『冒険家エリオットの千年物語』開発者インタビュー。“懐かしのスクエニらしさ”を取り入れたくてローカル2Pプレイに対応。気になる『ブレイブリー』シリーズとのつながりは?

byロマンシング★嵯峨

『冒険家エリオットの千年物語』開発者インタビュー。“懐かしのスクエニらしさ”を取り入れたくてローカル2Pプレイに対応。気になる『ブレイブリー』シリーズとのつながりは?
 2025年7月に配信された情報番組“Nintendo Direct 2025.7.31”にて、スクウェア・エニックスの浅野智也氏率いる“浅野チーム”の最新作『冒険家エリオットの千年物語』が発表され、発表とともに先行体験版(Nintendo Switch 2用のみ)が配信された。
広告
※対応プラットフォームはNintendo Switch 2、PS5、Xbox Series X|S、Windows、Steam。2026年発売予定。
 本作は、『オクトパストラベラー』などでおなじみのドット絵とCGを組み合わせたグラフィック手法“HD-2D”を採用している作品のひとつ。そして、HD-2D作品の中では初のアクションRPGとなっている。

 これまでおもにRPGを手掛けてきた浅野チームが、アクションRPGに挑戦しようと思った理由は? 本作は2Pプレイに対応しているが、その意図は? などなどゲームファンが気になることを、本作の企画コンセプトを担当する浅野智也氏と、プロデューサーの松下直史氏にメールインタビューでうかがった。

浅野智也氏あさの ともや

“浅野チーム”の代表で、これまでに『ブレイブリーデフォルト』や『オクトパストラベラー』、『トライアングルストラテジー』などを手掛ける。

松下直史氏まつした なおふみ

『冒険家エリオットの千年物語』プロデューサー。これまでに『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』プロデューサーなどを務める。

アクションに慣れていても、慣れていなくても楽しめるバランスを意識

――今回、浅野チームとしては初となるアクションRPGというジャンルに挑戦しようと思った理由は?

浅野
 HD-2Dシリーズは、ジャンルを少しずつ変えながら展開を広げています。RPGの『オクトパストラベラー』から始まり、『トライアングルストラテジー』でタクティクスを。そして、そのつぎは? ということでアクションRPGになりました。これまでの私たちが世に送り出してきたゲーム(『ブレイブリーデフォルト』、『オクトパストラベラー』、『トライアングルストラテジー』など)を楽しんでくださった方にはもちろんのこと、加えてさらに新しいゲームファンの皆さんに遊んでいただけたらうれしいですね。

――先行体験版をプレイして、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』や『聖剣伝説2』といった、スーパーファミコン時代のアクションへのオマージュを感じたのですが、本作を作るうえで参考にしたもの、イメージしたものはありますか?

浅野
 はい、いろいろなタイトルの影響を受けていますが、最終的な着地としては『聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜』が近いように思います。パズルとバトル、アクションの複雑さ(シンプルさ)、ゲーム中の物語のウェイトなど。

――先行体験版の最後のボス戦はなかなか歯ごたえがあると感じました。一方、力尽きても路銀を消費すればバトルの状況を継続したまま復活できるなど、初心者にやさしい配慮もあります。バトルのバランス調整でこだわっているところは?

松下
 ノーマルは、「先に進めたい」という方がストレスなく楽しくゲーム進行できることを意識して作っています。逆にハードは、ジャストガードなど各ゲーム内要素を駆使して進めるのが前提です。セーブポイントでの回復もないので、HP残量や回復薬にも気を配る必要があります。またバトルにおいても、敵の接触ダメージが有効となるので、自分の立ち位置や武器の間合いを意識して立ち回らなければいけず、ゲームが得意な方でも慎重に進める必要があり、緊張感が増しているかと思います。
[IMAGE]
 アクションゲームは、得意な方と不得意な方でかなり分かれるジャンルだと思ってます。浅野チームのファンの方はRPGに慣れているところもあるので、そのような方々にも安心して遊んでいただきたかったんです。ですのでお金を払えばその場復活ができる、事前準備で蓄えておけばなんとかなる、というシステムも入れました。
――本作に2Pプレイを導入した意図を教えてください。

松下
 「システムをバディものにしよう」となり、相棒が妖精と決まった段階で、すぐにローカルでの2Pプレイにも対応したいと調整しました。これは自分の中で『ファイナルファンタジーIV』や『聖剣伝説2』を妹と2Pプレイで楽しくプレイした過去の経験からです。また最近のスクエニ作品でもあまり採用されていないので、“懐かしのスクエニらしさ”という点でも対応したいと思いました。ふだんは隣で(誰かが)ゲームしているのを見ているだけの方、というのも『エリオット』の世界に巻き込みたかったんですよね。妖精がやれることはあえてシンプルに抑え、でも確実に2Pだとプレイヤーを助けることができる、冒険に参加しているという実感が湧くのが、いい点だと思っています。

――フェイの能力は、シッソーとワープ以外にも用意されていますか? フェイの能力と2Pプレイがうまく噛み合ったとき、思いがけないアクションが生まれたりするのでしょうか?

松下
 はい、もちろんフェイにはほかの能力も用意しています。今回は先行体験版用にどれにしようかと2種類を選びました。ワープは使いどころで応用が効くし、シッソーは爽快感があって直感的なので採用しています。とくにワープを使う際は、プレイヤーどうしで話し合って、戦略を考えたり、即興で危機回避をさせたりと、2P側の工夫が活きるのではないかなと思います。ぜひお試しください!
[IMAGE]
――浅野チーム伝統の“タイトル発表後、即デモ版配信”が行われました。世界各国のユーザーの反応はいかがでしょうか?

松下
 初報となったニンテンドーダイレクトでもとても丁寧に紹介いただいて、任天堂さんには感謝しています。おかげさまで、世界各国からいい反応をいただけていて、とくに体験版を実際に触ってみた方からの声は全体的に好意的に受け止められていると感じ、ホッとしているところです。

――ユーザーからのフィードバックと、それを受けての改善策を後日公開する予定はありますか?

松下
 現在は、フィードバックを取りまとめている最中です。開発スケジュールと照らし合わせて、今後どういった対応が可能かこれから検討させていただきます。

――武器の切り換えがもうちょっとスムーズになるとうれしいです(要望)。とくに爆弾は使用頻度が高そうなので、もっと少ないボタン操作で使えるとありがたく……。

松下
 そうですよね。同じような要望を多方面からいただいているので前向きに調整を考えようと思います。貴重なご意見ありがとうございます!

――すっかりおなじみになったHD-2Dですが、『オクトパストラベラー』や『ドラゴンクエストIII』、『トライアングルストラテジー』などを見比べると、同じHD-2Dではあるものの趣が違うと感じます。開発者の皆さんが考える『エリオット』のグラフィックの特徴は?

松下
 おっしゃる通り、ゲームの方向性によって同じHD-2Dといえどそれぞれ特徴が違っていたりします。『エリオット』はアクションゲームということで、おもにチカラをいれているのはやはり動きの部分でして。主人公のドット、敵キャラクターの動き、ボスの見た目などですね。プレイ感に直結する部分がとくに特徴的になるように進めています。
[IMAGE]
 また、見下ろしのカメラで固定していますと、どうしても地面ばかりが映りがちとなる点をなんとかしたくて、ワールドマップでは“ドラムロール”といって、奥行きを曲げてより背景が見える工夫をしていたりします。ただ曲げるだけではなく、本作独自の調整を施しています。
[IMAGE]
 HD-2Dとしては初めてイベント中の立ち絵の導入にも挑戦しました。立ち絵アートを当社の梶本ユキヒロが担当していまして、ドットの動きも見せつつ、立ち絵での表情変化を加えることでよりドラマティックな感触を得られるようにしました。その辺が本作の特徴的な点だと言えます。
[IMAGE]
――本作の音楽は中町友洋さんと守谷勇人さんが担当されています。おふたりにオファーしたきっかけや理由は? また、本作の音楽の特徴はどんなところでしょうか。

浅野
 今回ですが、『オクトパストラベラー』でお世話になっているイマジンさんに相談をしまして、コンペをさせていただきました。結果、若い2名の抜擢となります。守谷さんはバトルがメロディアスで本当にいい。テンションが上がります。中町さんはもっと情緒豊かに、タウンやフィールド、景色に彩りを添えてくれます。

 HD-2Dは、フォトリアルではない、デフォルメされたビジュアルです。音楽も、リアルな環境音系ではなく、ある程度誇張された、メロディーが立った音楽がマッチすると考えているのですが、今回、ほんとにいい感じだと思います。

 あと、本作ならではの特徴で言いますと、本作は“エンカウントでバトルに切り換わるゲーム”とは違うので、プレイと連動して曲が変化する、いわゆる“インタラクティブミュージック”にもずいぶん凝りました。現在配信中の先行体験版でもその一端が感じていただけるはずですので、Switch 2をお持ちの方はぜひご体験ください。

――赤い帽子の冒険家、というと『ブレイブリー』シリーズのキャラクターが思い浮かびますが、『ブレイブリー』シリーズとのつながりはあるのでしょうか? 妖精がいるという点も『ブレイブリー』シリーズを彷彿とさせます。

浅野
 基本的にはつながりはありません。が、制作において、過去のアイデア、世界を拡張して考えることは多いです。
(そうすると、「あー、もしかしたら、これがこうなって、こうなるのかもなぁ」などと考えることはありますが、妄想に留めています)

――本作の今後の展開(続報はいつごろ発表されるか、イベント出展などはあるか)を可能な範囲で教えてください。

松下
 東京ゲームショウ2025に試遊出展予定があります。Switch 2を持っていない方もまだいらっしゃると思うので、今回の体験版を遊べなかったぞ、という方はぜひ足を運んで、試していただけたら幸いです。その後の展開については、続報、ぜひ期待してお待ちいただければと思います。

東京ゲームショウ2025に試遊出展!

 2025年9月25日~28日の期間、千葉県・幕張メッセにて行われる東京ゲームショウ2025(※25~26日はビジネスデイ)に、『冒険家エリオットの千年物語』が試遊出展される。

 試遊した方には描き下ろし特製ステッカーがプレゼントされるとのこと! 詳細は、スクウェア・エニックスの東京ゲームショウ2025特設サイトでご確認を。
[IMAGE]
描き下ろし特製ステッカー
      この記事を共有

      本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります