いまもなお、多くのファンから支持されているRPG“幻想水滸伝”シリーズ。その原点である『幻想水滸伝I 』と『幻想水滸伝II 』のHDリマスター版『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争 』の発売が2025年3月6日に迫っている。 HDリマスター版への期待が高まるなか、3月4日に配信された公式番組“幻想水滸伝Live”内で、シリーズ初のモバイル作品となる『幻想水滸伝 STAR LEAP 』の発表が行われた。 そこでファミ通.comでは、プロデューサーの藤松信也氏とディレクターの孟山嘉起氏へインタビューを行い、 『幻想水滸伝 STAR LEAP』 の概要や世界観、特徴的なシステムについて語っていただいた。 ▼“幻想水滸伝Live”第1回の発表内容はこちら。 VIDEO
プロデューサーの藤松信也氏(画像左)とディレクターの孟山嘉起氏(画像右)
藤松 信也 氏(ふじまつ しんや)
『幻想水滸伝 STAR LEAP』プロデューサー。KONAMIで20年以上ゲーム制作に携わる。(文中は藤松)
孟山 嘉起 氏(たけやま よしき)
『幻想水滸伝 STAR LEAP』ディレクター。ミスリル代表取締役。(文中は孟山)
太陽暦(正史)の中で新しい108星の物語が展開。家庭用とモバイル作品の融合を目指して ――最初に、おふたりの自己紹介をお願いします。
藤松
KONAMIで20年以上ゲーム制作に関わっています。家庭用ゲームのプログラマーを経て、モバイル作品の制作に携わるようになりました。プランナー、ディレクターを経て、現在はプロデューサーを務めています。 近年はモバイル作品のプロデュースが多く、今回の 『幻想水滸伝 STAR LEAP』も担当させていただいています。
孟山
ディレクターの孟山と申します。これまでもさまざまな作品でディレクター、アートディレクター、シナリオディレクターを務めてきました。 ――藤松さんはこれまで“幻想水滸伝”シリーズとどのような関わりがあったのでしょうか?
藤松
私自身は直接関わったことはなく、今回が初めてとなります。“幻想水滸伝”は歴史があり、過去作もたくさん出ていますので、IPディレクターの崎山(※)に監修してもらいながら進めています。あとはディレクターの孟山さんがシリーズファンでして、モバイルでもしっかりと“幻想水滸伝”を作っていけているのではないかと思っています。
※崎山:崎山高博氏。コナミデジタルエンタテインメント所属。“幻想水滸伝”IP&ゲームディレクター。シリーズとの関わりは『幻想水滸伝V』の開発(2003年)から。『幻想水滸伝 STAR LEAP』ではキャラクターや世界観などIPの監修を担当。 ――参考までに、おふたりの好きなナンバリング作品とキャラクターを教えてください。
藤松
難しい質問ですね(笑)。私としては印象に残っているのが 『幻想水滸伝I』と『幻想水滸伝II』なのですが、ストーリーが好きなのは『幻想水滸伝V』だったりします。そのなかでもキャラクターとしては主人公や女王騎士たちが好きです。
孟山
思い出深いのは、シリーズで初めてプレイした 『幻想水滸伝II』です。そのあと初代の『幻想水滸伝I』をプレイして108星を集め、もう1度『幻想水滸伝II』に戻るという幼少期を過ごしました。好きなキャラクターは情に厚いビクトールです。小さなころからビクトールみたいな大人になりたいなと思っていたのですが、まだまだなれていません(笑)。 ――シリーズ初のモバイルタイトルとなる『幻想水滸伝 STAR LEAP』の開発経緯を教えてください。
藤松
できるだけ多くの人に“幻想水滸伝”という作品に触れていただきたいということで、もっとも手軽にプレイしていただけるハードとしてモバイルを選びました。そして、せっかく触れていただくのであればきちんと“幻想水滸伝”の魂を持ったものにしたいという思いがありまして、ナンバリング作品を作るくらいの気持ちで制作に挑んでいます。
――制作にあたってのこだわり、力を入れているポイントを教えてください。
藤松
太陽暦(※)のもとで展開していく作品として、正史となるようなものを制作中です。そこで新しい108星の物語をしっかり描くというところに力を入れています。あとは、制作のテーマでもあるのですが、家庭用作品とモバイルの融合を目指していまして、家庭用作品のようなリッチなビジュアルやサウンド、物語をしっかり楽しめるものをお届けしようと思っています。 一方、モバイルという部分では手軽さだったり歴代の好きなキャラクターでパーティーを組めたりというのを考えています。
※太陽暦:“幻想水滸伝”世界の暦。『幻想水滸伝I』~『幻想水滸伝V』のナンバリング作品はすべて太陽暦の中での物語であり、同じ世界の異なる時間、場所での出来事を描いている。 ――おふたりにとっての“幻想水滸伝”らしさとはどのあたりで、それをどのように本作で表現しようとしていらっしゃるのでしょうか。
藤松
システムとしては、やはり戦争があったり本拠地に仲間が集ったりというところも“幻想水滸伝”らしさだとは思うのですが、私としては物語と仲間だと考えています。 『幻想水滸伝 STAR LEAP』では新しい108星による物語をしっかり描けるかどうかが、“幻想水滸伝”として重要じゃないかなと。
孟山
ストーリーとしては戦争をテーマにしていますので、シリアスなシーンもありつつ仲間との関係性も含めてどこか明るい雰囲気を持つのが“幻想水滸伝”シリーズには必要だと思っています。そのあたりのバランスが重要なポイントではないでしょうか。もうひとつはバトルのテンポ感で、多くのキャラクターが戦闘に参加して連携していくのも“幻想水滸伝”らしさかなと。本拠地やミニゲームなどの遊びがあるのもそうですね。
――先ほど太陽暦のもとで展開していくというお話がありましたが、本作の物語の概要について教えてください。
藤松
ナンバリング作品も含めた“幻想水滸伝”のなかで、きちんと太陽暦で展開するストーリーです。“27の真の紋章”のうちの“変化の紋章”がキーとなり、この紋章に紐づくシンダル族の話などいままでの作品では描かれなかった部分が明らかになります。 本作の物語は 『幻想水滸伝I』の2年前にあたる太陽暦453年から始まります。また、『幻想水滸伝 STAR LEAP』ではさまざまな時代を描ける仕組みがあるため、新しい108星の物語を進めると、じつはそれがナンバリング作品の前日譚や後日譚だったというようなことが出てくるんです。 スタート時点は『幻想水滸伝I』の前日譚ですが、『幻想水滸伝V』の後日譚でもあるわけです。ただ、『幻想水滸伝IV』はかなり昔の話になるので、そのあたりを描く際には違った仕組みを考える必要があると思っています。
孟山
本作のお話の大きな軸としては天魁星に選ばれた主人公が運命の輪の中心となり、たくさんの仲間たちと成長しながら物語が進んでいくのですが、今回は章ごとにテーマとモチーフの変化があるので、それぞれ楽しんでいただける仕組みになっています。 ――赤月帝国の悪政に対抗すべくオデッサが解放軍を創設する年にゲームがスタートするのは、主人公が発足に関わるからでしょうか?
藤松
……鋭いですね(笑)。
孟山
ティザートレーラーにも貴族だったころのオデッサが出てきますしね。 ――『幻想水滸伝I』ではオデッサがあまり深掘りされなかったので、そのあたりを描いていただけるのはうれしいです。
孟山
現段階ではあまり言えないのですが、オデッサは1章の物語に深く関わってきます。
――過去作のキャラクターはどのようにして集まってくるのでしょう?
藤松
本作のメインストーリーや“幻想水滸伝”の正史とは切り離したシステムです。モバイルならではの遊びかたとして、イベントやガチャで入手したキャラクターたちを時代を越えてパーティーに組み込み、共闘させることができます。あくまでもそういった遊びがあるという、モバイルならではのオールスター要素を入れている感じですね。
孟山
イベントとしては、過去作の特定のキャラクターにフォーカスしたようなものを考えています。 ――過去作のキャラクターは108星に含まれますか?
藤松
特殊な例を除いて、基本的には新しいキャラクターが108星となって物語を進めていきます。 ――特殊な例、ですか。ビッキーやジーンなどシリーズ皆勤のキャラクターもいますしね、そこは正式発表を楽しみにしております。『幻想水滸伝 STAR LEAP』だけでなく過去作のキャラクターも出てくるのであれば、ものすごい人数になりそうですね。
藤松
すでにたいへんな人数になっています。サービス開始後にメインストーリーを追加していくことになりますので、キャラクターも増えていく予定です。 ――公式番組では主人公のほか、重要キャラクターであるヒスイ、主人公の父親ホウ、幼なじみのシーリーン、執事シャプールが紹介されました。それぞれの特徴と、彼らがどのような経緯で生み出されていったのかをお聞かせください。
藤松
ヒスイは主人公の屋敷で働いている少女で、本作のキーとなる最重要キャラクターです。主人公の父親であるホウは、大塚明夫さんに声を担当していただいています。彼は主人公が暮らしている里を作った人物で、頼りがいがある強い大人の男性です。
(画像左)主人公/声優:大野智敬さん、(画像右)ヒスイ/声優:月城日花さん
ホウ/声優:大塚明夫さん
孟山
シーリーンは幼なじみなのですが、幼少のころから父に連れられて行商の旅に出る機会も多く、さびしい思いをしていました。里に帰って主人公に会えることを楽しみにがんばっていた健気な子です。性格は猪突猛進で竹を割ったような性格ではあるのですが、根はやさしいです。
シーリーン/声優:ファイルーズあいさん
藤松
最初は皆さんシーリーンのことが好きになるかも知れません。ヒスイが訳あって序盤は感情を押し殺しているのでどんなキャラクターか読めないのに対して、シーリーンはわかりやすいキャラクターになっています。
孟山
シャプールは主人公の武術の師匠です。過去にはとある国の将軍まで上り詰めましたが、現在はホウの右腕として屋敷の執事を務めています。ホウや主人公のことを第一に考えて行動しています。
シャプール/声優:佐藤拓也さん
――お話を伺っていて、キャラクターの関係性は『幻想水滸伝I』と『幻想水滸伝II』の要素を組み合わせているように感じました。
孟山
決して組み合わせたわけではありませんが、ナンバリング作品を作られた方たちと共に相談しながら、“幻想水滸伝”シリーズらしい物語を作ることを大事にしました。ですので、そういったエッセンスがお話の端々に散りばめられているのだと思います。
――“幻想水滸伝”シリーズといえば主人公が話さず、あくまでプレイヤーの分身として設定されていることが多いですが、本作も同様でしょうか。また、バトルなどで主人公のボイスはありますか? 主人公以外のキャラクターがフルボイスとなるかも、あわせて教えてください。
藤松
メインストーリーの会話シーンは主人公以外フルボイスとなりまして、バトルでの掛け声は全員に付けています。 ――主人公の所持している武器が特徴的なところもシリーズの魅力のひとつだと思います。本作の主人公の武器は槍でしょうか?
孟山
これは錫杖なんです。なぜ錫杖なのかは物語の根幹に関わってくる部分で詳しくはお答えできないのですが、“幻想水滸伝”の主人公の武器は他のRPGとは違って剣などのメジャー武器ではないことが多いため、今回もちょっとマイナーなものにしようと思っていました。 あとは、師匠のシャプールが槍使いで彼から武術を習っていることもあって、錫杖でも突きや叩き攻撃があります。杖のように魔法も唱えられるのでけっこう万能な武器なんですよ。
――仲間集めについてもお伺いしたいのですが、新たな108星はガチャを回さなくても仲間になるとお聞きしました。108星すべてが無料で手に入るという認識でよろしいでしょうか。だとすると、ガチャはどのような仕様になるのでしょう。
藤松
新たな108星はメインストーリーを進めていくなかで仲間にすることができ、ガチャやイベントでは過去作のキャラクターを中心に獲得できる仕組みを考えています。 新たな108星に関してはイラストレーターのもりょさんにキャラクターデザインをお願いしていますが、過去作のキャラクターは、さまざまなイラストレーターさんにリデザインしていただいて制作しようと思っています。 ――ガチャについてもう少しだけ詳しく教えてください。過去作のキャラクターのほかに、たとえば紋章や装備なども同時に排出される仕様でしょうか?
藤松
キャラクターのみのガチャになります。 ――それはありがたいです。無料で手に入る108星と同一人物で、より性能の高い別衣装のようなバージョンもガチャで実装される可能性は?
藤松
その概念はあります。
孟山
モチーフや衣装が違うものも想定しています。 ――新たな108星は全員バトルに参加できますか? それとも、過去作と同じく本拠地の施設に配属されるような非プレイアブルキャラクターもいるのでしょうか。
藤松
基本的に全員プレイアブルキャラクターでバトルのパーティーに入れることができます。
孟山
ただ、バトルが得意じゃないキャラクターは必ずしも強いとは限りません。バトルに参加する6人とは別に、影から補佐をする支援システムがありまして、一部のキャラクターを支援に回すこともできます。 ――主人公たちはストーリーを進めると強くなっていくのでしょうか?
孟山
過去作と同様にストーリーを進めていくことで108人の仲間が集まり、成長していくという体験を大事に制作を進めています。 108星といえば仲間の名前が記されていく“約束の石板”だと思うのですが、じつは石板の試練というものを用意しています。その試練をクリアーすると、主人公たちの能力が大きく成長していきます。他にも武器を鍛冶屋で強化したり、紋章を強化していくなど、“幻想水滸伝”らしい成長システムにしていきたいですね。
ひとりでも協力攻撃(いっしょに)を発動可能。シンボルエンカウントや倍速でサクサク遊べる ――バトルにおいて特徴的なシステムがあれば教えてください。
孟山
バトルに“連携”というコマンドがあります。従来の“幻想水滸伝”シリーズではパーティーメンバーの行動を一気に選択してからターンが経過していくのですが、本作ではひとりずつ順番に行動を選択する方式を採用しています。 画面に表示されるタイムラインに仲間が4人以上並ぶと“連携”が使えるようになり、これを発動させるとキャラクターがつぎつぎに攻撃してボーナスダメージが入る仕組みです。
藤松
通常攻撃、紋章での攻撃、奥義によっても行動順が変わってきます。
孟山
通常攻撃がもっともつぎの行動まで早く、紋章は種類によって再行動までの早さが異なります。
――『幻想水滸伝II』などでキャラクターたちがわちゃわちゃと入り乱れて動くのが好きだったのですが、そういった部分が“連携”に引き継がれているのでしょうか。
孟山
まさにその通りです。連携を使えば、 『幻想水滸伝II』で“おまかせ”コマンドを選んだときのように、ワンボタンでキャラクターたちがテンポよく矢継ぎ早に攻撃する感覚が得られます。
藤松
モバイルなので倍速も搭載していまして、かなりテンポよく進められます。倍速を使用しなくてもサクサク遊べますが、何度もバトルをするときにはぜひ便利機能も活用してみてください。 ――過去作の“いっしょに”のような協力攻撃は奥義にあたりますか?
孟山
奥義はさまざまな種類を用意していまして、協力攻撃が奥義になっているキャラクターもいますし、ひとりで技を出すようなキャラクターもいます。
藤松
ディザートレイラーに“幼なじみ攻撃”(※)があったと思うのですが、あれはシーリーンの奥義になっています。
※幼なじみ攻撃:『幻想水滸伝II』が初出の協力攻撃、原作『II』では“おさななじみ攻撃”表記。主人公とジョウイが敵の周囲を1周したあと、全体を一斉に攻撃するのが特徴。本作のティザートレーラーでも同様のモーションを確認できる。 孟山
シリーズのオマージュとして入れていたり、キャラクターによっては過去作の“いっしょに”がパワーアップしていたりしますので、そういった部分もお楽しみいただけるんじゃないかなと。 ――過去作では“美女攻撃”など複数人でくり出す技がありました。本作では特定のキャラクターたちをパーティ―に入れる必要がないということでしょうか?
藤松
特定のキャラクターがパーティーにいなければいけないというのはなく、奥義はひとりで発動することができます。 ――3~4人の協力攻撃だったとしても、それが使えるひとりをパーティーに入れていればいいというわけですね。先ほど通常攻撃、紋章、奥義というお話が出ましたが、キャラクターによってコマンドは固定されているのでしょうか。
孟山
通常攻撃と技がふたつ、そして奥義ですね。技には紋章が設定されていたり、紋章が使えないキャラクターは別のものが設定されていたりします。 ――キャラクターの紋章は付け替えできますか?
藤松
本作では紋章の付け替えは想定していません。キャラクターそれぞれが紋章を宿しており、それを育てていくことになります。 開発段階では過去作にならって紋章を付け替えられるようにしていたのですが、“幻想水滸伝”シリーズを知らない方にとっては敷居が高いバトルシステムになってしまうこともあって、本作用のシステムにアレンジしました。
――フィールドで影のようなものと接触するとバトルに突入していました。本作はシンボルエンカウントになるのでしょうか。
孟山
シンボルエンカウントを採用し、フィールドアクションによる先制攻撃を可能にしています。成功すると不意打ちにより敵がアンバランスになり、いきなり連携で一方的に攻撃できたりもします。 『幻想水滸伝I』では主人公と師匠のカイの協力攻撃で開幕直後に敵を一気に倒せるのが非常に気持ちよく、それを再現したかったんです。 また、モバイル作品ということもあり、限られた時間でのプレイを想定しています。ランダムエンカウントですと思ったよりもプレイに時間が取られ、それがストレスにつながる可能性がありますので。
――たとえばダンジョンを進む際、敵シンボルを避けていけば1度も戦闘せずにボスがいるところまで到達できてしまうのでしょうか?
藤松
そういうことがないように、あえて敵を配置している場所もあります。 ――ティザートレーラーでは見覚えのある猪と戦っていましたが、過去作でおなじみの敵は登場しますか?
孟山
はい。過去作の敵も数多く登場します。
――戦争パートについても教えてください。本作ではどのような形式になるのでしょうか。
孟山
“幻想水滸伝”シリーズではタイトル毎に戦争のシステムが異なるのですが、今回はRTS(リアルタイムストラテジー)タイプで、ユニットをタップして移動させ、戦わせる相手を選んでいきます。また、フィールドマップ上で戦争でのみ使える“戦技”を発動させることもできます。 ――小隊が移動しているシーンがありましたが、バトル開始後は専用画面に切り替わるのでしょうか?
孟山
はい、バトルが始まると自動的に切り替わります。バトル自体も通常の戦闘と戦争では少し異なっていまして、先攻、後攻という概念があります。先に攻撃する部隊と後に攻撃する部隊に分かれることになるのですが、先攻部隊は6人が一斉に攻撃を仕掛けます。 部隊には騎馬兵、歩兵などの役割があり、それぞれ特性が異なっています。さらに、キャラクターによっては隊長になれる、なれないなどの違いもあります。 ――部隊編成を自動的に行ってくれる“アップルにおまかせ”のような機能はあるのでしょうか。
孟山
お任せ編成は用意していますが、メインストーリーでは決まったキャラクターが出撃するため、編成する必要はありません。そのあたりは悩まずにプレイしていただけるかと思います。 ――なるほど、“メインストーリーでは”ですか。ほかに特徴的なシステムはありますか?
孟山
“波状攻撃”というシステムがありまして、多くの部隊で一気に敵を叩くことができます。これは戦争システム版の“連携”にあたり、アンバランスにした敵部隊に一気に複数の部隊で攻撃を仕掛け、殲滅することが可能です。 接敵してから攻撃する白兵戦や、弓での遠距離攻撃なども“波状攻撃”に含まれています。難度の高い戦争では、これらを駆使していただくことで有利な展開を作り出せます。
本拠地には新旧108星が集う。過去作のキャラクターに出会える街の様子も ――ティザートレーラーでは本拠地がかなり広く、たくさんの住人が生活しているように見えました。本作の本拠地について教えてください。
孟山
本拠地には、まるで桜のような花を咲かせる巨大な樹がありまして、この大樹のもとに里を興したことが物語上とても大事なポイントになっています。
藤松
序盤で里が襲われるのですが、里の復興もゲームの目的のひとつです。 ――たとえば鍛冶屋を仲間にすると関連する施設が修繕されていくのでしょうか。
孟山
とあるキャラクターを仲間にすると鍛冶屋が作られます。ただし、最初から機能している施設もあります。 ――本拠地にはいろいろな施設があると思いますが、本作でもミニゲームはできますか?
孟山
はい。ミニゲームのなかから釣りを例に挙げますと、魚が約100種類とかなり本格的に遊べるものになっています。各街で釣れる魚も変わってきます。
藤松
釣りはあるキャラクターを仲間にすることで遊べるようになります。 ――ミニゲームは一新されているのでしょうか?
孟山
一新されています。新しいミニゲームもありますし、釣りのように 『幻想水滸伝II』のシステムとは変わったものもあります。 ――新たに仲間になるキャラクターは過去作のように本拠地レベルが関係していたり、特定の条件があったりするのでしょうか。
孟山
物語上で仲間になるキャラクターと、特定の条件が必要なキャラクターがいます。リリース時点のメインストーリーを最後まで進めたら、仲間集めと集めた108星の強化をしてつぎの物語を待っていただけたらと思います。 ――ストーリーの進行によって、本拠地の住人の会話内容が変化したらうれしいです。
孟山
時系列が変わっていきますので、会話の内容も変化します。
藤松
時間の概念もありまして、季節によって入手できる素材も変わるんです。
孟山
季節のほか、朝、昼、夕方、夜とグラフィックも切り替わっていきます。
――夜しか発生しないイベントなどもあったり?
孟山
そういったこともあるかも知れませんね(笑)。
藤松
仲間がたくさんいると、主人公のために素材を集めてきてくれることもあります。仲間が多いほど素材も集まりやすくなっています。 ――(実機プレイでの本拠地の映像を見ながら)『幻想水滸伝II』のニナのようなドットの住人もいますね。
藤松
ニナで間違いありません。いま通ったのは 『幻想水滸伝I』 のレオナルドですよ。ガチャで入手した過去作のキャラクターも里の住人になります。 ――生きている時代が異なるキャラクターが本拠地に集うことになっていくと思いますが、どういった扱いになるのですか?
藤松
メインストーリーの“幻想水滸伝”の世界観、歴史をしっかり守ったうえで新たに登場する108星たちと、過去作のいろいろなキャラクターを仲間にできるというモバイルならではな要素をあわせ持った作品ですので、本拠地には両方のキャラクターが集まってきています。みんながここで生活しているほうが、ユーザーさんにとって楽しい体験になると思いますので。 ――(グレッグミンスターの街の映像を見ながら)3人以上のキャラクターが並んで街を歩くのが“幻想水滸伝”としては斬新ですね。
孟山
そうですね。移動中に仲間が話しかけてくれます。街を歩いていると住人の会話も自動的に流れてきます。そういった受動的な会話シーンを用いて、今回はじめて“幻想水滸伝”シリーズをプレイしていただくプレイヤーの方にも、世界観や物語の補足ができるといいなと思っています。
藤松
グレッグミンスターでは、栄えている賑やかな街で生活している様子を表現できるように、たくさんの住人を配置してあります。
孟山
この街には400人以上の住人がいます。ロックランドなどはそこまで規模が大きくないので、街ごとに人数も調整しています。
グレッグミンスター
ロックランド
レナンカンプ
――街では過去作のキャラクターに出会うこともあるのでしょうか?
孟山
そうですね。グレッグミンスターの城の前にはアレンとグレンシールがいたりします。また、街はかなり広いので、本作では“高速移動”を搭載しています。 ストーリー中ではおそらく語られませんが、ホウと天速星のスタリオンの仲がよく、ホウが昔もらった “神行法の紋章”を主人公が付けているというエピソードがあります。 ――街の中に青い光のようなものが落ちていましたが、あれはアイテムでしょうか?
孟山
ちょっとした落とし物です。必ずしも取らないといけないものではないですが、お楽しみ要素として入れています。
藤松
路地の突き当たりに宝箱があったりしますので、あちこち探してみてください。
――パーティーには6人いるようですがティザートレーラーなどで街を歩いているのが4人なのはなぜですか?
孟山
シナリオ上で現在同行しているキャラクターがいっしょに映っているキャラたちです。最大で主人公も入れて6人で移動することもあるかもしれませんね。 ――本作でもキャラクターごとに好感度の概念はありますか?
藤松
本作では“絆”という形になりまして、キャラクターを育成する要素のひとつになります。
孟山
“絆”にはランクがあり、数値として確認できます。ランクが上がるとさまざまな効果がもたらされ、アイテムがもらえることもあります。 ――フィールドマップでの待機モーションは本作にもあるのでしょうか?
孟山
新たな108星だけでなく過去作のキャラクターにもモーションが付いています。
藤松
本拠地でもさまざまなモーションが楽しめます。街の中、イベント、バトルなどのドットの表現にかなりこだわっていますのでそのあたりにも注目していただきたいです。 ――“幻想水滸伝”シリーズといえばロード画面でキャラクターが走るモーションも印象的です。
孟山
ロード中のアニメーションももちろん用意しています。ビッキーが“瞬きの紋章”でテレポートする際のロード画面もあります。 ――過去作同様にビッキーがテレポートに失敗することも?
藤松
初めてプレイする方がとまどったり不安に思ったりするようなことはできるだけ避けたいという意図がありまして、テレポート失敗の要素は省きました。
――新しいユーザーのことを考えると、原作の小ネタをどこまで入れるかのさじ加減が難しそうですね。
孟山
そうですね。外せないところは外さないようにと考えています。たとえば、 『幻想水滸伝 STAR LEAP』の物語内で歴史的な英雄として過去作の主人公の名前が出る可能性ももちろんあるわけですが、あらかじめオプションで主人公の名前を任意に設定できるようにしました。
藤松
デフォルト名も用意していますが、ユーザーさんが当時プレイした思い出の名前を入れておくと、それが物語中に出てくるようになっています。 ――それはうれしい仕様ですね! ちなみに、過去作の歴史を変えるような展開はあるのでしょうか。
藤松
過去作の物語に影響するようなことはありません。あくまで過去作で語られなかったストーリーが明らかになっていく作品となります。
新たな108星だけでなく過去作の全キャラクターにボイスが。楽曲もアレンジして収録 ――本作では108星全員に声が付いているのでしょうか?
藤松
108星すべてがプレイアブルキャラクターですので、全員に付いています。過去作のキャラクターにも付いているのでとんでもない数になっています(笑)。 ――音声ドラマ化されている過去作もありますが、そのときのキャストが続投しているキャラクターはいますか?
藤松
基本的には新たにキャスティングしていますが、一部のキャラクターは過去作と同じ方にお願いしています。
――現在制作中とのことですが、完成度としてはどのくらいの段階になりますか?
藤松
まだまだブラッシュアップしている段階になります。サウンドにもかなりこだわっておりまして、BGMは生音で収録しているものも多く、生音収録だけで現在100曲以上あります。
孟山
収録、作曲含めてかなりスケジュールがタイトで大変でした。僕自身も“幻想水滸伝”シリーズの曲が大好きで、曲選定や音質にもかなりこだわりましたので、ぜひ楽しんでいただければと思います。
藤松
琴、三味線などの楽器も使っています。“幻想水滸伝”の世界観的に、和、洋、中、アジアンなどのテイストがありますので、サウンドもそれらのテイストを取り入れながら作り上げています。モバイル版ですがイヤホンやヘッドホンで楽しんでいただきたいです。過去作で聴いていた曲がどうアレンジされているかを意識して聴いていただけるとうれしいなと思っています。 ――バトル曲は新曲になりますか?
藤松
新旧どちらもあります。
孟山
『幻想水滸伝I』でおなじみのエリアにいたり、そこでボスと戦ったりする場合は『幻想水滸伝I』の曲、『幻想水滸伝 STAR LEAP』オリジナルのエリアでは新曲が流れるようにしています。
――最後に、本作を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。
藤松
『幻想水滸伝 STAR LEAP』はモバイルという形ですが、ナンバリングタイトルを制作する覚悟で挑んでいます。メインストーリーのグラフィック、サウンドはこれまでのファンの方々が楽しめるクオリティーだと思っていますので、ご期待いただきたいです。シリーズに触れたことがない方も、モバイルという形でプレイしやすく、物語やゲームになじみやすいように作っておりますので、“幻想水滸伝”の1作目として本作を体験していただければと思います。応援をよろしくお願いいたします。
孟山
“幻想水滸伝”は日本のRPGを代表するシリーズのひとつです。その名に恥じないようにストーリー、グラフィック、バトルシステム、サウンド、育成システムなど、すべてにこだわりを持って制作しています。配信後はぜひプレイしていただけましたら幸いです。
幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争 公式パーフェクトガイドebtenDXパック
108星をコンプリート。『幻想水滸伝 I&II HDリマスター』の公式完全攻略本
販売価格:5,830円
購入する