『タイムクライシス』や『ガンバレット』などの名作が現代の液晶テレビで遊べるG'AIM'E(ジーエイム)レビュー。AIで蘇る“狙って、撃つアソビ体験”は令和でもやっぱりおもしろい

byあみだ

byででお

『タイムクライシス』や『ガンバレット』などの名作が現代の液晶テレビで遊べるG'AIM'E(ジーエイム)レビュー。AIで蘇る“狙って、撃つアソビ体験”は令和でもやっぱりおもしろい
 達成電器のプラグ&プレイ式ガンコントローラー“G'AIM'E”(ジーエイム)をご存じでしょうか。東京ゲームショウ2024(以下、TGS2024)にプレイアブル出展され、ガンシュー界隈で話題になった本機が、2025年7月10日に一般予約受付開始となりました。その記念に、収録された4タイトルを先行試遊したリポートをお届けします。
広告
 ビデオゲームはプレイヤーさまざまな疑似体験を与えてくれます。RPGならファンタジー映画のようなワクワクを。レースゲームならF1レーサーのようなスピード感が楽しめますよね。

 そんな中、ハリウッド映画に登場するタフガイのように、“銃を片手に悪者をなぎ倒していく”体験を与えてくれるのがガンシューティングというゲームジャンルです。ゲームセンターなんかに置いてある、銃の形をしたコントローラーで敵を撃つアレですね。

 初代プレイステーション(PS)やプレイステーション2(PS2)のころはブラウン管の仕組み(※)を活用した家庭移植版も多く出ていたのですが、液晶には非対応なものが多く、最近ではめっきり見かけなくなってしまいました。
“GunCon”は画面の描画タイミングと内部センサーによって受け取った光の情報を照合し、どの位置が狙われていたかを判定していました。この方式はブラウン管を前提としており、液晶モニターでは非対応です。[IMAGE]
こういう狙って撃つゲーム、ゲーセンで見かけたことがあるかと思います。
 しかし、2025年になって技術が進化した結果、ほぼすべてのモニターで使用できるガンコントローラー(以下、ガン型コン)がついに発売されます。その名もG'AIM'E。読みかたはジーエイムだそうです(“ガイム”とか“ゲイム”ではないのでご注意ください)。気になった人は予約サイトもチェックしてみてくださいね。

 TGS2024に制作途中のものが出展されており
「れ、令和にお家で『タイムクライシス』が遊べちゃうんですか!?」と(筆者の中で)かなり話題になっていた注目ハードです。

 注目していたら、なんと開発会社である達成電器様にお邪魔して、先行試遊をさせていただけることになりました。人生とはわからないものです。

 2025年に最新ガンシューハードをプレイするというタイムパラドックス感を感じながらたっぷり遊んできましたので、「使用感はどんなかんじ?」などの気になる点をお話ししていきたいと思います。
[IMAGE]
クラシックゲーム大好き編集者のででおと、ふたりではしゃぎながら遊び倒してきました。

1万円代で自宅にアーケード筐体さながらの設備を!ガンシュー好きならアルティメット版を思い切って買っちゃいたくなる充実っぷり

 このG'AIM'Eはゲーム機本体とガン型コンがセットになっており、だいたいCDケースくらいの本体をテレビに直接つなぐだけでゲームができます。ガン型コン先端に専用のカメラが付いており、その映像をAIが解析、照準の位置を割り出しています。

 この仕組みのおかげで照準用のマーカーを設置したり、センサーバーを置いたりといった準備も要りません。非常に省スペースかつ楽なセッティングで遊べるのがG'AIM'Eの魅力のひとつですね。
[IMAGE]
こちらが本体。本当にCDケースくらいのサイズで分厚くもないため、卓上にポンと置けると思います。
 ベーシック版とプレミアム版、アルティメット版があり、内容の差は以下の通りとなっています。
[IMAGE]

ベーシック版

価格:13200円[税込]
  • G'AIM'E本体
  • ガンコントローラー(有線)
  • ソフト:タイムクライシス

プレミアム版

価格:19800円[税込]
  • G'AIM'E本体
  • ガンコントローラー(有線)
  • フットぺダル
  • ソフト:タイムクライシス
  • ソフト:ガンバレット
  • ソフト:スティールガンナー
  • ソフト:スティールガンナー2
  • 特典ピンバッジ

アルティメット版

価格:29700円[税込]
  • ガンコントローラー(有線)
  • 2P用ガンコントローラー(有線)
  • フットぺダル
  • ソフト:タイムクライシス
  • ソフト:ガンバレット
  • ソフト:スティールガンナー
  • ソフト:スティールガンナー2
  • ACアダプター
  • 特典ピンバッジ
  • 特典アクリルスタンド
※ACアダプターはベーシック版とプレミアム版には同梱されていません。遊ぶには市販のACアダプター(5V//3A:15W出力)が必要です。
 筆者は「『タイムクライシス』と言えばフットぺダル!」という感覚があるので、個人的にはプレミアム版かアルティメット版を買おうと思います。価格は2万円近くするものの、ゲーム機本体とコントローラー、ソフトがセットであることを考えたら非常にリーズナブルだと思いました(感覚的にはプレイステーションクラシックみたいなミニハードだと考えています)。
[IMAGE]
特典のアクリルスタンド。『タイムクライシス』の舞台である古城と主人公リチャード、そしてG'AIM'Eコントローラーがセットになっています。
 なかなか復刻の機会がないガンシューが、ゲーム機本体にガン型コンまで付いて1万円台で済んでいるのが破格の安さだというのが個人的な感想です。個人的には『ガンバレット』二丁持ちとかの遊びかたもしたいので、アルティメット版を思い切って買おうかなーと思っているところです。

 では、概要紹介はこの辺りにして、実際に遊んでみて皆様が気になっている「で、実際どうなん?」な部分をお話ししていこうかと思います。

バンダイナムコエンターテインメント協力のもと作られたGunCon型デザインはファン垂涎必至!

 まずはハード面から見ていきましょう。以前のTGSの試遊では試作段階のものでしたが、今回はブラッシュアップされたバージョンということで、デザインに変更が入っていました。
[IMAGE][IMAGE]
 往年のファンはひと目見て気づいたかもしれませんが、初代PSのGunConに非常に近しいデザインになっています。ですが、まったく同じというわけではなく、より現代向けにスタイリッシュになった印象。まさしく現代に蘇ったGunConと言えます。

 開発にあたってさまざまな家庭用ガンコントローラーを参考に作られているそうで、その中で今回のG'AIM'EコントローラーはGunConに近しいデザインになったのだとか。

 マニアックな話をすると、グリップ上部のサムレスト(親指を引っ掛けるくぼみ)がとくに懐かしかったですね。握りこんだ感じはまさしく当時のあの感覚です。思わずスタッフの方に「いや~このグリップの感触が、ハンマーのデザインが!」と語ってしまいました。厄介なファンになってしまったかも……?

 ともあれ、分厚すぎずほどよいサイズ感なので、手の大きい人でも小さい人でも扱いやすいんじゃないかと思います。

[IMAGE]
サイト(照準器)はこんな感じ。シンプルですが、見やすく狙いやすいです。

 さらに、G'AIM'Eコントローラーでは、射撃と連動したバイブレーション機能がありました。こちらは、コントローラー左側のスイッチでオンオフが可能です。

 ゲームセンターの一部筐体では、射撃の反動を再現するためにスライドが後退するギミックなどが搭載されていることがありました。このバイブレーション機能もその一環で、射撃体験の臨場感を底上げしてくれています。こういうのがいいんですよ。

 個人的には、トリガーを引きっぱなしで連射ができる『
スティールガンナー』シリーズでとくに心地よい振動が手に帰ってくるので、体験してみてほしいところ。こういった機能を搭載する発想そのものが、ガンシューが好きな人が作ってくれているんだなぁと感じるポイントですよね。筆者も大興奮で振動を噛みしめてきました。

[IMAGE]
近年のゲームセンターガンシューによくある、トリガー引きっぱなしで撃ちまくるゲームの元祖『スティールガンナー』。振動がかなりいい味出ます。

 ハード全体の仕上がりとしては、ガンコン自体が重すぎないので長時間の射撃でもそこまで疲労しません。カメラを搭載してる割にはびっくりするくらい軽いです。

 ペダルやトリガーも軽い押し心地なので、ガンシュー独特の疲労感みたいなものはそこまでたまらなかった印象でした。

 ……令和にガンシューができる喜びで疲労を感じなかっただけという説もあるかも? と冗談はさておき、全体的に“プレイしやすさ”の部分はこだわって作られているので子どもから大人まで誰でも使えるようにデザインされているんじゃないかなと思います!
[IMAGE][IMAGE][IMAGE]
こちらが『タイムクライシス』で使用できるフットペダル。踏んで狙うという動作だけで、なつかしさに涙が出かけます。

AIでカメラ映像を取り込んで照準! ……それってラグとかは大丈夫なの?

 先述した通り、G'AIM'EではAIとカメラを使って照準の位置を算出しています。非常に画期的な仕組みですが、ガンシューゲームファンが気になるのはラグや照準の正確性が担保されているのかどうかというところでしょう。

 結論を先に申し上げると「ラグは部分的にあるものの、ゲーム体験を損なうようなものではない」というのが筆者の感想です。こちらについては詳しく説明しておきたいので、少し語らせてください。
[IMAGE]
動く物体を狙うときには少しラグを感じるかも? 詳細は後述。
 ラグ、とひと言でいったものの、実際に操作するうえで“どの操作”にラグ=遅延があるのかが重要です。G'AIM'Eの場合は、照準の追従に若干の遅延を感じました。感覚としては、銃口の向きを変えると照準判定が少し遅れてついてくる感じです。体感時間で0.1~0.2秒くらいの遅延だったと思います。

 が、逆にそれ以外の欠点はとくになく、トリガーを引いてから判定が出るまでのレスポンスは非常にキレがあり、撃っている感覚はかなり良好でした。連射にもかなり正確に対応してくれます。

 FPSでいう“フリックエイム”のような撃ちかたをしたりしなければ、まったく気にならないレベルだと思いますね。
[IMAGE]
写真だと画面が小さくて恐縮ですが、銃を右方向に動かしている場面です。狙っている位置(照星/フロントサイト)に対して遅れて照準が付いてきてるのがわかるかと。
 先に欠点について話しましたが、このAI照準システムの長所もしっかりあります。いくつかありますが、なにより推したいポイントは“照準の正確性”です。

 WiiやPS2などいろいろなハードでガンシューをプレイしてきましたが、それらと比べても照準が正確でした。しかも、安定しているのが好感触でしたね。

 今回の試遊では2時間ほどプレイしたのですが、最初にキャリブレーションしてからぶっ通しでプレイしていたのにもかかわらず、最後まで安定した照準が可能でした。いちいちキャリブレーションを挟まなくてよいのは非常に好感触です。ブラウン管でやっていた当時は何かの拍子ですーぐズレた記憶なので、安定感があるのはグッドですよね。
[IMAGE]
『ガンバレット』に登場する“38枚のターゲットを一発も外さずに撃つ”ミッションですが、難なくクリアできます。相当狙い通りに飛びますね。
 また、カメラによる検知なので、モニターの輪郭が認識できていれば、モニターが多少さえぎられていてもキャリブレーションがズレたりしません。実際にモニター前を横切ってもらう実験をしましたが、とくにエイムがズレたりといったトラブルは発生しませんでした。

 お母さんがテレビの前を横切ってボス戦が台なしになることはもうありません。見えなくても心の目で撃てれば、ですけどね!
[IMAGE]
代表取締役社長・アンドリュー氏にモニターの前を通ってもらいましたが、問題なく続行できました。
 さらに、センサーバー形式と異なり、相対的ではなく絶対的な照準が可能なのもいいポイント。

 センサーバー形式だと、バーとの距離によって左右の感度が異なるケースがありますが、このAI照準ならモニターとの立ち位置などに関係なく照準が可能です。ブラウン管時代の照準に近い感覚で遊べました。
[IMAGE]
筆者(左)のように、銃を傾けたりしても問題なく狙えます。最近流行のCARシステムごっこ(わからない人はジョン・ウ〇ックの撃ちかたを検索してください)だったり、ゲーセンでよく見た“曲芸撃ち”だったりも可能ですね。
 総合評価として、エイムにわずかな遅れがあるという欠点はあるものの、照準の安定性やトリガーレスポンスのよさなどは頭ひとつ抜けているハードという印象です。

 カメラでモニターを認識する、と聞いたときは照準のずれを心配していましたが、まさかここまで正確な射撃が楽しめるとは思いませんでした。

 まだ開発中のため、今回お話ししたラグについても発売に向けて改善していくとのことです。最終的には、この技術でガンシューが盛り上がってくれることに期待が持てる仕上がりになってくれるとうれしいですね。

G'AIM'Eはどのような経緯で生まれたのか? 社長・アンドリュー氏に語ってもらった

 本試遊をさせてもらうに当たり、達成電器の代表取締役社長であるアンドリュー氏にお話をうかがうことができたので、そちらの内容をここでご紹介したいと思います。

 G'AIM'Eが生まれた経緯には、アンドリュー氏が感じるゲーム業界への期待や熱量があったのです。

Andrew Steel 氏アンドリュー スティール

達成電器の代表取締役社長。日本のゲームやカルチャーが好き。子どものころの夢を叶えるために日本に移住し、エンジニアであり、根っからの発明家として、多くのプロトタイプやコンセプトを手掛けている。

――そもそも、このプロジェクトはどういった経緯で立ち上がったのでしょうか?

アンドリュー
 最初に、我々の親会社として中国のDashine Electronicsという会社があるのですが、得意としているのがライセンスを取得したサード―パーティー製のコントローラー関係なんです。

 ただ、多彩なコントローラーが出る中でガンシューティングのガンコントローラーだけが出ていないですよね。これはガンシューティングゲームの人気がないからではなく、多くのガンコントローラーがブラウン管テレビを前提としていた特性上の問題だと考えています。本プロジェクトのきっかけは、その問題を解決できないかと言うものでした。

 液晶テレビが一般化した後のガンコントローラーは煩わしいセッティングが必要なものが多く、一般層に普及しやすい環境ではなかったと考えています。そこに目を付けて、今回のプロジェクトがスタートしました。我々はいかにシンプルにガンシューティングゲームを復活させるかという課題の元、AIによってカメラ認識で照準をできないかと考えました。

 最初に復活させるタイトルは、自然と『タイムクライシス』になりましたね。ただ撃つだけではなく、ペダルを踏んで隠れながら撃つという体験は当時の我々にとって革命的でしたから。

――プレミアム版以上のモデルでは、『タイムクライシス』以外にもバンダイナムコさんのライセンスタイトルが収録されていますが、どういった経緯で収録が決定したのでしょうか?

アンドリュー
 我々は日本法人を設立してまだ3年ほどの会社ですが、バンダイナムコさんに相談しに行ったところ快く受け入れてくれました。バンダイナムコさんにアピールしたポイントは3つありまして、ひとつ目がスクリーンサイズです。150インチのモニターでもG'AIM'Eは動作しますし、試験範囲では200インチ程度のプロジェクター映像でも動作します。

 ふたつ目は明るさです。G'AIM'Eは赤外線式ではないため、明るいところでも暗いところでも動作するようになっています。

 そして3つ目はリーズナブルさですね。多くの方の手に届く価格帯にすることができました。

――収録されているのは、アーケード版の『タイムクライシス』なのでしょうか?

アンドリュー
 バンダイナムコさんからの協力を経て、アーケード版の『タイムクライシス』をリビルドしたものが収録されています。

 また、去年のTGSの時点では『タイムクライシス』しか収録が決まっていなかったのですが、アンケートにて「もっとたくさんのゲームを収録してほしい」という声をいただきまして、ふたりで遊べる『ガンバレット』や『スティールガンナー』などの収録が決まった形ですね。

――PS時代の移植版もすばらしいものでしたが、やはりアーケード版準拠のものが遊べるのはうれしいです。

アンドリュー
 我々の目標としては、いかに楽しんでもらえる製品を作るかというところにあります。その中で、カメラで認識する都合上どうしてもコンマ数秒のラグは発生してしまう部分があります。「過去に世界記録を取りました!」みたいなプロフェッショナルな方がプレイした際には「違うな~」と思ってしまう部分は正直なところあるかと思いますが、多くのゲーマーの皆様にとって楽しいと思ってもらえる製品にはなったんじゃないかと思います。

――今後はどういった製品を予定しているか、お聞かせください。

アンドリュー
 我々の最終目標としては、このAIとカメラを使ったガンシューティングコントローラー技術が認知されて、いろいろなゲームハードで遊べるところに到達したいと思っています。当社は「いままでなかったものを形にする」というコンセプトがありますので、ガンコントローラー以外のジャンルでも、皆様に新しい製品をお届けしていきたいと思います。

――今回のガン型コンはまさしく、「こういうの、あったらいいな」と私は感じました。最近ではガンシューティングゲームが遊べるハードは希少ですよね。

アンドリュー
 最近の製品には、昔感じていたような“技術的な飛躍によるワクワク感”があまりない気がします。たとえば、ファミコンからスーパーファミコンへと進化したときのような感動です。これは私たちの業界に限った話ではなくて、最近はお店に行くこと自体があまりワクワクしなくなっていて、大きな新作が出ても、正直ちょっと物足りなく感じることもあります。

 だからこそ、私たちのような小さな会社でも、見た瞬間に「おっ!」と思っていただけるような、そして店頭で目を引くような、ワクワクできる製品を作っていきたいです。今回G'AIM'Eを発売するにあたって、皆様に“大きなモニターでガンシューティングゲームをプレイする”という新しい体験をご提供できるんじゃないかと思います。
[IMAGE]
 取材で試遊させてもらったG'AIM'Eですが、改めてアナウンスさせてもらうと2025年7月10日よりebten、ビックカメラなど一部店舗で予約開始となっております。ガンシューティングゲームという昔ながらのジャンルではありますが、使われている技術やこめられている思いは最新そのものです。

 「昔、『タイムクライシス』やってたな~」って言う人はもちろん、「ゲーセンにおいてあるヤツ、あんまちゃんとやったことなかったな~」という人まで、ちょっとでも気になったらぜひ予約ページを覗いてみてほしいと思います! 本当に、ガンシューはいいぞ!
この記事を共有

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

集計期間: 2025年07月10日16時〜2025年07月10日17時