2026年2月12日、いよいよ発売となった『龍が如く』シリーズ最新作『龍が如く 極3 / 龍が如く3 外伝 Dark Ties』。本作は2作品をまとめて1本に収録するというこれまでにない試みを行い、つねに新たな挑戦を続ける“龍が如くスタジオ”らしいタイトルとなっている。そんな本作はどのような想いで作り上げられたのか。開発陣を牽引するプロデューサー兼ディレクターの堀井亮佑氏に、本作の裏話を徹底的に語ってもらった。
堀井亮佑(ほりいりょうすけ)
「龍が如くスタジオ」所属。龍が如くシリーズ・チーフディレクター。『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』では、プロデューサーとディレクターを兼任。カラオケ好きで、持ち歌は約9000曲。その特技を活かして『龍3』ではカラオケを開発し作詞も担当。以降も『龍が如く』のカラオケを支え続ける。現在は作詞家としても活動中。
※インタビュー中では、『龍が如く 極3』を『極3』、『龍が如く3外伝 Dark Ties』を『3外伝』、『龍が如く0 誓いの場所』を『龍0』、『龍が如く極』を『極』、『龍が如く極2』を『極2』、『龍が如く3』を『龍3』『龍が如く7外伝 名を消した男』を『7外伝』、『龍が如く8』を『龍8』、『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』を『8外伝』と表記しています。『龍が如く3』を大事にしつつも頼らずに変えていく
――まず、『極3/3外伝』を開発するにあたり、堀井さんの中で最初に重要視していたコンセプトから教えていただけますか?
堀井
『極3』はリメイクになるので「どこまで変えていいか、どこまで変えないか」といった部分は最初に悩んだところです。とくに原作の『龍3』は、いわば“ゲームとしての『龍が如く』のベースができたタイトル”だと思っていましたから。カラオケが入ったのも『龍3』からですし。
――まだセガに入社して数年の堀井さんが担当されたのがカラオケでしたね。そういう意味ではかなり思い入れがありそうです。
堀井
もちろん僕だけじゃなく、スタジオとして見ても思い入れのあるタイトル、大事なタイトルと言えます。その一方で、オリジナルの『龍3』自体はいまでもリマスター版が気軽に遊べますから、リメイクで同じようなものを作っても意味がない。だからこそ、変えることを恐れたくないというか、“『極3』として世に送り出す意味”を持たせたかったんです。
――だからこそキャッチコピーにあるように“伝説を変える”ことを決めたのですね。
堀井
そうです。このコピーは横山(横山昌義氏。“龍が如くスタジオ”代表)が発案したんですが、やるなら思いきりやろう、と。もちろんメインストーリーの軸はある種変えられない部分ですが、それ以外のところは変えることをいとわない。“『龍3』を大事にするけれど頼らない”というところは最初に決めました。
――さすがにメインストーリーをがっつり変えるというわけにはいかないと。
堀井
ええ。メインストーリーの軸自体を変えてしまうと、ゲーム全体が変わってしまいますから。たとえば「アサガオは沖縄じゃなく、鳥取にあることにしました!」なんていうのはさすがにダメでしょう?(笑)
――あはははは(笑)。それはダメですねぇ。
堀井
だからそのような軸は変えないようにしたのですが、それ以外の部分で改めて『龍3』を見直すと、“ゲームデザインとしての粗”のような部分がけっこうあるんです。たとえば“沖縄編が短い”といった部分もそうですし、ストーリー的にも「峯はどうしてこう動いたの?」とか、「沖縄リゾート問題って、けっきょくどうなったの?」といった部分の説明がわりと薄い。いわば、けっこうスピーディーに物語を駆け抜けるタイトルだったんです。
――確かに、いまふり返るとスピーディーだった印象があります。
堀井
ですのでそういった箇所を見直して、「いまならここにイベントを入れるよね」とか、「ここの章をもう少しやり甲斐のあるものにしたいよね」という部分をすべて洗い出しました。そのうえで「こういうストーリーを追加しよう」、「こういう後日談を入れて深みを持たせよう」と、どんどん決めていった感じです。
――『極3』の開発に着手するよりも前の段階から、「いまだったらこうしたい」と思っていた部分もあったのでしょうか?
堀井
アサガオまわりのエピソードがまさにそうでしたね。アサガオって、『龍3』でしか描けない要素じゃないですか。
――そうですね。
堀井
開発当時はこんなにシリーズが長く続くと思っていなかったという部分もありますが、その後シリーズが続き『7外伝』や『龍8』で桐生が50代後半になったことで、アサガオの子どもたちの重要性が増したと思うんです。たとえ劇中には直接出ていなくても、歳を重ねた桐生の心の中には、家族やカタギの象徴としてアサガオの子どもたちが存在している。桐生がそこから離れれば離れるほど、アサガオのかけがえのなさや、大切さが増していくんです。なので『極3』でもう一度アサガオを描くなら、『龍3』のときのエピソードだけで終わらせてしまうのはどうだろうと。
――もっと描けることがあるだろう、と?
堀井
はい。だからもしも『極3』を作ることがあれば、桐生にきちんと子どもたちと向き合う機会や、父親らしいことをさせる機会を絶対に入れたいと前々から思っていました。そのため、“アサガオライフ”は僕が作った『極3』の企画書の第1稿から入れています。
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――後の作品でアサガオの子どもたちとの写真を見たら、以前よりもっと感じるものが大きくなるように……と?
堀井
実際、『7外伝』をプレイした後に『極3』をプレイしたら号泣だと思いますよ。『7外伝』や『龍8』で感動した方は、「ああ、小さいころの太一だ!」といった感じで、『極3』でエモさを感じてもらえるのではないでしょうか。
――あるいは、その逆の遊びかたでもいいかもしれないですね。『極3』のあとで『7外伝』や『龍8』をプレイするとか。
堀井
それもいいと思います。
ずっと作ってみたかった“ヤンキーもの”のコンテンツ
――先ほど初期の企画書のお話が出ましたが、初期からやろうと思って盛り込んでいた要素としては、ほかにどんなものがあったのでしょう?
堀井
わりと初期の段階から、いま『極3』に入っている要素は全部入っていたと思います。 “ツッパリの龍”も「桐生がうっかりレディースチームに入ってしまった!」といった企画説明ページは当初から入っていました。
――ちなみに、どこからそのネタが出てきたのですか?
堀井
僕自身がヤンキーものの作品が好きだったこともあって、いつかやってみたかったのですが、「60歳近くなった桐生にやらせるのはさすがに……」と思っていたんです。そんな中、『極3』はひさびさに過去の桐生を主人公にして作れる作品ですから、「40歳チョイなら、ギリギリ……いけるかも?」と。
――ギリギリ……ですかね?(笑)
堀井
この先は歳をとるだけなので、ギリギリですね(笑)。あとは、仲間を集めて戦う集団バトルを『7外伝』で採用した結果、楽しかったですし、ああいったバトルコンテンツがファンの皆さんの中でも好評だったという点があります。また、育成を絡めたコンテンツも入れたかったので、そういった要素を含んだヤンキーものコンテンツとして“ツッパリの龍”が生まれました。あと、『極3』のメインストーリーは沖縄と東京をまたぐ話ですが、“ツッパリの龍”もそういう物語なんですよ。
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――東京のチームが地元の沖縄に攻めてきて……といった感じですよね。そこに堀井さんの好きなヤンキー漫画のエッセンスを入れつつ?
堀井
はい。僕の好きなヤンキー漫画は、いま見たらちょっとダサい「夜露死苦!」のような感じで、そういうコテコテさは意識しています。
――『疾風伝説 特攻の拓』とか?
堀井
そうですね。あとは『カメレオン』なども好きでした。いまのヤンキー漫画はスタイリッシュなものが多いですけど、それよりも、かつての古きよきヤンキー漫画の要素を、リスペクトを込めてちゃんと出したかった。そのほうがギャップもあって楽しいかなと。
――海外の方の反応が楽しみです。
堀井
そうですね。ヤンキー文化がどう受け取られるのかは未知数の部分もあるので、反応が楽しみです。
――ちなみに、チームをあえてレディースにしたのは、華やかさを出したかったからですか?
堀井
最初は男どうしのバトルも考えたのですが、やっぱり新鮮さが欲しいという気持ちがありました。
――確かに、桐生が不良グループに入るだけだと、ふつうのイメージですね。
堀井
そうなんです。ですからレディースチームにしようというのは、最初から決めていました。さらに弱いチームの味方をするという点でも桐生の性格とすごくマッチして、いい感じの落としどころになったと思います。
和田アキ子さんの出演と開発チームの盛り上がり
――企画書の段階で、すでに“ツッパリの龍”の原案があったとのことですが、『極3』に出演する和田アキ子さんのキャスティングも、やはりレディースのエピソードに合う人としてオファーされたのでしょうか。
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堀井
じつは、ぜんぜん関係がないんですよ。
――意外! そうなんですね。
堀井
メインのキャスティングがだいたい終わったころだったと思いますが、キャスティング面でもうひとつくらいパンチが欲しいと感じていました。メインキャストではない配役で、『龍が如く』らしい、サプライズな感じのキャストというか……。
――サブストーリーに出てきてびっくり、みたいな方を。
堀井
そうです。「こんな人が出演して、いったいどうなるの!?」といった感じのワクワク感を出してくれるキャストが欲しかったんです。そこで、僕が山藤(山藤雅也氏。『龍が如く』シリーズグローバルプロダクトマネージャー)に「アッコさんならみんなが知っているし、出演してもらったらびっくりすると思うんだけど……知り合いだったりしない?」みたいな話をして。
――ほうほう。
堀井
もちろん「知り合いなわけないでしょ」みたいな話をされ(笑)。
――ですよねえ(笑)。
堀井
「じゃあ、ダメもとで聞いてみて!」と頼んでみたところ、「ゲームは知らないけれど、ちょっと興味はあります」というようなお返事をいただきました。そこから、“『龍が如く』とは?”というムービーや資料を作って、プレゼンさせていただきました。結果的に興味を持ってくださって、出演いただけたという経緯です。
――なるほど。堀井さん発案ではあるものの、その理由はまったく“ツッパリの龍”から生まれたものではなかったわけですね。
堀井
そうなんです。へんにロジカルにあれこれ考えたわけではなく、直感ですね。アッコさんなら出演していただくだけでインパクトがありますし、ファンから見ても開発チーム目線で見てもワクワクできますからね。で、せっかくオーケーをいただいたので、「歌も歌っていただけないでしょうか?」と聞いてみたりして。
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――それはもう、お願いしますよね。
堀井
オーケーをもらえたので、さらに「あわよくば、バトルもしてほしいんですけれど……」なんてお願いもしました。収録もすごく楽しかったですし、その前段階の「アッコさんにどんなことをしてもらおうか?」ということを考えている時もすごく楽しかったです。開発時は“アッコさんミーティング”を開いたところ、チームのメンバーもノリノリで。
――すごい名前のミーティングですね(笑)。
堀井
「アッコさんには何を持って攻撃してもらいますか?」といったことを、真面目に議論しました。「鐘を鳴らしたいなら、『北斗が如く』のときに作った鐘をベースにして使えばいけそうです!」なんて言って、和気あいあいと(笑)。
結果的に、歌もすごいですし、バトルに巻き込んでも合うしと、『龍が如く』には本当にピッタリな方でした。正式に出演が決まったときは本当にうれしかったですし、いまでも本当に光栄なことだと思っています。
――大御所だからこそ、若い世代の作るものに乗ってくれる、といったところはあるのかもしれないですね。
堀井
ええ、懐が深い方でした。収録当日もすごく前のめりで参加していただいて。ありがたかったですね。
桐生と峯の個性を活かしたバトルに対するコダワリ
――バトル周りについても、本作ではいろいろと新要素がありますが、どのような方向性で調整されたのでしょうか。
堀井
バトル自体も『龍3』を引きずりすぎないことを重要視していました。ですから本作ではドラゴンエンジンの最新版を使いつつ、直近の『8外伝』などを遊んでくださった方にも楽しさ、爽快感が得られるようにバトルを作っています。
――過去作の技も復刻されているようです。
堀井
後の作品の桐生は「この年齢でこんな技は使わないでしょ?」という観点で、桐生の年齢にあわせてバトルの技を入れ換えてどんどん洗練させています。けれども『極3』の桐生はまだ若いので、当時にしか使っていなかったプロレスのような派手な技の一部を復活させています。昔の技を入れつつも、最新のエンジンによる動きと組み合わせているので、楽しんでいただけると思います。
――琉球スタイルでは複数の琉球武器を使えるという形になっていますが、これは舞台である沖縄に合わせて採用されたのでしょうか?
堀井
最近の『龍が如く』は、基本的にふたつのバトルスタイルがあります。複数のバトルスタイルがあったほうが楽しいですし、プレイヤーの皆さんの評判もいい。そうなったとき、ひとつは“堂島の龍・極”で落ち着いたのですが、その対になるものが欲しかったんです。ただ、素手で2スタイルというのは難しい。どうしても“荒っぽいものとシャープなもの”のような差別化しかできず、抜本的に変えられないのです。
――そうですね。
堀井
それなら、『8外伝』のパイレーツスタイルのように、武器の爽快感を味わえたほうがいいだろうと。あとは、沖縄にちなんだ武器というものを調べたら、そういう武器を扱う古武術があるということがわかりました。「じゃあこれを琉球スタイルとして採用しよう」と。力也が「ステゴロで勝負だ」なんて言っているなか、鎖鎌をブンブン振り回したりするのは、ちょっとズルいですけどね(笑)。
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――確かに(笑)。ほかにも、その割り切りに近いものとして感じたのは、桐生は神室町でスーツを着ている状態でも、琉球武器でガンガン攻撃することができますよね。そのギャップがおもしろかったです。
堀井
かりゆしファッションだと琉球スタイルが馴染んでいますが、スーツを着ると急に違和感が出ますよね(笑)。ただ、そこも割り切ってのことです。昔の『龍が如く』ならやらなかったかもしれないですが、いまは服もコーディネートで自由に替えられますし、こちらでむやみに縛らず皆さんが好きに選べたほうが楽しいと思うので、そういう方向に舵を切りました。
――一方で『3外伝』の峯は、通常アクションで相手を踏み台にした空中殺法なども使えます。『龍が如く』シリーズでは『8外伝』で初めて空中コンボ的な要素が採用されましたが、やはりそこで培ったノウハウが活かされているのでしょうか?
堀井
技術やノウハウというより、「『8外伝』であれだけ空中に飛ばしてもなんとかなったから」というのが大きな理由ですね(笑)。
――予想外の理由でした(笑)。
堀井
実際に作ってみたら、ハワイよりも狭くて天井の低い施設も多い神室町でも「このくらいの縦の動きなら違和感なく成立させられそうだ」という話になりまして。とはいえ、『8外伝』のように峯にもジャンプをさせて……というのは二番煎じになってしまいますし、キャラクターにも合いませんから、今回は新たな空中アクションという形で入れてみました。
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――さらに峯には闇覚醒という要素もあって、スタイルチェンジがなくても1.5スタイルあるような形になりました。こういう形になった経緯を教えていただけますか。
堀井
そこは桐生との対比もあるのですが、桐生はちょっと荒々しい感じでアクションを作っています。それに対して峯はクールな人間ですから、やっぱりクール系のスタイリッシュアクションを軸にすることを最初から決めていました。ただ、峯は単にクールなだけじゃなく、けっこうヤバいやつじゃないですか。キレたら何をするかわからないような。
――そうですね。かなり残虐なこともしますし……。
堀井
そういう、内に狂気を秘めているキャラクターなんです。そんな“キレたら怖い”感じを出したくてトライしたのが、闇覚醒という仕組みになります。
――闇覚醒をするにはチャージ時間が必要で、さらに1~3の何段階目まで覚醒させるのかという戦略性もあって、斬新でした。
堀井
“闇覚醒をどこで使うか”といった戦略性の部分はちゃんと作りたかったので、そのあたりはもともと意識していました。
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並行して開発する作品が今後の『龍が如く』の進化のカギに!?
――バトル面はいろいろと変わってはいますが、全体的にはいまのゲームのトレンドに沿ったアクションの印象です。
堀井
そうですね。今回はジャスト回避やジャストガードのような要素を採用し、その気持ちよさがちょっと強めに出るように調整しています。ですので従来よりも、バトルの“正解”のようなものがわかりやすくなっていると思います。これまでの『龍が如く』のバトルは、「適当にガチャガチャやったら倒したけれど、正解はよくわからなかった」のようなことも多かったですから。いわゆる“正攻法”がそれほどないと言うか……。
――そうかもしれないですね。
堀井
それに対し今回は「敵の必殺技を避ければ大チャンスに!」みたいなわかりやすさを出しているので、そこはポイントかもしれません。ただ、僕はアクションが下手でジャストガードができないので……僕と同じような方は、寿司折や弁当などのアイテムで体力回復をしてがんばっていただければと(笑)。
――それがオーケーなのも『龍が如く』ですからね。
堀井
はい。そして回復アイテムを買うお金を貯めるためにも、アサガオライフをがんばってほしいですね。
――本作もお金は重要ですか?
堀井
お金は成長の根源になっているので、重要です。桐生などはとくに金欠になりがちなので、しっかり稼いでおいたほうがいいでしょう。
――少し話は逸れるのですが、“龍が如くスタジオ”はいま『New VIRTUA FIGHTER』プロジェクトとして新作を開発しています。そういった、格闘ゲームを手掛けるスタッフとの横のつながりというか、『龍が如く』チームへのフィードバックのようなものはあるものでしょうか?
堀井
同じ部署で開発しているので、技術交換はすべてのパートでつねに行っています。ただ、『龍が如く』のアクションは格闘ゲームとは違って「連打していれば最強!」のような方向性ですから。
――そうですね。方向性は違います。
堀井
一方で、格闘ゲームは「どれだけ自分が入力したものが誠実に反映されて、どうなるか」という“理不尽さを感じない設計”が大事だと思います。真逆な部分も多いので、よい情報や技術は交換しつつも、お互いに変に引っ張られないように気を付けてはいます。ただ、並行して開発していることで、「やっぱり『龍が如く』はこうすべき」という部分を見直す機会にもなっているので、すごく刺激にはなりますね。あとはもちろん、シェーダー(3Dの陰影処理)などをはじめ、表現や技術的の部分では参考になることも多く、よい影響を受けていると思います。
――どんなゲームでも必要になる技術の部分ですからね。
堀井
ちなみに新作『STRANGER THAN HEAVEN』(ストレンジャー ザン ヘヴン)も同様で、その開発過程では『龍が如く』にはない要素や機能、ノウハウも多く蓄えられています。それは、今後『龍が如く』が続いていくのだとしたら、新たな技術として入ってくると思いますし、これから『龍が如く』が進化するカギにもなってくるのかなと思います。
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2009年の時代感は大切にしつつ捨てるものは捨てて新しく
――脱線してしまったので話を戻します。『龍3』では技を教えてくれる師匠が何人か登場しましたが、今回の『極3』では琉球武器を使えるようになり、その師匠がミヤさんになりました。師匠的な立ち位置は、このミヤさんに統合された感じですか?
堀井
そうですね。本作で師匠的な立ち位置の人物はミヤさんだけです。というのも、『龍3』はよくも悪くも師匠が分かれていて、それぞれ個別に修行しないと技を習得できないという仕組みでした。これがいまの時代のゲームスタイルとしては少し合わないな、と感じまして。桐生も途中から東京へ行ってしまいますし。
――技を教えてもらえないタイミングが出てきますからね。
堀井
そのあたりも含めてデメリットも多い仕様だったので、『極3』の成長や能力強化については最近の流れを踏襲し、メインメニューからできるようにしました。とはいえ、琉球スタイルの一部の技を師匠から継承するという要素は欲しいので、ミヤさんという師匠を据えた形です。彼の道場で修行することで、新たな技が解放されるという要素もあります。ただ、修行をしなくても琉球スタイルを成長させることはできるので、そういった意味では自由度が増しているとは思います。
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――『龍3』にあった天啓も今回はなくなっていますが。
堀井
天啓については「楽しかった」という方もいて、愛着があるスタッフもいるのですが、いかんせん作るのがたいへんでして(笑)。同じネタをまた出しても「うん、懐かしかったね」で終わってしまいますし。それなら、そのぶん新しいものを入れるほうに力を入れたいと考え、思い切ってカットしました。変えたというところで言うと、サブストーリーなどもほぼ書き直しています。オリジナルからそのままのものは、ほぼないのでは? というくらいに。
――そこも思い切って。
堀井
ええ、変えました。新ネタが7割で、残りの3割も書き直しているので、『龍3』そのままのサブストーリーはないと思っていただければ。同じエピソードが出てくること自体は問題ないのですが、当時のものはテキストが拙かった部分もあって。最近のサブストーリーは演出にもこだわってよりドラマチックに作っているので、そこに昔のものをそのまま持って来ても、うまくハマらないんですよね。
――確かに、サブストーリーのカメラワークや演出などは、作品を重ねるごとに洗練されていきましたからね。
堀井
そういう意味でも『極3』は“新作”だと思っていて、遊んでもらえると似ているようでかなり違うことがわかると思います。
――新規のサブストーリーも、2009年という時代背景を意識したものなのでしょうか。
堀井
基本はそうですね。ただゲームとして古くさくしては意味がないので、ゲーム体験自体は最新の作りにしています。そのうえで、世界観や設定は2009年らしさを体現することにこだわりました。安西ひろこさんや若槻千夏さんが表紙を飾っている当時の雑誌を資料にしたりしています(笑)。
――当時の最前線ですね。
堀井
また、当時といえば携帯電話=“ガラケー”の時代ですから、赤外線通信のような“赤い糸通信”というものを入れてみたり、着信音を変えられるようにしたり……そういう部分もがんばっています。
――携帯電話のカスタマイズについては、思った以上にゲームに影響する要素があって驚きました。待ち受けやストラップで桐生の性能が向上したり。
堀井
そのあたりは『8外伝』にあった指輪に近い要素ですね。今回もパラメーター以外で強化する要素を考えた結果、2009年なら時代感を出す意味でもガラケーじゃないかと。そもそもガラケー自体にカスタマイズ性がすごくありましたし、そこに能力強化を入れるのがしっくりくるのではと考えました。
――カスタムしたガラケーが、作中のイベントシーンでちゃんと出てくる点にもコダワリを感じました。
堀井
イベントシーンに反映されるかは設定で選べるようになっていますが、反映もできるようにしたほうが楽しいかなと。僕はカスタマイズのすべてをアッコさん関連のものにしていたりしますが、柏木さんから電話がかかってきたときにそのガラケーが出てくると、かなりおもしろいです(笑)。
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――そのあたりは、コーディネートと同じですね。
堀井
ええ。コーディネートもイベントに反映するかはお好みで遊んでもらえればと思います。
――能力強化で言うと、スキルツリーという形も『龍が如く』シリーズではひさびさな気がしました。
堀井
今回バトルを担当しているのが若手の南(亮雅氏。『龍8』でもバトルを担当)というスタッフなのですが、スキルツリー大好き人間でして。だから彼に「やりたいならいいよ」という感じで作ってもらいました。
――軽い(笑)。
堀井
いや、ちゃんとした理由ももちろんありますよ?(笑) 今回『極3』と『3外伝』という2作品が収録されているので、能力強化まわりはスッキリさせたかったんですよね。ただでさえ、琉球スタイルには武器が8個出てきますから。そこをゴチャつかせるのもよくないので、「これを強くすれば大丈夫」ということがわかりやすいように、シンプルな形に着地させました。
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ゲームに落とし込みたかった子育てのたいへんさ
――続いてサイドコンテンツについてうかがいます。アサガオライフの軸になる料理は、レシピで使う材料も多彩で、けっこう歯ごたえがある内容になっていますね。
堀井
“料理の新しいレシピを作る”ことがアサガオライフのストーリーの軸になっていて、それを作るためには素材を集めるだけではなく、パパランクを上げる必要があります。そのために、魚を獲ったり、宿題を見てあげたりするという流れですね。最終的には“ドラゴン北京ダック”などを作ることになります。もう、ドラゴンなのかダックなのかわからないですけど(笑)。
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――子どもたちに北京ダックを振る舞うのもスゴイですね(笑)。ちなみに、最初はドラゴンカレーを作りますが、ミニゲームに失敗して出来がイマイチだと、子どもたちの反応も変わるのですか?
堀井
露骨には口に出さないですけど、「でも、まあ……うん」みたいな反応になることはありますね。
――子どもたちなりのやさしさですね(笑)。
堀井
宿題(クイズ)などでも不合格だと「おじさんこのくらいなんだ。まあいいか、ありがとう」みたいな反応をすることもあります。
――合格と不合格の両パターン見たくなりますね(笑)。そして、アサガオライフのミニゲームの中でも“さいほう”が話題になりましたが、裁縫をチョイスした理由は何だったのでしょう?
堀井
アサガオライフ自体をコンテンツにすることは最初から決めていたのですが、その軸は“家事”にしたかったんです。子育てってけっきょく、軸は家事の積み重ねなんですよね。僕にも子どもがいますが、やっぱり毎日ご飯を作ったり洗濯をしたりするのって、本当にたいへんで。
――そうですね。
堀井
だから桐生にも、そういうたいへんなことをしてほしかったんです。そのため開発時は、最初に桐生が難しいと思いそうな家事をリストアップしていき、その中でゲームにするならどれだろう、という感じで選びました。“さいほう”は、わりと初期に決まりましたね。最初は編み物をさせようとしていたのですが、いい感じのゲームにならなくて。
――結果、ミシンがレースゲームに(笑)。
堀井
それは、本作における僕のグッジョブポイントですね(笑)。裁縫をテーマにしてスタッフにアイデアを出してもらったのですが、型抜きみたいな案もありつつ、ゲームとしてなかなかハマらず……。それでずっと考えていたら、「あ、ミシンって『アウトラン』じゃん!」と思いついたんです。『アウトラン』も、動いているのは車ではなくコース側ですから。
――加速・減速がボタンというのも秀逸で。足踏みコントローラを使わない人のミシンは同じ作業をしているよな、と感心しました。
堀井
難産でしたけど、うまくできましたね。その後『アウトラン』っぽくなってからも「画面に桐生の顔を絶対に入れたい!」と言い続けていました。スタッフには「姿勢的に成立しないですよ」とか言われましたが。
――成立するとかしないとかではなく……。
堀井
「成立させるんだよ!」と(笑)。「桐生の顔、いらなくないですか?」、「いや絶対にいる! なにがなんでも成立させて!」というようなやり取りをして、ああいう画面に着地することができました。
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――コースアウトが続くと、流血するところも芸が細かかったです。
堀井
失敗すると指を切っちゃうよな、と思いまして。
――笑ったと言えば、アサガオライフの冒頭で、遥たちが桐生の家事のできなさを煽ってくるところもよかったです。
堀井
「おじさんには無理だよね」みたいなところですね。
――そうです、そうです。
堀井
当時の桐生は、まだカタギとしての人生経験が少ないんです。その後のシリーズではタクシードライバーなどを経験しますけど、まだできないことが多い。それもあって、遥たちがちょっと煽っている感じにしました。あと、桐生自身もそこを気にしているんですよね。「誰も俺に宿題を聞きに来ない」とか(笑)。
――子どもたちも桐生ではなく遥に「ご飯は?」と聞きにいきますしね。
堀井
それまでは、基本的に遥が全部やっていたので、桐生は家庭で戦力と思われていないんです。そういう肩身の狭さは桐生にもあるはずで、そこはちゃんと描きたかったんですよね。ただ、桐生が父親として目覚め、子どもたちとの絆が深まっていくところもしっかり描いていますから、アサガオライフの終盤は感動すると思いますよ。
――絆ストーリーは子どもたちそれぞれにあるのですか?
堀井
はい。親密度を上げていくことで段階的にサブストーリーのようなエピソードが展開します。たとえば、桐生がある子どもに対して「あれ? いじめられているのかな?」と気づくのですが、最初は子どもから言ってくることはありません。でも、絆が芽生えてくると、「おじさんに相談しようかな」という気持ちになっていく。そんな流れをいい感じに作ることができました。ただのイベントという感じではなく、日々の生活とつながっている感じがすごく出ていて、自分でも気に入っています。
――確かに『龍3』では、そこまで深い掘り下げはありませんでした。
堀井
いわば“子育て”そのものをゲームにしたかったんです。子育てって“イベントに顔を出して、お小遣いを渡して、いい顔して終わり”というわけにはいきません。毎日の積み重ね……面倒くさいこともやっていかなければ信頼は得られない。そういう積み重ねこそが大事だと思っていますし、ゲームでもそこを軸にしたかったんです。
――かつて20歳前後で『龍3』を遊んだ人は、絶賛子育て中だったりするかもしれないですね。
堀井
いままさにパパやママとしてがんばっている方も大勢いると思いますし、ご自身と照らし合わせながら『極3』で遊んでいただけるとうれしいです。
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パッケージのイラストには隠されたメッセージが
――アサガオライフは桐生と子どもたちの交流を描くものですが、それに相当する峯のコンテンツが“神田カリスマプロジェクト”だと思います。このコンテンツの見どころをズバリ教えていただけますか?
堀井
神田との交流という点では、彼は『3外伝』のヒロインと言ってもいいかもしれません(笑)。
――あの神田が!(笑)
堀井
皆さんが想像している以上に、『3外伝』には神田がいっぱい出てくると思います。当然、神田とのコミュニケーションは大事になります。ちなみになぜこのコンテンツを入れたのかと言えば、“峯に何かをやらせたくても、峯は自分のために人助けをするようなキャラクターではない”からなんです。桐生だったら、積極的に街の人々を助けても違和感はありませんが。
――そうですね。峯なら積極的な人助けはしなさそうです。
堀井
でもそのままだと、峯のサブストーリーは作れません。そのあたりも踏まえて“神田の命令”という形で、峯に『龍が如く』らしいさまざまなことをさせるというのが、神田カリスマプロジェクトの起点でした。
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――なるほど。それなら無理がないですね。
堀井
ただ、峯は正義感で行動する人間ではないので、たとえばむやみに身体を売ろうとしている女性に対して桐生なら人の道を説いたりもしますが、峯はしない。彼はヤクザですし、人の道を説く権利がないと思っている人間なんです。とはいえ、その女性を止めたいという感情自体はあるので、説教ではない形で峯なりのアドバイスをする。そのあたりは神経を使って作っています。
――これまでの『龍が如く』シリーズの主人公にはいないタイプですから、気を遣いますよね。
堀井
結果、峯の人間性の出しかたはすごくいい仕上がりになりました。あと、峯ってひとり語りが多いんです。自分の内なる声との対話と言いましょうか。
――序盤ですが、峯の大吾に対する「失望した」という心の声はけっこうインパクトがありました。
堀井
あれは、開発内でもちょっと流行っています。しょうもない内容の会議が終わったときとかに「失望した」と言ったりして(笑)。
――汎用性も高そうです(笑)。
堀井
ちなみに本作のパッケージに描かれているセリフも、峯自身の心の声になります。セリフで縛られているようにも見えるデザインになっているかと思いますが、峯の場合は自縄自縛というか、自分のコンプレックスなどが書かれている形です。
――そういう意味合いがあったのです。
堀井
逆に桐生側は、桐生自身の言葉はあまり書かれておらず、周囲の人の言葉に縛られているようなイメージですね。
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――つぎに『3外伝』のもうひとつのサイドコンテンツである、地下ファイトクラブ内の“サバイバル・ヘル”ですが、これまでにあったダンジョン探索要素とは少し方向性が異なりますね。
堀井
いままでの『龍が如く』シリーズにあったダンジョン探索とはちょっとルールを変えました。“探索しつつ、どこで脱出するかを判断する”ような戦略性のあるものを一度やってみたかったのですが、うまく入れられたと思います。
――サバイバル・ヘルを『3外伝』のほうに入れたのはなぜですか?
堀井
峯の物語は『極3』より短くなるので、必然的にバトルをする機会が減っていまいます。峯で戦いたい人からすれば、どうしても物足りない部分が出てきてしまうので、バトルをちゃんとやり込めるエンドコンテンツ的なものを入れたかったのです。
――なるほど。ちなみに『極3』におけるバトル面でのエンドコンテンツは何になるのでしょう?
堀井
いろいろあります。強い敵でおなじみの亜門は当然いますし、桐生も闘技場で戦うことができます。あとは、依頼で特定の敵を倒す“復讐者”についても、ラストのほうは難しくなっているので、“強さが求められるコンテンツ”はまんべんなく用意されていると思っていただいて問題ありません。
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クラシックゲームも豊富に用意。堀井氏イチ押しの『救急車』
――プレイスポットについてもおうかがいしたいのですが、基本的には過去にあったものを踏襲しつつチョイスされた形でしょうか。
堀井
そうですね。ただボウリングについては、じつはひさびさの復活なんです。昔からあったように思われがちですが、2016年の『極』以降、しばらくなくなっていました。あとは賭場の“こいこい”も復活ですね。新鮮味はないかもしれませんが、『極3』を機会に復活させてみようかなと。
――なるほど。あとは、カラオケにも新曲がありますね。
堀井
『パラリライ -しあわせが咲くように-』という沖縄っぽい曲があって、“みんなのうた“にあるような感じのイイ曲なのですが、その曲の映像シーンは過去イチでヤバいというか、「え、何を見せられているんだろう?」みたいなものになっています(笑)。
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――(笑)。ちなみに今回は何曲書き下ろされたんですか?
堀井
今回はカラオケの新曲が2曲ですね。あとはアッコさんや峯の歌もあるので、同じ曲でもバリエーションが増えています。アッコさんといっしょにカラオケに行ったときは、専用の合いの手もあります。「ゴーゴーアッコー!」みたいな(笑)。
――こだわっていますね! あとは、遊びの要素で言うと、ゲームギアがプレイできるようになっていて驚きました。
堀井
『パックマン』などのバンダイナムコエンターテインメントさまのタイトルも含め、タイトル数はめっちゃ入っています。
――そこも驚いた点です。
堀井
その手の話は、「龍が如くスタジオ」技術開発のトップである伊東(伊東豊氏)が持ってくるんです。「ゲームギアを入れたい。タイトル候補はこれなんだけど」って。で、「僕、『炎の闘球児 ドッジ弾平』が大好きだったんですけど、ダメですかね?」、「それはさすがに権利的に難しいんじゃないかな」みたいな話があり……。
――(笑)。
堀井
そんな話をしつつ、版権だったり技術だったりの問題をクリアーしていったら、結果的にこれだけの数を収録することができました。本当に開発スタッフや、ご協力いただいた関係者の皆様に感謝ですね。
――あと驚いたのが、アーケードゲームとして収録された『救急車』ですよ!
堀井
『救急車』、大好きなんですよ! 『極3』に収録するアーケード作品を決めるにあたり、“入れ替え作品リスト”のようなものがあったんのですが、「あ! 『救急車』があるじゃん! これ絶対やりたい!」って、即決でした。
――入れ替え作品リストというものがあるのですね。
堀井
ええ。そのリストも伊東が中心になって「技術的にこれはいけそう」、「これはいま遊ぶことができない作品だからやる価値がある」といった判断で選定するのですが、そこで『救急車』を見つけてしまいまして(笑)。
――いい意味でバカなゲームですよね(笑)。
堀井
いま考えると、よくあんなゲームが出せたなと思います(笑)。ですから『救急車』は『極3』の推しポイントのひとつですね。
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――そういった細かい遊びも含めて、本作は相当なボリュームになっている印象です。
堀井
そうですね。『龍3』と比べたら、相当長く遊べるものになっています。システムも遊びやすくなるようにかなり調整しました。もちろん、ストーリーも前より入り込みやすくなっていますから、すごくいい形のリメイクになったのではないでしょうか。
メインストーリー以外は、ほぼ新作。『極』や『極2』とは違う変更量
――『龍が如く』は、ある日突然SNSで話題になることがありますよね。カラオケの『ばかみたい』や『龍0』の佐川のセリフ「もう殺すしかなくなっちゃったよ」、最近では寿司折での体力回復なども話題になりました。
堀井
こちらとしてはとくに意図しているわけではないのですが……切り取りやすいんでしょうね。よく実況しやすいとも言われますから。
――どこが実況しやすさにつながっているのでしょう?
堀井
ツッコミどころが多いからだそうです(笑)。それは僕も大事にしている要素で、おもしろいものって、だいたいツッコミどころがあるんですよ。たとえば先ほど挙がった“さいほう”も、画面だけでツッコめる要素がいくつもある。それが大事だと思っていて、カラオケもそうですが各コンテンツを作る中で、つねに何かそういうネタが入れられないかは意識しています。あちこちにおもしろ要素を用意しておくことで、意図しない部分も含めてプレイヤーにおもしろがってもらえる。それが『龍が如く』の強みだと思っています。
――本作は、その強みに拍車がかかっている感があります。
堀井
そうですね。先にも述べましたがサブストーリーも大幅に変えていますし、サイドコンテンツで成長の軸も変わりました。メインストーリー以外はほぼ新作ですし、最近の『龍が如く』に求められているものは全部入っていると思っています。
――『極』や『極2』よりも変更の幅はかなり大きそうです。
堀井
そうですね。『極』や『極2』はもとの作品がPS2の作品ということもあり、中身を大きく変えなくても技術的な変化で“極クオリティー”と言えるだけの差を出せました。でも今回はそうではないので、アイデアや内容の部分でも以前よりも勇気を持って変えていく必要性があったんです。『龍3』と同じものを作るなら『龍3』をやればいいわけですから、出す意味がない。そこは冒頭でも触れましたが、譲れないところでした。それはキャスティングについてもそうです。
――そうですね。キャスティングでかなり印象が変わった感触はあります。
堀井
当然、人気キャラクターでもある力也のキャスト変更などは社内でも議論がありました。ただ『極3』では多くのシーンに力也が出てくるので、演技の方向性なども含め、力也が変わるとガラリと全体の印象が変わるんです。新作並みのフレッシュなプレイ感を出すことを目指すなら、やはりそこは勇気を持ってトライしよう、と。もちろん、だからと言って過去の力也をなくしたかったわけではありません。『龍3』の藤原竜也さんの力也も素晴らしいですし、『極3』の笠松将さんの力也も、違ったよさが出ていて素晴らしいと思っています。遊んでいただければ、どちらもすごく好きになっていただけると思います。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/65724/aca538c343179bf0fbdfab6cd10469afd.jpg?x=767)
――冒頭でもお話しされていましたが、いまでも『龍3』はリマスター版がPCなどで遊べる、イコール藤原さんの演技も堪能できますからね。
堀井
そうです。「人気だったから新作でもそのままにしておきましょう」というのは安全だしラクですが、それはクリエイターとしては健全ではないですし、姿勢としては不誠実だと思います。攻めの姿勢が売りのうちのスタジオならなおさらです。“極”シリーズと名乗るからには、僕らが胸を張れるもの、いま「いいね」と思えるものを作りたかった。なので『極3』はべつに『龍3』の上書きや否定をしたいわけではありません。あくまでも「いまの「龍が如くスタジオ」ならこう作りますよ」というものなんです。だから、『龍3』と『極3』は敵どうしじゃない。どちらも違って、どちらもいい。自分は両方好きです。
――では、最後にこれからゲームをプレイする皆さんに向けたメッセージをお願いします。
堀井
本作は“過去作を大事にしているからこそ変える”ことを意識して、僕たちが挑戦したタイトルです。軸は『龍3』と同じものですが、さまざまな部分を新たに作り直し、“新作”と呼ぶにふさわしい作品になりました。また、『3外伝』も峯というキャラクターを主人公にすることで、新たな『龍が如く』の楽しさが提示できたのではないかと思います。どちらも「おもしろいものができた!」と胸を張れるものになっていますので、ぜひ遊んでいただけるとうれしいです。
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