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『零 ~紅い蝶~ REMAKE』インタビュー。撮影の楽しさを追求したカメラ遊びと、幽霊との対峙。ホラーゲームながらに遊びやすさも磨き上げる。幽霊の音声は当時のまま

by西川くん

更新
『零 ~紅い蝶~ REMAKE』インタビュー。撮影の楽しさを追求したカメラ遊びと、幽霊との対峙。ホラーゲームながらに遊びやすさも磨き上げる。幽霊の音声は当時のまま
 コーエーテクモゲームスより2026年3月12日に発売を予定している、『零 ~紅い蝶~ REMAKE』。対応ハードは、Nintendo Switch 2、プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC(Steam)。

 本作は和風ホラーアドベンチャー『零』シリーズの最新作。2003年にプレイステーション2向けに発売された『
零 ~紅い蝶~』のフルリメイク作品。開発はコーエーテクモゲームスのTeam NINJAが手掛けている。オリジナル版同様に双子の姉妹である天倉 澪と天倉 繭を主人公に、恐怖の物語が描かれていく。

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 本記事では『零』シリーズを作り続けている柴田 誠ディレクターと、同じくディレクターを担当する中島秀彦氏へのインタビューをお届けしよう。

柴田誠 氏しばた まこと

ディレクター。Team NINJA所属。『零』シリーズ初代から、すべての作品のディレクターを務めている。

中島秀彦 氏なかじま ひでひこ

ディレクター。Team NINJA所属。『仁王』シリーズなどに関わり、『Wo Long: Fallen Dynasty』ではディレクターを務めた。『零 ~濡鴉ノ巫女~』ではメインプランナーも担当した。

ファンの期待に応えた待望のリメイク

――『零 ~紅い蝶~』がリメイクされることになった経緯を教えてください。

柴田
 『零』シリーズは昨今、リマスターという形で『零 ~濡鴉ノ巫女~』、『零 ~月蝕の仮面~』と過去作の展開をしてきました。そのなかで、ファンの方々からは「『紅い蝶』をリマスター、リメイクしてほしい」という声がとても多かったです。改めて、とても人気のあったタイトルなんだなと実感していました。それに応える形で、リメイクすることにしました。

――直近のリマスタータイトルはアジア圏でもヒットを飛ばしたんですよね。

中島
 要因のひとつになりますね。リマスター版『零~濡鴉ノ巫女~』がアジア圏でとても評判がよく、今回も繫体字・簡体字や韓国語などのローカライズにも対応しています。

柴田
 過去に中国のメーカーのタイトルと『零 ~紅い蝶~』でコラボさせていただいたこともありましたが、そのときも先方の『紅い蝶』への熱量がすごかったんです。海外にものすごくファンがいたんだなと。発売した当時は、アジア圏の人気はまったく届いていなかったので驚きました。

 続いて、『零 ~月蝕の仮面~』のリマスター版も発売しました。ただ、シリーズ的には『零 ~濡鴉ノ巫女~』の前のタイトルです。ストーリーやキャラクターなどは評価していただきましたが、『零 ~濡鴉ノ巫女~』よりもゲームの要素が少なかったり、操作が重いなど指摘されたところもありました。

 そういった指摘や要望に応えていくためには、抜本的にゲーム自体を見直す必要があると考えたのも、今回リメイクにつながった理由のひとつです。
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――オリジナル版は、固定カメラで進むゲームでしたが、今回は昨今の『零』シリーズと同じく背後からの視点なんですよね。
 
柴田
 オリジナル版の固定カメラも、独特な恐怖感があると思いますし、そのままリメイクしても懐かしいと感じてもらえるかもしれません。ひとつの完成形ではあったと思います。ただ、固定カメラは昨今のゲームとしての体験や、操作性の部分を考えると万人には受け入れてもらえないだろうなと思い、今のホラーゲームとして標準的なカメラや操作スタイルを採用しました。
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――過去にはWiiで『零 ~眞紅の蝶~』として、いちど『紅い蝶』をリメイクしていましたよね。『零 ~眞紅の蝶~』をリマスターやリメイクをするという方法は考えていたのでしょうか。
 
柴田
 今回は原点である『紅い蝶』のフルリメイクとなりますので、『零 ~眞紅の蝶~』のお化け屋敷モード、追加エンディングなどの要素は搭載していません。その代わりといってはなんですが、今回の追加要素については順次発表させていただきたいと思いますので、続報をお待ちください。

――なるほど。Xboxでは『FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY DIRECTOR'S CUT』(※『FATAL FRAME』は『零』の海外版シリーズ名)として、追加要素を加えたバージョンが発売されました。こちらの要素はいかがですか?

柴田
 こちらは『零 ~紅い蝶~』の移植という認識ですので、要素は入っています。ただ、主観視点で遊ぶ「サバイバルモード」は、今回のカメラとあまり変わらないので搭載していません。ちなみに細かい話ですが、オリジナル版にあった霊とのバトルを連続で楽しめる“ミッションモード”なども搭載していません。

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ホラー性とゲーム性の両立。Team NINJA制作による手触りの向上

――先ほどのお話があったように、『紅い蝶』はやはりシリーズ作品でもとくに人気のあるタイトルかと思います。その要因はどこにあると考えていますか?

柴田
 初代『零 ~zero~』は、純粋な和風ホラーを目指して制作しました。その結果、怖さに特化した作品になっていて、バトルの難度も少し高めです。「怖すぎて最後まで遊べなかった」といった声も当時あって、“怖いけど続きを遊びたい”と思ってもらえる、プレイヤーを引っ張る要素が少なかったと感じていました。

 そこで、続編である『零 ~紅い蝶~』では物語性やキャラクター性を強めて、怖いけど進みたいと思ってもらうことに注力しました。そこのバランスがうまくはまってくれたことで、最後まで遊んだ人が大幅に増え、ストーリー性も相まって人気になったのかと思います。

――たしかに、怨霊にもかわいい女の子がいたりして、ただ怖いだけではありませんでしたね。

中島
 そうなんですよね。あとこれは個人的な分析ですが、『零 ~zero~』は戦闘部分も難しめだったのですが、『零 ~紅い蝶~』で戦闘バランスを調整して、遊びやすくなったおかげもあるのかなと思っています。今回も、初めて触れる人でも遊びやすいようにいろいろな工夫を加えていますし、難易度変更も用意しています。もちろん、慣れたプレイヤー向けに難度を上げることもオリジナル版同様に可能です。
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柴田
 ゲームオーバーになってもリトライしやすいようにもしています。怖くても先に進みたいと思ってもらえるように、気を付けてゲームを制作しています。

――過去作にはちらほらTeam NINJAの一部スタッフが関わっていましたが、今回は完全にTeam NINJAが制作を手掛けているんですよね。

柴田
 はい、Team NINJAタイトルになりますね。

――Team NINJAが担当することになり、どのような恩恵があると考えていますか?

柴田
 アクション性や手触りの部分ですね。私としては、ホラーゲームはクイックかつ思い通りに動かない方が怖いと思っていました。動きが早くなってイニシアチブが取れると、霊が怖くなくなるし、その場所の湿度も感じられなくなります。

 ただ、今回Team NINJAがリメイクするにあたり、怖さと操作性の良さが両立できるのではないかと考えました。「操作がままならなくて怖い」という原作の方向性を払拭することで、新たなプレイヤー層にも『零』シリーズの世界を楽しんでもらえるようになると思ったのです。

――そう聞くと「もしかして『仁王』シリーズのように澪が俊敏に動き回るのでは……」と思ってしまうかもしれませんが、そうではないんですよね。

中島
 はい、そこはご安心ください(笑)。Team NINJAはアクションゲームをメインに開発しているブランドですので、ほかのタイトルをイメージされてしまうのもわかります。ですが、女の子たちがビュンビュン走り回りながら戦うようなゲームでは、決してありません。

 本作はオリジナル版のよさを残しつつ、ボタンを押したときの手触りや、移動操作をしたときのレスポンスなど、プレイヤーがコントローラーでキャラクターを動かすといった意味での“アクション”を磨いています。これまで積み重ねてきたノウハウを、ホラーアドベンチャーとしての遊びに活用しているわけです。よりストレスのない操作で、物語や恐怖感に没入してもらえることを目指しています。一方で、バトル面ではTeam NINJAらしい要素も加えていますので、ぜひご期待ください。

――憶測ですが、プレイヤーが横を入力すると、アクションゲームのように瞬時に澪が瞬時に横を向くといったわけではないと。

柴田
 今回はモーションにもこだわっていて、プレイヤーが「左に行こうかな、やっぱり右へ行こう」みたいな入力操作をしたときにも、キャラクターがそのような動きをしてくれるモーション技術を新たに採用しています。入力するとすぐに自然なモーションが発生するのでレスポンスは良く、キャラクターらしい説得力のある動きができるので、歩き出しまで遅くても気にならないようになっています。

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“お守り”や“フィルター”といった、新たなアイテムも追加されている。
――ちなみに、ゲームエンジンはコーエーテクモゲームスのKatana Engineですか?
 
中島
 Katana Engineです。幅広いジャンルで使用しているエンジンですから、このタイトルならではの苦労はとくにありませんでしたね。

柴田
 『無双』シリーズや、オープンワールドの『Rise of the Ronin』など、広い空間を走り回るゲームのイメージがあるかもしれませんが、光と影の表現のノウハウもあるので、狭い空間の多い『零』シリーズにも恩恵はありました。

――なるほど。キャラクターモデルなのですが、どのゲーム会社にもなんとなくモデルの“系譜”があると思います。別々のシリーズ作品でも「あ、これはコーエーテクモゲームスのモデルだな」となんとなくわかるような。その系譜とは、まったく違うように個人的に感じていました。もちろん、とても魅力的だと思います。

柴田
 確かに、タイトルの基本となるモデルがあって、そこから派生していく作りかたもあると思います。アクションゲームのタイトルだと、腕や脚が長く、武器を持つので手が大きいといった特徴があります。今回、リアルな等身で、写実的な女の子を表現するというチャレンジをしていますので、基本となる体形は『零』シリーズ独自のものになっています。

 モデルを制作したスタッフは『紅い蝶』をかつて遊んでいた大ファンで、熱意をもって作ってもらいました。おかげで、澪や繭も“らしさ”が損なわれず、かつどの系譜にも属さない魅力を持ちながら、かわいい女の子の姿にできたと思っています。シリーズを長く作っていると、こんなこともあるんですね。
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中島
 スタッフのなかには、『零』シリーズが作りたくて入社した者もいます。また、オリジナル版に関わっていたスタッフも続投していますね。

――グラフィックはオリジナル版と比べても非常にきれいになったように見えます。没入感も高まったかと思いますが、一方でグラフィックが綺麗になればなるほど、恐怖感が薄まってしまう部分もあると思うんです。画面の解像度が上がれば上がるほど“想像”で補っていた部分が、ハッキリと描かれてしまうと思うので。そこはどのように調整されているのでしょうか?

柴田
 プレイステーション2の時代は表現力も少なかったので、なるべく暗闇を作り、ノイズを足したり白黒にしたりするなど、情報を間引くことで想像力を掻き立てるようにしていました。今回は4K解像度に対応していますし、隅々まで見ることもできますが、そのうえで想像力を働かせてもらうための工夫をたくさん取り入れています。

 ステージのグラフィックを制作しているスタッフも、『零』シリーズがものすごく大好きな人たちなので、『零』シリーズらしい雰囲気を熟知してくれていました。高画質でも、あの雰囲気が出るように追求してもらえたと思います。

中島
 技術の進歩とともに、陰影表現がリッチにできる、ライティングにこだわれるなど、できることも増えました。過去作では見えなかった細かいところも見えてしまうのですが、一方で“部屋のあそこに、何かいるかもしれない”と思わせるような工夫もできるようになりました。なお、今回は肩越し視点ということもあり、オリジナル版と部屋の構造なども変えています。
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柴田
 ゲーム的にもいろいろと変えています。固定カメラで進んでいく場合は、見る画面が基本固定されているわけですから、私が見せたいもの、怖がってほしいものを順番に見ていただく形になります。そこへ案内する道順や手法が、比較的楽なんですよね。

 今回は自分でカメラを動かしながら、さまざまな場所を探索します。自分の目で探索したからこそ、何かを発見してしまった怖さというものが作れたと思います。この怖さをつくるために、破れた障子の向こう側や入ってほしいドア、キーアイテムなどが自然と目に入ってくるように構造を調整しています。

 ゲームの世界観や物語は変わっていないのですが、建物の構造や演出などは結構変わっているので、ぜひプレイしてもらいたいです。今回は自分の操作の結果、怖いことが起きてしまった、見てしまったというような体験ができていると思います。
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――あそこ危険そうだから避けちゃおう……と思ったら、じつは避けた方向に何か待っていたり……?
 
柴田
 いろいろと仕込んでいるので、お化け屋敷だと思って楽しんでいただければと(笑)。

新アクションについて

――新アクションとして、澪と繭が手をつなぐものがありますが、なぜ追加しようと考えたのでしょうか?

柴田
 じつはオリジナル版から考えていた要素なんです。繭がフラフラと村の奥へ行ってしまうのを防いで、繭を導くというのがストーリー性とも合いますし、やりたかったんですよね。当時も検討はしたのですが、技術的に難しくて。当時、他社さんのゲームで女の子と手をつなぎながら進むゲームもありましたが、『紅い蝶』は非常に狭い日本家屋を探索するゲームですから、狭い空間でそれをするのが難しかったんです。そこから技術も進歩していき、技術的にも可能になったので、今回取り入れることにしました。

中島
 よくわからない村に迷い込んでしまった双子の姉妹で、繭は足が悪く走ることも苦手です。となれば、澪たちは自然に手をつなぐと思うんですよね。そういった部分で、物語や絆の部分も深められたと思います。とはいえ、現代の技術でもかなり難しかったのが正直なところです(苦笑)。今回、ビジュアルもよりリアルになったことで、澪たちの動きも自然にならないと、変なアクションとして悪目立ちしてしまいますから。
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――オリジナル版では、繭を囮にして戦うといった攻略法もありましたが……(笑)。
 
中島
 今回も可能ではありますが、倒れた繭を助け起こすアクションもありますし、バトル中に手をつなぐことで体力と霊力が回復します。ふたりでいることに安心して、回復するようなイメージです。繭の体力がゼロになると、ゲームオーバーになるのもオリジナル版通りです。そのなかでも、いろいろと戦いかたに違いはあると思います。
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――なるほど。そのひとつが新要素の“ピント”や“ズーム”になるのかなと思いますが、どのような考えで射影機(※シリーズのキーアイテムで、除霊できるカメラ)のシステムを構築したのでしょうか。
 
中島
 『零』シリーズは、射影機まわりの戦闘をどうするのか、いつも議論を重ねている部分です。昨今はスマートフォンが普及したこともあり、カメラで写真を撮ることに皆さん親しみがありますよね。ガジェットとしてのカメラの楽しさを皆さん知っていると思うので、その楽しさをゲームで味わえるものにしようと、今回は考えました。
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柴田
 たとえば『零~濡鴉ノ巫女~』は当時、スマートフォンで顔認証が搭載された時代でした。“何もないところで顔認証した”みたいな逸話を見て、「幽霊も顔認証するのでは?」と考えてバトルシステムを構築しました。

 今回は一眼レフで撮影する、原点の楽しさを味わってもらおうと考えました。ピントがズレていると、相手が幽霊だろうと、ついついピントを合わせたくなるんですよね。フォーカスを調整して、ピントを合わせるといった楽しさとバトルを両立しています。

 これまでの“画角に相手を収める”以外の要素があるので、一見難しいように感じられるかもしれませんが、オートフォーカス機能もあるので、自分で調整しないプレイも可能です。ただ、手でピントを合わせたほうが、より早く調整できます。このあたりは、現実の一眼レフカメラと変わらないですね。
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――“ズーム”は遠距離から撮影できる機能なのでしょうか? ゲーム的には“スナイパーライフル”と言いますか。
 
中島
 うまく狙えば遠くから幽霊の顔をアップで撮れるため、安全に高威力の撮影が可能です。ただし、相手は怨霊ですから、姿を消して移動したり、人間では考えられない動きもしてきます。ズームしていると周囲が見えにくくなりますから、狙うのはなかなか難しいです。

 射影機バトルでいつも課題になるのが、“待ち”主体になりがちなことです。シリーズの根幹である“フェイタルフレーム”は、いわゆるジャストカウンターに近いシステムなので、どうしても怨霊の攻撃を待たなくてはなりません。ですがそれが魅力であり、こちらが基本攻撃できない時間が発生すること自体が、ホラーゲームとしてプレイヤーに恐怖心を感じさせられるポイントなんです。

 ただ、待たせるだけだとカウンターのチャンスを待っていればいい、という話にもなってしまいます。そこを解決する方法として、今回はピントまわりのシステムを盛り込みました。

――ちなみに、リマスタータイトルで採用されていたフォトモードは今回ありますか?

柴田
 はい、好評でしたので搭載しています。カメラで撮影するゲームなので「必要なの?」と言われてしまうこともあるのですが、別の楽しみですから。操作している主人公は、手に持っている射影機では撮影できないですし。そこはプレイヤーにも好評な要素だったので、今回も採用しました。

――カッコイイ、カワイイ写真を撮るみたいなフォトモードは多くのゲームで採用されていますが、自分ならではの“心霊写真”を撮るというのが、『零』シリーズならではですよね。もちろん、幽霊ナシの写真も楽しめますが。

柴田
 相性がいいんですよね。ただ、“心霊写真”って最近は見なくなりましたよね。昔はテレビ番組などでもよく取り上げられていましたが。それもあって、心霊写真という言葉自体があまりピンとこない、その魅力を知らない人も多いのではないかとも考えています。
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柴田Dの心霊体験が今回も……?

――公開された情報ですと、澪と繭のキャストはオリジナル版から一新されています。何か理由はあるのでしょうか?

柴田
 何か特別な理由があるわけではなく、リメイク版なので、いまの時代に澪と繭と描くならば、このキャストがいいだろうという判断によるものです。つぎにもういちどリメイクするとしても、その時代にあったキャストを選ぶと思います。

 ちなみに、幽霊のボイスはオリジナル版そのままです。オリジナル版のボイスそのままでも通じると言いますか、時間の止まった者たちの声なので、変えなくてもピッタリ合うんですよね。

 最新の環境で収録するとなると、もっときれいな音声を加工したりして使います。オリジナル版はアナログ環境で幽霊ボイスを収録したこともありすごく雰囲気があって、味わいがあるんですよ。さらにちなみに、英語版の音声は全部新録しています。いろいろと制約があってオリジナル版を使うことができませんでした。

――当時のデータ、よく残っていましたね。

柴田
 あったんですよね。別にコスト的にはほとんど変わらないので新録してもよかったのですが、やはりあのとき収録したあのボイスが、皆神村の幽霊の声なのかなと思いました。
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――エンディングは本作でもマルチエンディングのままですか?
 
柴田
 はい、そうなります。周回して、いくつかのエンディングを楽しんでいただけます。Xboxのディレクターズカット版にあったエンディングも含まれています。

中島
 具体的なエンディングにたどり着く方法は、ぜひ遊んで確かめてほしいところなのですが、周回要素はオリジナル版よりもやりやすくなっています。

――セーブ&ロードを使うと、エンディングリストが埋まらないみたいな部分もありましたよね。

中島
 同じ内容を何度もグルグル周回して遊んでいくのは現代的ではないので、その点でも遊びやすくしております。収集やエンディングのコンプリートにも取り組みやすくなっているので、ご安心ください。

――クリアーしていくと、オリジナル版では最高難度の“ナイトメア”が解放されましたが、今回もありますか?

柴田
 あります。しかも“Team NINJAのナイトメア”です(笑)。

――む、難しそうですね(笑)。また、限定版情報にあるように、衣装変更も引き続き採用しているんですよね。ゲーム内で解放される衣装もありますか?

柴田 
もちろん用意しています。どんな衣装を用意しているのかは今後の続報などをお待ちいただければと思いますが、少なくともオリジナル版そのままを踏襲しているわけではありません。よりリアルな空間になったので、この世界観に合ったものを採用しています。
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――わかりました。価格についてなのですが、昨今のタイトルと比較するとお求めやすい価格設定ですよね。フルリメイクなのに、と驚いていました

中島
 制作側としては、ほぼ完全新作に近い労力が掛かっているので、決して低コストで作っているわけではありません。昨今はたくさんのホラーゲームが出ていて、しかもインディーズタイトルの人気が高いですよね。そういったプレイヤー層にも遊んでほしくて、なるべくお求めやすい価格を目指しました。

 また、『紅い蝶』のタイトルは聞いたことがあるけれども、実際に遊んだことがある人も少なくなってきたと思います。そういった方々や、『零』シリーズに触れたことがない人たちにもぜひ遊んでほしい、といった想いの表れでもあります。

――柴田さんと言えば、実際の心霊体験をゲームに落とし込んでいることで有名ですよね。とくに『紅い蝶』は、某消臭スプレーで除霊できたみたいな逸話が、伝説にもなりました(笑)。

柴田
 いまもデスクに置いてあるせいか、あまり起きないんですよね(笑)。

――あまり、ということは何かしらの体験が、新たにリメイク版へ採用されているのでしょうか?

柴田
 はい、あります。話すとネタバレになるので、もしお話する機会があるとしたら発売後などに明かしたいと思います。

――では最後に、メッセージをお願いします。

中島
 ホラーゲームではありますが、美しくも恐ろしい世界を目指して制作しています。どなたにでも遊びやすく、手に取りやすい部分もあると思うので、まだ『紅い蝶』を遊んだことがない人も、ぜひとも楽しんでほしいです。

柴田
 『紅い蝶』は、怖がりながらも最後までたどり着けることを目的としているタイトルです。だからこそ、人気も高いのだと思います。もしかしたら思い出補正で美化されている部分もあるかと思いますが、その思い出に負けないくらいの完成度になっています。オリジナル版を遊んだ人も、安心して発売をお待ちください。
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