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『ウォーハンマー 40,000: ドーン・オブ・ウォー IV』人気RTSシリーズ最新作は『1』に回帰しつつ4つの勢力の大きなストーリーを描く。開発を手掛けるKING Art Gamesのキーパーソンに聞く【TGS2025】

by古屋陽一

更新
『ウォーハンマー 40,000: ドーン・オブ・ウォー IV』人気RTSシリーズ最新作は『1』に回帰しつつ4つの勢力の大きなストーリーを描く。開発を手掛けるKING Art Gamesのキーパーソンに聞く【TGS2025】
 2025年9月25日~28日、千葉県・幕張メッセにて東京ゲームショウ2025(TGS2025)が開催(25日、26日はビジネスデイ)。

 TGSでは国単位でのブースが展開。各国の開発会社によるタイトルが出展されているが、ドイツパビリオンでは13社が参加。各デベロッパーの開発タイトルが出展していた。その中の一社がKING Art Games。

 KING Art Gamesは、8月に行われたgamescom 2025で『
Warhammer 40,000: Dawn of War IV』(ウォーハンマー 40,000: ドーン・オブ・ウォー IV)を発表したばかり(日本語にも対応する)。

 『
Warhammer 40,000: Dawn of War』シリーズは、遠い未来の銀河を舞台に、さまざまな勢力が激しい戦いをくり広げるリアルタイムストラテジー(RTS)シリーズ。2004年に1作目が発売され、海外で好評を博してきた。2017年の『III』の発売以降、シリーズ作が途絶えていた同シリーズだが、この度久しぶりの復活となった。

 これまでシリーズ作は、カナダの開発会社であるRelic Entertainmentが手掛けてきたが、『
IV』は発売元Deep Silver、開発元KING Art Gamesに。『IV』は新体制での船出となる。KING Art Gamesは、『Iron Harvest』などを開発しているデベロッパーだ。

 ファミ通.comでは、KING Art Gamesのエグゼクティブプロデューサー兼オーディオディレクターであるJulian Strzoda(ジュリアン・シュトローダ)氏に独占インタビューを実施。『Warhammer 40,000: Dawn of War IV』について聞いた。まずは公開されたばかりの最新トレーラーをお届けしよう。
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Julian Strzoda氏ジュリアン・シュトローダ

2013年にKING Art Gamesに入社。『Iron Harvest』のプロデューサーを務める。『Dawn of War IV』ではエグゼクティブプロデューサー兼オーディオディレクター。


1作目を”精神的祖先”として、さらにブラッシュアップしていく

――『Warhammer 40,000: Dawn of War IV』の開発を担当するとのことですね。

ジュリアン
 本作は、私たちが手掛けてきた作品の中で最大規模のゲームです。本作の前は『Iron Harvest』というRTSゲームを開発し、スタジオとして大成功を納めました。私たちはつねに新しいストーリーをお届けできることをうれしく思います。

 『Iron Harvest』はKickstarterで資金を集めてコミュニティーといっしょに作った作品です。その後Games Workshopさんから『
Dawn of War IV』の新しい開発パートナーにならないかというお誘いを受けました。私たちは『Dawn of War』、そして『Warhammer 40,000』の大ファンであり、オフィスにも巨大なテーブルがあってそこでプレイしています。このような機会をいただき、本作の開発を担当できて、とても光栄に思っています。

 本作はクラシックなRTSでベースビルディングと大規模なキャンペーン、100以上のユニットをフィーチャーし、『Warhammer 40,000』の陰鬱で暗いユニバースを舞台とした奥深いナラティブが展開します。
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――開発にあたって注力したポイントを教えてください。

ジュリアン
 サイズとキャンペーンですね。まず4つの大きなファクション(勢力)を再登場させたいと思いました。その理由は、異なる勢力がもたらす多様性とライバル関係によってユニバースがより生き生きとしたものになると考えているからです。そして、私たちはナラティブを重視するスタジオなので、これら勢力のストーリーを語りたいと思いました。

――どんなストーリーが語られるのですか?

ジュリアン
 ゲームにはオルク、アデプトゥス・メカニクス、ネクロン、そしてスペース・マリーンという4つの大きな勢力があります。各勢力は、惑星クロノスにおいて、それぞれユニークな利害関係、ストーリー、内部闘争があります。それを背景として70以上のすべてのキャンペーンを統合する大きなストーリーが進んでいきます。

 それぞれの勢力には独自のキャンペーンがあり、好きな順番でプレイ可能です。キャンペーンの中にも選択肢があり、たとえばオルクのキャンペーンストーリーでは、ライバルであるふたりのメインヒーローが戦うのですが、どちらかを選んでプレイします。

 マルチプレイヤーでは、プレイヤーはひとつの勢力を選び、マルチプレイヤーマッチで対戦することになります。

――どの勢力を選ぶかによってストーリーは変わるのですか?

ジュリアン
 全体的なストーリーは道筋が決まっているのであまり大きく変わることはありませんが、たとえばアデプトゥス・メカニクスのキャンペーンでは、ふたつの場所のうちひとつしか守れないため、そのミッションの結果に影響します。キャンペーンの中では変わるということです。

 各勢力は独自のユニークなアイデンティティとプレイスタイルを持っています。

 オルクは卑しく凶暴な生き物です。

 アデプトゥス・メカニクスは、トランスヒューマンなので、まだ人間ではありますが、多くのテクノロジーを持つサイボーグで、彼らのプレイスタイルはテクノロジービルディングによって相互にコネクトするニューロリンクを作ることに依存しているため、ほかとは大きく違う戦いかたになります。

 ネクロンは、スティール・ヒューマン・ロボットで、闇の感情を持つ不滅の存在なので、つねに再生します。プレイスタイルとしてはゆっくりなのですが、超最先端技術によってテレポートすることができます。

 そして、『Warhammer 40,000』のユニバースの象徴的な存在であるスペース・マリーンは、スーパーヒューマン・ソルジャーで、強化された身体をエクソスーツに包み、比較的一般的な武器で戦います。パワーとアビリティに優れ、ある程度SFマジック的なものを使うクールな兵士です。
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――本作のストーリーはどのようなものになるのですか?

ジュリアン
 舞台は惑星クロノスですが、この惑星は『Dawn of War』1作目のDark Crusadeの一部でした。そこから200年後、私たちはユニバースに散らばってしまったBlood Ravenという勢力のストーリーを継続したいのです。彼らは、200年後もクロノスで仲間を見つけようとしています。一部の仲間を見つけることはできましたが、同時に新旧の敵も見つけてしまいます。この惑星の表面下には何か暗い、ユニバース全体にとって重要なものがあり、ミステリーが隠されています。

――ストーリーに込められたメッセージを教えてください。

ジュリアン
 『Warhammer 40,000』のコアメッセージのひとつは、この暗いユニバースの未来には戦争しかないということです。世の中には善と悪があり、誰もが葛藤を抱え自分の信念に基づいて行動しているのです。

――本作で、シリーズ作のよいところを踏襲した点と、本作で変えた点を教えてください。

ジュリアン
 これまでの3作はRelic Entertainmentさんが開発しましたが、ゲームプレイがそれぞれ大きく異なります。

 私たちは、1作目を精神的祖先と考えています。それは1作目がベースビルディングと大きなユニットでプレイするクラシックなRTSゲームだったからです。

 2作目の見た目は、陰鬱で暗く詳細に描かれていて、ユニバースにピッタリ合っていました。新しい操作方法などについては2作目と3作目を参考にしました。1作目は20年も前のゲームなので、本作のインターフェースのレイアウトはプレイしやすいように改善されています。

――本作は1作目を精神的な祖先としているのですね。

ジュリアン
 1作目と2作目はもっともコミュニティの人気が高かったのですが、1作目は私たちがやりたいゲームによりフィットしていると感じました。

 2作目はヒーロー・ファイティングに依存していて、ユニットサイズも小さく、ベースビルディングはほとんどありません。私たちにはクラシックなRTSゲームが合っていると思ったので、1作目を選んだわけですが、私が『1』の大ファンだということもありますね。
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最初『IV』の開発の話をもらったときは怖かった

――3作目の後、なぜ開発がKING Art Gamesに変わったのですか?

ジュリアン
 Relic Entertainmentさんはすばらしいスタジオで、私たちは彼らが行ってきたことにいくら感謝しても足りないくらいです。彼らは当時『Age of Empires IV』を開発中で忙しく、Game Workshopさんが私たちの『Iron Harvest』を気に入って声がかかったのです。彼らはこのゲームが『Dawn of War』のワールドにフィットいること、そしてつぎの作品には新鮮な視点を取り入れたいと考えていました。

――お話があったときはどんな感想を持ちましたか?

ジュリアン
 最初は恐ろしかったです。自分たちがこの巨大なユニバースに触れることができるとは思いもよりませんでした。何も知らされないまま最初のミーティングに招かれ、「『Dawn of War』シリーズの最新作を開発してほしい」と言われたときは、恐ろしかったのと同時に謙虚になり、光栄に思いました。Kickstarterで私たちのゲームを見て、このスタジオといっしょにやりたいと思ってくださったようです。

 このユニバース、そして『Dawn of War』というブランドの仕事をすることには大きな責任があります。私たちはコミュニティに非常に近いという理由で選ばれたのだと思います。『Iron Harvest』はコミュニティのKickstarterで資金が集まってできたゲームです。Game Workshopさんは、私たちがコミュニティの求めているものをよくわかっているということで信頼してくださったのだと思います。

 そして8月のgamescomでの発表は、私たちが正しい方向に進んでいることを示してくれました。コミュニティはまだ弊社スタジオをよく知っているわけではないと思いますが、いいゲームを作っているというすばらしいフィードバックをもらっています。

――コミュニティに愛される秘訣は何ですか?

ジュリアン
 信頼性だと思います。弊社は光り輝くAAAスーパースターデベロッパーではなく、ドイツの小さな町ブレーメンにある堅実な独立スタジオです。そして自分たちは気さくで謙虚だと思っています。コミュニティはそこが気に入ってくれているのだと思いますし、こちらも彼らにいろいろ質問をします。『Iron Harvest』の開発にあたっては、リサーチを綿密に行い、何がいちばん重要なのかを聞き、その声に耳を傾けました。

――『Dawn of War』シリーズの最新作をKING Art Gamesが手掛けることに対して、コミュニティはボジティブにとらえてくれたとのことですが、その理由はどのように考えていますか?

ジュリアン
 彼らが1作目は評価し、3作目には満足しなかったことに合致しているからだと思います。私たちがルーツに戻ることを肯定的に捉え、彼らは自分たちの気持ちが理解されたと感じたのではないでしょうか。
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――現在の開発状況を教えてください。

ジュリアン
 アルファくらいまできています。いま、ジャーナリストによるプレイテストを行っています。各地でフォーカスグループによるNDA付きプレイテストも行っていて、ヨーロッパ、北米、中国で30人ほどのプレイヤーにテストしてもらっています。

――発表後、もっとも印象に残った反応を教えてください。

ジュリアン
 ゲームのビジュアルが気に入ったという意見は、私たちが正しい方向に進んでいるということが確認できてうれしかったです。

――日本のユーザーは楽しんでくれると思いますか?

ジュリアン
 そうであってほしいです。私たちはおもしろいメカニック、メックを見せることには長けています。『Iron Harvest』は第一次世界大戦のメックが重要でした。そして『Dawn of War』も多くの異なるメックとテクノロジーが含まれていましたが、本作はこうした日本の皆さんが魅力を感じられるものを提供していると思います。

――発売日はいつころになりそうですか?

ジュリアン
 いまは2026年とだけ言っています。フィードバックを受けて作品に対する自信はありますが、引き続き努力してさらによくしていきたいと思っています。

――どんなところをさらによくしていきたいのですか?

ジュリアン
 全体的に人間の動きの改善ですね。そしてマップも70あるのでコンテンツが多い上、70以上のキャンペーンがあるのでやることはたくさんあります。

 私はオーディオディレクターでもあるのですが、個々のアイデンティティが考慮されたすべての勢力の音楽をオーケストラで録音しています。また、シリーズで再登場となる40人以上の俳優との仕事もまだたくさんあります。オーディオにはこだわりがあるので、きちんと作りたいです。

――せっかくの機会なのでうかがいたいのですが、ドイツのゲームの魅力とは?

ジュリアン
 ドイツには独立デベロッパーのすばらしい文化があります。もちろん大手のパブリッシャーもありますが、原動力となっているのは独立スタジオだと思います。私たちもそうですが、創造的自由が得られることはとてもポジティブですね。

――とくに、ドイツのスタジオの強みはどこにあると思いますか?

ジュリアン
 ドイツの文化にはエンジニアリングの精神から生まれたある真面目さが見られます。また、そこには第二次世界大戦とサードライヒの暗い歴史も影響しています。デベロッパーは善悪について振り返ることが多く、楽しいゲームにも教育的あるいはシリアスなものが根底に流れていたりします。こうしたゲームはパブリッシャーに売り込むのは難しいので、独立スタジオのほうが楽に進められると言えます。

――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

ジュリアン
 TGSに来ることができてうれしく思います。今回TGSに合わせて東京、そして日本各地を訪れてとても楽しかったです。プレイヤーの皆さんに本作のストーリー、ヒーローたち、そしてさまざまなキャラクターたちを楽しんでいただければ幸いです。
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