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『Cairn』どこをつかむか悩むとすぐに落下=死が頭をよぎるサバイバルクライミング。リアルさながら、岩をつかむ手と同じようにコントローラーに手汗がにじむ【BitSummit the 13th】

by友野辰貴

更新
『Cairn』どこをつかむか悩むとすぐに落下=死が頭をよぎるサバイバルクライミング。リアルさながら、岩をつかむ手と同じようにコントローラーに手汗がにじむ【BitSummit the 13th】
 2025年7月18日~7月20日まで京都・みやこめっせで開催されるインディーゲームの祭典“BitSummit the 13th(ビットサミット ザ・サーティーンス)”。本記事では『Cairn』を紹介していく。
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緊張感が伝わりすぎる登山体験

 『Furi』と『Haven』の開発陣“The Game Bakers”が新たに手掛ける本作は、人類には過酷な未踏峰“マウント・カミ”の山頂を目指すサバイバルクライミングアクション。プロクライマー“アーヴァ”を操作して、目の前にそびえる崖をひたすら登って登って登りつくす。いわゆる山登りゲームだ。
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ビットサミット ザ・サーティーンス プレイステーションブース
 今回のデモ版ではマウント・カミ手前の小さな山を登れたのだが、この「小さな山を登るだけ」がかなり過酷だった。実際にゲーム内で登っている“アーヴァ”と同じくらいには精神的に消耗したのではないだろうか。

 というのも本作では両手足それぞれをひとつずつ操作して崖を登る。その際はつかみやすい場所、ひっかけやすい場所などとっかかりを探してはつかみ、足を引っかけ、またつかみ……といった感じになるのだが、これが地道で超たいへん。

 両手両足1回ずつ計4回動かしてようやくほんの少し登れる。そのつらさが伝わるだろうか。四肢それぞれの配置や距離を考えないと、狙った場所をつかめない、足を置けない、手足を引っかけられないというトラブルも頻発しまくる。試遊開始からほんの数分、最初の感想は「リアルのクライミングはどんだけたいへんなんだよ」だ。
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 つまり各手足の可動域と届く距離を考慮した配置の管理が重要な高難度ゲームなのだ。「あとちょっと手が伸びればもう届くのに!」という状況に何度陥ったことか。もちろんずっと崖をつかんでいられるわけではない。腕や脚には耐えられるスタミナ、重量の配分もあるため時間が経てば限界も来る。どこをつかむか悩んでいるとすぐに落下=死が頭をよぎる。
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PS5用DualSense Edge ワイヤレスコントローラーのおかげか振動で疲労度合いがわかるありがたい仕様。限界が近づけばアーヴァの苦しそうな声も聞こえてくる。ただ、それはそれとして振動も声も冷静さを削ってくる点には注意だ。
 決められた手足の可動域と範囲の中で探す次のとっかかり、迫るタイムリミット、限界を伝えるアーヴァの息と声など、焦る要素だらけで崖登りの道中はずっと冷や汗ダラッダラで気がつけば判断力も味噌っかす状態に。あとで見返せば「目の前にとっかかりあるじゃん」と自分で自分に突っ込めるぐらいには焦りでポンコツ化していた。それぐらい緊張感があるのだ。共有のコントローラーがビチョビチョになっていなければいいが……。

 しかし、だからこそ登り切ったときにはかなり爽快で達成感もすさまじいものだった。ひとつ問題があるとすれば……
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あんなにがんばったのにまだまだ低い……
 まだ、ひとつめの崖を登っただけということか……。上を見ると果てしない。果てしなさ過ぎるよ……。

どこからでも登れるからこそ……

 どこからでもクライミングに挑戦できる自由度の高さもウリ。しかし、だからこそ事前のプランニングも重要だ。

 まず、崖をよく観察→どのルートで登るかを決める→実行、と計画をしっかり立てないと地獄を見る。というか詰む。詰んだらいったん降りなくてはならない。何分、何十分とかけた目の前の崖をだ。

 ほぼ100%自分が悪いのはわかっているんだがそれでも“やり直し”は心にくる。筆者のように時間をむだにしたくなければ、登山は計画的に。
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引きのカメラで観察するモード。とっかかりが多い場所、登る距離、行きやすそうなルートなどを事前に確認しておく。
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事前チェックを怠ったせいで無理な体勢を強いることに。アーヴァごめん……。

操作感は安心のシンプル設計

 “手足それぞれを動かす”というシステムを聞くと「かなり複雑な操作が必要なのでは?」と思うかもしれないが心配はいらない。右足→左足→右腕……といった感じで順番に手足を動かす仕組みになっており、基本的な操作は左スティックと□ボタンのふたつで完結するようになっている。
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基本操作を教えてくれるボルダリングステージ。まずはここで練習しよう。
 このおかげで操作ミスが少ないというのが非常に助かる。1回ミスっただけで死ぬ、落下する可能性が格段に上昇するからだ。

 1回つかむ場所をミスると、事前のルートから少しずれる→ほかの手足の乗せる場所もずれる→事前ルートからより大きく外れる→場所によってはアドリブでやる羽目に→またミスしやすくなる……といったループにハマる。1回のミスがさらなるミスを呼び込むのだ。

 しかし、操作感がシンプルな設計なのでシステムが原因でのミスは起こりづらい。この手のゲームで操作感によるストレスがほぼなくプレイできるというのは、かなりうれしいポイントなのではないだろうか。

 要するに何が言いたいのかというと「“壺に入ったおじさん”のトラウマを思い出して手が出しづらい人も安心してプレイできる」ということだ。ちゃんとセーブもあるし。

リソース管理もプレイヤーを苦しませる……かも

 試遊したデモ版ではあまり体験できなかった、本作における“サバイバル”の要素も非常に奥深そうだった。

 崖登り、山登りには当然アーヴァ本人の体調が大切。コンディションの管理、悪化への対処もかなり重要になってくる。

 お腹の減り具合、のどの渇き具合、指に巻いたテーピングの具合など管理項目はさまざま。事前に準備されているアイテムも限られており、自然の恵みや現地調達も必須タスク。ときには食料を探し、きれいな水を汲み、休憩できるビバークポイントを探す。決して山を登ってさえいればいいゲームというわけではなさそうだ。
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左上が体力や水分、食料などの値を示すUI。ゲージが不足するとコンディションに悪影響を及ぼすという。この場合は食料値が不足気味だ。
 とくに不安だったのが食料で、事前に準備されたものはインスタント麺とチョコレート程度。上には果てしない“マウント・カミ”がそびえたっている。初めてバッグの中身を見たときは「これでどうやって頂上までもたせればいいんだ……」と絶望した。
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どんなに貯蓄が不安でも不調になるよりはマシ、と割り切って食べる図。吉と出るか凶と出るか。
 とはいえ登る本人が元気でないと山登りがはじまらないのも確か。このあたりのリソースやアイテム管理のサバイバル要素がどう難易度に影響してくるのかは、デモ版ではわからなかったが、製品版での発揮に期待したいところだ。

 なお、製品版ではボスのような超高難度の崖、降雨や雷雨をはじめとする気象の変化などハードなギミックが登場するらしい。ただでさえ難しいのにやめてほしい……が、その分やりがいも十分なはずなので、かかってこい。

 『Cairn』は2025年11月5日にプレイステーション5(PS5)、PC(Steam)にてリリース予定。ウィッシュリスト登録などフォローをお忘れなく。
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集計期間: 2025年07月19日05時〜2025年07月19日06時

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