2026年10月16日に全世界同時公開される、映画『ストリートファイター/ザ・ムービー』。カプコンの対戦格闘ゲームの金字塔である、『ストリートファイター』シリーズをハリウッドが実写映画化した作品だ。

カプコン総監修のもと制作されている本映画は、ゲーム版でキャラクターを演じた声優陣がそのまま日本語版吹替を担当するなどキャスト陣も非常に豪華。
そして今回、ゲスト声優のひとりとしてVTuber・バーチャルライバーグループ“にじさんじ”所属の葛葉さんが参加するとの情報が飛び込んできた。葛葉さんは自身で大会を主催するほどの『ストリートファイター』シリーズの大ファンだ。映画では“マービン”というキャラクターを演じる。
映画公開を目前に控え、本記事では『ストリートファイター6』(以下、『スト6』)のディレクター・中山貴之さんとマービン役を務めた葛葉さんとの対談インタビューをお届け。『スト6』にまつわる開発秘話や映画の裏話、さらには『スト6』の新キャラクターの話なども飛び出したのでぜひ最後までチェックしてみてほしい。
葛葉 さん(くずは)
にじさんじ所属のVTuber。にじさんじでは初のオフライン格闘ゲームイベントである“KZHCUP RUMBLE in STREET FIGHTER 6”の主催を務めた。親の甘い蜜を吸い続けるニートのゲーマー吸血鬼。見た目にそぐわず我が儘で気まぐれな子供っぽい性格で、すぐ調子に乗る悪い癖がある。おまけにかなり現金でお金に目がない救いようのないヴァンパイア。文中は葛葉。
中山貴之 さん(なかやま たかゆき)
カプコン所属。前作『ストリートファイターV』の途中からディレクターを担当し、『スト6』でもディレクターを務めている。初心者でも気軽に楽しめる“ワールドツアー”や、複雑なコマンド入力が不要になる“モダン操作”を発案・導入した。文中は中山。
葛葉さん作・“あの豪鬼”は中山Dによってカラーリングされた
――中山さんと葛葉さんはお互いご存じかとは思いますが、面識はあったりするのでしょうか?
中山
いえ、葛葉さんのことを一方的に知ってはいますが、面識はないですね。
葛葉
自分も『スト6』の開発者の方だ! と知っていますが、今回初めてお話しするので……緊張してます!
中山
え、そうなんですか? なんか意外です。
葛葉
いえもう、中山さんは『スト6』を作ったすごい人じゃないですか。こんな機会なかなかいただけないので、やっぱ緊張しちゃいます。
中山
いやいや、いつでも気軽にご連絡ください(笑)。
葛葉
えぇー! あ、ありがとうございます(笑)。
――前回は“KZHCUP RUMBLE in STREET FIGHTER 6”の開催にともない、葛葉さんは松本脩平プロデューサーと対談されましたよね。掲載後、反響などはいかがでしたか?
葛葉
ものすごく反響があって、いろいろな人に興味を持っていただけたなって。リスナーのみんなからはファミ通が発売する前から「楽しみー!」って声もあったり、発売後は「買ったよー!」って言ってもらって、中身もおもしろかったって反応がもらえてよかったです。(※)
あと、オレが『スト6』のことが本当に好きなんだなってことが皆さんに伝わったようで、うれしかったです。松本プロデューサーの気さくな感じがいい人だったねって反応も多かったっすね。
※……現在はファミ通.comにて全文公開中だが、当時は週刊ファミ通本誌へ対談記事が先行公開された。(2026年1月29日号(No.1931/2026年1月15日発売)にて掲載)中山
松本は「とにかく楽しかった」って言ってましたね。「葛葉さんにかまってもらえてよかったね」って言いました(笑)。
葛葉
いやいやもう本当に恐縮です(笑)。しゃべらせていただいてありがとうございました。
――中山さんは実際に“KZHCUP RUMBLE in STREET FIGHTER 6”の現地会場で、観戦を楽しんでいたんですよね。実際観戦してみて、いかがでしたか?
中山
すごかったです! メインのチーム戦の盛り上がりもですけど、後半のストリーマーさんたちと葛葉さんたちのチームが戦うエキシビションも、メチャクチャおもしろくて。また、会場に来られていたのはにじさんじファンの皆さんがメインだったので、昔では考えられない客層の方々に注目してもらえたと思います。
『スト6』というひとつのゲームを使って、ここまでエンタメにしてもらえるのは本当にすごいなと、感謝しかなかったです。
葛葉
ありがとうございます! 開催してみて『スト6』は本当に大衆向けのゲームになっているんだなと改めて思いました。遊ぶ人も見ている人も、誰でも楽しめるんだなって。とくに、何をしているのかがわかりやすくなっているので知らない人にも伝わりやすいんだなと思いましたね。
中山
いやもう、“投げ抜け”(※)したときに「わーっ!」って観客席から歓声が上がったのを見て驚きました。必殺技でもなく“投げ抜け”なんですからね? こんなに盛り上がるんだってビックリして。
※投げ抜け……相手が仕掛けてきた投げ攻撃を読んで、投げられるのを防ぐ行動のひとつ。 それって本当にありがたいことで、どういうシステムなのかを理解してくれている方が大半を占めていたということですよね。いまのシーンで何が起きたのかを理解して観戦を楽しめることがすごくありがたいなと。それも、葛葉さんたちの配信があったからこそだと思っています。
葛葉
うーわ、うれしー! ありがとうございます! 主催として言いかたが悪いかもしれないんですけど予想以上に盛り上がったなって、『スト6』にすごい可能性を感じました。大会を開く立場から見ると、こんなに多くの人が大きな声を出して深い知識がなくても楽しめるのがスゴくて。
あと、にじさんじでは、ひとつのゲームだけでイベントを開催するということが珍しかったんですよね。ある意味お試しだったんですけど、そういう場に持ってくるベストなゲームだったなと思います。自分の好きな『スト6』がこれだけ盛り上がってくれたのは、すごいうれしかったです。
実況席でオレも試合を観戦していましたけど、プロゲーマーの人たちの試合はもちろんおもしろいです。ただ、プロじゃなくても実力が同じくらいの人たちが集まるだけで、こんなにおもしろくなるんだって。
――大会開催を記念して、葛葉さんの描かれた豪鬼の乱入イラストが配信されましたよね。その豪鬼のイラスト配色は、じつは中山さんが担当されたとお聞きしています。

中山
そうなんです。カラーリングもそうですし、選定も僕のほうでさせていただきました。すごくたくさんのイラストを描いてくださって。ほかにも捨てがたいものがたくさんあったんですが、1枚のみと言われていたので、泣く泣くあの豪鬼を選ばせていただきました。
葛葉
いやぁ……本当にうれしかったです。標準装備のペイントソフトで描いたので相当荒かったと思うんですけど、すごいいい感じにしてもらって。サンプルをいただいたとき、マネージャーさんと「うわ、めっちゃいいコレー!!」って叫び合いました。
中山
もうちょっとがんばれたところもあったな、と反省もありますが。
葛葉
いやいやいやいや、もう完璧ですよ。陰影とかがくっきりしているし、拳の荒縄の部分がちゃんと荒縄として塗られていて「あ、ちゃんとオレが荒縄を描いたって理解してもらえたんだ!」って。
中山
もちろんです。
葛葉
いや流石!
中山
じつはあの豪鬼の髪の毛の部分って、豪鬼の髪の毛のグラフィックデータを、そのまま置いたりしているんですよ。なので本物の豪鬼と同じ髪なんですよね。
葛葉
えーそうなんですか!? うれしいー! ちゃんと元の味も残ってて。
中山
そうそう、まったく別物にならないようにね。
葛葉
一体感があって、超うれしかったです。
中山
やっぱり原画がいちばんよかったですけどね(笑)。
――実際、葛葉さんの豪鬼イラストを使っている人はたくさんいらっしゃいますよね。実装されて、どう感じられていましたか?
葛葉
みんなが「あの葛葉の豪鬼見たよー!」って言ってくれてうれしかったんですけど、とある人からはキモいって言われて、「おいなんだよキモいって!」って怒ったりもして(笑)。ただ、みんなたくさん反応をくれたので、素直にうれしかったですね。
中山
乱入イラストには、相手のみじゃなくてお互いのイラストを見せ合う設定にもできるのですが、あれで葛葉さんの豪鬼2体がたまたま揃ったとき、めっちゃテンション上がりながら笑ってました。「何のゲームなんだろう、これ」みたいな(笑)。
葛葉
ふたつの顔面で画面が埋まるんですよね(笑)。
――ちなみに、中山さんはなぜあの豪鬼を選ばれたのでしょうか?
中山
まずインパクトがあったというのと、何より全身を画面に収められるのがよかったんですよね。画面の端で切れてしまうようなイラストだと、せっかく葛葉さんが描いてくださったのに見られない部分が出てしまうのはもったいないなと。
ほかにもたくさんいいイラストがあって、いろいろと感じていました。何かすごい意志を感じるものだったり、中段攻撃(伝チョ)とかね(笑)。
葛葉
ちょっと、いろいろな想いがありましたね。
中山
そうそう、想いがね~。
――花蝶扇を蹴る豪鬼とかありましたよね。
葛葉
いや、ただの扇子です!
――実際、葛葉さんとのコラボレーションを経て、中山さんはいかがでしたか?
中山
そもそも葛葉さんがゲームに対して愛をすごく注いでくれたので、こちらとしても何かお返しできるものがあればやりたいと考えていました。
それが形になって現れたものが乱入イラストやカラーなのですが、すごく大きな反響をいただきました。我々としても本当に感謝しています。
葛葉
いえいえ、もうオレたちにとっては『スト6』を作った神々ですからね。本当にありがとうございました。
アルジュンの性能もチラ見え!?

――現在『スト6』はYear 4として展開中です。葛葉さんはいまの環境で遊んでみてどう感じていますか?
葛葉
まず、Year 4はすごくいいゲームバランスになってるって、たくさんの人から聞いていて、まだちょっと掴めてないところもあるんですけれど、全キャラクターに調整が入りましたよね。
中山
新キャラクター・ヤスミンの登場とともに、調整させていただきました。

葛葉
環境が変わるのがとてもおもしろくて。いろいろなキャラクターを、ランクマッチでも見るようになって。とくに、ルークめっちゃ増えましたよね! あれがうれしくて。ルークが輝きを取り戻し始めてるっていうか。
中山
はい、帰ってきましたね(笑)。
葛葉
いまルークをメインにプレイしているんですけど、アップデートで新しいコンボとかも開発されて、同じキャラクター使ってるのに、また新しい練習要素が出たというのもうれしいです。プレイしていてめっちゃ楽しい。
――前回の対談でも、葛葉さんのルーク愛が伝わってくる一幕があって、すごくいいなといちファンとして思っていました。
葛葉
豪鬼も好きなんですけれど、オレはルークっていう人が好きなんだなと思って。オレは強キャラ厨(※)ではあるんですけど、それを超えてルークが好きになってるなって思っています。
※強キャラ厨……性能的に強いキャラクターを優先して使うタイプの人。中山
制作側としては、ルークを好きって言ってくれることが本当にうれしいです。『ストリートファイター』シリーズって、やはり主人公と言えばリュウだと思うんですよ。ただ『ストリートファイターIII』はアレックスが主人公だったり、あと、あまり知られていないところで言うと『ストリートファイターIV』はアベル、『ストリートファイターV』(以下、『ストV』)はラシードが主人公格だったりするんですよ。
葛葉
え! そうなんですね!?
中山
でも、やはりみんなリュウを見るじゃないですか。ゲームのパッケージを我々がリュウに選定したりもしているので、それはそうなるとは思いますが。そこをどうしても変えたくて、ルークをしっかり主人公としてお届けしたんですよね。
『ストリートファイター』シリーズは2027年で40周年を迎えるのですが、この40年のことを知らなかったら仲間外れになってしまう、みたいな雰囲気を作りたくなかったんです。ルークからリスタートしますよ、新しいゲームだからみんないっしょにルークと『ストリートファイター』を始めようよ、という意味を込めた主人公だったんです。ですから“ルーキー”からルークって名前が来たりしています。
葛葉
へぇ~! あ、だからルークが教官だったりして。
中山
そうそう、ルーク教官といっしょにがんばっていこうってことですね。『ストV』のとき、最後のキャラクターとしてルークが登場しましたが、じつは『スト6』のほうを先に作っていて、『ストV』のルークはそのあとで制作したんですよね。
葛葉
そうなんですね。
中山
これから『スト6』が出るからルークに慣れてね、『スト6』の新主人公だよみたいな。
葛葉
プールに入る前のシャワーみたいな。
中山
そう(笑)。そういうのをやりたかったんですよね。『ストV』のときはヤンチャなイメージになっていますが、『スト6』だとみんなのお兄ちゃんみたいな形を目指しました。そのあいだに、いろいろあったんだろうなみたいなことを感じてほしくて、一応設定もありますし、前日譚のマンガもありますし、ルークが主人公の世界を巡る旅を描いたマンガも去年配信されましたね。
そういったところからルークのことを好きになってもらいたいなと思ってたくさんの仕掛けを用意したので、ルークが好きと言ってもらえたことが、すごくうれしいです。
葛葉
“KZHCUP RUMBLE in STREET FIGHTER 6”にもルークが来てくれたんですよ。イベントのナレーションしてくれて。あれもうれしかったです。
――また、Year 4はヤスミンのほか新キャラクターも続々と登場予定です。葛葉さんはどう受け止めていますか?
葛葉
いや、ビックリしましたねー! ティファ(※)が出るんだって! ティファはもう、超ヤバいなって思いました。マジかティファって。
※ティファ……『ファイナルファンタジーVII』のキャラクター。『スト6』にコラボ参戦予定。
葛葉
ほかに見た目で言うと、ヤスミンも好きなんですよカッコよくて。とくにコンボが見ててカッコいいから、自分がやられても悪い気しないんですよね。キャラクター性も好きになっちゃうというか。
中山
ありがとうございます。コンセプトとして、ヤスミンは少年マンガの主人公みたいなキャラクターにしたかったんですよ。何か好きになってしまうような。
葛葉
あー! そうなんですよね。つい応援したくなっちゃう感じがして。
中山
そうなんです。ヤスミンのテーマ曲にも仕掛けがあって、ふつうのキャラクターって、体力が減ってピンチになると曲調がピンチな感じになるじゃないですか。ヤスミンは逆にテンションの上がる方向に変化して、「まだまだいけるぜ!」みたいな曲の編成しているんです。応援したくなる、と思っていただけるのは、そういった狙いがちゃんと効いているのかなと。
葛葉
うわ、さすが開発者様。狙い通り、手のひらの上でしたね(笑)。あと「なにこいつ!?」ってなってるのは、アルジュンです。もうどんなヤツなのか、謎しかなくて。

中山
確かに。
葛葉
イントネーションもわかんなくて。“ア↑”ルジュンなのか、ア“ル↑”ジュンなのかみたいな。
中山
前者で合っています。アルジュン・ガマディって名前です。
ついでに、少しだけ情報を。アルジュンは、アルジュンにしかない遊びが結構含まれています。ドライブインパクトとかで相手の攻撃を受けとめたとき、体力バーの一部が白いダメージになるじゃないですか。アルジュンは白ダメージを、相手にガンガン与えて押し込んでいくキャラクターになっています。
葛葉
えー! なんですかそれ! おもしろそう!
中山
本当のダメージじゃないんですけど、白ダメージを稼いで一気に攻めたりできるんです。
葛葉
おもしろそう。なかなか考えつかない性能ですよね。想像と全然違くて、いますごくワクワクしました。
中山
コマ投げ(※)とかもあって、それで白ダメージを貯めたりもできますね。
※コマ投げ……コマンド投げの略。投げ技の必殺技のこと。葛葉
楽しみにしてます!
中山
じつはとてもイケメンになっていて、熱い男ですよ。
――調整まわりで、またすごく楽しくなったと葛葉さんからの感想もありましたが、それを受けて中山さんはどう感じていますか?
中山
注目していただけて、ありがたいです。バトルバランスの調整は、“味変”みたいなもので、長く遊んでもらうための仕掛けのひとつです。対戦格闘ゲームに限らず、対戦ゲームのいいところだと思っています。ただ、難しいポイントでもあるんです。
やりすぎてもダメだしやらなさすぎてもダメ。かつ、プレイヤーの感想も見る必要もあって。たとえば、大会で優勝したキャラクターに対して「強すぎる」みたいな感想が出てくることってありますよね。大会の場なのでそういうものですし、しょうがないと思います。
ただ、長期にわたって対戦バランスを調整しているスタッフたちは、それとは関係なく毎日何百回と試合をし、バランスを見て、試行錯誤しています。そういった意見は参考にしつつも、自分たちの感覚でバランスを取っているので、実際にお出しするときって、正直ドキドキしている部分もあるんです。
ですから、葛葉さんがポジティブに受け取っていただいている感想を聞けたのがすごくうれしかったですし、ホッとしました。
葛葉
もう超ポジティブですよ! だって数々の場面で苦しめられた舞のSA1(陽炎の舞)に調整が入ったんですから!
中山
ライバルが減ると(笑)。
葛葉さんが訊く『スト6』開発秘話
――では『スト6』について葛葉さんから、中山さんに聞いてみたいことはありますか?
葛葉
気になること、ガンガン聞いちゃっていいですか? えっと、プレイヤー側から見ると、『スト6』ってすごい機能が充実してるんですよ。たとえばリプレイ機能とか、観戦の方法とか。カプコンさんが全部用意していることなので予想通りだと思うんですけど。充実しすぎて、逆に予想外だったこととかってあるのかなと。
中山
こんなにたくさんイベントを開催してくれるとは予想していなかったですね。僕は『ストV』の途中からディレクターを担当していて、『ストV』での反省をすべて『スト6』に盛り込んだんです。
で、対戦以外のコンテンツが少ないのも『ストV』の反省点でした。コンテンツが少ないと、皆さんが配信してくれないんじゃないか、という恐怖心がすごくあったんですね。ですから、『スト6』でコンテンツをたくさん用意したのですが、やりすぎてちょっと麻痺していたレベルです。もうできることは、ほとんど盛り込んだので。
それでプレイヤーの皆さんが喜んでもらえればいいか、くらいの感覚だったのですが。配信者さんや、プレイヤーの皆さんが「みんなでいっしょに遊ぼうよ!」という空気感を作ってくれたのは、すごくありがたかったです。
盛り上がってほしいと思って作ってはいますが、うまくいくのかは作っている側には予想できない部分もあって。それを皆さんが盛り上げてくれたというのが、ある意味予想外でした。
葛葉
ゲームが遊びやすいから広まった、みたいなところもあると思います。やっぱりモダン操作含めて『スト6』はとっつきやすさがすごく高いなって。
中山
プレイヤーがゲームを遊ばない理由を、ひとつひとつ潰していったんですよ。たとえば“波動拳が出せないから格闘ゲームはちょっと”という人にも、「今回はワンボタンで出せるんですよ!」とオススメできたら、大きなキラーワードになると思ったんです。
自分たちが親指を擦りむいてまで練習した昇龍拳も1発で出せるというのは、熟練プレイヤーも初心者にオススメしやすくなるのではと思ったんです。もちろんいろいろと論争は起きるだろうなと思いつつ、それよりも「遊ぼうぜ!」と誘えることのほうが大事かなと。それを公式が用意しないといけないなと思ったのもあって、モダン操作が生まれました。
葛葉
モダン操作はすごいところにメスを入れたな、すごい手術に成功したんだなって思いましたね。
中山
社内でもかなり議論がありました。格闘ゲームのクリエイターがたくさんいる会社ですから「こんなのズルだ、ありえない」って言われたりして。でも僕は「ズルだと思うのならば自分も使えばいいのでは? それでどちらが強いヤツか決めましょうよ」って、対戦格闘ゲームらしく丸め込んでいましたね(笑)。
葛葉
いや、本当によかったです。
――中山さんは、自分のやりたいことを実現するまでとことんやると以前お話されていましたよね。
中山
まだまだたくさんあります。
葛葉
うわ、楽しみ。
中山
ただ、技術が進歩しないと実現できないこともあって。たとえば地球の裏側の人とオンライン対戦するってなったら、やっぱりいまでもラグは出ちゃうもので。それはもう、ゲーム側ではどうしようもなくて、さらなる超高速通信ができるようにならないと実現できません。
葛葉
確かに。たとえばやりたいことって、どんな部分で実現したんですか?
中山
ひとつは、“サウンドアクセシビリティ”ですね。これは絶対に入れたかったんですよ。ゲームを遊ばない理由を潰すためのひとつでした。サウンドアクセシビリティは、音でキャラクターの位置がわかったりして、音だけ聞いてゲームを遊べるような仕組みです。
聴覚が不自由な方は、ゲーム画面は見えるのでゲームが遊べます。ただ、視覚が不自由な人は、どうしてもゲームを遊ぶことの難度が高い。それをなんとかしたいと、『ストV』のころから研究していました。
葛葉
動画で見たことあります。目の不自由な方がふつうにプレイしていて、しかもすごく強いみたいな。
中山
じつは僕、生まれながらに片目の視力がほとんどないんです。以前、立体視ができる機能を持ったハードがあったじゃないですか。あれは両目の視差で立体視ができるって仕組みでした。ただ自分は立体視を体験できなかったんですよ。
それがものすごくショックで。自分はこのまま進むと、ゲームの仕事ができなくなるんじゃないかって絶望したんです。ですから、万人の方が遊べるようにしなくてはならない、という考えが自分の中にはどうしてもあったんです。
葛葉
なるほど、そういう経験から来ているものなんですね。
中山
どうしても細かくやってしまう性格というのもあります。
葛葉
オレも音とかの部分では、そこの恩恵を受けているのかも。配信中に対戦してて、コメントを読むときって、ゲーム画面じゃなくてコメントのほうに目が行くんですよ。でも、相手の攻撃に反応できたり、なんとなくコンボもできたりして。
それって映像以外の情報が整っているからこそできるんだよな、すごいなこのゲームって配信中に実際になったことがありました。
中山
ありがとうございます。ほかには“アイトラッキングシステム”で、プレイヤーがゲーム中に画面のどこを見ているのか、開発中に研究したりもしていますね。初級者・中級者・上級者それぞれで画面のどこを見ているのか、データとして収集して。それで画面のどこに何を出すのかなど決めたりしています。
ただ、さすがにコメントを読みながらゲームをすることは想定していないので、よくできるなって感心しています。しかも読み上げながらコンボとかしたりしていて、どんな脳みそなんだろうって。
葛葉
手癖なんですかね、ある意味。何も考えずにできるくらいまで、遊ばせてもらってるんだなって。
中山
しかも的確な操作をしながらリスナーさんたちを盛り上げるトークをしたりして。しかもゲームプレイもお上手で。本当に作ってる側としてもそれは絶対にできないから、すごい能力だなって思います。
葛葉
いやいやいや、褒めすぎです(笑)。
――しゃべりながらプレイして、しかも長時間配信されることもありますよね。
葛葉
なんかちょうどいいんですよね1プレイの長さが。対戦の時間がショートでドーパミンがちょうどよく出る感じで、何時間もできるんですよ。対戦ゲームだったら、1試合30分とか20分とか掛かることもありますけど、それだと長時間はプレイしにくかったりして。
でも、『スト6』はスナック感覚でドーパミンが出るから、無限に摂取できるというか。
中山
よかったです。ラウンド時間も結構計算して設計していて、『ストV』は1ラウンドがちょっと長かったんですよ。長いなって感じさせないように、いろいろと調整しているんです。
葛葉
うわ、それも手のひらの上だ。全部予想し尽くされてる!
中山
2ラウンド先取で、ちゃんとこれくらいの時間になるようにみたいな。また、タイムオーバーにもなりにくいようにしていて、何度もプレイして調整していました。
葛葉
本当にちょうどいいです。ずっと遊べちゃう。でも負けたときはしっかり悔しいんですよ。
中山
それなんです。それがいちばん欲しくてやっています。
葛葉
無事、すごく刺さってます(笑)。
――長く遊べるのは、ランクマッチの仕組みが優れているのもありますよね。ランクだけでなく、MR(マスターレート)ポイントで腕前がわかるような部分ですとか。
葛葉
確かに。MRにグラデーションがあるんすよね。
中山
最初はランクマッチの仕組みをどうしようかと悩みました。ランキング内のポイントのやり取りがあって、でもシリーズ作品とは少し違う体験にしたくて。また、ランクを駆け上がっていく体験も残したいし、ここまでいったら上級者向けだろうな、みたいなことは考えながら作っていました。
ただ、皆さんすごい勢いでマスターランクまで駆けあがっていったので、驚きました。全キャラクターでマスターとかレジェンド目指す人までいて、そこまでやってくれるんだと。
葛葉
マスターランクまで行くと、やっぱり腕前の停滞期みたいのがあって。そこでMRポイントのやり取りがあって、グラデーションがあるおかげで、自分の成長が感じられるのもよかったです。マスターも、さらに上のハイマスター、グランドマスターとかあって、目標がわかれてるのもよくて。目標ランクに到達したときのうれしさが、段階ごとに味わえるんですよね。
中山
それでいて配信中だったら、リスナーさんが「おめでとう!」ってお祝いムードになって、盛り上がるのもいいですよね。そういうタイミングを作れたことがよかったなって思いました。
葛葉
そうなんですよ。しかも、MRってシーズンでリセットされるのも、長く遊べるからいいなって。
中山
長く戦っていることをリスナーさんも知っているから、努力の上にそのドラマがあってすごくいいんですよね。ランクマッチだけでなく、大会も同じように。プロゲーマーさんとの師弟関係みたいなものがあって、それで勝ったり負けたりのドラマがあって。しかもコーチングって、僕たちが学生時代には絶対にありえなかったことなんですよね。
葛葉
それは、どういう意味でありえないんですか?
中山
人に対戦テクニックを教えてもらうということがなかったですし、そもそもゲーム配信の文化もなくて。自分の場合はゲームセンターに行って、上手な人の後ろに立ってどうやってプレイしているのかを見て、そのテクニックを学ぶみたいな時代だったんです。
葛葉
なるほど。
中山
それがいまはみんなで腕前を上げていくのが当たり前で、人と人の関係性が出てくるのがすごくいいなと。ゲーム自体のおもしろさも重要ですが、僕はゲームを作るうえでいちばん大事にしているのは、“ゲームがコミュニケーションツールになること”です。ゲームというものは、ほかの人とのコミュニケーションをサポートしてあげるツールだと思っているんです。
葛葉さんがいままでにいろいろな人と絡んでくれたり、大会を主催して多くの人々を巻き込んでくれたりして、自分がいちばん大事にしているコミュニケーションの部分を広げてくれた方だからこそ、とてもありがたいと思っているんです。
葛葉
もう周囲の人にオレがやさしくしてもらってるだけです。プロゲーマーの方たちが、手を差し伸べてくれるので、とてもありがたいです。
――ちなみに葛葉さんは多数の師匠からコーチングを受けてきましたが、どう感じていますか?
葛葉
ほかのゲームのイベントに出ることもあって、いろいろなプロの方々に教えてもらうことがあるんですよ。それでも『スト6』のプロはおもしろい人がすごく多くて。ここまで戦い抜いてきた貫禄があったり、少し変わった面もあったり。でも、すごく親身になって教えてくれますね。
中山
確かにね(笑)。
葛葉さんの吹替は制作陣のお墨付き!
――では、今回の対談のメインとも言える映画『ストリートファイター/ザ・ムービー』についてお聞かせください。そもそも、本映画はどのような経緯で作られていったのでしょうか?
中山
じつはかなり前から動いていたプロジェクトで、7~8年前くらいからはもう動き出していました。いざ制作するとなった3年ほど前から自分も関わるようになりました。
僕がシナリオの部分を監修したりですとか、あとは役者の選定にも関わっています。自分は開発者であり、『ストリートファイター』シリーズの大ファンですから、ファンの目線に立ったときに何をされると嫌だろうとか、そういった心理もある程度は把握しているつもりです。そこでファンに寄り添う形で、プロジェクトに関わるようになっていきました。
ただじつは、制作過程で監督が2回変わったり、台本関係について、色々あったりして、本当にたいへんでした。
葛葉
えぇ! 何があったんですか?
中山
自分たちにとって『ストリートファイター』は、キャラクターがいちばん魅力的なゲームだと思っているので、キャラクターを大事にしてほしいと最初にお話していたんですよ。ハリウッドの作家さんたちは「そんなこと当たり前です、僕たちもわかっていますよ」とおっしゃっていたので、安心していたんです。
それなのに、届いたシナリオでは、「ちょっと待ってくれ」と思う部分があって。最初からかなり驚くような展開が書かれていたんですよ。
葛葉
それはびっくりしますね(笑)。
中山
「これ、このままでいいのかな?」って、なっちゃって。だから、自分なりに意見を伝えながらシナリオについてもかなり深く関わるようになったんですよ。たとえば、キャラクターと結婚したい、みたいなファンの人も本当にいるわけで。そういうファンの気持ちも含めて、もっと大事にしたいなと。
もちろん、変わった展開のほうがドラマチックになるんじゃないかみたいな、書き手の意図はわかるんです。でもそれをやって、うれしくないファンもいるのではないかと。ファンの皆さんが大切にしているキャラクターだからこそ、そこはしっかり考えたいと思いました。そこから、かなり本腰を入れて自分が関わるようになりました。
葛葉
中山さんが目を光らせたと。
中山
はい、だから日本語の台本監修とかもすべて自分のほうでやっています。
葛葉
ゲームのこともやりながら、映画のことまでって。すごい仕事量。
中山
葛葉さんが吹替を担当した、マービンのセリフももちろん全部見ていますよ。
――ちなみにマービンは、どのような役になっているのでしょうか。
葛葉
これは……言っていいものですか?
中山
うーん、全部ネタバレになっちゃうんですよね(笑)。インターポールの諜報員で、すごくいいヤツです、とだけは言えますね。
――では、それくらい重要な役を担っているんですね。
中山
はい。じつは、自分はそういった重要なキャラクターにその名前をつけるようにしていて。『スト6』の前日譚に出てくるキャラクターにも、マービンという名前を付けていたりします。
葛葉
えぇー! そんな重要な役の吹替をさせていただいていたとは。
――ゲスト声優として葛葉さんを抜擢した理由はありますか?
中山
『スト6』をすごく愛してくれていて、ファンの皆さんにも認められていますし、シチュエーションボイスも出されているので、ふつうに声のお芝居も上手そうだなと思って(笑)。実際、本当に上手でした。
葛葉
そ、そんなことないですよ……!
中山
いやもう本当に。吹替の音響監督は納谷僚介さんという方にお願いしました。ゲームで10年以上いっしょにお仕事させてもらっていて、吹替するときも絶対納谷さんを起用してほしいとお願いしました。で、納谷さんってめちゃくちゃプロの方で、あんまり人を褒めることがないんですよ。
そんな納谷さんが、珍しく葛葉さんの吹替をすごく褒めていて。葛葉さんって言われなかったら、わからないくらいプロのお仕事でした。僕も聞いて、本当に上手くて驚きました。「このままプロとして食べていける」と納谷さんも言っていたくらいに。
葛葉
えー! そんな恐縮なことを。
中山
自分もこういったボイスの監修をしますが、自然に聞けますし、演技も上手で、ゲームからアニメまでなんでもいけちゃうんじゃないかなって。ちなみにリップサービスじゃないです。本当です。
葛葉
そんな、とてもうれしいです。
中山
作品の品質自体を上げてくださって、本当にありがとうございました。すごくナチュラルなんで、皆さん驚かれるんじゃないかなと(笑)。
葛葉
うれしいですね。ゲスト声優ですから、やっぱり本職の方々じゃないので、きびしい意見ももちろんあると正直思います。ただ、「OKじゃなくてもゲストだしOK出すしかないか」みたいなことになってしまったら嫌だなと。作品の品質を下げることはしたくない、と思ってやっていたので「気づかないくらい」と言われるのがいちばんうれしいです。
中山
シーンによって感情と言いますか、演じ分けの難しいところがマービンにはあって。シチュエーションが幅広い役なので難しいだろうなって思っていたんですよ。そういった部分も全部うまく演じているので、プロの声優さんじゃないかと思わず笑ってしまうほど。葛葉さんとは思わなかったです。
葛葉
ありがとうございます……!
――お墨付きをもらうことは珍しくないと思うのですが、どう受け止めていますか?
葛葉
そんなわけないじゃないですか! そんなうまくないです!!
中山
それがそんなことあるんですって。
葛葉
世間の目はきびしいんですから、ハードル上げないでくださいよ! 演技に関しては温かい目で見ていただけると助かります!
――語れない部分も多いと思いますが、葛葉さんから見たマービンの印象はいかがでしたか?
葛葉
ひと癖、ありますよね。オレとは全然タイプの違う人で、がんばって寄せようと努力しました。とある登場人物とのシーンがあって、「え、あなたと会話できるんですね!」って感動しましたね。まぁ、実際に会話したのはオレじゃなくて、マービン役の演者さんなんですが。
中山
カイル・ムーニーさんですね。
――葛葉さんはオファーがきたとき、どう思われたのでしょうか?
葛葉
いやいやいやいやいやいやいや! オレ……、オレ!? みたいな感じでした(笑)。それぐらい信じられなかったです。
『ストリートファイター』からオファーが来て、断るなんてないんですけど。ただ、本当に自信はなかったです。自分がやることによって、作品の質が下がるんじゃないのかっていうプレッシャーもあって。でも、オファーをいただけたこと自体はとてもうれしかったです。自分でいいんですか、と思いつつも選んでくれたんだオレを、って思って。
――そんなプレッシャーの中、初めて映画吹替に挑戦してみて、いかがでしたか?
葛葉
もう貴重な体験すぎて、終始ドキドキしっぱなしです。映画吹替って自分じゃない誰かが、すでに演じられているものじゃないですか。なので、どうしたらいいんだろうと、思ってました。
どの作品に出るのかはみたいなところは当然伏せて、いろいろな人にアドバイスを聞いたりしてました。知り合いの声優さんだったりですとか、あとはマネージャーさんの中に、元声優さんのマネージャーだった人がいるので、吹替ってどうやるものなのか、どうすればいいのかを聞いたりして。
アドバイスをまとめると、もともと演じている俳優さんの雰囲気に合わせて、それをコピーするのがいちばんだと思ったので、マービン役のカイルさんの演技を何度も見ました。
とても緊張したんですけど、ワクワクした面もあって。現場の雰囲気とかも含めて、本当に貴重な体験だったんで、すごく楽しかったです。
中山
ああいう、アフレコブースみたいなところでの収録ってあまりないものですか?
葛葉
ゼロではないですが、ほとんどないですね。声優さんたちもここで収録しているのか! ってドキドキしたりもして。似たような環境はあるかもしれないんですけど、プロの音響監督にディレクションを受けながら収録する、みたいなことはほぼないので。
中山
ちなみに納谷さんは『スト6』のキャラクターボイスも全部収録している方です。
葛葉
緊張をほぐしてくれる、すごくいい人でした。
――ディレクションを受ける中で、印象に残っていることはありますか?
葛葉
モチベーションを上げてくれるようなことを、たくさん言っていただいたりしました。あとは、技術面がすごかったです。吹替なので、どうしても元のシーンとズレてしまうこともありました。そのズレをすぐ修正してくれて、タイミングの合った映像にしてくれたりと、プロの技を見ながら収録してました。
――収録の際、マービンの映像はたくさん見たと言っていましたが、葛葉さんは作品自体をすでにご覧になられたのでしょうか?
葛葉
見られる環境だったんですけれども、全編は見ないようにしてました。マービン関連のシーンについて、前後長めにとって見たりして。全編は、自分で映画館に行って楽しみたかったんですよね。
吹替用なんで、もちろん元の俳優さんたちの演技の映像しかないんですけど、吹替版はゲームの声優さんたちの声がそのまま入ってて、吹替版で見るのがすごく楽しみなんですよ。自分で見るまで取っておこうと思って。
一部登場人物の吹替を聞かせていただいたんですが、ゲーム版とはまた違う演じ方をされているな、と勝手に受け取ったりもしたので、そこも楽しみです。
――すでにPVなども公開されていて、『スト6』の大会などでもよく流れていますよね。全体としてはどのような映画になっているのでしょうか。
中山
あのPVで感じた感覚が、10倍濃く、長くなって返ってくるだけだと思ってください。きっと楽しんでもらえるはずです。
――PVから、昔の実写版の“バイソン将軍”をリスペクトしてそうな気配もあって。
中山
昔の実写版は、ちょっとすごいことになっている映画なんですが、ある意味楽しくはありますよね。あれはあれでなかったことにはならないので。ぜひ楽しみにしていただければと思います。
――期待しています! キャラクタービジュアルもすでに公開されていますが、もうそのキャラクターだってすぐわかりますよね。それらも中山さんが監修を?
中山
はい、そうです。見た目もそうですし、たとえばリュウ役のアンドリュー・小路さんなどは、自分がぜひ抜擢してほしいとお願いしました。もうリュウみたいな人で、撮影現場でも寡黙で、すごくストイックな人で完璧でしたね。

葛葉
あと、ブランカとかすごいですよね。とても本物! ダルシムもダルシムだし、ザンギエフとかもそのまま連れてきてるように見えますし。すごく感動しました!
中山
ありがとうございます。ゲームコーナーみたいな場所が撮影現場にあって、息抜きにみんながプレイできたんですよね。そこでリュウ役の人はリュウ使うし、ダン役の人はダン使うし、全員がキャラクターに愛情を持って撮影したからこそ、生まれた部分でもあると思います。
葛葉
ケンがなんか『ストV』っぽいなって、思ってました。
中山
髪を後ろで縛ってね。

――葛葉さんが確認用にご覧になられたシーンの中で、アクションシーンはありましたか? 出来栄えなどはいかがでしたでしょうか。
葛葉
ありましたね。ゲームの実写なので、非現実的な動きとか技とかが出るので、それをどれだけ映像に落とし込めているか、みたいなところはぜひ見てほしいですね。
あと、感想としては……"痛そう"でした。アクションシーン。殴られている役者さんは、本当に痛いだろうなって。

中山
文字だと伝わらないと思うんですけど、きっと映画本編を見たら「なるほど!」ってなると思いますよ。確かに"痛そう"って思うよねって。
――なるほど。アクションについても監修されているとのことですが、どのように見られたのでしょうか?
中山
アクションについては、最初からかなり安心して見ていました。というのも、アクション監督はキアヌ・リーブスの『ジョン・ウィック』シリーズでアクション監督をされていた方が担当してくださり、その方とアクションプランをたくさん語り合いました。「なるべくゲームをリスペクトしたい」と言ってくださったので、すごく信頼できました。
映画は『ストリートファイターII』がベースになっているので、技も『ストII』をベースに選んでいます。こんな技があったなとか、ケンの通常技のキックはこういうときに使いたいとか、懐かしさとかマニアックなところも含めて構成を組み立てていきました。
また、CGをたくさん使うようなイメージではなく、よりリアルなファイティングアクションにしたいと伝えていたので、役者さんたちもがんばってトレーニングしてくださいました。キックを鋭く見せる研究ですとか、そういったところも突き詰めてくれたので、アクションシーンはかなり見ごたえがありますよ。
――だからこそ葛葉さんから「痛そう」という感想が出たりも。
中山
そうですね。あと、実際のゲームの動きを丁寧に現実に落とし込んだらどうなるだろうか? といった研究もしてくれました。ですからきっと「あ、この技だ!」って思ってもらえるシーンが多々あると思うので、ぜひそこも楽しんでほしいです。
ただ、完全にゲーム再現を目指したというよりは、“ゲームの中にあった要素を映画作品として入れ込むなら、こういう形だろう”という感じになっています。ストーリーもしっかりお話があった中で、格闘家たちが集まったらこうなるだろう、といった絶妙なバランスで描いてくださっています。
“ストリートファイター”たちがただ路上でケンカするわけではなく、格闘家どうしが意図や意思を持って、感情をぶつけ合いながら戦うシーンもあるので、深くのめり込んで観られる映画になっていると思います。

――では最後に、おふたりからメッセージをお願いします。
中山
葛葉さんにもご協力いただき、日本語吹替版も本当にいいものになりました。ゲームの声優さんを、映画にも揃えたいというのは、自分のわがままで動き始めたプロジェクトでした。ただ、もとの俳優さんたちの演技も素晴らしいです。ですから、英語版はもちろんのこと、葛葉さんの声が聞ける日本語版も聞きたいので、少なくとも僕は映画館に2回は足を運ぶでしょう。
いろいろな方向から『ストリートファイター』というシリーズに興味を持っていただきたい、好きになってほしい、といった想いが自分にはあります。そのきっかけがゲームじゃなくても、実写映画もそうですし、葛葉さんの配信や、主催してくれた大会を通してなど、いろいろな角度から、みんなで楽しめるコンテンツになったらいいなと思っています。これからもよろしくお願いいたします。
葛葉
自分の好きな『ストリートファイター』が映画になって驚きました。もし自分の配信を見て『ストリートファイター』ってまだとっつきづらいな、って人がいたら今回の実写映画を先に見てみるのもありなのではないかと。ゲームを遊ぶとなったら、モダン操作があるから安心ですし、ひとり用のRPGみたいなワールドツアーとかもあるのでオススメです。
ただ、映画のおかげでキャラクター感がより強まったというか、みんなで深掘りできる要素が増えたなと思ったので、純粋にキャラクターコンテンツとして『ストリートファイター』を楽しむのもひとつの方法なんだろうなって、そのチャンスになった気がするので、よかったら見てほしいなと思います。マービンも見てください!
――ちなみに、中山さんとの対談はいかがでしたか?
葛葉
すごく楽しかったですね。「こんなことまで聞けちゃうんだ!?」というような話もあって、もう胸がいっぱいです。
中山
なんでも聞いてください、なんでも答えますよ(笑)。
葛葉
やばいやばいやばい、やばすぎる(笑)。
終始和気あいあいとした対談で、葛葉さんの『ストリートファイター』愛が感じられた。そんな葛葉さんが吹替を務める『ストリートファイター/ザ・ムービー』は2026年10月16日にいよいよ公開。ぜひ劇場へ足を運んでほしい。