
あなたの背後に世界が広がっていることを、あなたはどうやって証明するのだろう。
要は“世界は自分が知覚することで存在する(知覚していない部分は存在していない)”という考え。アインシュタインが残した「私が見ていなければ月は存在しないのか?」という言葉にもある通り、基本的には「んなわけないよね」というのがオチの思考実験みたいなものだ。
しかし、ワンダーランドカザキリ開発による『CASSETTE BOY』の世界はそんなしみったれた現実とは違う。とりあえずこの世界では、“見えていないものは存在しない”のだ。
要は“世界は自分が知覚することで存在する(知覚していない部分は存在していない)”という考え。アインシュタインが残した「私が見ていなければ月は存在しないのか?」という言葉にもある通り、基本的には「んなわけないよね」というのがオチの思考実験みたいなものだ。
しかし、ワンダーランドカザキリ開発による『CASSETTE BOY』の世界はそんなしみったれた現実とは違う。とりあえずこの世界では、“見えていないものは存在しない”のだ。
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このタイトルは2024年6月22日に東京・秋葉原で開催されたインディーゲームの祭典“TOKYO SANDBOX 2024”で筆者が遊んだタイトルのひとつ。カメラでの視点操作をギミックとして扱うパズルアクションゲームだ。
そのギミックは、先ほど説明した通り――このゲームでは、“見えないものは存在しない”。つまり、邪魔なものが見えないようにカメラを操作しながら進めていく、というもの。その名も“シュレディンガーシステム”。世界の“在る”を操るシステムだ。
そのギミックは、先ほど説明した通り――このゲームでは、“見えないものは存在しない”。つまり、邪魔なものが見えないようにカメラを操作しながら進めていく、というもの。その名も“シュレディンガーシステム”。世界の“在る”を操るシステムだ。
こんな感じで、道を進むうえで「邪魔だなー」と感じるものがうまく見えなくなるようにカメラを動かして進んでいく。見えないということはその存在を証明できないので、つまりはないのと同じ……というワケだ。
切り口が斬新なので、いろんなゲームでよくある、“押しているあいだだけ門が開くスイッチ”なんてギミックでも解法がおもしろい。だいたいのゲームなら、“上に物を置いて押しっぱなしの状態にする”が正解だが、『CASSETTE BOY』では……。
切り口が斬新なので、いろんなゲームでよくある、“押しているあいだだけ門が開くスイッチ”なんてギミックでも解法がおもしろい。だいたいのゲームなら、“上に物を置いて押しっぱなしの状態にする”が正解だが、『CASSETTE BOY』では……。
なんて具合に解いていく。いつものゲームとはまた違った部分のアタマを使っているような感覚で、なんだかこそばゆい。このこそばゆさこそ、本作が独自の魅力を持つ理由のひとつだろう。
そんな“シュレディンガーシステム”のほかにも、カメラをぐるぐると回すことで作動する仕掛けも確認。とにかくカメラ操作を使ったギミックが楽しいゲームだった。
そんな“シュレディンガーシステム”のほかにも、カメラをぐるぐると回すことで作動する仕掛けも確認。とにかくカメラ操作を使ったギミックが楽しいゲームだった。
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3Dボクセルで描かれたグラフィックのおかげで、カメラを動かしても画面の雰囲気が崩れないのもうれしい。たとえ斜めの視点になっても、昔懐かしいドット絵のような世界観を保ったままでゲームを進められる。
グラフィックが先か、カメラが先かはわからないものの、こういった点も含めてゲーム全体から「視点変更を使ったギミックで存分に遊んでもらおう!」という心意気がとても伝わってきたのが印象的だ。
グラフィックが先か、カメラが先かはわからないものの、こういった点も含めてゲーム全体から「視点変更を使ったギミックで存分に遊んでもらおう!」という心意気がとても伝わってきたのが印象的だ。
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試遊版ということもあり、今回遊べる範囲でのストーリーはかなり簡素ではあった。しかし、主人公が「ぼくが見ていない間、ぼくの大切な人はどうなっているんだろう」と夢の中で哲学に浸るシーンなんかが冒頭に差し込まれており、テーマ的にも「けっこう深いストーリーが展開されていくのかな?」と思わせてくれるものに。この辺りは製品版に期待したい。
ほかにも試遊版では十分に味わいきれなかったかな、という部分はかなりある。本作は剣、弓といった武器で敵と戦うこともあるのだが、試遊版ではそこまで重視されているような印象は受けなかった。
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ただ、最後にボス戦が用意されていたりするなど、戦闘面にも力を入れている様子は見て取れる。“シュレディンガーシステム”によるギミックを組み込んだ立ち回りをする必要があり、手触りとしてはけっこう難しい印象を受けた(もちろん筆者がへぼへぼであるだけの可能性もあるけど)。
独特なパズルとシンプルなアクション。このふたつが噛み合ったボス戦が製品版ではたくさん展開されていくのかなーと思うと、今後への期待が高まるばかりだ。
独特なパズルとシンプルなアクション。このふたつが噛み合ったボス戦が製品版ではたくさん展開されていくのかなーと思うと、今後への期待が高まるばかりだ。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/9587/a7c607d78871c815046eb3f3aa6f254d4.png?x=767)
今回の試遊だけでも、本作の独特な遊び心地と、その体験を崩さないようプレイヤーに提供する心意気は十分に感じることができた。
……なんか哲学とか絡んできていたのでついつい小難しい言いかたをしてしまったが、まあ要するに“めっちゃ楽しかった”ということ。“シュレディンガーシステム”が使われたパズルやギミックをもっと、もっと解きたい。
「あんだけおもしろそうなシステムを見せておいて、あれだけの試遊版じゃぜんぜん足りないよォ!」
というのが筆者の心からの叫びである。試遊版でも十分おもしろいものばかりだったけど、もっといろんなパターンがあるんだと思うと早く製品版をやりたくて仕方がない。
……なんか哲学とか絡んできていたのでついつい小難しい言いかたをしてしまったが、まあ要するに“めっちゃ楽しかった”ということ。“シュレディンガーシステム”が使われたパズルやギミックをもっと、もっと解きたい。
「あんだけおもしろそうなシステムを見せておいて、あれだけの試遊版じゃぜんぜん足りないよォ!」
というのが筆者の心からの叫びである。試遊版でも十分おもしろいものばかりだったけど、もっといろんなパターンがあるんだと思うと早く製品版をやりたくて仕方がない。
そんな『CASSETTE BOY』製品版は2024年発売予定。対応プラットフォームはNintendo Switchとプレイステーション5、PC。もしかしたらあと半年以内にまた遊べるのかと思うと、とても楽しみ。すでに本作はSteamのストアページもできているので、気になった方はぜひともウィッシュリストに登録を。