ヘルダイバーの諸君! 新たな戦いのときがやってきた! 大型アップデートで、新たな敵勢力が登場するのだ! 2024年2月8日(木)にソニー・インタラクティブエンタテインメントよりリリースされ、10ヵ月が経過したプレイステーション5(PS5)、PC用のアクションシューティングゲーム『HELLDIVERS 2 』(ヘルダイバー2)。 本作は銀河を脅かす存在と戦うエリート部隊“ヘルダイバー”の一員となり、さまざまな任務に挑む三人称視点のシューティング(TPS)。配信後より爆発的な人気を見せ、発売から12週間で1200万本の売り上げを達成した。 そして2024年12月13日のアップデートにて、新ストーリーアークがスタート。新たな敵勢力“イルミネイト”が登場するほか、新武器や新支援なども登場し、より激しいバトルを楽しめるようになる。 本稿ではメディア体験会にて、実際にアップデート内容を事前体験してのレビューのほか、開発を務めるArrowhead Game Studiosへのインタビューもお届けしよう。
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ヘルダイバー2とは? プレイヤーはヘルダイバーの一員となり、さまざまなミッションを通してエイリアンたちと戦っていく。最大4人の協力プレイに対応しており、世界中のヘルダイバーたちとの協力プレイが楽しめる。 最大の特徴はコマンド入力式による“戦略支援”。↑↑↓↓みたいに方向キーを入力し、爆撃をしたり大型武器を要請するなど、さまざまな支援を呼び出せる。コマンド入力をしなくてはならないので、ピンチのときには操作ミスをしてしまうなど思わぬアクシデントにつながるのがおもしろいところ。
発売後にはアップデートで、エクソスーツというロボットも追加された。
本作のプレイヤーキャラクターはかなり命が軽く、ガンガン倒されてはリスポーンするといったゲーム性(難易度選択によっては大きく緩和される)。フレンドリーファイアは常時オンなので、味方の誤射や爆撃に巻き込まれてしまうといった事故も起きやすい。 そのため、本作はミッション攻略型TPSではあるものの、味方といっしょにワチャワチャと敵と戦うパーティーゲームのような側面がある。つい笑ってしまうようなシチュエーションが多発するのが、本作の醍醐味なのだ。 ただ難易度を上げると、どっしりとまじめに立ち回らないと攻略が難しくなっていく。気軽に戦いたい人だけでなく、骨太な難度を求める人も楽しめるような幅広さも本作の魅力のひとつ。
新勢力・イルミネイト登場 『HELLDIVERS 2』 は、ミッションごとに決められた勢力と戦うのが基本。発売時より登場したのが、“ムシ”と呼ばれている“ターミニッド”と、殺人ロボット集団“オートマトン”の2種類。 そして今回のアップデートより、高度な文明を持つエイリアンの勢力“イルミネイト”が追加される。イルミネイト自体は前作より登場しており、かつては銀河の支配権を握っていた。何かしらの理由により復活し、再び銀河の支配を狙っているようだ。
ターミニッドはこちらに突進してくる敵が多いので全体的に接近戦になりやすく、オートマトンは銃などを持っているため中~遠距離戦になりがち。一方でイルミネイトとの戦いは近距戦にも遠距離戦にもなりやすい、ふたつの勢力の中間のような敵だと感じた。 最も多く登場する敵“ソウルレス”は、もともとスーパーアース(本作の味方陣営)の市民であり、イルミネイトに洗脳された雑兵だ。いわゆるゾンビに近い存在で、集団でワラワラと群がるように襲ってくる。洗脳というより、もはや生物として改造されているような感じで、たとえば下半身がなくなっても上半身のみで襲ってくる。
一方でイルミネイトの主力兵士“オーバーシアー”は、遠距離攻撃を得意としながらも近づけば接近戦を仕掛けてくるハイブリッドな存在。ときには空を飛びながら射撃してくるほか、戦った感じ装甲もかなり厚く手ごわい存在。支援武器のひとつ・オートキャノンを数発ぶち込んでも倒せなかった。
といった感じで、オーバーシアーに奴隷のように使われているソウルレスたちが前衛となり、オーバーシアーたちは後衛を務める。元人間を盾にした、外道陣形で攻撃してくるため近距離~遠距離戦両方がミックスされているのだ。
さらに、フィールドには哨戒装置の“ウォッチャー”が飛び回っており、見つかればこちらの照らしながらイルミネイト兵に居場所を報告されてしまう。発光によりこちらの視界を妨害してくるのも厄介な要素だが、耐久力はそこまで高くない印象を受けた。
また、巨大兵器“ハーベスター”も登場。ハーベスターはレーザーを放ってくる敵で、一部のレーザーの威力はほぼ一撃死レベルでかなり痛かった。ハーベスター自体は大きいので狙いやすいが、バリアを張っているときはダメージが通りにくい。ときにはバリアの中に突入する必要もあり、かなりの手ごわさだった。
イルミネイトの敵たちはいわゆるアダムスキー型UFOのようなものに乗っており、出現する際にはUFOから地上へ瞬時にワープしてくる。オートマトンのように降下してくるわけではないので先制攻撃はやりにくい。なお、ミッションの中には地上に止まっているUFOを破壊するものもあった。
なお、今回はイルミネイトとの戦いのみを体験したが、いずれのマップにも新たに市街地部分が登場。これまでになかった都市内戦を楽しめるようになっていた。都市の中に敵や目標が入り組むように登場するため、外側からは攻めにくく中に入れば逃げるのも難しい。支援装備“ジャンプパック”が有効となりそうだ。
新武器に加えて偵察車両も追加! 新武器もいくつか今後も登場予定とのことで、今回は新たなセカンダリーウェポン“スタンバトン”や“スタンスピア”といった近接武器を体験した。
いずれも弾丸を必要とせず、殴って敵を攻撃可能。威力はまずまずといった感じで、攻撃範囲はやはり短い。まあ予想通りに“あくまで保険”みたいな武器だと感じたが、ターミニッドとの戦いなどでは活躍できる場も多そうだ。なお、フレンドリーファイアはもちろんあった。
また、さまざまな兵器を呼び出せる戦略支援も新たに追加されている。火炎放射型タレット“火炎砲塔”や、設置して自分で乗って撃つ砲台“対戦車陣地”などが新たに使用できた。
“対戦車陣地”
威力は恐らく高く……。
味方のエクソスーツはとりあえず一撃で破壊できた(試しちゃってごめんね)
バックパック型装備“前方シールド”は、片手用武器を構えているときに前方シールドが貼られる防御装備。シールドは遠距離からの高速射撃のみを防ぐことができ、爆発や殴打などはガード不可。味方の射撃もガードできたので、オートマトンなどの射撃を得意とする敵との戦いでは活躍できそう。ただし、片手武器のみに絞られる。
いちばんの目玉となるのが“高速偵察車両”で、4人乗りの機銃付きビークルを呼び出せる。ビークルは機銃の場所に座れば機銃が撃てるほか、運転席以外のメンバーも構えることで身を乗り出して(いわゆる箱乗り状態で)銃を撃つことができた。ただしフレンドリーファイアはもちろんオンなので、身を乗り出していたために後部機銃から撃たれてしまうといった本作らしいアクシデントも発生。
ユニークなのが、運転の操作。一般的なレースゲームやクルマを扱うゲームと操作は基本同じなのだが、ギアチェンジの操作が必須となるマニュアル車なのだ。そのためにバックするにもいちいちギアを変更しなくてはならない、本作らしい“わざと操作しにくい”要素が加えられている(もちろんリアリティーを追求した結果とも言えるし、クルマ好きな人には堪らない要素とも言える)。
偵察車両は前作より登場していたが、前作ほど“味方を轢いてしまう”といった事故は少ない印象。しっかりと移動用のビークルとして作られている。
性能としてはかなり高速で走れる。時間制限のキツいミッションや、広いマップを攻略したいときに有効活用できるだろう。ただ、足回りは少し頼りなく、足場の悪い道は走りにくいほか、高低差があれば横転もしやすい。4人乗りできるものの、ゲーム的には“4人で固まるのは危険”なので、いきなり撃たれて爆発からの全滅……といったリスクもあるだろう。
さすがに偵察車両のまま帰還はできなかった(笑)
偵察車両は、ヘルダイバーたちに新しい“おもちゃ”を届けてくれたなと思いつつ、限られた時間でより複数の任務を達成できるようになったのは、素直にうれしいところ。 ただ、個人的にはアップデートで追加されたロボット“エクソスーツ”のつぎが偵察車両だったので、「ロボのつぎがクルマなのか……」と、ややインパクトに欠ける印象を受けた。前作には戦車などもあったのだが……といった気になる部分については、開発者へ直々に聞いてみた(このあとのインタビュー参照)。
パッシブスキル“ブースター”も追加。支援要請をすると……。
その地点に爆発が発生するブースター。攻撃にも使えるが、仲間の呼び出した武器の支援に巻き込まれることが多かった(笑)。
標準装備の“補給”に、オートタレットが付くブースターもあった。
開発者インタビュー 最後に、開発を手掛けるArrowhead Game Studiosのヨハン・ピールステッド氏に、今回のアップデートについてさまざまなことをお聞きした。
ヨハン・ピールステッド
Arrowhead Game Studios CCO(チーフクリエイティブオフィサー)。(文中はヨハン)
――発売から約10ヵ月が経過しました。驚くほどの盛り上がりを見せた本作ですが、プレイヤーたちからの反響をどう受け止めているのでしょうか?
ヨハン
まだ1年も経っていないことが驚きで、チームとしてはもう2年くらい経ったのではないかと思うくらい忙しい日々でした。夏ごろに一度ゲームが落ち着きそうになったのですが、そこでバランス調整などを加えたときに、また爆発的にコミュニティが活発になりまして。現在も安定して多くのプレイヤーに遊んでいただき、本当にうれしく思っています。 ――日本でも大きな人気を見せました。日本のプレイヤーの印象はいかがですか?
ヨハン
銀河戦争(※簡潔に言うと、プレイヤー全体の目標ミッション)では時差の関係で、日本のヘルダイバー隊員たちがいちばん早くミッションに参加することになります。そのため、第一線で戦う兵士として日本の皆さんを頼りにしています。 ちなみに、日本のプレイヤー以外も、あえて日本語設定で遊んでいる人がちらほら居ます。日本語がわかるわけではないのですが、表記の感じが 『新世紀エヴァンゲリオン』 みたいでカッコいいと(笑)。 ――今回のアップデートのおもなコンセプトを教えてください。
ヨハン
今回はSFならではの要素をフィーチャーしています。プリミティブなエイリアンであるターミニッド、ロボット軍団のオートマトンだけでは、どこか物足りなさを感じていました。それが、今回追加したイルミネイトです。 イルミネイトはより組織的に行動する、強い力を持つエイリアンです。“UFOで人間を攫っていく”といった、いわゆるグレイに近いような宇宙人像といいますか、エイリアンらしさを強調することがテーマでした。 また、プレイヤーたちから求められていた要素も入れています。たとえば都市内での戦闘ですとか、前作から登場していた高速偵察車両などです。より“カオス”な戦いが味わえると思いますよ。
――イルミネイトはとても個性的ながらに、性能としてはターミニッドとオートマトンの中間のような立ち位置に感じました。戦闘面ではどのように味付けしたのでしょうか。
ヨハン
まさにふたつの勢力の中間のような性能ですが、いままで以上に複雑な敵も多いです。これからさらに追加を予定しているので、その複雑さがどんどん見えてくると思います。 たとえば“オーバーシアー”は飛行能力がありつつもシールドを貼ることもできたりと、敵それぞれがたくさんのアビリティを持っています。どの敵もどう戦えばいいのか、シチュエーションに合わせていままで以上に戦術を考える必要があるでしょう。 これまでの敵たちよりも、さらに1歩踏み込んで“どう倒せばいいのか”を楽しんでほしいです。
――今回試遊させていただき、高速偵察車両の運転にギアチェンジが必要になるといった“ひと手間がある”ことに、やはり『HELLDIVERS 2』らしさを感じました。ただ運転させるだけではない、“ハプニングを生む”ような要素は今回も狙って取り入れているのでしょうか。<br />
ヨハン
ゲーム制作における課題ではあるのですが、“触ってすぐに楽しめる遊びやすさ”は重要でありつつも、“何十時間も遊んでプレイスキルを上げていく楽しさ”も必要な要素です。それを両立させることは、いつも考えていることです。 偵察車両は誰でも運転はできますし、ほかのプレイヤーも座席に座れますが、座る際に“このドライバーの腕前はどうなのか”といった判断は、プレイヤーに委ねられているわけですよね。そのコミュニケーションが生まれる部分でもありますし、運転がうまい人たちがチームを引っ張っていくようなプレイができることを期待して取り入れています。 また、やはり戦闘中に急いで乗ったものの、ギアがニュートラル状態でアクセルが利かない! みたいな、ピンチの状況で笑いも起きやすいですよね。スキルアップによる楽しさと、ハプニングを生む要素の両立を目指して設計しました。
――ド派手なエクソスーツのつぎが偵察車両だったので、個人的には少しインパクトに欠けるなと感じました。今後もビークルの追加はあるのでしょうか? たとえば、戦車ですとか。
ヨハン
エクソスーツはターミニッドやオートマトンと戦いやすいので、戦術面で戦いやすいので先に登場させました。また、ゲーム的には二足歩行の乗り物ですから、歩兵を作るのとさほど変わらず、作りやすかった面もあります。 ビークルについては、その仕組み自体もイチから作る必要がありました。今回登場する偵察車両のおかげでビークルのメカニクスができましたので、ほかの戦略支援と同じように今後バリエーションを増やしていきたいと考えています。ぜひご期待ください。
――最後に日本のプレイヤーへメッセージをお願いします。
ヨハン
銀河戦争で真っさきに戦う隊員として、これからも日本の皆さんに期待しています! また、来日するときにはいつも 『HELLDIVERS 2』 のTシャツを着ていまして、たまに声を掛けてくださるファンもいます。ときには記念撮影をお願いされたりヘルダイバーの敬礼をしてくれる人もいました。いつもありがたく思っていますので、もしまた来日したときには気軽にお声掛けください! ――ちなみに前回のインタビューでは来日時、「お寿司とお酒が美味しい」と言っていましたが、ファンの方々がそれを読んで喜んでいました(笑)。 関連記事: 『ヘルダイバー2』インタビュー。コマンド入力時のドタバタ感や、ユーザーが自力で攻略法を見出せる設計へのこだわり ヨハン
その後さらに来日した機会があったのですが、そのときは鉄板焼きしか食べていませんでした(笑)。美味しいお肉を調理してくださった、シェフの方々に感謝しかありません! オイシカッタデス!