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『デジモンストーリー』シリーズ総振り返り。“デジモンのお決まり”をぶっ壊した革命児。デジタルワールドに王道育成RPGの道を敷いた初代から最新作『タイムストレンジャー』の超進化を辿る。

byキントキ

更新
『デジモンストーリー』シリーズ総振り返り。“デジモンのお決まり”をぶっ壊した革命児。デジタルワールドに王道育成RPGの道を敷いた初代から最新作『タイムストレンジャー』の超進化を辿る。
 2025年10月2日(木)、バンダイナムコエンターテインメントから『デジモンストーリー タイムストレンジャー』が発売される。

 『
デジモンストーリー』シリーズとしては、10年ぶりの新作。かなり久方ぶりの新作となるわけで、そもそもこのシリーズがどんな作品であるかを知らない読者の方々も多いかと思う。
 
 そこでこの記事では『デジモンストーリー』シリーズを丸っとご紹介。初代から最新作まで、ゲーム画面と併せてその進化と特徴を知っていってほしい。なお、発売年によってメーカー名が異なる場合があるが、本稿ではすべて現・バンダイナムコエンターテインメントで統一する。
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デジモン史の“特異点”⁉ お決まりをぶっ壊した『デジモンストーリー』ってやつ

 『デジモンストーリー』シリーズについて語っていく前に、これだけは明言しておかなければならない。

 「シリーズとは言っても、各作品にストーリー的なつながりはありません!」

 共通する点でいえば、『デジモンストーリー』シリーズは“デジモンといっしょに歩む王道RPG”と思っておけば問題なしというくらい。“デジモンという名の仲間”が旅についてきてくれて、か弱い我々人類のために戦ってくれる育成RPG直球ど真ん中みたいなゲームだと思えばよし。パッケージを見て主人公の見た目なり、気になるデジモンなり、好きなナンバリングを気軽にプレイしてもらえれば無問題だ。

『デジモンストーリー』(2006年発売/ニンテンドーDS)

 さて、そんなシリーズの1作目は、2006年6月15日に発売。対応機種はニンテンドーDS。
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 さっそく1作目から紹介していくが、『デジモンストーリー』初代作はデジモン史上初となる要素が大きくふたつ仕込まれており、本作はもはや“特異点”とも呼べる存在なのだ。

 まずひとつめ。
『デジモン』といえばおなじみ要素の“進化”はもちろんのこと、本作では“退化”もできる。それも進化、退化、進化、退化とくり返し成長段階を変化させ、少しずつ要求を満たして新たな進化へと分岐していく。

 さらには、独自の継承システムである“継承技”という要素があり、簡単に説明すると極端な話「まったく別の子のオリジナル技をほの子でも使えちゃうぞ」というもの。この“進化・退化”システムと、“継承技”により、育成の自由度は非常に高いものとなっていた。
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 デジモン史をひっくり返すような特大情報なのだが、ここに拍車を掛けるもうひとつの要素、本作ではデジモンに“寿命がない”のだ。

 『デジモン』自体は、1997年に発売された、ポケットサイズどころか手のひらに収まるほど小さなキーチェーンゲーム機から始まる。毎日ご飯をあげて、トレーニングをして、未知の強敵と戦い、そして手塩にかけて育てた“我が子”が成長、新たな姿へと進化していく。

 だが、何より衝撃的なイベントこそ、この我が子との“別れ”である。どれだけ長くいっしょにいようと、どれだけ穏やかな毎日を過ごそうと、デジモンは“寿命”を迎えこの世を去るのだ。そして最後に愛情の証をこの世に“デジタマ”という新たな命として残し、私たちはその命をまた紡いでいく。この“一生いっしょはいれないけれど、その一瞬を楽しもうよ”という人生にも似たまばゆい一瞬が、デジモンを育てる原動力になっていた。

 キーチェーンの初代
『デジタルモンスター』はリアルタイム連動型の育成ゲームであり、全作品に相棒の“寿命”があった。デジモンと“寿命”は切っても切り離せないものなのだ。『デジモンストーリー』にも物語における“別れ”はもちろんある。けれど、“寿命”でこの世を去ることはなく、一生いっしょに過ごすことができるのだ。
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 育成の自由度と寿命システムの撤廃。この革命とも呼べるふたつの要素のおかげで、『デジモンストーリー』シリーズは育成RPGの王道ど真ん中を行く、どんな人でもプレイしやすいゲームとしてつぎなる作品に派生していった。

アニメ再現に当時の子どもは大興奮。2作目『デジモンストーリー サンバースト&ムーンライト』(2007年発売/ニンテンドーDS)

 デジモン史に衝撃を与えた翌年2007年。2作目となる『デジモンストーリー サンバースト&ムーンライト』がニンテンドーDSで発売。

 パッケージを務めるのは、最新作『
タイムストレンジャー』のストーリーの中心となる“オリンポス十二神”のうちの2体、“アポロモン”、“ディアナモン”。じつは彼らが『デジモン』シリーズに初めて名を記した作品は、この『サンバースト&ムーンライト』だったりもする。
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画面右に映っているのがアポロモンの進化前“コロナモン”
 そして、発売日となる2007年3月29日は、アニメ『デジモンセイバーズ』の最終話が放送から4日後。これに合わせてアニメに関連した“シャイングレイモン”や“ミラージュガオガモン”、さらには最終フォームである“シャイングレイモン バーストモード”たちも実装された。

 さらに、特定のデジモン2体を育成することで解禁される新たな進化“ジョグレス進化”が実装。ジョグレス進化では、通常のルートから対象のデジモンに進化するよりもステータスを高くできたり、この進化からしか生まれない“カオスモン”など特別なデジモンが誕生したりする。アニメ
『デジモンアドベンチャー02』上ではジョグレス進化で誕生した“パイルドラモン”は、前作時点で登場してはいたものの、本作からより史実通りの進化が可能に。新キャラクターやジョグレス進化など、アニメを観ていた子どもたちからすると「これを待っていたんだ!」と興奮待ったなしの作品だった。

失われた進化を取り戻せ! 3作目『デジモンストーリー ロストエボリューション』(2010年発売/ニンテンドーDS)

 3作目となる『デジモンストーリー ロストエボリューション』は、1作目、2作目から少し時間が空いて、2010年にニンテンドーDSで発売。
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 最大の特徴は、デジモンを進化させるためには“バグプレート”を集める必要がある点。何者かによってデジモンたちの進化ツリーが破壊されており、ゲームタイトルの通り進化が失われた状態から物語が展開される。敵を倒すことでバグプレートを回収、物語を進めていくことで徐々に新たな進化が解放されていく。
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 一見進化のための手順が増えただけに思えるが、
『ロストエボリューション』のすばらしい点は、これらすべての進化ツリーが“ワープ”によってつながっているところ。どんなデジモンから育成を始めても好きなデジモンに進化できるだけではなく、前作までは通信交換をしないと入手できなかった超レアなキャラクターも気軽に入手可能。作中に登場して気になったキャラクターやアニメで観て憧れたキャラクターなど、自分のお気に入りデジモンたちを確実にパーティーに迎えられるのは本作ならではの魅力だ。

オリジナル要素溢れる4作目『デジモンストーリー 超クロスウォーズ レッド/ブルー』(2011年発売/ニンテンドーDS)

 2011年、4作目となる『デジモンストーリー 超クロスウォーズ レッド/ブルー』が発売。なお、ニンテンドーDSでの発売は今作がシリーズ最後となる。
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 世界観は、当時放送されていたアニメ
『デジモンクロスウォーズ』に合わせてあり、“デジモンが進化しない”デジタルワールドで構成されている。そのため、進化や退化が存在せず、特定のデジモン同士を組み合わせることで新たな姿へと変わる“デジフュージョン”、戦闘中に合体技を放つ“デジクロス”といった“合体”をメインとしたオリジナル要素が織り込まれている。
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 さらに、デジモンを仲間にする方法も特殊。いままではデジモンと遭遇することで溜まる“コンバート率”を消費して新たにキャラクターを生み出していたのだが、本作ではデジモンが持つ音楽“デジメロディ”を使うことで誘い、仲間に加える。このデジモンを“生み出す”のではなく“誘う”という仲間への加えかたが、より一層“相棒”としての絆を感じさせ、いっしょに冒険する楽しさを加速させた。また、公式サイト上で配信されるデジメロディを利用して仲間に加えることもでき、ゲーム外との連携も魅力的だったと言える。

お前、本当に日曜朝8時に放送してた“デジモン”か……? 新テイストでファン以外にも伝播した『デジモンストーリー サイバースルゥース』(2015年/プレイステーション Vita)

 2015年には、プレイステーション Vitaにて『デジモンストーリー サイバースルゥース』が発売。グラフィックの変化は一目瞭然、2Dとドットで描かれ続けていたシリーズからは大きく進化し、デジモンはもちろん、主人公も街並みも、すべて3Dで表現されるようになった。
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 さらに、デジモン史としてはこれまた珍しく、冒険はデジタルワールドではなく、現実の東京都・中野を中心に展開。おまけに街並みの再現度がすさまじく、実際に中野ブロードウェイへ訪れると「ここが主人公たちの拠点か!」と想い出が蘇るほど。
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 ストーリーも大きく変化。デジタルワールドの異変にともなって発生する現実の怪奇現象を解決していく、ものによっては背筋が凍るようなホラーやオカルトが混じったちょっぴり大人向けの物語がつづられる。
 
 その例として、トラウマ案件として名高い、本作のサブストーリーのひとつについてザックリとお伝えしよう。
なお、ネタバレが含まれるため、見たくない方はご注意ください。
 
 ある日、特殊な空間が登場し「ここでなら好きな外見、それも“本当に生きているかのように動くドール”と一生暮らせる」ことが話題になる。そんな都合のよい空間なんてものがありえるのだろうか。このオカルトめいた話題を探っていくと、その空間は「アクセスすることで“意識のみ”をデジタルワールドに移動させる特異空間である」ことが判明する。“意識のみ”が移動、つまり“肉体はそのまま”なのだ。その仕組みを悪意のある人間が用意していたとしたら、その残された肉体の行く先は……。

 最後にこの物語がプレイヤーにトラウマを植え付けた“ひとこと”が映し出される。

 ……すべてが明らかになった後、特殊な空間にアクセスしてしまった被害者も真実を知り、デジタルワールドからログアウトを試みる。しかし、彼の画面にはメッセージが一件。
 
 「ログアウト先がありません」

 このたったひとことを残し、物語が終幕するのだ。彼の結末はこれ以上語られず、プレイヤーはこのどんよりとした感情を心に残し、つぎの物語へ歩み始める。
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 というような、あの日曜朝8時に放送していた
『デジモンアドベンチャー』のような勇気と友情で明るく世界を灯す“王道ストーリー”とは似ても似つかない世界観は、ファンだけでなく初めてデジモンを知る人をも引き込んでいった。その人気の高さはシリーズ内でも非常に高く、追加ストーリー『デジモンストーリー サイバースルゥース ハッカーズメモリー』の発売決定に続き、全世界累計出荷数150万本を突破するデジモン界きっての革命児として名を挙げたのだった。

『タイムストレンジャー』のここがスゴい!

 今年2025年、そんなシリーズ新作『デジモンストーリー タイムストレンジャー』が、完全新作としてはじつに前作から10年のときを経て発売。対応機種がプレイステーション5、Xbox Series X|S、PC(Steam)ということもあり、グラフィックや演出が超進化を果たしている。

 先ほどまでの画面と見比べても、圧倒的なデジモン量。おまけに、それぞれがまったく違う動きをして、私たちを出迎えてくれる。これがヌルヌルと動く。これだけでもすごい。
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 さらに驚くべきはそのデジモンの登場数。本作では450体以上が登場し、シリーズの特徴である進化と退化を行うことで全キャラクターにアクセスできる。完全新キャラクターに加え、この10年のあいだに放送されたアニメ作品に登場したキャラクターも参戦。

 そして、デジモン史初となる“オリンポス十二神”について深く語られるのが最大の魅力。むかしからその名前こそ存在していたものの、あまり世界に干渉してこなかったキャラクターたち。彼らの理念や矜持を知れるのは、ファンとしてはとてつもなくうれしい限りだ。
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 また、デジモンと言えば欠かすことができない進化演出と戦闘シーンも、この鮮明さにして、この迫力。往年ファンはスタンディングオベーション不可避なクオリティ、ファンでなくともこのグラフィックの異世界探索となれば思わず食指が動いてしまうのではなかろうか。

 さらに、冒険内容も大幅に進化。東京都・新宿をモデルに作り込まれた現実世界、数多のデジモンが住まうデジタルワールドの2つの世界を、フリーアングルで冒険することが可能。そして、本作ではデジモンの背に乗って冒険できる“デジライド”という機能も新たに実装。子どものころ憧れたガルルモンの背に乗って快適に探索ができ、心ゆくまでデジモン世界に浸れるというものだ。
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 『デジモンストーリー』シリーズが気になった、そこの貴方。ファミ通.comでは本作の発売に先立って、先行プレイレビューとプロデューサーを務める原良輔氏へのインタビューも掲載中だ。こちらも併せてご覧のうえ、ぜひデジタルワールドに足を運んでほしい。
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