
 その通りです。エマを疑う必要がなくなり、彼女を認めてブラッドが自己開示をし始めるという演出の一環となっています。内面性が直接的にデザインに反映されているのは、どのキャラクターにも該当します。
『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。古島ディレクターへのインタビューで、深すぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを聞いた【ネタバレあり】
――物語のカギを握っていたヴァイオレットについても聞かせてください。

古島
 ヴァイオレットは基本的に謎に包まれていて、世界観や物語がどのように展開していくのか、中心的な疑問はすべて彼女に集約しています。

 そのような役目を担うキャラクターのため、擬似家族の中にいるよりも、エマにしか見えない特別な立ち位置として設定しています。彼女がどのような存在なのか、物語の中で問いかけ続けるスタイルにしました。

 ヴァイオレットという名前の意味や、なぜ和服を着ているのかなど、設定についてもかなり考えてデザインしているので、ぜひ考察していただけるとうれしいです。
『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。古島ディレクターへのインタビューで、深すぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを聞いた【ネタバレあり】
――エマと同じ浄化兵である、シドウとクナイはどのようにデザインされたのでしょうか?

古島
 エマのライバル的なキャラクターの関係性にしたいと考えていました。エマは腐蝕体であるクゥを連れていますが、そのコントラストになるよう、シドウはヌエ、クナイはキリンをそれぞれ連れています。

 彼らはどういう関係性なのか、いかなる秘密を持っているのか……敵なのか味方なのかを最後までわからせないようにしていました。

 見た目もエマとのコントラストを意識しています。クナイのカラーは赤なのですが、じつはエマのキーカラーとして植物の緑が入っていて、赤と緑で対照になるようにしています。
『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。古島ディレクターへのインタビューで、深すぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを聞いた【ネタバレあり】
――なるほど……。お話を聞いていると、本作のキャッチコピーである“一人と一匹のアクションRPG”も、エマとクゥだけに該当する文言ではないように感じます。

古島
 そうではあるのですが、じつは最終的にはエマとクゥの関係性に終着するようにしているんです。

 登場人物のほとんどはエマとクゥに帰結していくようになっていて、それがタイトルの『
ビースト・オブ・リンカネーション』、“輪廻の獣”にすべて通じているという形になっています。

――声優のキャスティングもぴったりでしたが、シナリオ執筆時からイメージされていたとお聞きしました。

古島
 シナリオを執筆する際、口調や声のトーンを具体的にイメージするととても書きやすいんです。

 先に日本語のボイスキャストを決めて、いわば当て書きのようにシナリオを書いていきました。ぴったりと思っていただけるのは、その手法がうまく機能した結果かなと思っています。

――キャストへオファーをする前から決め打ちで考えつつ、執筆を進めていたのでしょうか?

古島
 そうですね。ですので、オファーが通るかどうか、ずっとドキドキしていたのですが、希望していた声優の皆さん全員にお受けいただけたので安心しましたし、ありがたかったです。

腐蝕体やゴーレムのデザインコンセプト

――敵として登場する腐蝕体のデザインも秀逸ですが、制作時にこだわったポイントをお聞かせください。

古島
 やはり“植物”というコンセプトはとても大事にしました。

 本作の世界観には、機械の身体を持つ“ゴーレム”と、穢れに浸食された“腐蝕体”という2大勢力があるのですが、前者は死の象徴として人工的に、後者は生の象徴として有機的に描いています。

 死んだもの、ゴーレムや人工物は成長が止まるけれど、生きているものは過剰に成長してカオスに増殖する。生きているからこそ禍々しい、そういった表現をする必要があると考えました。
『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。古島ディレクターへのインタビューで、深すぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを聞いた【ネタバレあり】
古島
 植物とひと言で括っても、さまざまな質感があります。新芽のような瑞々しさなのか、それとも年月を重ねた重厚感なのか。

 ヌシだったら年月を重ねていて威厳を感じるだろう、というように1体1体デザインを詰めていきました。過剰な成長を表現するため、“進化”というコンセプトも必ず入れています。

――腐蝕体のモチーフとして動物がたくさん出てきますが、その種類はどのように選出していったのでしょうか?

古島
 日本に古くからいる、干支にいるような動物から選んでいきました。

――なるほど。一方でシドウやクナイが連れている腐蝕体は、想像上の生物がモデルになっていますよね。

古島
 キリンやヌエは神獣のような存在ですが、もともとは動物的なモチーフがありますよね。ヌエだったら虎などのさまざまな動物が混ざっていたり、キリンは馬だったり。

 それらが過剰成長することによって神格化されるといったように、ただの動物から徐々に神様に近づいていく表現となっています。
『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。古島ディレクターへのインタビューで、深すぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを聞いた【ネタバレあり】
――ちなみに、最後に戦う輪廻の獣も何かモチーフがあるのでしょうか?

古島
 輪廻の獣は、人間をイメージしてデザインしています。人間も動物の範疇であるとして、いちばん最後に登場するのにふさわしい獣は、やはり人がいいのではないかと判断しました。

世界観を構築する宗教観と死生観

――本作の世界観には宗教的なモチーフが散りばめられていますが、この点についても聞かせてください。

古島
 仏教や神道など、昔からある宗教観がこの世界にも存在していて、時代感や勢力によってそれぞれ分かれています。

 たとえば腐蝕体は神道的、ゴーレムは仏教的な要素を持っています。ゴーレムのデザインは心肺などの循環器系を象徴していて、循環する輪廻を表現していたりします。さらに古代の文明までさかのぼると、ヒンドゥー教的な要素が登場するような形にしています。

――なぜ、さまざまな宗教的要素を取り入れようと考えたのでしょうか?

古島
 生物としての成り立ちが違うと、文化や考えかた、死生観も違います。死生観が異なるということは、宗教観にもすごく影響を受けるだろうというところで、それぞれ異なる宗教が根本にあるという設定が生まれました。

 また、現実世界にある宗教をそのまま崇拝するのではなく、少し変質した何かに変わっていくという形で落とし込んでいます。
『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。古島ディレクターへのインタビューで、深すぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを聞いた【ネタバレあり】
――本当に奥深い世界観ですね……。ビジュアル面でこだわった点もお教えください。

古島
 やはり“生と死のコントラスト”はつねに意識していました。本作において支配的な存在は生を象徴する腐蝕体側のため、植物らしい緑の彩度を高くしています。一方で、人工物やゴーレムは死の象徴なので、彩度を落としたグレーなものとして描いています。

 勢力間のパワーバランスはパラメータにも反映されていて、腐蝕体とゴーレムが戦う場合は、基本的に腐蝕体が有利になるようにしています。

 また本作の世界は、長い年月が経過した影響で土の堆積や風化が進んでいて、その上にさらに文明を築いています。そのため、どのようにして文明が積み上げられ、勢力がいかにして生まれたのかを考慮したうえでのデザインを心掛けました。

ストーリーに込められた裏設定の数々

――ストーリーの演出にあたり、こだわったポイントを教えてください。

古島
 本作はロードムービーのようなストーリーですが、前半と後半でガラッと雰囲気を変えようと意識しました。

 前半はゲームシステムや世界観にも慣れていただきながら、疑似家族との生活をしっかり描いています。キャラクターどうしの関係性が構築されつつ、一方ではある種の不穏なことが話されていて、誰がどういう立場なのかがわからない状態なんですね。

 そういった関係性の積み重ねと積み上げられた謎が、後半で急転直下に展開していくという構成になっています。

――後半の怒涛の展開は震えました。また、クリアーした後でも考察の余地があるように作られていると感じました。

古島
 そうですね。ストーリーとしてはしっかりと完結させつつ、キャラクターそれぞれのバックグラウンドや世界の構造は、深掘りできるようにしています。

 ちなみに、ロード画面などで壁画が映るのですが、じつはそこに本作がいかなる世界なのかがおおよそ描いてあったりします。

――物語の根幹にかかわる話なのですが、シャンバラにいる“プレイヤー”とはいかなる存在なのでしょうか?

古島
 率直に言うと我々のことですね。たとえば、エマの会話中に選択肢が表示されるタイミングというのがありますが、あれはプレイヤーが操作していることを表しています。ゲームの冒頭で初めてマップを訪れた際、いきなり選択肢があるのもそういった表現です。

 各腐蝕体にもプレイヤーが存在していて、それぞれ操られているという世界観なのですが、ストーリー後半になるとエマが自我を得ていくため、プレイヤーが選べる会話の選択肢もなくなっていくようにしています。
『ビースト・オブ・リンカネーション』裏テーマは“葛藤”。古島ディレクターへのインタビューで、深すぎる世界観設定や選択肢の意味など、気になるポイントを聞いた【ネタバレあり】
――最後に、いまだから言える“ここに注目してプレイしてほしい”というポイントをお聞かせください。

古島
 本作のテーマは“植物”ですが、じつはストーリーの裏テーマとして“葛藤”を中心に据えています。

 葛藤は、葛(カズラ)と藤(フジ)という漢字で構成され、植物が絡み合うことが語源になっています。そこから、エマが徐々に感情を獲得し、葛藤しながら精神的に成長していくという物語が構築されていきました。ですので、葛藤というテーマも本作の中心的なテーマである植物から派生したものになります。

 エマの三つ編みはヌシを倒すごとに成長しますが、彼女の内なる葛藤も育っていく。各エピソードのタイトルも植物が成長していくようなものを意識しています。このように、気づいていただけるかわからないような要素も散りばめているので、ぜひ考察しながらプレイしてみてくださるとうれしいです!

■東京ゲームショウ2026に『Beast of Reincarnation』が出展

 2026年9月17日~21日に千葉県・幕張メッセにて開催予定の東京ゲームショウ2026のハピネットブースに『Beast of Reincarnation』が出展される。プレイステーション5版の試遊に加えて、等身大クゥといっしょに写真が撮れるフォトスポットも設置されるのだとか。気になる方は会場に出かけてみるといいかも。

      担当者プロフィール

      本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

      週刊ファミ通最新刊
      週刊ファミ通表紙
      購入する
      ebtenamazon
      電子版を購入
      bookWalker