2026年9月4日の発売日が迫る、カプコンの剣戟アクション最新作『鬼武者 Way of the Sword』。本作の舞台にもなっている京都でのメディアツアーで、本作の試遊版をある程度プレイしてから開発者の方々にお話を訊くことができた。その内容をお届けする。
門脇 章人氏(かどわき あきひと)
『鬼武者 Way of the Sword』プロデューサー(文中は門脇)。
二瓶 賢氏(にへい さとる)
『鬼武者 Way of the Sword』ディレクター(文中は二瓶)
メディアツアーでは、清水寺を始めとする、本作に登場する名所を貴重なお話とともに案内していただけた。そちらの模様は、後日公開予定。


清水の舞台にて。
──『鬼武者 Way of the Sword』は、改めてどういう作品でしょうか?
門脇
ひと言で表現するなら、カプコンが自信を持ってお届けする、剣戟アクションゲームといったところでしょうか。代名詞である“一閃(※1)”はもちろん、受け流しやパリィ(※2)の気持ちよさを存分に味わっていただけます。
※1 敵の攻撃を受ける直前に斬ることで、致命的なダメージを与えるカウンター技のこと。
※2 本作では、“弾き”という名称で登場。
──アクションゲームの楽しさが詰め込まれた作品ということですね。
門脇
はい。受け流しや弾きなど、受け身寄りのアクションを例に挙げましたが、ただ、敵の動きを待っていればいいバトルではなく、こちらから攻め込む楽しさもあります。攻撃中もすぐさま受け流しなどが行えるので、スピード感のある独自性を持った剣戟アクションに仕上がりました。
二瓶
開発初期から“アクションが得意なカプコンの剣戟アクションとは?”という部分を大事にしてきました。もちろん一閃や魂吸収など、『鬼武者』というIPを特徴づけている要素も大事にしつつ、前作から間があるということもあって、さまざまなチャレンジもしました。
──シリーズ未経験者の入門作としてはどうでしょうか?
二瓶
そもそも20年ぶりの最新作ということで、本作が初体験の方が多いことを想定して作っています。過去作とストーリー的なつながりもありませんし、非常に入りやすい作品です。
ただ、『鬼武者』シリーズファンならニヤリとできるような要素も盛り込んでいるので、キャラクターや幻魔のセリフや動き、デザインなどにも注目していただきたいです。
門脇
カプコンが新作アクションゲームを出したんだ、くらいの気持ちで手に取っていただけるとうれしいですね。この作品から『鬼武者』に興味を持っていただけたら、いまはリマスター版などもありますので、そちらにも触れてみて本作との違いを感じてみてください。
──『鬼武者』シリーズの特徴でもある一閃は、ザコ敵相手には狙いやすいですが、やはりボス戦ではリスクが大きすぎる気がしました。どう使うのがいいのでしょうか?
二瓶
一閃は、成功すると致命的なダメージを与え、回復や強化に使える魂もたくさん手に入るので、ハイリスクハイリターンなアクションです。最初はボスに対してはそこまで大きなダメージが与えられないのですが、本作では成長によってダメージを引き上げることができます。
ただ、リスクの大きさは変わりません。一閃のダメージを上げ、狙っていくかどうかは、皆さんのプレイスタイル次第です。『鬼武者』ファンの中には「一閃しか狙わないぞ!」という方もいらっしゃいますので、気持ちよさやリターンの大きさはしっかりと確保するようにしました。

──一閃は理論上は、ボスでもすべての攻撃に対して狙えるものなのですか?
二瓶
一部の特殊な技を除き、基本的には一閃で反撃できます。
──特殊な技というのは、掴み技のことですか? こちらには“掴み返し”という専用の反撃が狙えるようになっていたのが印象的でした。
二瓶
掴み技も一閃が狙えない攻撃のひとつです。おっしゃる通り、こちらは掴み返しで反撃が行えます。ただ、タイミングよく回避ボタンを押さないと成功しないので、こちらもリスクをともないますね。

──私は体験版では弾きを多用していたので、最初は使えないことに驚きつつ、スタッフの方にすぐに習得できますよと教わりました。今回の試遊で、ついに育成要素が明らかとなったわけですが、弾きのようなアクションも育成要素に組み込んだ狙いを教えてください。
二瓶
本作には多くのアクションが存在するため、体験版ではひと足さきにそれらを味わっていただけるように調整をしていました。本編では、遊びながら、順を追ってそれらをひとつずつ覚えていただけるような作りにしています。本編の最初期では、武蔵は鬼の力すら使えないわけですから。
弾きは流れ上、必ず習得するわけですが育成要素に組み込んだのは、段階を踏んで本作のアクションに慣れていただきたかったという部分が大きいです。実際、体験版のフィードバックでは「やれることが多すぎる」という意見も目にしたのですが、本編ではなだらかに増えていくので、スムーズに体得していただけると思います。
ちなみに、ボリュームに関してもこれまでの『鬼武者』シリーズよりもたっぷりと用意していて、ふつうに進めるだけでもクリアーまで20時間はかかります。そのため、いろいろなアクション、要素をゆっくりと覚えられる設計にしました。
──20時間は、過去作に比べても段違いのボリュームだと思います。基本的に構造はリニア(一本道)で進んでいくのでしょうか?
二瓶
最初はリニアですが、少し進めると広いマップの中でどう進めるかをプレイヤーが選ぶワイドリニアなパートも登場します。
──体験させていただいた京洛(京都の街)のところのようなパートですね。
二瓶
そうです。広い街を探索しつつ、寄り道的な要素や新たなボスとの戦闘も楽しめたりします。
──育成は、スキルツリーの形式がとられています。先ほど習得順のお話などもありましたが、1回のプレイですべて解放できるような作りになっているのでしょうか?
二瓶
はい、すべて解放できます。解放に必要な素材の数はゲーム中で限られていますが、エンディングまでに全部回収し、能力の解放もできるようになっています。
門脇
補足ですが、スキルツリーを全部埋めなくてもボスは倒せます。「この能力がないと倒せない、進めない」といった要素は基本的にはないので、好きなように能力を伸ばしていってかまいません。

──ちなみに、クリアー後に新たな難易度が登場したりといったことは……?
門脇
いまはノーコメントで(笑)。
──ちなみに、シリーズ初体験のプレイヤー、アクションゲームが得意でない方には、どのような配慮がされているのでしょうか。
二瓶
まずは、難易度の違いです。“活劇”と“剣戟”の2種類を用意しておりまして、“活劇”のほうがクリアーしやすくなっています。また、アクションが苦手な方ほど「何が正解なんだろう」とわからなくなることがあると思うので、ボタンガイドの機能を用意しました。“活劇”ではボタンガイドが最初からオンになっているので、掴み攻撃がきたらこのボタン、といった風に画面に表示されている案内にしたがって操作すれば、クリアーまではいけると思います。
門脇
“剣戟”のほうでも、少し難しいと感じたらボタンガイドをオンにしていただけるとアクションの助けになります。自分好みの遊びやすさにカスタマイズできますので、みなさんに歯ごたえのある楽しい剣戟アクションを味わっていただけます。
──極端な話ですが、ボタンを連打してしまう方でもクリアーは可能ですか?
二瓶
連打だけでは難しいかもしれませんね。ボタンガイドにも注目していただけるとうれしいです。
門脇
カジュアルなプレイヤーの方でも、防御的なアクションはしてくださると思うんですよね。弾きは、防御もともなうボタン入力なので、失敗してもリスクはなく、ガードは成立しているんです。そういう意味でも、アクションが苦手な方にも取り組みやすいアクションになっています。
加えて、チュートリアルも丁寧に作っているので、さきほども言いましたが、アクションを段階的に覚えられるようになっています。さらに、アクション要素の練習、強敵との再戦といったことができる場所も用意しているので、苦手な方にこそぜひやってみてほしいです。アクションゲームの楽しさを知っていただきたいですね。
二瓶
そうですね。成長システムでも、体力の育成的な部分を重要視していただけると、進めやすくなるかもしれません。一方で、腕に覚えがある方はアクション部分の強化を優先したりもできます。

──なるほど。システム的にも幅広いプレイヤー層に対応されているわけですね。
門脇
ガードしながら攻撃する、というところさえできれば、あとは段階的に覚えていけるように作っています。徐々に難度は上がっていきますが、諦めることなく何回もチャレンジしたくなるような“気持ちいいポイント”を散りばめています。そのため、負けたとしても「もう1回挑戦しよう。つぎは勝てるかも」と思っていただけるはずです。
二瓶
あとは、ボスにやられた際、前に戻されるゲームだとアクションが苦手な方は「やり直しまでの時間のほうが長い」という感覚になりがちです。本作ではデスペナルティーがなく、倒されてもすぐ再挑戦できるようにしています。チャレンジするたびに上達していく感覚を得られると思います。

──Nintendo Switch 2では、携帯モードやJoy-Con 2で刀を振る操作にも対応していますね。軽くプレイしたところ、PS5版と遜色ない感触でした。
門脇
違いを感じないんじゃないかというくらい、いい感じに仕上がったと思っています。正直に言うと、Nintendo Switch 2版への着手は途中からだったんです。しかし、試作時の手応えから、「これは勝負できるぞ」と思いました。
細かいことを言えば、画質やフレームレートの違いはあります。Nintendo Switch 2版は30fpsで、ほかは60fps以上出ますが、どちらも十分にアクションの楽しさを味わっていただけると思います。
二瓶
開発スタッフとは、携帯モードでの遊びやすさもよく話題になっていました。寝転びながらもちゃんと遊べるのは、単純にすごいですよね。
──ちなみに、Joy-Con 2で刀を振る操作でダメージが変わったりはしますか?
二瓶
そういった違いはないです。振りで反応が少し難しいと感じるときはボタンでも同時に入力できるようにしているので、気分に応じて使い分けられます。Joy-Con 2を縦、横に振ったりして斬りかたを変えてみるという、独自の楽しさはほかのハードにはない魅力です。
──試遊では、“鬼の隠れ里”という一風変わった空間を訪れることになりました。この場所のコンセプトやデザインについて教えてください。
二瓶
鬼の隠れ里は、鬼の一族が幻魔討伐の拠点とするために作られた場所です。人間には見えない空間になっていて、武蔵は鬼の力のひとつ“眼覚醒”をすることで認識できるようになります。作中では既に幻魔に攻め入られている状態です。
弓矢でギミックが動く仕掛けなどもあるのですが、これも幻魔に対抗するために鬼の一族が用意したものです。幻魔が奥に行かないように、鬼の一族を祀っている場所を守るための構造になっています。
デザインに関しては、“金継ぎ(きんつぎ)”という日本の独自の修復技術がテーマのひとつになっています。壊れたもの、荒廃した世界が金継ぎで修復されているような空間になっていて、和のテイストを持ち込みつつ鬼の世界を表現しています。

──弓矢のギミックのお話もありましたが、ファンタジー空間ということで、レベルデザインもほかとは異なるのでしょうか。
二瓶
そうですね。鬼の隠れ里では、敵を斬って前に進むだけではなく、少し思考を巡らさないと進めない仕掛けを意識して配置しています。浮いている岩を敵に落とすこともできたりして、謎解きというほどではないですが、仕掛けが多いエリアになっています。
──ここで登場した大唾拉(だいだら)というボスのビジュアルやゲームデザインについて教えてください。
二瓶
デザインは、1作目の『鬼武者』に登場するオズリックというキャラクターへのオマージュになっています。食いしん坊の幻魔で、魂を食ってお腹が膨れたり、そのお腹を斬ると体勢を崩したりと、性格をバトルのギミックにも反映させています。
ちなみに、フィールド上には即身仏がたくさんあるんですが、大唾拉が武器を振ると、即身仏が武器にくっつくことがあるんです。大唾拉はそれすら食べてパワーアップしてしまいます。
ただ、動き自体は大雑把で、武器も大ぶりなので、体験版でも戦える佐々木巌流よりは戦いやすいと感じる方も多いかもしれません。攻撃自体は豪快なので、食らったときの痛さはかなりのものですが……。ともかく、人間とは違う幻魔のスケール感だけでなく、ユニークさも併せ持った敵に仕上げました。

──「先に魂を食われてしまうかもしれない」というプレッシャーが、武蔵の魂吸収との新しい駆け引きを生んでいると感じました。こうしたギミックは、ほかの敵にもあるのでしょうか。
二瓶
はい。魂吸収をすると強化状態になって武器が変形する、より広範囲の技を使えるようになるなど、敵が魂を食うことでアクションが変化する要素は、ほかの敵でも登場します。
──以前の『鬼武者』シリーズにはなかった要素ですね。
二瓶
そうなんです。これは、『鬼武者』らしさを現代的に進化させた部分のひとつです。そのプロトタイプで最初に作ったのが大唾拉なので、「魂の駆け引きを持つ、新たな鬼武者とは」ということを考えながら作った、思い入れのある幻魔でもあります。
──これまでの『鬼武者』はわりと主人公が黙々と敵を斬り進むといったイメージでしたが、籠手の中にいる鬼の佳人との掛け合いが多く、それだけでも新鮮さがありました。
二瓶
籠手がしゃべるというアイデアも、わりと初期段階からあった要素です。宮本武蔵というキャラクター像を作る際、若い時は剣に没頭していて、ほかのことは疎いんじゃないかなと思ったんです。晩年は書もしたためるほどの人物にはなりますが。
そのため、知識があり、かつ掛け合いで京都や鬼、幻魔のことなどを教えてくれる存在が必要だと考えました。そうして生まれたのが、鬼の佳人との掛け合いですね。
──ちなみに、鬼の佳人ですが、さらっと静御前という名前が登場しちゃっていますがこれは……?
門脇
こちらもノーコメントで(笑)。
