オカルティック学園RPG『Demonschool』レビュー。クレイジーな三白眼キャラがパワフルにくり広げる、死霊だらけの青春物語

byミル☆吉村

オカルティック学園RPG『Demonschool』レビュー。クレイジーな三白眼キャラがパワフルにくり広げる、死霊だらけの青春物語
 海外のインディーゲームを追っていると、時折“そこらの日本のゲームよりヘンに日本的なゲーム”に出くわすことがある。表面的なオマージュがあるとかじゃなくて、もうなんというか体臭みたいなレベルで溶け込んじゃってて、「海外開発なのにスゴい!!」とか言うのも逆にちょっとためらうようなやつ。

 アメリカのインディーNecrosoft GamesによるRPG『
Demonschool』は、まさにそういったタイプのゲームだ。ニッチな月刊漫画誌の作品みたいに、ややこしいクセやヘンな所も愛してしまうようなミョーな引力がある。そしてこれがまぁ楽しいのだ!

 今回、PC用のレビュー版をプレイしたので、その内容をご紹介しよう。なお製品版は、2025年11月20日にプレイステーション4/5、Xbox Series/Xbox One、Nintendo Switch、およびPCで日本語対応で配信される。
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クレイジーな三白眼キャラがくり広げる、死霊だらけのやかましい青春

 さて本作、形容するならば“オカルティックな学園RPG”といった感じ。ゲームは内気な女の子ナマコが、とある島にある大学に入学するために船で渡ってくるところから物語が始まる。しかし、普通に学生生活をスタートしたいだけの彼女に、ぶっ飛んだ目で「島にもうすぐ魔物が出る!」とか、魔物学がどうとかまくしたてるヤベー奴が。彼女こそ、デーモンハンターの末裔を自称する主人公フェイだ。
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自分で操作してなかったら、見た目も発言も完全に悪役か狂人のそれだよ。ナマコもドン引き。
 そんな主人公フェイ以下、永井豪か石川賢作品かのような(※)クレイジーな勢いのある三白眼キャラたちの会話シーンは本作の最大の魅力だ。膨大なサブコンテンツまで訳された優れたローカライズのおかげもあって、キャラクターに妙に親近感がわく。

 しかもキャラクター数もやたらと多く、プレイアブルなキャラだけでも15名もいて、フェイ以外のそれぞれに個人クエストまで用意されていたりする。それぞれ愛すべきややこしい性格や背景の持ち主だらけの個性的な連中が繰り広げる、死霊だらけのやかましい青春は本当に楽しい。

(※実はキャラデザ的に参考にしたのは丸尾末広で、テキストのノリは林田球に影響されているらしい……というあたりでどういう感じの連中が作っているかはなんとなく想像つくだろうか)
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ポンコツ脳筋のデスティンは最高。いきなりそんなこと聞かれてもヤ◯ザの皆さんも困るよ。

間口は広く、パーフェクトには工夫が求められる戦闘システム

 さて、ストーリーはメインクエストごとにカレンダーに合わせて時間が動いていき、事件が解決すると週末に突入。週明けからまた新たな難題が……といった流れで進行していく。
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金曜日になると「決戦だなぁ」という感じがしてよい。戦闘の準備はぬかりないね? ところで本作、細かいメニューデザインとかもカッコいいんすよね。
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メインクエストの合間に各地にあるサイドミッションをプレイ可能。
 ストラテジーRPGとしての本作の戦闘は、名作インディーゲーム『Into the Breach』のようなコンパクトなスタイル。フィールドは限られたマス目で構成されていて、味方のヒットポイントは3、敵もボス以外は1から4ぐらいだ。

 なので、自ユニットの動きをプランニングして指定していく戦術フェーズでああでもないこうでもないと策を練り、限られた手数の中でどうユニットを効率よく動かして一発一発を当てていくかが大事な設計だ。
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雑魚戦では、規定ターン内に指定された数の敵を倒し、最終ラインに到達するのが目標。まずは戦略フェーズでプランニングしよう。
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敵ユニットを挟み込むと出るコンボ攻撃は一気にダメージを与えて戦闘を有利に与えるチャンス。ムダに勢いのある漫画風のカットイン演出がちょっと面白カッコいい。
 一方で戦闘の難度そのものは『Into the Breach』ほどシビアではなく、やや余裕のある作りなのもポイントと言えるだろう。コツがわかりさえすれば勝利自体は難しくなく、やられてしまったキャラも戦闘終了時に全員体力マックスで復活するので、勝ったけどジリ貧……といった状況にはならない。

 だけど最大報酬が得られる3つ星評価(規定ターン内に誰も戦闘不能にならずにクリアー)を得るにはひと工夫が必要。割と完璧に動いたと思ったのに「うわ、一手足りねぇ!」と悔しくて戦闘をリスタートすることもしばしばある。

 幸い簡単にリスタートできるので戦闘中にひとりダウンしてしまった時とかも気軽にリトライするのだが、このあたり間口は広めに取りつつ、慣れてきたら各キャラの強化も含めた戦術でより高みを目指せるという、いい感じのバランスになっていると思う。戦術フェーズでシミュレーションしてアクションフェーズを実行し、キャラが完璧な動きで悪魔を蹴散らして3つ星ゲットできた時の気分は最高だ。
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勝利条件をクリアーしてさえいれば、盤面に敵ユニットを残していても残りを封印して強制終了可能。3つ星狙いには欠かせないテク。
 強化についても触れておこう。本作はRPGの体裁を取っているものの経験値やレベルアップの概念はなく、強化は各キャラの能力を変化させる“技”や“アスペクトチェンジ”を装備して行う形となっている。要はいわゆるPerkシステムなのだが、キャラごとに習得する必要はないので付け替えなども簡単だ。

 これにより、新キャラが加わったり使用キャラに偏りが出てきたような状況で「全然使ってないこいつ入れたいなぁ」となっても、技をちょっと入れ替えればすぐに戦闘に投入できるようになっている。これもまたサブキャラが多い本作には合っている設計だと感じた。
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ステータスアップなどもなく、各キャラ固有の特徴にPerk型の強化を組み合わせる感じ。

グラフィックやサウンドも凝ってて、ボリュームも満点

 というわけで本作、架空のゲーム機(いわく「セガサターンの2」)を想定して作り込んだというグラフィックやサウンドの質も高く、“濃い”ノリ(あえて言えば1990年代/2000年代サブカル感)に惹かれる人なら間違いはないだろう。節目となるポイントで出てくる大ボス戦ではローポリ3Dのエグいカットシーン演出なども入り、オカルティックな雰囲気もバッチリだ。

 最初は学校の怪談調査っぽいライトなところから始まり、次第により大きな陰謀をめぐる戦いへと発展していくんだけども、ボリュームもかなりたっぷり。個人クエストをやるためにカラオケや料理ミニゲームでみんなとの関係値を上げるのを頑張ったり、週明けの新聞に載る映画評を読みたくて律儀にレンタルビデオ借りに行ったり、結構遊び尽くした。
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呪いのビデオの謎を探れ!
 クリアーまでのプレイ時間はサイドコンテンツをどれだけやるかで結構変わってくるだろうが、メインだけなら公称15~20時間ぐらいで、全部制覇すると40~50時間想定。筆者の実際のプレイ時間からしても30時間強のコンテンツは十分にあると思う。

 ちなみに総テキスト数はゲームディレクターのブランドン・シェフィールド氏すら把握しきれていないレベルで、日本語ローカライズだけでも8-4とDragonbabyの2社に分割発注したんだとか。
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『Travis Strikes Again: No More Heroes』のラーメンブログ感のある映画評。借りられるビデオごとに長い評があるのでローカライズ費がここだけでもりもり上がっていきそうだが、まぁこういうの好きなんだろうね。俺も好きだよ。それはそれとして『鉄男』は観るべし。
 強いて難点を挙げると、ミニゲームは世界観のちょっとした掘り下げとしては面白いんだけど、メカニズムやほかのプレイ要素との連動という点ではそこまで深くないという部分だろうか。とはいえ「このミニゲームをやりこまないとメインのこの部分が進まない」といったような縛りがある作りも嫌なので、個人的にはこんぐらいでちょうどいいかも。

 もうひとつ、レビュー期間中には何度か不具合を引いたりもしたのだが、筆者が報告した日本語固有のバグレポートにも迅速に調査・対応してくれ、実際に現在でも細かくパッチが当たっているので、かなり安定してきている。細かい物量が結構あるので限界はあると思うが、いい感じの状態で発売を迎えて欲しいところだ。

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