大堀康祐氏が代表を務めるゲーム開発会社マトリックスは、同社の新ブランドとして“マトリックスクリエイターズ”を設立。このブランドの第1弾として、見城こうじ氏による『骸ノ螺旋』と、海道賢仁氏による『逆道』(さかどう)がいよいよリリースを迎える(※)。
※『逆道』は2026年2月6日配信開始。 見城こうじ氏は『コズモギャング ザ ビデオ』、『ゼビウスアレンジメント』、『カスタムロボ』などを、海道賢仁氏は『ナイトストライカー』、『キャメルトライ』、『サルゲッチュ』などを手掛けている。
1980年代のアーケードタイトルからゲーム制作に携わり、数々の名作を世に送り出してきた両名は、当時のゲーム開発において念頭に置いてきた「開始1分でおもしろい」というキーワードを継承。開始後すぐに魅力を味わえるアクションゲームをマトリックスで開発したと言う。
両作品に込められた想いや開発秘話について、大堀社長を交えてお話を聞いた。余談だが、大堀氏は1980年代に『ゼビウス』のスーパープレイヤーであったことで有名だ。
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大堀康祐氏(おおほり やすひろ)
マトリックス代表取締役社長。
ナムコ(当時)にアルバイトとして入社し、ファミコン版『ドルアーガの塔』、後にサイトロン&アート社に入社、『サンリオカーニバル』の開発に携わる。
その後、フリーランスとなりメガドライブの『ランドストーカー ~皇帝の財宝~』の開発に参画。1994年にマトリックスを設立した。
見城こうじ氏(けんじょう こうじ)
ナムコ(当時)ではおもにアーケードゲームの開発に従事。1996年にノイズを立ち上げ、『カスタムロボ』シリーズを開発。大堀氏が代表を務めるゲーム文化保存研究所にてクラシックゲームの記事の制作も手掛けている。代表作に、『コズモギャング・ザ・ビデオ』、『コズモギャング・ザ・パズル』、『ゼビウスアレンジメント』など。
海道賢仁氏(かいどう けんじ)
タイトーにて、アーケードゲームやコンシューマーゲームなど、さまざまなゲームを開発。ソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)在籍時には、『サルゲッチュ』、『ICO』(プロデューサー)、『ワンダと巨像』(プロデューサー)など、同社を代表する人気作に携わった。“ぱぱら快刀”名義で、見城氏と同じくゲーム文化保存研究所の執筆にも携わる。
『骸ノ螺旋』
忍者の螺旋を操作して、無限とも思える塔を登る。レベルアップしてさまざまな攻撃を強化することで、どんどん螺旋は強くなっていく。
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『逆道』
1980年代のアーケードゲームが現代に蘇る。ヘリコプターに吊るされた男を操作して、振り子アクションで敵を倒す。もはや遊ぶしかない、逆にな。
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「もう1回」が合言葉。マトリックスクリエイターズのコンセプト
――マトリックスクリエイターズより『骸ノ螺旋』と『逆道』がいよいよリリースとなります。大堀さんより、このマトリックスクリエイターズがどういったコンセプトで立ち上がったものなのか、教えていただけますでしょうか。
大堀
⾃分はアーケードゲームという⽂化に非常に思い⼊れがあります。このアーケードゲームはハードもソフトも最初は海外の⼈が作ったものですが、これだけ大きくアーケードゲームという⽂化を成熟させたのは、紛れもなく自分たちの先輩である初期のアーケードゲームを作ってきた日本のクリエイターだと思っています。
このアーケードゲームの好きだったところを考えると、短時間で100円を取る遊び。言い換えると「100円を払ってでも味わいたいおもしろさ。ゲームオーバーになっても、もう1回遊びたいというおもしろさ」なんです。その100円を入れさせる遊びを作っている人たちは、本当にすごかったんだと振り返って思います。
――最初に100円を入れたくなって、ゲームオーバーになっても「くそっ、もう1回!」と思わせる魅力があったと。
大堀
100円ってかなり大きいですからね。自分もバカスカ投入して遊んでいましたけど、それだけ夢中になれるものだったんです。そういうゲームを作ってきたレジェンドクリエイターの方々に、継続してゲームを作ってほしいなという想いがすごくあります。
――当時のアーケードゲームのような魅力のあるゲームを。
大堀
当時言われていたのは、「1分でおもしろいってわかって、3分でゲームオーバーになってもらう」っていうゲームバランスですよね。言いかたは悪いですが、どんどんお金を払ってもらえるような。
――「3分100円」なんて言われていましたね。
大堀
その1分でおもしろいと思わせるような、凝縮された楽しさを提供できるゲームってすごいなと思って。そういうゲームを作ってきた方々に、いまの技術でゲームを作っていただきたいと。
――『骸ノ螺旋』と『逆道』には、おっしゃるような特徴がありそうだと感じますね。
大堀
自分は当時、ナムコ(当時)に拾ってもらい、そこでアルバイトをしつつ諸先輩にいろいろなゲームの作りかたを教えてもらったという経験があります。ふつうに学校を出てエントリーしていたら、多分入れなかったと思うんです。ある意味落ちこぼれでしたから。自分にはそういった経験があるので、今度は自分が“ゲームを作りたいという志のある人たちに交流やゲーム制作の場を提供していきたい”という思いがあるんです。
第1弾としては見城さんと海道さんという本当にレジェンドなクリエイターに開発をしていただいていますが、マトリックスクリエイターズでは今後もっとチャレンジの幅を広げていきたいと思っています。ゲームの開発規模としてはそれほど大きなものではないですが、大規模開発のゲームのように美麗なグラフィックではないけど、おもしろさが凝縮されたようなものを作っていきたいです。
海道
原点に戻りますよね。
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大堀
当時としてはグラフィックも最先端でしたけどね。グラフィックがすごくなくても、おもしろい開発はおもしろいじゃないですか。マトリックスは体力があるわけじゃないので、「期間は短い」とか「人員はあまり割けない」といった無体なことを言っていますが、アーケードゲームのように短時間でやっておもしろい、「もう1回」と思わせるくらいおもしろい。
そんなゲームを作ってほしくて、いま取り組んでいただいています。
――キーワードは「おもしろい」、「もう1回」ですね。今後は若いクリエイターの方もマトリックスクリエイターズに参画するような形になりますでしょうか。
大堀
誰でもウェルカムです。自分から誘うだけではなく、向こうから来てもらってもいいですね。見城さんも海道さんも、「ゲームを作りたい」という熱量があって、自分から進んでゲームを作っちゃうようなエネルギーのある人たちなんですよね。
この取り組みを知って「ああいうチャレンジはおもしろそうだな」「自分もぜひやりたい」という人がいたら、ぜひ来てほしいです。
――若いクリエイターと、レジェンドなクリエイターのコラボレーションも見てみたいですね。
大堀
おもしろそうですよね。いろいろな化学反応が生まれて、おもしろい企画が実現できたらいいですね。
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――今後の第2弾以降のタイトルなど、すでに企画されているものはありますか?
大堀
もちろん、構想はあります。この第1弾がリリースされたあとも、見城さんと海道さんには打席に立ち続けてホームランを狙っていただきますし。
海道
自分は、1打席目からホームラン打つつもりですけど(笑)。
大堀
もちろんホームランでもいいし、ツーベースヒットでもうれしいです(笑)。こういった試みを続けていきたいので、つぎにつながるようにどんどん盛り上げていきたいです。
――当時のゲームファンもいまのゲームファンも、両方が楽しめるゲームをたくさんリリースしてほしいですね。
大堀
命の続く限りがんばります。ふたりの活動を見たうえで「自分にもやらせてほしい」という同年代の人が来てもらってもうれしいです。
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「台風の中を突き進むようなゲーム」。見城こうじ氏が手掛ける『骸ノ螺旋』の魅力
――続いては、おふたりが開発されているゲームのお話をお聞きできればと思います。まずは『骸ノ螺旋』について。本作はどういったアイデアからゲームの企画を生み出したのでしょうか。
見城
自分は、しばらくのあいだ自分で納得のできるゲームがあまり作れていませんでした。ここ5年10年ぐらいはずっとインディーゲーム、とくに海外のゲームを遊んでいて、自分はどんなゲームが好きなのか、作りたいのかをずっと模索していました。
最近の海外のインディーゲームでは、ローグライト系のゲームが人気ですよね。有名なところだと『ヴァンパイア・サバイバーズ』だったり、『ハデス』だったり、『スレイ・ザ・スパイア』だったり。『骸ノ螺旋』は、そういったゲームに触発された要素が多いです。
――ゲームシステム的には、ローグライト系の要素が採用され、何度も遊べるようなデザインになっています。
見城
まず、塔を上も下も関係なく登っていくというアイデアがひとつあって、それと『ヴァンパイア・サバイバーズ』のような弾を撃ちまくるというアイデアを組み合わせたゲームを作りたいと思っていました。
『ヴァンパイア・サバイバーズ』を見て思ったのが、ゲームは移動するだけっていうシンプルな内容なんだけど、それがめちゃめちゃおもしろいんですよ。実際大ヒットしていますし。
――見城さんも、ハマったんですね。
見城
ハマったし、ショックだったんですよ。僕らアーケードゲームファンは、ゲーム性とか戦略とか、そういった要素を作り込んだゲームが、まさにゲームだと考えがちです。でも、最近のインディーゲームを見ていると、そういうものがすべてではないんだなと、すごく新鮮だったんです。
そういうゲーム性と、もともとあった裏も表も重力も関係ないフィールドを進んでいくというアイデアと組み合わせたところから『骸ノ螺旋』はスタートしました。
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――大堀さんが最初に企画を見たときはどう思われましたか?
大堀
最初はぜんぜん内容が違っていたんですよね。
見城
たぶん大堀さんは、最初の企画は気に入っていませんでしたよね。
大堀
けっこう意見が衝突した記憶はあります。でも、最終的にはおもしろい形に落ち着いたかなとは思います。
――本作の操作はスティック1本とボタンひとつというシンプルなものですが、そのシンプルさが見城さんらしいなと(※)。
※『コズモギャング ザ ビデオ』、『コズモギャング ザ パズル』なども1レバー+1ボタンというスタイルだった。見城
ありがとうございます。確かに昔はシンプルな操作にこだわっていたときもありましたが、いまはケースバイケースだと考えています。複数のボタンをいくつも使っておもしろさを出すゲームもありますし。
――本作では最初からこういった操作にしようと?
見城
最初のプロトタイプでは、もっとシンプルだったんです。『ヴァンパイア・サバイバーズ』のように、基本は移動するだけという。
――移動だけで遊ぶんですね。
見城
現在は、ジャンプしたり重力を反転したりするのにボタンを使いますが、最初はボタンなしでやっていたんです。ジャンプゾーンの上に乗るとジャンプする、反転ゾーンの上でスティックを逆方向に入れると反転するように。ただ、そうするとシューティングゲームとして相性が悪く、スピード感が失われている印象があったんです。
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――爽快感に欠けると。
見城
やっぱりワンテンポ操作が遅れちゃうんですよね。移動だけのゲームにするというのはかなりこだわっていた部分だったんですけど、遊びやすさを優先して泣く泣くボタンをつけました。ボタンを押して弾を狙って撃つとか、タイミングを合わせて撃つみたいな要素も全部省いて、遊びやすさ、おもしろさを考えて現在の形になっています。
――ゲームの目的が、“とにかく上を目指していく”というのも、わかりやすいなと思いました。
見城
本当に単純明快なゲームにしたかったんです。パズルアクションというか、アスレチック的な、謎解きをしてマップを攻略して解いていくゲームにはしたくなかったんです。ほぼ何も考えなくていいシューティングゲームにするというアイデアもあったのですが、フィールドを作り込んでいったら思ったよりもちゃんとゲーム性が生まれてちょうどいいバランスになりました。
攻略して先に進むようなゲームにするつもりはなかったんですけど、おもしろいからいいやと。
――現在の形に仕上がったのは、ある意味偶然だったんですね。
見城
最新バージョンのものはいろいろな方に遊んでいただいて、皆さん「おもしろい」と言ってくださるようになってきました。思ったよりちゃんといいバランスのゲーム性を内包しているし、気楽に楽しめるような、いいゲームになったと思います。
――プレイしていて、BGMがすごくいいなと。
見城
今回の大きなセールスポイントです。音楽は、元ZUNTATA(タイトーの音楽チーム)の“なかやまらいでん”さんと、カナダのトロント在住のSean Bialo(ショーン・バイロー)さんにお願いしています。ショーン・バイローさんは、日本でも話題になった『ドーナツ・ドド』の楽曲で有名な方です。
――なかやまらいでんさんの参加はZUNTATAファンにとって朗報ですね。『ドーナツ・ドド』のBGMもすごく耳に残る名作だと思います。
見城
マトリックスさんに「カナダの方なんですけど、ぜひこの人の音楽も入れたい」と相談して実現しました。SEはなかやまらいでんさんに作成いただき、BGMはおふたりにお願いして、プレイ中にいつでも好きな曲に切り替えられるようになっています。ぜひ音楽も楽しんでいただきたいです。
――とても豪華な布陣ですね。グラフィックについても、こわだりをお聞かせいただけますでしょうか。
見城
今回はモノトーンが基調になっていて。ダークな印象と忍者の世界を組み合わせたデザインになっています。キャラクターに関しては最初は頭身の高いキャラクターグラフィックでした。ただ、本作は敵がいっぱい出てきて撃ちまくるみたいな密集感を出すためにカメラを引いたアングルになっているですが、キャラクターが小さく見えてしまっていたので、少し頭身を下げました。
――素材を使ってキャラクターを強化するというローグライク的な遊びが“螺旋”のタイトルにマッチしていておもしろいと感じました。“螺旋”というタイトルは、こういうくり返しの要素から採用したのでしょうか。
見城
まさにそれです。主人公の螺旋は魔界と契約して半分死んでいるような設定のキャラクターです。死体の山が螺旋のように積み重なったなかを進んでいく、死体をどんどん積み上げていく、敵を倒して進んで強化してというくり返しを行うという、さまざまな意味を込めました。
――そのタイトルはすんなりと決まりましたか?
見城
最初はいろいろな案を考えていました。海外でもリリースしたかったので、忍者をテーマとしたという背景もあります。最初は英語のタイトルも考えていて、『ニンジャスパイア』といった案もあったのですが、『スレイ・ザ・スパイア』が有名すぎるのでボツに。
海外の人は和のテイストも好きですし、それなら『骸ノ螺旋』そのままをタイトルにしようと決めました。画数の多い漢字をドンと出せばカッコよく見えるんじゃないかと。タイトルは、マトリックスのデザイナーさんにカッコよく作っていただきました。
――忍者は海外でも人気ですし。
見城
そうですね。和の魅力を前面に出して勝負します。
――本作をプレイするうえで、攻略のコツを教えていただきたいです。
見城
どんどん成長させていけば最終的には楽にクリアーできるゲームバランスなので、好きに強化して進んでいただければよいと思っています。
――どこから強化してもいいんですね。
見城
そうですね。アクション部分では、ジャンプのタイミングが非常に重要です。長距離のジャンプは無防備で危険なので、そのタイミングをどう見計らうかが重要になります。パワーアップに関しては、近距離をカバーするならまず手裏剣を強化するのがおすすめです。敵がたくさん寄ってきたときのために、手裏剣の発射方向や破壊力を上げていくと楽ですね。
逆に遠くにいる敵に対処したいなら、“戦鷲”を強化してください。上方向の攻撃が強力なので、これから進む先のクリアリングができて便利です。あと、戦鷲は強化すると1匹、2匹、3匹と数が増えていって純粋に攻撃力が2倍、3倍になっていくので、わかりやすいお得感を感じられると思います。
――プレイによって強化を変えるのも楽しそうですね。ちなみに、まったく強化をしない初期状態でもクリアーできるのでしょうか。
見城
たぶん無理だと思います。まったく強化しなくてもクリアーできるバランスにするのもありかなとは思ったこともありましたが、本作ではこれまで押し負けていたものが強化によって押し勝てるようになったときの快感みたいなものを味わってほしいと思っているので、基本的には強化しないと踏破できないようなバランスに作っています。
――何度もプレイして、攻略のコツをつかんだ瞬間に感じるおもしろさこそ、ローグライト系の醍醐味ですよね。
見城
本作の魅力を説明するときですが、“台風の日に傘を差して外出するようなゲーム”という言いかたをしています。暴風雨で最初は丸腰なんだけど、傘を差したり、レインコートを着たり、長靴履いたりして強化していきつつ、どこかのタイミングで台風と強化が拮抗して、キツさから楽さに変化します
その瞬間が本当に気持ちいいので、そういったところに注目していただけるとうれしいです。
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「本物の1980年代を味わってほしい」。海道賢仁氏の『逆道』は“逆に”考えて作られた
――『逆道』は、発表された時の動画を見て「どこから突っ込んでいいかわからない」ほど衝撃的でした。まずは、本作のコンセプトについて教えてください。
海道
「1980年代後半くらいにあったアーケードゲームを作る」というのがいちばんのコンセプトです。「あのころにあったとしても不思議じゃない」というか「むしろあっただろう、これ」と感じていただけるゲームを作りたかったんです。
――ドット絵にして。わざとレトロに。
海道
当時のゲームのハードウェアや基板性能でゲームを開発したという設定です。具体的に言うと、タイトーのLボード(1980年代後半のマザーボード)のころをイメージしています。『アルカノイド』や『チャンピオンレスラー』が稼働していた時代の基板ですね。
――実際には、現在使われているようなゲーム開発ソフトを使われているんですよね。
海道
そうです。ただし、あのころに表現できたグラフィックで、その基板で“できたであろう”ということしかやっていない。
――“逆縛り”のようなものですね。企画書を見た大堀さんも驚いたのでは?
大堀
「なんじゃこりゃ」でしたよ(笑)。アーケードゲームってゲームセンターにあるので、目立たないといけないし、誰かがプレイしているときにちらっと見たときに自分もやってみたいと思えるような画面でなくてはいけません。一瞬見ただけでもインパクトを受けるような、100円を入れたくなるようなゲームでないといけないので、そういった条件はクリアーできていると思いますね。
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――操作キャラクターを前後に揺らして戦わせるシステムが特徴ですが、これはけっこう現代的な技術が使われていそうな気が?
海道
物理演算などの仕組みも簡単に使えるんですけど、あえて使っていません。ゲームではキャラクターが振り⼦のように揺れますが、すべてシンプルなプログラムで表現しています。
――それにはどういったこだわりが?
海道
理由はふたつあって、当時は物理演算なんてできなかったというのがひとつ。もうひとつは、物理演算を使うと意図しない挙動が起こったりしてコントロールが難しくなるからです。プレイヤーが操作すると変な挙動をしてストレスになるので、制御が簡単なシンプルなプログラム処理で実現しています。
――画面もすごくインパクトがあります。キャラクターより小さいヘリコプターがあって、そこに逆さにぶら下がっているというのが、すごいデザインだなと。
海道
ヘリコプターちっちゃすぎだろとか突っ込まれそうですが、1980年代のゲームですし、気にしなくていいかと(笑)。
――確かに、1980年代はそういう細かいことを気にしていなかったですよね。プレイヤーも開発者も。
海道
パースとかぜんぜん考えないゲームも多かったです。ああいう味のあるところは、いまのゲームでもっと出せるといいなと思います。
――ところで、なぜキャラクターが逆さになっているんでしょうか。すごく気になるんですが……。
海道
ふと思いついたというか……。ヘリコプターにぶら下がって戦うというのはアクション映画などでもよくあるシチュエーションですが、そういったアクションが楽しめるゲームも楽しいかなと思ったんです。でもよく考えたら、必死でぶら下がって⾜で蹴り合っているみたいなのはゲームとしては⾒栄えよくないなって。それで“逆さ吊り”にしちゃえば手で戦えるじゃんと思って。逆に。
――天才的な発想ですね。
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海道
何を言っても最後に“逆に”をつけると強い(笑)。去年の「今年の漢字」は“熊”でしたが、今年のは“逆”になります。
――(笑)。「逆に」が流行語になればもしかしたら……? ヘリコプターとキャラクターをつないでいるロープは、グラフィックが実際に曲がっているように見えますが、どうやって表現しているのでしょうか。
海道
あれは内部的には直線で繋がってるだけなんですが、見た目を曲がったふうにスプライトを繋げてるって感じです。意外とバレないものですね(笑)。
――“1980年代風”じゃなくて、本当に“1980年代のゲームそのもの”を作っているんですね。あのころにできなかったことはしていないと。
海道
本当に“風”じゃないんですよ。1980年代にゲームを作っていた自分が作っているからこそ、1980年代のゲームを作っていると言い切れます。「本物は違うよね」というのは言われたいし、大事にしているポイントです。
――ちなみに、本作の音楽は誰が手掛けているのでしょうか。
海道
本作も、なかやまらいでんさんです。わりとタイトーのゲームっぽいところが出せればいいなと。
――そんなインパクト抜群の『逆道』ですが、プレイする時のコツはありますか?
海道
揺れが強いときの攻撃のほうが威力が高いので、ヘリコプターを大きく動かして、大きな揺れをキープすることが大事です。あとは、敵との息を合わせるというか、敵の揺れとはタイミングをずらして攻撃を狙うのがコツですね。あと、画面の後ろに追い込まれると揺れるスペースがなくなるので、できるだけ前をキープして戦うというポジショニングも重要です。
――そのほかにアピールしておきたいことがあれば。
海道
敵の倒しかたによって獲得できるスコアが変化するシステムがあります。慣れてきたら、ただクリアーするだけではなくて、いかに効率よくスコアを稼ぐのかといったことも考えていただけると、さらに楽しめると思います。
――本作のリリース後には、どんなゲームを作ってみたいと考えていますか?
海道
つぎはシューティングゲームを作ってみたい気持ちもあります。なお、⾃分がいま考えてるシューティングは、メカっぽい感じにはならなさそうです。
――海道さんの作るシューティングもプレイしてみたいです!
海道
ネタのストックはあるので、機会があればそのうちに。
――ありがとうございます。最後に、いよいよ発売を迎える2タイトルについてのアピールをお願いします。
海道
『逆道』で、ぜひ本物の1980年代を味わってほしいです。ツッコミどころ満載なんですけど、しっかりちゃんとした本格的なゲームになっていると思うので、コミカルな味付けも含めてぜひ楽しんでください。
見城
『骸ノ螺旋』は、アクションゲームが苦手な人でも、最後まで気持ちよく遊べるゲームになっています。自分としても、かなり納得度の高いゲームに仕上がっているので、こういったジャンルのゲームが好きな人に遊んでいただきたいです。
大堀
2タイトルとも、見城さんと海道さんが心血を注いで作っているゲームです。それぞれのカラーはぜんぜん違いますが、ぜひ手に取って「日本のクリエイターっておもしろいゲームを作るんだな」と、改めて感じてください。
そして、この企画に触発された新しいクリエイターの人たちにも参画いただきたいと思います。マトリックスクリエイターズにご期待ください!