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『悪魔城ドラキュラ』初の宝塚舞台化。『悪魔城ドラキュラ ~月下の覚醒~』ゲネプロリポート。リヒターの鞭アクション超かっこいい! 禁断の主人公対決のゆくえは

by永山亘

更新
『悪魔城ドラキュラ』初の宝塚舞台化。『悪魔城ドラキュラ ~月下の覚醒~』ゲネプロリポート。リヒターの鞭アクション超かっこいい! 禁断の主人公対決のゆくえは
 2025年8月16日、宝塚歌劇花組による公演『悪魔城ドラキュラ ~月下の覚醒~』東京公演が開幕した。9月28日までの公演が予定されており、千秋楽には全国映画館でのライブビューイングやライブ配信も予定されている。

 本公演はKONAMIのアクションゲーム『
悪魔城ドラキュラ』シリーズを原作としたミュージカル作品。おもに『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』(1997年発売)をベースに、宝塚らしいオリジナル設定をふんだんに盛り込んで舞台化されている。

 本稿では、前半に関係者・メディア向けゲネプロ(通し舞台稽古)の様子を、後半ではアルカード役永久輝せあさん、マリア役星空美咲さんが登壇した囲み取材の内容をお伝えする。
なお、記事前半では舞台写真を紹介しているほか、舞台演出などに関する記述も含まれるため、これから観劇予定の方はご注意ください。
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『悪魔城ドラキュラ』シリーズとは

 『悪魔城ドラキュラ』シリーズは1986年の第1作発売以来、数多くの続編やスピンオフが展開されてきた横スクロール探索アクションの名作。ゴシックホラーのムード漂う重厚な雰囲気とスタイリッシュさで長年にわたり世界中のファンを魅了してきた。Netflixでアニメ化されたり、2024年に『キャッスルヴァニア ドミナスコレクション』、2025年6月26日に『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』パッケージ版が発売されたりと、長く愛されているシリーズだ。

あらすじ:アルカード、血の宿命。葛藤と対決

 舞台は18世紀後半──。


 かつて、若きヴァンパイアハンターたちに討たれたはずの悪魔城の主・ドラキュラ伯爵が、再び復活しようとしていた。人間とヴァンパイアのあいだに生まれたアルカードは、母・リサを処刑した人間への憎しみに囚われた父・ドラキュラと対峙する宿命を背負い、何百年と生き続けてきた。
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リヒターとマリアがドラキュラを倒してから5年後。

 フランス革命の炎が燃え上がるパリ。暗黒神官シャフトが市民を扇動し、血を流させることによって、ドラキュラ復活を計画していた。代々ドラキュラ伯爵と戦ってきたベルモンド家の末裔であるリヒター・ベルモンドは革命軍に協力するためにパリに向かったが、シャフトに婚約者アネットを人質に取られ、彼の言いなりにならざるをえなくなる。

 突然行方不明となったリヒターと姉・アネットを追うマリアは、旅の途中、村の聖霊祭で森の迷子の少女を送り届けていたアルカードと出会う。そして、彼が幼いころに自分を救ってくれた人物ではないかと思ってしまう。
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 一方、シャフトに操られた革命の英雄マクシミリアン・ロベスピエールは市民によって断頭台に送られ、ついにドラキュラが復活する。そして、悪魔城の新たな城主として据えられたのは、アネットを守るためにシャフトに従うほかなかったリヒターだった。
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 村の修道院まで少女を届けたアルカードはマリアと再会する。15年前、ドラキュラ復活の生贄となりかけたマリアとアネットは、ある男に救われた。その男こそ、マリアが憧れていたアルカードだったが、彼が宿敵ドラキュラの息子であると知り衝撃を受ける。人間に対してドラキュラの力が強くなったのは人間自身が招いた結果だと冷酷に突き放す彼に失望し、マリアは単身で悪魔城へ乗り込もうとする。悪魔城を目指すマリアの前に、村の神父に化けたヴァンパイア・オルロックが現れ、駆けつけたアルカードと一緒に戦闘になる。しかし、マリアはオルロックに血を吸われ、ヴァンパイアと化してしまう。

 そのころ、悪魔城では、アネット救出を試みたリヒターだが、それを察知していたデスによって阻まれ、さらにシャフトの魔術により洗脳されてしまう。

 ヴァンパイアとなったマリアを、アルカードは見捨てることができず、自問自答するアルカードの前に、渡守が現れ、彼を死者の世界へと導く。そこで母・リサの最後の瞬間を見せられるが、それはリサの姿をしたサキュバスであった。リサの最期の言葉を歪めて攻撃を仕掛けてくるが、正体に気づいたアルカードは怒りの剣を振るい、サキュバスを打ち倒す。
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 アルカードはみずからの生い立ちや戦う理由、迷いを語りながら、マリアを救うためにリサが生前に研究していたドラキュラを人間に戻す秘薬“サンクチュアリ”の存在に気付く。

 そして、母の研究室で薬が完成していたことを知り、その薬を求めて悪魔城へと踏み込み、サキュバスへの復讐心に燃えるマグヌスと激しい戦いを繰り広げる。その先にはシャフトに洗脳されたリヒターが待ち受けていた。

 アルカードはリヒターとの激闘の末、彼の理性を取り戻させ、アネットの救出へと向かわせる。みずからは城の奥へ進むが、途中、シャフトにより悪魔城は魔界へと繋がる深淵“逆さ城”へと変貌し、ドラキュラがアルカードの前に姿を現す。
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 悪魔城の奥深くで、アルカードとドラキュラ――父と子の宿命の最終決戦が幕を開ける。果たして、ヴァンパイアとなったマリアをアルカードは救い出せるのか。そして、闘いの果てにお訪れる、アルカードとマリアの未来は──。

ゲームBGMや美しい衣装、宝塚らしい最高峰の再現度も見どころ


 舞台の幕が上がると、ゲーム『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』のオープニングシーンが展開された。前作『
悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』のラストシーンから始まる物語はゲームの世界観をそのままに再現しており、観客を一気に『悪魔城ドラキュラ』の世界へと引き込んでいく。

 そして、名曲『ドラキュラ城』の荘厳な音楽が流れる中、ついにアルカードが登場する。銀髪を風になびかせ、長剣を携えたその姿は、まるでゲームのパッケージイラストから抜け出してきたかのようで、ゲームファンが思い描くアルカードそのものが目の前に現れた。

 物語は『
悪魔城ドラキュラX ~月下の夜想曲~』のストーリーを軸として、史実に由来する人物など舞台オリジナルの登場人物を加えつつ、登場人物たちの関係をより深く掘り下げていく。原作のマップ探索型アクションRPGは断片的な会話やイベントから背景を読み解く構成だが、舞台ではアルカードの過去や父ドラキュラとの確執、マリアとの交流が丁寧に描かれ、物語としてのわかりやすさと厚みが増した。

 ゲームに登場する敵キャラクターやボスとの戦いも、舞台では迫力ある殺陣と美しい歌唱によって丁寧に描かれる。また個々の役割や思いなど、ゲームでは語られなかったキャラクターたちの心情が掘り下げられることで、ひとつひとつの戦いに確かな意味と切実な思いを感じさせてくれる。

 マリアは原作同様に行動力と正義感にあふれた人物として登場する。ゲーム版では勝ち気で少しおてんばな印象が強いが、舞台版ではその魅力に加え、落ち着きと知性を備えた女性らしい雰囲気が漂い、歌唱を通じてアルカードとの心の距離を繊細に表現し、真っ直ぐで芯のある人物像が印象的だ。

 デスやオルロック、サキュバス、シャフトなど、ゲームで印象深い敵キャラクターも登場する。原作同様、デスは悪魔城に乗り込んだアルカードと最初に会話を交わし、サキュバスはアルカードの母・リサに化けて現れ、シャフトは……。また、サキュバスに好意を寄せるマグヌスはゲームには登場しないが、『月下の夜想曲』のアフターストーリーとして発売されたドラマCD『追憶の夜想曲』に登場する闇の眷属であり、こうした細やかな設定やアレンジからも原作へのリスペクトが強く感じられる。

 余談ではあるが、使い魔のインテリジェンスソードやアルカードシールド、聖なるめがねも登場する。小道具にいたるまで、ゲームをやり込んだ人なら思わず感心する細やかな演出が随所に散りばめられている。

 音楽面でとくに印象的だったのは、アルカードのアクションシーンで流れる名曲『Vampire Killer』だ。シリーズを代表する楽曲『Bloody Tears』や『月下の夜想曲』、『しもべたちの祭典』もアレンジを加えて使用されている。また、場面転換のBGMやボス戦の緊張感あふれるバトルBGMなど、20曲以上のゲーム楽曲が使用されており、当時のゲームプレイの記憶を呼び起こす。

 プレイ経験がある方は「おっこの曲は!」とたびたびピンと来るはず。使用楽曲については別記事にもまとめているのでこちらもご参照いただきたい。
 また、人物への照明の色による表現や、セット・映像を活用したシーン、舞台上の“せり”を用いた演出など、ゲーム的なギミックを舞台表現に巧みに取り入れた演出にも驚かされる。

 ゲーム『悪魔城ドラキュラ』の骨格を大切に残し、原作への深いリスペクトが感じられる本作。舞台ならではのストーリーの追加によって物語に深みが加わり、ゴシックホラーの世界に宝塚歌劇ならではの歌唱やダンスが融合し、新たな『悪魔城ドラキュラ』の世界が創り出されている。オーケストラの生演奏や歌唱、ダンス、衣装、舞台装置、照明、小道具に至るまで、すべてに見応えがあり、リアルな緊張感と迫力をもって表現されている。

 原作ゲームファンはもちろん、舞台や宝塚歌劇を初めて観る方にも自信を持っておすすめできる作品だ。ぜひこの機会に、新たな『悪魔城ドラキュラ』の世界を体験してほしい。

 東京公演は、東京宝塚劇場にて9月28日まで上演される。千秋楽となる9月28日の公演は、全国の映画館でのライブ・ビューイングに加え、Rakuten TVおよびU-NEXTでのライブ配信も予定されている。また、Blu-ray&DVDおよびライブCDの発売も9月10日に予定されている。詳しくは公式サイトを確認してほしい。

宝塚歌劇の魅力を凝縮した『愛, Love Revue!』

 宝塚歌劇は、芝居とショー・レビューの2本立てを基本構成としている。『悪魔城ドラキュラ』の荘厳でドラマティックな物語の幕が下り、幕間を挟んで始まるのは、愛をテーマにしたレビュー『愛, Love Revue!』だ。


 きらびやかな衣装と華やかな照明に包まれた舞台では、ジャズ、ボサノバ、タンゴなど多彩な音楽に合わせ、息の合ったダンスが繰り広げられる。中でも印象的なのは、舞台奥からスポットライトを浴びながら大階段を降りてくる名場面である。舞台も照明も音楽も衣装も次々と変化し、クライマックスでは全キャストが揃って圧巻のフィナーレを迎える。
 
 まさに「これぞ宝塚」と呼べる華やかさとスケール感があり、その魅力を堪能できるのがレビューだ。『愛, Love Revue!』は、美しさと華やかさ、そして感動を兼ね備え、宝塚レビューの真骨頂を体感できる作品だった。

アルカードの内面の表現を大事に毎日剣を振った

 ここからはゲネプロ後に行われた囲み取材の模様をお届け。アルカード役永久輝せあさん、マリア役星空美咲さんが登壇し、本公演への想いを語った。

アルカード役 永久輝せあさん

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――作品の世界観や役について

 ゲームだからこそ、作品と向き合う中で作品を知っていき、本当に魅力的な作品で長く愛されている理由がよくわかると実感しております。アルカード役は原作ファンでも、人気のあるキャタクターということでヴァンパイアの血と人間の血の両方流れているということで、ロマンも詰まってますし、やさしさと強さと両方を持った人物なので、私自身魅力的な方だなと思います。

――宝塚ならではの演じかたで意識したこと

 ゲームで描かれていなかった部分をお芝居として作っていかなければいけないというところで、稽古中は「どんな思いを抱えてる人物なのか」、「なぜ悪魔城に向かって、どういう思いで父と退峙するのか」という内面的な部分をとても大事にしました。立ち回りの振り付けを覚えて実践するのも難しい時間でしたが、舞台として成立するためには、内面的な部分を埋め、表現することを意識しています。また、稽古場からマントを使い、マントを持ちながら通常よりも長い剣を用意していただき、毎日剣を持って振り回して練習しました。

――ヴァンパイヤの魅力

 ヴァンパイヤは少し怪しくあり、儚さや美しさもあり、謎めいたところが宝塚の持っている魅力に合うのではないかと、ヴァンパイヤについて考えたときにすごく思いました。ただ、今回は儚さや美しさだけでなく、強さや人間とヴァンパイヤの戦いが描かれているので、いままで宝塚で扱ってきたヴァンパイヤ作品とはまた違ったおもしろさがあると感じています。

――ゲーム音楽で歌唱する際の思い
 
 いっしょに歌う『失われた彩画』という曲は、ファンの方々に人気の曲ということで、ふたりで歌うという演出にしてくださいました。メロディーは本当に美しいのですが、歌うとなると音域が広く、音の上下もかなり激しく、なかなか苦戦しました。でも、神秘的で荘厳な曲の力を借りながら、お芝居の世界に自分も没入できる感じがとても素敵だと思っています。

マリア役 星空美咲さん

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――作品の世界観や役について

 原作があるものを演じるのが初めての経験で、お化粧前にマリアさんの写真を飾って、心強さも感じながら日々公演させてしてます。マリア役は明るく活発で、でも、心やさしい部分があって、アルカードを人として接している彼女のやさしさに、私自身もたくさんの勇気と力を頂きながら、これからも公演を重ねて参りたいなと思っています。

――宝塚ならではの演じ方で意識したこと

 自分自身の課題だと思って取り組んでいるのは、“宝塚でマリアを演じる意味”。マリアを演じる意味は、品や美しさがにじみ出てこそだと感じています。マリアとしてもそうですけど、その前に娘役として、自分自身を磨くことを意識しながら取り組んでいます。

――ヴァンパイヤの魅力

 小さなころからヴァンパイヤが大好きで、ヴァンパイヤが題材の小説が好きで読んでいたので、今回“ヴァンパイヤ”と聞いて、本当にうれしかったです。宝塚の男役さんが舞台上でヴァンパイヤを演じると、人間とは見えない感じが、宝塚と相性がいいかと思います。

――ゲーム音楽で歌唱する際の思い
 歌詞がなくても音楽だけでたくさんの方に愛されてることがあり、『失われた彩画』も、前奏を聞くだけで、すっとその曲の物語の中に入っていける感覚になるので、そこに歌詞がある意味を自分の中でどんどん深めながら歌うことに、とてもわくわくしています。
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公演概要

ミュージカル・ロマン『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~

  • 原作/コナミデジタルエンタテインメント 『悪魔城ドラキュラ』シリーズ
  • 脚本・演出/鈴木 圭

Romantic Revue『愛, Love Revue!』

  • 作・演出/岡田敬二

出演

  • 宝塚歌劇団〈花組〉永久輝せあ 星空美咲 ほか

会場・公演期間

  • 会場:東京宝塚劇場(東京都千代田区有楽町1‐1‐3)
  • 公演期間:2025年8月16日(土)~9月28日(日)

ライブ・ビューイング

東京宝塚劇場公演 千秋楽

  • 日時:9月28日(日)13:30公演 千秋楽 

販売期間

  • 先行抽選販売:8月9日(土)11:00~8月25日(月)12:00
  • 一般発売(先着順):9月20日(土)11:00~9月26日(金)12:00
  • 料金:4700円[税込](全席指定)
  • 会場:全国各地、台湾・香港の映画館
  • 配給:ライブ・ビューイング・ジャパン

ライブ配信

東京宝塚劇場公演 千秋楽

  • 日時:9月28日(日)13:30公演 千秋楽 
  • 販売期間:9月21日(日)10:00~9月28日(日)14:00
  • 視聴方法:Rakuten TV、U-NEXTにて配信 
  • 聴料:3500円[税込]

Blu-ray・DVD・CD

  • 発売日:2025年9月10日(水)

Blu-ray

  • 花組宝塚大劇場公演『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~『愛, Love Revue!』
  • 11000円[税込]

DVD

  • 花組宝塚大劇場公演『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~『愛, Love Revue!』
  • 8800円[税込]

ライブCD

  • 花組宝塚大劇場公演『愛, Love Revue!』
  • 3080円[税込]
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