
2022年3月末にカプコンを退職し、同年10月1日に新会社GPTRACK50を設立。代表取締役社長に就任した小林裕幸氏。ファミ通.comではこれまでにも、小林氏とさまざまなゲームメーカーのクリエイターによる対談企画を行い、小林氏のプロデューサーとしての考えを聞いてきた。GPTRACK50がちょうど3周年を迎えるこのタイミングで、改めて小林氏に現在の心境や、開発中のタイトル(アクションRPG)の進捗などを話していただいた。
聞き手:林克彦(ファミ通グループ代表)
聞き手:林克彦(ファミ通グループ代表)
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小林裕幸氏(こばやしひろゆき)
GPTRACK50代表取締役社長。カプコンにて『バイオハザード』、『戦国BASARA』、『ドラゴンズドグマ』など多数の人気シリーズ開発に携わる。2022年にはゲームスタジオ“GPTRACK50”を立ち上げ、現在、完全新作のアクションRPGを開発中(文中は小林)。
150人体制で看板タイトルを鋭意開発中
――GPTRACK50設立3周年ということで、改めてこの3年を振り返ってみていいかがですか?
小林
あっという間でした。思い返すと、ずっとスタッフの募集・採用をしていて、この3年で仲間もだいぶ増えました。開発中のタイトル(アクションRPG)に関しては、ようやくラストスパートに入りましたが、スタート時点では想像もしてなかったメンバーと、いまこうしておもしろいゲームを作り出そうとしているのは不思議な感覚です。
職種によってはメンバーが決まるまでに時間がかかったところもあります。とくにアーティストの確定は、当初の予定より半年遅れになってしまったので、グラフィック方面の開発はちょっとたいへんだったんですけど、それ以外は順調で。トータルで見ると大きな遅延はなく、開発は順調に進んでいます。
――小林さんの視点で、GPTRACK50の開発陣はどういったチームなのでしょう?
職種によってはメンバーが決まるまでに時間がかかったところもあります。とくにアーティストの確定は、当初の予定より半年遅れになってしまったので、グラフィック方面の開発はちょっとたいへんだったんですけど、それ以外は順調で。トータルで見ると大きな遅延はなく、開発は順調に進んでいます。
――小林さんの視点で、GPTRACK50の開発陣はどういったチームなのでしょう?
小林
本当にすごくいいチームですよ。過去にいろいろな開発チームを経験しましたが、いまのチームは圧倒的にベテランが多いんです。ゲームのコンセプトや、ディレクターの思いを伝えれば、各パートのスタッフが意図を汲み取って独自に動いてくれるので、ガンガン開発が進むんですよ。
とにかく皆、理解が早いうえに技術もあるんです。一度動き出せば、安心して任せられる環境でした。いまは弊社だけでなく、20社以上の協力会社にもお世話になっていて、150人以上のクリエイターが一丸となってプロジェクトに取り組んでいる状況です。
――協力会社とはいかがでしょうか? 意思の疎通とか。
とにかく皆、理解が早いうえに技術もあるんです。一度動き出せば、安心して任せられる環境でした。いまは弊社だけでなく、20社以上の協力会社にもお世話になっていて、150人以上のクリエイターが一丸となってプロジェクトに取り組んでいる状況です。
――協力会社とはいかがでしょうか? 意思の疎通とか。
小林
うまくいっていると思います。「新規タイトルをやりたい!」という強い志のクリエイターに集まってもらいましたので。アクションパートはアクションゲームが得意な会社に担当してもらうといった具合に、適材適所で開発にあたっていただいていることもアピールしたいポイントになります。初めて立ち上げた会社で、初めて集まったメンバーどうしでチームを組んだわけですが、そうとは思えないくらいクオリティーが高く、おもしろい作品を作り出せていると自負しています。
――GPTRACK50としては、具体的に何人体制で開発に取り組まれているのですか?
――GPTRACK50としては、具体的に何人体制で開発に取り組まれているのですか?
小林
この春の採用で社員数は30人弱になり、いったんそこで人数はFIXしました。当初は半分(15人)くらいで何とかなるんじゃないかと考えていたんですけど、やはりそれだと人手が足りないので倍になりました。余裕はないんですけど、この人数ならギリギリ、現場を回せるな……といった感じです。
本当はもう少し人数を増やしたい職種もあるんですけど、規模が大きくなるとそのぶん意思の疎通にも齟齬が生じやすくなるといいますか。やはりディレクターやアートディレクターの意思はブレずに、正確に伝わることが大切です。これくらいの人数が最適だろうということで30人弱に落ち着きました。
本当はもう少し人数を増やしたい職種もあるんですけど、規模が大きくなるとそのぶん意思の疎通にも齟齬が生じやすくなるといいますか。やはりディレクターやアートディレクターの意思はブレずに、正確に伝わることが大切です。これくらいの人数が最適だろうということで30人弱に落ち着きました。
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こだわりを詰め込み、おもしろさをさらにアップさせる
――これまでの展開を振り返られて「ここは当初の予定と違うものになったな」、「逆にここは想定していた以上におもしろくなったな」といったところはありますか?
小林
作品の根幹となる部分は、最初に企画を立ち上げたときから大きくは変わっていないんですよ。それをよりおもしろくするために積み上げてきたものが、ようやく形になる……という状況ですね。とはいえ、その過程では「おもしろそうだけど本当に実現できるの?」というアイデアもたくさん出てきました。
話を聞いたときは半信半疑だったんですが、ちゃんと提案されたコストの範囲内で実現されていて、しかも実際にゲームのおもしろさの底上げにもつながっていました。そういったメンバーの発想や技術力には素直に驚かされました。
――具体的にいいますと?
話を聞いたときは半信半疑だったんですが、ちゃんと提案されたコストの範囲内で実現されていて、しかも実際にゲームのおもしろさの底上げにもつながっていました。そういったメンバーの発想や技術力には素直に驚かされました。
――具体的にいいますと?
小林
僕自身は、ユーザーインターフェースにはそこまでこだわるつもりはなかったんですけど、スタッフのほうからどんどん、よりよくするためのアイデアが出てきたんです。3Dのアクションパートに関しても、同様にさまざまな意見が寄せられて。いいなと思う反面「どれくらい時間とお金がかかるんだ?」という懸念もあって、ビビりながら進行を見守っていた期間がけっこうあります。
――そうした心配も杞憂に終わった、ということですね。
――そうした心配も杞憂に終わった、ということですね。
小林
ほかにも心配していた事項はたくさんありましたが、結果的にすべて、ゲームをおもしろくすることにつながったので、ここからはいよいよラストスパートで細かい部分を調整していってる感じです。いい意味でかなり尖っている、当初想定していたものをはるかに超えるおもしろいゲームができたと思っているので、早く詳細を発表したくてウズウズしています。
――開発自体はラストスパートに入っている……とのことですが、開発にかかった期間はトータルで何年になるのでしょう?
――開発自体はラストスパートに入っている……とのことですが、開発にかかった期間はトータルで何年になるのでしょう?
小林
会社は3周年ですが、設立と同時にスタートというわけではないですからね。メンバーがある程度そろうまでに1年ほどかかっているので、そこから開発に取り組み始めて、現在で約2年。これから発表して、実際に発売されるまでの期間は、おおよそ3年といったところになると思います。
――それってかなり早いほうですよね?
――それってかなり早いほうですよね?
小林
新しく立ち上げた会社で、ベースとなるものがない完全新作のタイトルとしてはかなり早いほうです。これは本当に、ディレクターとアートディレクターの相性がよかったからこそ実現できたスピード感だと思っています。提示するアイデアに対して、お互いの目指しているものが一致していたので、どんどん開発が進んでいって。
そうしてキャラクターデザインが確定したら、3Dチームの出番になるわけですが、このチームもまた仕事が速い。その甲斐あって、想定していた以上の速さで3Dデザインが完成したので、そのぶん、アクションパートの制作に時間をかけました。モーションキャプチャーも納得がいくまで撮り直したりして、しっかり丁寧に作り上げることができたわけです。
そうしてキャラクターデザインが確定したら、3Dチームの出番になるわけですが、このチームもまた仕事が速い。その甲斐あって、想定していた以上の速さで3Dデザインが完成したので、そのぶん、アクションパートの制作に時間をかけました。モーションキャプチャーも納得がいくまで撮り直したりして、しっかり丁寧に作り上げることができたわけです。
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プロモーションの準備も水面下で進行中
――まだ詳しいことは公表できないと思うのですが、開発中のタイトルについて、どのようなプレイ体験を提供できるのか、いまお話しできる範囲で教えてください。
小林
アクションゲームが好きな方に向けて、これまでにない新しいアクションゲームをお届けするべく、アクションゲームを愛するクリエイターたちが集まって開発しているアクションゲーム……だと思っていただければと。
「これまであらゆるアクションゲームを遊んできた」という方にも満足していただいて、そのうえで「アクションゲームはほとんど遊んだことがない」という方でも楽しんでいただけるようにRPG的な成長要素も用意しているので、テクニックがともなわない方でも、時間をかけてコツコツプレイすれば、強い敵を倒せたり、先に進むことができるゲームデザインになっています。
――得意、不得意は関係なく、どんな人でも楽しめるアクションゲームになっていると?
「これまであらゆるアクションゲームを遊んできた」という方にも満足していただいて、そのうえで「アクションゲームはほとんど遊んだことがない」という方でも楽しんでいただけるようにRPG的な成長要素も用意しているので、テクニックがともなわない方でも、時間をかけてコツコツプレイすれば、強い敵を倒せたり、先に進むことができるゲームデザインになっています。
――得意、不得意は関係なく、どんな人でも楽しめるアクションゲームになっていると?
小林
そうなります。ただ、新しいアクションゲームを求めている方にはとくに遊んでいただきたいなと思っていて。最初はちょっと、独特の操作を覚える必要があるんですけど、慣れれば本当にサクサク進められるので、この新しい遊びをぜひ体験していただきたいですね。
――発表自体は2025年内にできそうですか?
――発表自体は2025年内にできそうですか?
小林
はい。今年(2025年)のうちに発表して、2026年に発売することをこの場で宣言しておきます。じつはもう、発表できる準備はほぼ整っていて、どのタイミングで公表するかを検討している状況なんです。どういう形になるかはまだ言えないんですけど、発売前のどこかのタイミングで、体験版などでユーザーの皆さんに遊んでもらえる機会も設けたいなと考えています。
――タイトル発表後のプロモーションの準備も、もうすでに始まっている感じですか?
――タイトル発表後のプロモーションの準備も、もうすでに始まっている感じですか?
小林
まだ確定はしていませんが、どういったプロモーションを仕掛けていくかは、すでに会議を開いたりして準備を進めています。ただ、作品そのものはすでに発表できるんですけど、その際にもっとも重要なキーアートが、このインタビューの時点(2025年9月上旬)では、まだ完成していないという状況でして……。そちらが完成次第、早々にタイトルを発表し、詳しい情報も公開していくつもりです。
そしてそのターンになったら、ディレクターとアートディレクターにガンガン表に出てもらい、作品についてしゃべってもらおうかと。僕だけが表に出てしゃべるのはもう限界だったので、今後はディレクターたちにがんばってもらいます。彼らにも話したいことがいっぱいあると思うので、その際はぜひ、ファミ通さんも改めて取材してください!
そしてそのターンになったら、ディレクターとアートディレクターにガンガン表に出てもらい、作品についてしゃべってもらおうかと。僕だけが表に出てしゃべるのはもう限界だったので、今後はディレクターたちにがんばってもらいます。彼らにも話したいことがいっぱいあると思うので、その際はぜひ、ファミ通さんも改めて取材してください!
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著名クリエイターと小林氏の対談を振り返る
――ファミ通.comではGPTRACK50が設立されて以降、定期的に小林さんと各メーカーのクリエイターによる対談企画を実施してきました。こちらの企画の感想であったり、対談を通して得た知見などがありましたら、お聞きしたいです。
小林
5回にわたって実施していただきまして、本当にありがたく思っています。そのうえで、いちばんうれしかったことといいますか、毎回ワクワクしたのは、やはり各メーカーさんに直接おうかがいして、先方のオフィスでお話をさせていただけたことですね。
第1回はスクウェア・エニックスの齊藤陽介さんでしたが、齊藤さんとあんなに長い時間、お話をさせていただいたのは初めてだったので、とても貴重な経験でした。齊藤さんのプロデューサー論も聞かせていただけたし、こちらからの質問にも丁寧にご回答いただけて。本当にありがたかったです。
第2回はグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一さんと対談させていただいきました。須田さんとは『Killer7』以来の長いお付き合いになりますが、公の場でお話をして、それが記事になるというのは初めてだったので、新鮮な感覚でした。これまで聞いたことのなかった須田さんのお考えなども話していただけて、楽しい時間でしたね。
第3回では『メタファー:リファンタジオ』をリリースされた直後のタイミングで、アトラスの橋野桂さんにお話をうかがいました。橋野さんはスタジオ・ゼロを立ち上げられて、新規IPを手掛けられた……というところにシンパシーを感じたといいますか。いろいろ参考になるお話を聞かせていただけて、たいへん勉強になりました。
第4回は、バンダイナムコスタジオの原田勝弘さんにご登場いただきました。原田さんとはこれまでにも何度かお話をさせていただいたことがあるんですけど、このときの対談ではプロデュースに関するより深いお話になりました。情報の発信の仕方やユーザーの皆さんとのやり取り、海外での展開など、力を入れていらっしゃる部分について質問も交えつつ教えていただけて、本当にありがたかったです。
そして第5回は、コーエーテクモゲームスの早矢仕洋介さんにお話をうかがいました。早矢仕さんからは、どんどん新規IPを打ち出して、それらを積極的に展開されている同社の姿勢や企業理念などを話していただいきました。AAAスタジオ設立の経緯も教えていただき、いろいろと参考になりました。
第1回はスクウェア・エニックスの齊藤陽介さんでしたが、齊藤さんとあんなに長い時間、お話をさせていただいたのは初めてだったので、とても貴重な経験でした。齊藤さんのプロデューサー論も聞かせていただけたし、こちらからの質問にも丁寧にご回答いただけて。本当にありがたかったです。
第2回はグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一さんと対談させていただいきました。須田さんとは『Killer7』以来の長いお付き合いになりますが、公の場でお話をして、それが記事になるというのは初めてだったので、新鮮な感覚でした。これまで聞いたことのなかった須田さんのお考えなども話していただけて、楽しい時間でしたね。
第3回では『メタファー:リファンタジオ』をリリースされた直後のタイミングで、アトラスの橋野桂さんにお話をうかがいました。橋野さんはスタジオ・ゼロを立ち上げられて、新規IPを手掛けられた……というところにシンパシーを感じたといいますか。いろいろ参考になるお話を聞かせていただけて、たいへん勉強になりました。
第4回は、バンダイナムコスタジオの原田勝弘さんにご登場いただきました。原田さんとはこれまでにも何度かお話をさせていただいたことがあるんですけど、このときの対談ではプロデュースに関するより深いお話になりました。情報の発信の仕方やユーザーの皆さんとのやり取り、海外での展開など、力を入れていらっしゃる部分について質問も交えつつ教えていただけて、本当にありがたかったです。
そして第5回は、コーエーテクモゲームスの早矢仕洋介さんにお話をうかがいました。早矢仕さんからは、どんどん新規IPを打ち出して、それらを積極的に展開されている同社の姿勢や企業理念などを話していただいきました。AAAスタジオ設立の経緯も教えていただき、いろいろと参考になりました。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/52333/a52919f5cdc7078266a63471a7ef1c44b.jpg?x=767)
試遊施策を検討中……アートの部分も要チェック
――小林さんにとっても、お相手の皆さんにとっても刺激のある対談だったのではないかと思います。改めましてご協力ありがとうございました。さて、開発中のタイトルに関しては、いよいよラストスパートに入るということで、意気込みをお聞かせください。
小林
タイトルの発表後は、開発チームのコアメンバーをどんどん前面に出して、彼らの思いもユーザーの皆さんに向けて発信していきたいですし、なんといっても早く触っていただきたい……という気持ちが強いです。体験版の配信をはじめ、直接遊んでいただけるような施策もいろいろ考えていますので、発売までは本当にやることがいっぱいです。
ゲームの魅力が伝わる映像もどんどんアップしていきますので、まずはそれらを見ていただいきたいです。「おもしろそう」、「遊んでみたい」と思っていただけたらうれしいですね。ぜひ、感想を聞かせていただけますと幸いです。
――小林さんの動向に注目されているゲームファンの皆さんにも、何か伝えたいことはありますか?
ゲームの魅力が伝わる映像もどんどんアップしていきますので、まずはそれらを見ていただいきたいです。「おもしろそう」、「遊んでみたい」と思っていただけたらうれしいですね。ぜひ、感想を聞かせていただけますと幸いです。
――小林さんの動向に注目されているゲームファンの皆さんにも、何か伝えたいことはありますか?
小林
とにかくアクションゲームが好きな方には、ぜひいちど触っていただきたい……というのが、まずひとつ。そしてもう一点、じつは本作はアートの部分でも、ファンになってくださる方がけっこういらっしゃるんじゃないかと期待しているんです。
発表できていない時点で言っても、なかなか伝わらないと思うんですけど、本作はビジュアルに関してもかなり力を入れているので、「なんだか絵的にもすごくいいゲームだな」と思っていただきたいです。キャラクターたちのビジュアルもめちゃくちゃこだわって作っていますので、ゲームそのものはもちろん、彼らのことも好きになっていただけるとうれしいですね。
発表できていない時点で言っても、なかなか伝わらないと思うんですけど、本作はビジュアルに関してもかなり力を入れているので、「なんだか絵的にもすごくいいゲームだな」と思っていただきたいです。キャラクターたちのビジュアルもめちゃくちゃこだわって作っていますので、ゲームそのものはもちろん、彼らのことも好きになっていただけるとうれしいですね。