サブクエストが楽しいRPGはいいゲームだ。魅力的なRPGは世界設定がしっかり作られていて、張りぼてではないからこそ、その世界ならではの社会問題を抱えていたりする。
その空気はサブクエストに表れる。雑多な生命力を感じられて、どんどん興味がわいてくる。
と、楽しんでいたら、急に闇を覗いてしまった。街並みは美しいけれど、陽の当らない陰でその日暮らしを送る人がいて、エネルギー問題やギャングの抗争が絡んでいて……ちょっとしたサブクエストにしては話が重すぎないか。
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この記事は『ブループロトコル:スターレゾナンス』の提供でお送りします。
『ブループロトコル:スターレゾナンス』(スタレゾ)の話である。きれいなファンタジーRPGだと思っていたのだけど、どうやらひと筋縄ではいかないみたいだ。
『スタレゾ』は率先して脇道にそれたいゲームだった
いったん話を整理する。『スタレゾ』は2025年12月18日正式サービス開始のMMORPGだ。11月に実施されたクローズドβテストが終わる直前に、脇道のストーリーに妙な深みがあるように感じたのがこの記事の発端。
CBT開催期間中はメインクエストや周回に明け暮れていて、ふと「そう言えばサブクエストやれてないな……?」と気付き、せっかくだからと手を出したら、オチるのは一瞬だった。瞬殺である。
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もちろんメインクエストも楽しかったが、より筆者の肌に合うのはサブクエストだったという話。
町人同士のいざこざ、大事なものがなくなったと嘆く子ども、平和に見えた街の陰で暗躍する何者か――メインクエストでは描かれない日常がそこにはあった。
CBTの後日、あらためてレビュー用にアカウントを用意してもらったらサブクエストに一直線。すると、どんどんこの世界の“厚み”が見えてくた。そうか、『スタレゾ』は脇道にそれるほどに深みが増すゲームだったのか。
そう言えば、別の記事ではカイゼルちくわさんがMMORPGとしての魅力をストレートに語っている。ということは、筆者は別のことを書いた方がいいはず。これ幸いとばかりに“脇道”を堪能させていただきます。
アステルリーズの地下に広がる暴力の世界。メインクエストだけでは見えない“闇”
とくに「おもしれー!」とうなったのが、最初の拠点となる都市アステルリーズの地下に関するサブクエスト。
『スタレゾ』の舞台となる惑星レグナス。この世界に住む人々は、かつて栄華を極めた“バファリア神族”が残した古代の遺跡の力を利用して生活していた。しかしあるとき、都市アステルリーズのエネルギー源となっていた遺跡に不調が発見されたため、主人公はその原因を探ることになる。
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主人公=プレイヤーはこの世界を生きる冒険者。都市の整備担当というわけではないが、「地下には危険な魔物が発生するから」という理由で調査依頼を受けることに。
特殊な機械を持って地下の調査を開始。ちょっと魔物に襲われるような事態はあったものの、無事不調の原因を突き止めて調査は完了した。あとは地上にいる技術者に報告して完了……と思いきや、「部品の交換だけで済むからついでにやってきて。はいコレ部品ね」と無茶ぶりを受ける。
ここまでは「そういうタイプのサブクエね」と軽い気持ちで部品の交換に向かったのだが、事態は急変した。背後から“何者か”に襲撃されたのだ。あれ? これってただ部品交換して、はい終わりのクエストじゃないの?
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地下へとマップを移動した瞬間に暗転。つぎの瞬間がこれである。
どうやら気を失ったらしい。意識を取り戻し、目をくらませながらもまぶたを開けたところで「あ、このサブクエストはすごそうだぞ」と期待がマックスに。ちょっとしたサブクエストの演出ではない。
親切な人に介抱され、いろいろと説明を受ける。そもそも魔物のはびこる地下に人……? と疑問を抱きつつも話を聞くと、地下には“地上へ上がることのできない人たちのコミュニティ”が形成されていることがわかる。地下に流れ着いた水道管やエネルギーユニットの熱に頼って生活する、そういう人たちがいるのだと。
そこから、地下を支配するギャングたちの抗争にまつわる展開へと巻き込まれていく。地下にあるエネルギーユニットの中枢、そこに居を構えるギャングを説得しない限りは部品の交換はできない――ただのお使いクエストかと思いきや、アステルリーズが抱える“闇”が垣間見えるような物語に発展していくのだ。
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下水道はスラム街的な状態なのだろう。
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地下にはクモ系の魔物がいっぱい。
このクエストを進めていくと、都市にいる人たちはいわゆる“上澄み”であることがわかってくる。地上にすら上がれない、そんな人たちがいたことにCBT中は気付きもしなかった。
おそらく部品の交換自体も、主人公のような腕利きの冒険者を地下に送り込むことが目的のひとつなのだろう。ギャングと衝突して潰しあえば、それはそれで見知らぬやつが勝手にやったことだし、無事に部品を交換できたならただ整備が順調に終わっただけ。そういう絵図が描かれていたに違いない。
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ギャングたちはエネルギーユニットの中枢にいることを利用して、アステルリーズ側に脅迫に近い交渉をしかけていたらしい。まあそりゃ邪魔に感じるだろうな。
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依頼したアステルリーズ側の人間も、エネルギーの扱いで派閥が分かれている模様。
あくまで想像ではあるのだが、この街にそんな根深い問題があるとは思いもしなかった。とはいえ、こういったことを考えられるのは、この世界が“厚み”を持つ証左とも言える。メインストーリーを進めるだけでは見ることができない物語の側面だ。
ちなみにこのサブクエストは、全部を終わらせようとするとだいたい1時間ぐらいはかかるほどの大ボリュームで、満足感も高い。アクションRPGらしく戦闘を楽しめる場面も多いため、退屈はしなかった。
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突っかかってくるギャングを刀と電撃でずたずたに。『スタレゾ』はエフェクトがもりもりで楽しい。
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終盤のとある選択肢はプレイヤーによってかなり回答が分かれそうだ。ちなみに筆者は「地上より自由だ」を選んだ。
ここまで長大なものはさすがに多くないものの、『スタレゾ』はサブクエストにかなり力を入れているように思える。単純に話としておもしろいものが多い。
個人的にお気に入りなのが、戦争で行方不明になった息子の遺品を探す老人の話。フィールド各地の指定された場所を回るお使い的なクエストなのだが、その経験が世界を見る目を変えてくれた。
指定された地点は、ふだんの探索中に何度も横を通っていた、地面がえぐれたような地形。そのえぐれた跡をよく見ると、なにかの部品なのか、たくさんの破片が転がっていることに気付く。そしてその奥には、戦争で亡くなった息子の遺品が。
……そうか、この地形は戦争の跡だったのか。
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アステルリーズがほかの都市からの侵攻を受けた際、上陸を阻止した場所なのだという。ちゃんと見れば自然に作られた光景ではないのがよくわかる。
サブクエストを受けることでもなければv、この地形が持つ意味なんて深く考えることもなかっただろう。世界の解像度がまた一段階上がったような気持ちだ。
シナリオとしても“戦争で遺された人”という存在をちゃんと描いていて、深く考えさせられるものだった。短いながらもしっかりとまとまっていて、好きなお話だ。
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“忘れ得ぬ……”というクエスト名。『スタレゾ』をプレイする際はぜひやってみてほしい。
ほかには、店のツケを回収するために、金を借りたやつのそのまた金を借りたやつのそのまた金を借りたやつまで取り立てにいくようなバカげたものもある。これはこれで軽いノリが楽しい。
メインクエスト含め『スタレゾ』は全体的に物語のテンポが速いため、こういった軽いクエストはむしろ得意であるような印象を受ける。「メインよりもサブのほうがおもしろいかもな」と思った理由のひとつ。
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要所で見られる味のある言い回しは、ノリの軽いサブクエストでこそ映える。
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バーテンダーとして店に潜入するサブクエストでは、実際にカクテルを作る場面がある。もはや全然違うゲームのよう。
脇道こそが『スタレゾ』の魅力
とにかく脇道である(断言するのもどうかと思うが)。脇道にそれればそれるだけ加速度的におもしろくなっていく。油断しているとサブクエスト以外からもおもしろさが迫ってくる。
とくに釣りにハマってしまった。クリックで糸を巻き上げ、キーボードのAキーとDキーで左右に逃げる魚を追いかける。操作自体は単純ながらも、ちゃんと駆け引きの要素があってとても楽しい。しっかり操作する必要があるため流れ作業的にはプレイできないが、なにか音楽を流したり、ラジオを聞いたりしながらの、手なぐさみ的に遊ぶのにちょうどいい。
“オンラインRPGの釣りは放置して大量の魚(素材)を入手するもの”という考えあるようで、そういう人からすると面倒に感じるのかもないが、こういう作業が好きなのだから仕方ない。釣りレベルアップのための要求経験値が多いのだけは気になったので、そこは正式実装後にどうなるか期待したい。
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特別に難しいわけではない。ゆるい気持ちで挑戦できるのもいい。
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当たり前だが、釣れるとうれしい。ついついスクリーンショットを撮影してしまう。
『スタレゾ』は“世界を巡ること”それ自体が楽しく作られているように思う。景色がいいのもそうだが、すばやく移動できるマウントイマジン(いわゆる騎乗ペット)をはじめ、快適に移動できる手段が豊富だ。世界を巡る楽しさに拍車をかけている。
メインクエストを進めるうちに解放される、“環境適応”による滑空は最高である。ちょっと高い場所にのぼって、飛び回りながら世界を眺めるのがたまらない。
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どこに行ってもすごくいいんですよ、景色が。
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世界を自在に飛ぶ楽しさ。これは何者にも代えがたい。
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探索中、こういう崖を見ると「お、ここから飛ぶの楽しそう!」とわくわくしたのは筆者だけじゃないはず。
そもそもフィールドに出なくとも、拠点であるアステルリーズを練り歩くだけでも満足感が高い。木材の温かみや光の表現など、街並みがなんだかすてきなのだ。
曲がりくねった路地を歩いた先に、パッと視界が開けて目の前に海が広がる。陽が落ちてきた黄昏時には胸を締め付けるような切なさがある。景色がいいのは当然として、景色の見せかたがうまいのが『スタレゾ』のよさである。
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街並みは本当に、好きなところをあげればキリがない。
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強いて挙げるならば、青い布で飾り付けられた歓楽街をずっと歩いて行って……。
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その奥にあるたくさんのバルーンで飾り付けられたビーチが目に入るところ。ここがたまらなく好き。
景色を見たり、釣りを楽しんだり、サブクエストで世界の構造を知ったり……筆者の記憶に強く残ったのは、何度も言うが、脇道の部分だった。こういうところから深みはにじみ出てくるように思う。
なんならこう言いたいぐらいである。「メインクエストだけ進めるなんてもったいない。せっかく『スタレゾ』をプレイするなら、どんどん脇道にそれるべきだ」と。
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いっぱい脇道にそれることこそがMMORPGを楽しむ秘訣。たくさんサブクエストをこなして世界の奥を知ろう。
筆者自身がソロプレイヤー寄りの思考だからというのもあるだろうか。どうしてもMMORPG的な楽しみかたより、ひとりで遊べる要素を重視してしまう。
逆に言えば、そういった“おひとり様”的なプレイヤーにも自信をもってすすめられるタイトルであることは確かだろう。この記事を書くにあたってテストサーバーでプレイさせていただいた際は、マルチプレイ系のコンテンツにひとつも触れなかったが(一般のプレイヤーはいないのだから当然である)、それでもしっかりと楽しかった。
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周回は正式サービスまでお預け。まあCBTでそれなりに遊んだのでよしとしよう。
とはいえ、人のいない街はがらんとして寂しいものではあった。CBT最終日には、終了を惜しんでか多くのプレイヤーが街の中心でひたすら集まってダンスする、そんな光景を見ていたからなおさらだ。これから正式サービスが始まることで、また街に人の溢れる日が来るのが楽しみで仕方がない。
CBTからのフィードバックを受けて、さまざまな要素の改善も発表されている。和訳に関してもよりすばらしいものになるとのことで、期待は高まるばかりである。
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がらんとした街で、ひとり寂しく踊る。正式サービス時は、きっとまたたくさんの人がここに集うはずだ。
正式サービス開始は12月18日。メインクエストが更新されればまた新たなサブクエストも、釣り場も、出会える景色も増えるはず。いまはそのときを心待ちにしつつ、来たる日を指折り数えて待とうと思う。
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