『ソニック』×『フォートナイト』コラボの舞台裏。「実現に年単位。相互のリスペクトがあるからこそ簡単ではなかった」セガ×Epic GamesによるVIP対談【インタビュー】

『ソニック』×『フォートナイト』コラボの舞台裏。「実現に年単位。相互のリスペクトがあるからこそ簡単ではなかった」セガ×Epic GamesによるVIP対談【インタビュー】
 2026年8月21日に『Fortnite』(フォートナイト)の新シーズン“チャプター7 シーズン4 オーバーライド”が開幕した。今シーズンのテーマは「ルールを打ち破れ。ゲームを変えろ。」。『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』をはじめ、『ロックマン』や『ペルソナ』、『キングダム ハーツ』、『テトリス』など、名だたるゲームIPが集結し、非常に豪華なコラボが実現している。
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 両社を代表してセガ代表取締役社長執行役員COOの内海州史氏と、Epic Games Japan代表の河崎高之氏に、今回のコラボ実現の経緯から開発の舞台裏、そして両社が描く未来まで、腹を割って語ってもらった(河崎氏の崎はたつさき)。
『ソニック』×『フォートナイト』コラボの舞台裏。「交渉は年単位。相互のリスペクトがあるからこそ簡単ではなかった」セガ×Epic GamesによるVIP対談【インタビュー】

「相思相愛」でも、実現まで年単位の時間がかかった理由

――今回の『Fortnite』と『ソニック』のコラボが実現した経緯からおうかがいします。今回のコラボはどちらの主導で始まったのでしょうか、それとも両者の動きが自然に噛み合った同時発生的なものだったのでしょうか?

河崎 
どちらかというと相思相愛、という言葉が近いと思います。ソニックは世界的にも非常に人気の高いゲームのひとつですし、いつかぜひ『Fortnite』にも出ていただきたいという思いは、『Fortnite』が始まった直後ごろからずっと持っていました。折に触れて内海さんを含めセガの方々とお話しする中で、お互いにタイミングを測りつつ、それが今回、うまくまとまったという感じです。

内海 
セガ側の話で言うと、ちょうどソニックの35周年が近づいていて、いろいろ記念になるようなことを考えているタイミングでした。これまでの35年でやってこなかったことにも積極的に取り組んでみようという機運がセガにあって、この話でもうまく追い風になってくれたかなと思っています。

 もちろん『Fortnite』というビッグタイトルとのコラボですから、35周年でなくとも実現するべく話は動いたはずです。でも、わりと最初から積極的に動こうという風な気運が生まれた背景として、やっぱり35周年で特別なことをやりたいという思いが後押ししてくれた部分は大きいですね。

――準備期間についてもお聞かせください。ソニックはIPとしての規模も大きく、それだけ時間もかかったのではないですか?

河崎 
具体的な開発期間はお話しするのが難しいのですが、今回のチャプター7 シーズン4のコンセプトとして、「ゲーム文化に対するEpic Gamesからのラブレター」という位置づけで、ソニックだけでなくロックマンをはじめ、多くのゲーム会社の人気IPを登場させています。

 各社が大事に育ててこられたキャラクターをお預かりするわけですから、万全の体制で最高のクオリティを出せるようにと取り組んでいました。コラボではIPをお借りする以上、開発にはいつも慎重に取り組んでいますが、今回は関わるIPも多く、より一層、身が引き締まる思いでした。月単位の準備ではなく、もう年単位の準備がかかっていたということです。

内海 
ソニックに関しては体型というか、“頭身”の問題がありました。

 コンセプトとしては非常によいと感じましたが、「『Fortnite』にそのままソニックを出すのはどうなんだろう?」という議論が社内で起こったんです。

 「ソニックとコラボしたいというリクエストがあったからソニックを入れました」という感じではなく、出るからにはちゃんと丁寧に世界観をすり合わせていくということを意識してやっていました。『Fortnite』のファンの皆さんも裏切りたくないし、ソニックのファンの皆さんの期待にもちゃんと応えたかった。それもあって、時間がかかりました。

 ゲームの中に出てくるソニックの姿をよりよいものにするといった作業だけでなく、ゲームの外側にも多くの作業がありました。どうしてソニックがそういう形でこの世界に存在しているのかという背景まで含めて設定を考え、皆さんに納得していただけるストーリーをきちんと整備してそれをコミックスに描き起こすなど、周到な準備を重ねていたんです。
『ソニック』×『フォートナイト』コラボの舞台裏。「交渉は年単位。相互のリスペクトがあるからこそ簡単ではなかった」セガ×Epic GamesによるVIP対談【インタビュー】

「理由づけも含めて、真面目に取り組ませていただいた」

――『Fortnite』に登場するモデリングデータなどはセガ側から提供されたのでしょうか。それとも、資料をもとに『Fortnite』側で一から制作されたのでしょうか。

内海 
もともと、Epic Gamesさんから「このような頭身でこんな感じになります」というサンプルをいただいたのですが、我々にもソニックには並々ならぬ思いがあります。「いや、そうではなくて、こういうフォーマットのものがいいんじゃないか」といった感じで、その後の展開の話も含めてこちらから提供させていただいて、そこから何度もやり取りを繰り返しました。

河崎 
今回のシーズンで言うと主役に相当するソニックがひとつ真ん中にあって、日本のものを中心にそれ以外のゲームIPにたくさん登場していただいています。各社さんとも、まず資料をいただいて、こちらからコンセプト案をお渡しして、さらにフィードバックをいただいてというループを何度も何度も回しています。

 アニメや映画のコラボでも同様ですが、やはり原作者さん、IPオーナーさんの思いをいかに忠実に残すか。同時に、『Fortnite』ならではの制約も出てきますから、そこでお互いに納得できる落としどころを見つけるという作業が常に発生します。

内海 
うちの場合、やっぱり頭身がちょっと違ったという背景がありましたから、少しやり取りが多かったかもしれません。これまでのソニックのコラボにおいて全部が全部そういう対応をしてきたわけではないんですけどね。

 ただ、フォーマットが変わっていたとしても、ある程度自然に見えてほしかったし、ソニックならではのクールネスも持ってほしかった。そそのこだわりはやっぱり強く持っていましたし、理由づけも含めて、かなり真面目に取り組ませていただいたという状況です。

「リスペクトしているから簡単かというと、そうじゃない」

――同じゲーム会社と言っても両社はかなり来歴も文化も違いがあると思います。コラボとしての協働ははじめからスムーズに進んだのでしょうか?

河崎 
まず大前提として、我々のなかに、ソニックやセガの開発チームへのリスペクトがすごく大きかったということがあります。うちのエンジニアやデベロッパーにも、子どもの頃にソニックを遊んでゲームに興味を持ち、今この仕事に就いているという人間がたくさんいます。

 さらに言うと、ティム・スウィーニー(Epic Games Founder and CEO)自身がソニックの大ファンなんです。去年の11月に東京でイベントをやったときに内海さんとお会いする機会があって、お土産にソニックのぬいぐるみをいただいたんですけれども、それだけはもうずっと離さずに、誰にも取られないようにキープしていました。それくらいソニックが好きなんですね。つまり、彼も今回のコラボをものすごく楽しみにしていたひとりでした。

 そういった意味では、リスペクトが大きすぎるところががゆえの「でも、ここはできないんです」という部分のすり合わせに、非常に苦労があったかなと思います。

内海 
リスペクトという点では本当に双方からそういう気持ちがあったと感じますね。

 もともとセガの側にもEpic Gamesさんや『Fortnite』に対するリスペクトの高い意識があったからこそ難しい部分があってもなんとか取り組みたいと思ってました。実際に開発がはじまるとEpic Gamesさんも我々をきちっと見てくださっていることが端々から実感できたのはうれしかったですね。

 ただまあ、リスペクトしているから話は簡単かというと、そうじゃないんですよ。いろいろ意見を戦わせて、何度も徹底的な話し合いを重ねたうえでここまで来ていますから。とはいえ、何よりお互いに「コラボを成功させたい」「ゲームファンを喜ばせたい」という気持ちが共通していると確認できたことがうれしかったですし、いろんなやりとりを重ねることで、やっぱりいいものになっていく実感は双方にありました。その結果としてこうしてリリースまでこぎ着けることができたわけです。

――今回のコラボにあたって、『Fortnite』側では特別に気を使った点やプログラム的に対処が必要だった部分はありましたか? 実際に、ソニックならではのゲーム要素も盛り込まれていますね。

内海 
どこまでネタバレしていいか分からないんですが(笑)、ソニックならではの動きというのを実は随分入れてくれています。プレイしていただければわかるのですが、ソニックならではの走り方や動き、ステージなりをしっかりと作り込んでくれているんです。非常にソニックをリスペクトしてくれたからこその機能的な仕様まで入れてくださっています。

河崎 
グリーンヒルのマップがあったり、ループを走れたり、スピンアタックができたりというところも含めて、既存のソニックファンの方たちにも「これ、ソニックっぽいね」と楽しんでいただける部分を出しています。
『ソニック』×『フォートナイト』コラボの舞台裏。「交渉は年単位。相互のリスペクトがあるからこそ簡単ではなかった」セガ×Epic GamesによるVIP対談【インタビュー】

最初の週末だけでリング15億個、エッグマン撃破1400万回超

――サービス開始から2週間ほど経過したタイミングで今回取材をしていますが、プレイヤーからの反響はいかがでしょうか?

河崎 
素晴らしくポジティブな反響をいただいています。Epic Gamesからゲーム文化への愛や感謝を伝えたいというメッセージが、ユーザーの皆さんにストレートに受け取っていただけたようで、数字で見ても前年同期と比べてすごく伸びています。

 なかなか実際の数字をお話しする許可が得られないことが多いのですが、今回は珍しく許可を得られまして。実は最初の週末だけで、全世界のプレイヤーが集めたリングの数が15億個以上、Dr.エッグマンを倒した回数が1400万回以上を記録しました。2週間ではなく、最初の3日ほどの数字ですよ。それだけ多くのプレイヤーに遊んでいただいています。

内海 
すごい数ですよね……。

河崎 
相手が敵役のエッグマンだからいじめるのに遠慮がない、みたいな(笑)。

――新規ユーザーの開拓という観点での手応えはいかがでしょうか。

河崎 
そこは常にすごく意識しています。ライブオペレーション型のゲームにとって、新しいユーザーを獲得してプレイヤーベースを増やし続けるというのは永遠の課題ですから。

 今回のコラボでは、ソニックを単なる衣装として登場させたわけではありません。前述のように、ファンにはおなじみのマップである「グリーンヒル」が追加されていたり、ループを駆け抜けられたり、スピンアタックができたりと、ゲームプレイ自体にソニックを感じさせるような要素を加えています。

 従来からのソニックのファンで『Fortnite』を未経験だったプレイヤーには「これソニックっぽいね」とこれを入口に『Fortnite』のことを知り、楽しんでいただけるはずです。逆に『Fortnite』は知ってるけれどソニックを今まであまりプレイしたことがないプレイヤーには、これをきっかけにぜひソニックを遊んでいただければいいと思っています。コラボに一番期待しているところはやはりそこです。

内海 
うちとしても、ソニックを『Fortnite』で遊んでいただいたことがソニックファンの新しい拡大につながったと思っています。実際に『ソニック』関連で予想を超えた効果が数字として出ているところです。

「ティムが昔から言っていたことが、実現しちゃったんだな」

――今回のオーバーライドについてはほかにどんな見どころがありますか?

河崎 
プレイヤーはゲームの中で3種類のバフからひとつを選ぶと、上からロムカセットのようなものが降りてきて世界にバフがかかるという演出を取り入れています。

 この演出は80年代・90年代のゲームカルチャーへのオマージュというかリスペクトで、オールドファンにとっては懐かしく、今の10代・20代のプレイヤーからすると初めて見るものかもしれません。ロムカセットをセットしてゲームをはじめるなんて、若く新しいファンにとっては「話は聞いていたけど自分では経験したことがない」ような経験でしょう。

 こういった立体的な構造はゲームというカルチャーがこれだけ続いてきたからこそできているのかなと、個人的にもおもしろいと感じている部分です。

 そして今回のコラボに限った話というわけではありませんが、ティム・スウィーニーは昔からメタバースの構想について言及してきました。彼が今まで言い続けてきたことを『Fortnite』は少しずつ実現しようとしていると言えます。

 ティムがメタバースについて社内で語り出したのは、『Fortnite』が始まるより10年以上前からです。彼の発言で私のなかに強く印象として残っているエピソードがありまして……。

 「子どもたちが砂場で遊んでいて人形遊びをしていると、ある子が『
僕はルーク・スカイウォーカーの人形を持っているけど、君はバットマンを持っている。それはDCだから一緒に遊べない』と言う。そんなばかなことは現実世界では起こらないだろう? でもデジタルの世界では“権利”という問題の前に、それが当たり前になってしまっている。それを変えたい」というものでした。

 「ユーザーがちゃんと正規にお金を払って自分のものにしたアセットであれば、自由に使えるべきだし、自由に遊べるべきだ」と。当時はみんな「分かるけど、そんなの無理に決まっている」というリアクションばかりだったんですね。

 でも、気づけばソニックがロックバスターをつけて、悟空がかめはめ波を打っているじゃないですか? 「ティムが言っていたことが実現しちゃったんだな」というのは、『Fortnite』に携わっていて一番誇りに思うところですし、世界ってこうやって変わっていくのかな、という感慨も強くありますね。

――表現方法は違いますけど、今まで慣れ親しんできたいろいろなIPのカケラがたくさん詰めこまれていて、映画『レディ・プレイヤー1』みたいな楽しさを感じますね。

河崎 
確かに似たところがありますね。ティムがかつて語ったように、おもちゃ箱のなかで自分の持っている資産を使って友達と自由に遊べる世界を実現するのが『Fortnite』のひとつのゴールなんです。

 ですから、「ソニックがロックバスターを装備するなんてありえない」なんておっしゃられてしまうと、そのゴールにはたどり着けなくなってしまいます。IPオーナーの方々のご理解とご協力があってはじめて実現できることなので、改めて大変ありがたく思っています。

内海 
ほんとにティムが夢に見た世界が実現していっているんだな、という感じがしますね。ただ、どんどんこれが当たり前になってくるとき、自分たちは自分たちの世界観をやっぱりきちんと作るということにも取り組んでいるわけですし、メタバース的世界に参加するには独立した別個のIPとしてどうあるべきなのか、どう対応するべきなのかという悩みは結構あります。

 そこは今回Epic Gamesさんともご相談させていただいたところで、いろいろなやり取りを重ねるうちに「ソニックがなんでそこにいるんだっけ?」という問いにちゃんと答えるのが重要だなという気づきが得られました。セガにとって非常にいい勉強になったと感じています。
『ソニック』×『フォートナイト』コラボの舞台裏。「交渉は年単位。相互のリスペクトがあるからこそ簡単ではなかった」セガ×Epic GamesによるVIP対談【インタビュー】

映画が転機となり、客層と「ソニックの顔」が多面的に広がった

――ソニックは今年で35周年ですが、長年にわたって人気を維持してきた秘訣はどこにあるのでしょうか。

内海 
ある時期、ソニックのゲームがちょっと乱造気味になってしまっていたことがあったと思うんです。それではいけないと、ある時期から、きちっとゲームをいいものにしていこうという方向に舵を切り直しました。その際にファンコミュニティとちゃんと向き合うことに割と早い時期から取り組んだことで、ファンがどういったものを望んでいるかをしっかりと汲み上げることができたかなと思っています。

 ここ数年に関して言うなら、2020年に公開された映画『
ソニック・ザ・ムービー』の存在が本当にありがたかったです。映画によって認知がまた高まりましたし、2022年の『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』、2024年の『ソニック×シャドウ TOKYO MISSION』と、その後のフォローアップも割とうまく続けることができました。

 ファン層という意味でも、随分広がりましたし、いろんな顔のソニックというものが多面的に形成されてきたのかなと思っています。

――映画ではソニックのデザインを途中でガラリと変更するという、思い切った対応もありましたね。

内海 
さまざまなやり取りをさせていただいたのですけれども、そうした調整も、コミュニティのサポートというか、ファンの声が後押ししてくれたからこそできたことです。結果的に映画は大きな成功となり、続編が作られることになりました。まだ詳しいことはお話できませんが、来年3月には第4弾となる次の映画も北米で公開になります。

――ゲームの映画化というと、昔は映画制作者の力が強かったのか、ゲームの世界が改変された形で映像化されるケースが目立っていたように思います。

内海 
パワーバランスというよりも、映画制作側のクリエイターの方も含めて、エンタテインメント産業の中でゲームに対するリスペクトや理解が随分高まってきたんだなと感じています。ゲームの映像化にヒット作品が増えているのも、そうした側面があるからこそなのかなと思います。

――お互いの理解が深いからこそよいものができるという意味だと、今回のオーバーライドについてはまさにそれを感じます。

内海 
今回の『Fortnite』にソニックが出るということに関して言うと、やはりファンコミュニティもちゃんと理解して納得してもらえるようなきちんとした説明や、ゲームとしてのクオリティが必要だと思っていました。

 そもそも『Fortnite』はゲームとしてとても楽しいものなので、だからこそ「『Fortnite』なんだけどソニックとして遊んでいるよね」という感覚を持っていただけることが、逆に『Fortnite』さんにとってもいい影響を与えると思っていましたし、それはとてもうまくいっていると感じます。

 セガとしてもEpic Gamesさんとしても、オーバーライドを完成させるために本当にがんばりました。今期に関しては、そのがんばりがきちんと数字として出てくるんじゃないかなと今から期待しています(笑)。

河崎氏が語る、ソニックの“クールネス”と“仲間のための熱さ”

――河崎さんからご覧になって、ソニックの魅力はどこにあると思われますか。また、それを『Fortnite』の中でどのように表現しようと思われたのでしょうか?

河崎 
私は1970年生まれなので、最初のソニックが出てきたときにリアルタイムで遊んでいました。メガドライブの看板タイトルでしたね。

 あのデザインを見たときの衝撃は今でも覚えています。それまでのゲームキャラクターはどうしても子どもっぽかったり、かわいさに振っていて親しみやすさを重視していたと思うんですけれど、初めて見たソニックは、ちょっと悪ガキっぽくてクールで尖った感じを前面に出してきていました。

 それ自体がかっこよかったし、ゲームプレイのスピード感だったり、リングがある限り死なないというシステムの斬新さも含めて、「クール」という刷り込みがすごく強烈にありました。

 さらにシリーズを重ねるにつれてソニックもキャラクターとして成長し、自分勝手で気ままなんだけど仲間のためには熱くなるという要素も入ってきましたよね。35年つきあってきて、すごくかっこいいキャラクターに育ったなと思いますし、そういった部分を世界中のファンが愛してくださっているというのも重々承知していますので、その期待を裏切らない見せ方を『Fortnite』の中でもできるだけ心がけたつもりです。

日本のゲームが世界のエンターテインメントに与えた影響

――日本のゲームクリエイターやIPが、世界のエンターテインメント市場を形成する上で果たしてきた役割について、どのようにお考えでしょうか?

河崎 
先にソニックを遊んでゲームクリエイターになった人間が社内にいるという話をしましたが、それはソニックに限ったことではありません。いろんな日本のゲームのタイトルが彼らに大きな影響を与えてきました。

 日本はビデオゲーム文化発祥の地のひとつですし、子どもの頃にその影響を受けてこの職業を選んだという人間はとても多いです。うちの社員で言うなら、アメリカ人やヨーロッパ人も含めてほとんどがそうだと思っています。日本のゲームが今のゲーム業界・エンターテインメントに与えてきた影響はすごく大きいと言わざるを得ません。

 こうやってコラボという形で『Fortnite』に登場していただける機会も増えてきたので、今後もこの流れはどんどん継続していきたいと思っています。

――今後、セガの他のキャラクターやIPとのコラボが広がる可能性もあるのでしょうか。

河崎 
十分あると思っています。今回もソニックだけでなく、シャドウや『ペルソナ』のキャラクターにも出ていただいています。『Fortnite』の中でもっとセガのキャラクターIPに触れる機会を増やしていきたいというお話はずっとさせていただいていますので、今後どんどんそういう機会も増えていくといいなと思っています。

内海 
そうです、ずっと話をしていて(笑)。ただ、IPを出す際は、やっぱり原作らしさがちゃんと感じられて、ちょっとおもしろいほうがいいですよね。原作の特徴とおもしろさがコラボでもきちんと表現されていれば、遊ぶ人もより楽しめるでしょうし、それはお互いのIPにとってプラスになると思います。

 出るからには今回のオーバーライドのように、両社がそれぞれ丁寧に仕事をするというのも重要です。
『ソニック』×『フォートナイト』コラボの舞台裏。「交渉は年単位。相互のリスペクトがあるからこそ簡単ではなかった」セガ×Epic GamesによるVIP対談【インタビュー】

セガとEpicの連携は『Fortnite』だけにとどまらない

――Epic Gamesと『Fortnite』、セガとソニックの今後の展望について、それぞれお聞かせください。

河崎 
今回の大きなコラボが非常にありがたかったのは言うまでもありませんが、それ以外でも実はセガさんとEpic Gamesのお付き合いはいろいろと多岐に及んでいます。

 直近で言うと、『
ソニックレーシング クロスワールド』でUnreal Engineをお使いいただいていて、あれがおそらくソニックというIPがUnreal Engineで動いた初めての事例だと思います。

 今回のオーバーライドは非常に目立つ取り組みですが、それ以外に裏の部分でご一緒しているところもたくさんあります。弊社の提供するオンラインサービスや他のツール類も含め、開発基盤を支える部分での提携が水面下でいろいろ進んでいるんです。そこはこれからもどんどん増やしていきたいと思っています。

内海 
そこの続きで言うと……どこまで言えるのかな(笑)。まあいくつも、Unreal Engineでプロジェクトが進んでいるところですね。そういったこともあって、より広いコラボレーションをEpic Gamesさんと続けていけたらと思っています。

 先ほども少し触れましたが、ソニックについては、2027年3月に新たな映画が公開されます。あとはトランスメディアに関わるさまざまな話が今いろいろなところで動いているところです。

 映像の話だけでなく、セガストアでいろんな商材が出たり、ブランドコラボをしたり、場合によってはロケーション的な展開もあるかもしれない。ソニックというゲームIPがその世界観を保ちながら、デジタルとフィジカルの両方でいろんなところに展開していくということをやっていきたいと思っています。みんなから愛されないと意味がないですからね。

――今回のオーバーライドを遊んだファンとしては、コラボを一発の打ち上げ花火で終わらせず、継続していってほしいという期待もあるのではないでしょうか。

内海 
ありがとうございます。今後もご注目いただけたらうれしいです。

河崎 
ゲームIPとのコラボは我々にとっても新しい取り組みのひとつで、別のゲーム会社が製品として販売しているゲームを別のゲームに入れるというのはなかなかハードルが高いんです。

 そこをセガさんをはじめ各社と粘り強くお話しして、こういう形で実現し、結果としてユーザーの皆様にも喜んでいただけるものになりました。これでお互いのファンが増えていくということであれば、もっとこういう取り組みは増えていくでしょう。それがティムが提唱したメタバースへとつながっていくといいなと思っています。

――最後に、語り足りない部分があればお聞かせください。

内海 
先日ティム・スウィーニーさんと話す機会がありました。あんなに最新鋭の技術を使って活動しているにもかかわらず、セガの商品に対しても、昔のゲームに対しても、非常に強いリスペクトを持ってくださっています。それがわかってとてもうれしかったですね。

 ファンの方たちと話していると、我々日本のゲームメーカーやそのIPに対する驚くほど強いリスペクトを感じることがあります。そういう姿勢を、技術の会社であるEpic Gamesが持っているということは非常に印象が強かったですね。やっぱりゲーマーのことを考えている会社なんだなと実感しました。

河崎 
ありがとうございます。そう言っていただけてとてもうれしく思います。

 ちょっと手前味噌になってしまいますが、『Fortnite』のオペレーションは9年目に突入しました。コラボをやるようになってからも8年ぐらい経っていると思います。はじめはアニメや映画からはじまって、最近はゲームのコラボも増えてきました。

 やっぱりコラボを続けてきたことで我々も学んできたことがすごくたくさんあります。抑えるべきポイントとか、やってはいけないことなど、いろんな知識とノウハウをトライ&エラーで積み重ねてきて、徐々に方法論みたいなものができあがってきました。いくつものゲームIPが関わるオーバーライドは、その集大成的なものになっていると自負しています。

 なかでもソニックに関する部分は我々にとっても特別な思いを持って取り組んだ案件です。ソニックの魅力であるクールさや疾走感、そして仲間思いというキャラクター性を『Fortnite』の中でどう表現するか。お互いが納得いくまで意見を戦わせた結果の完成度だと思っていますし、それはきちんとユーザーの皆さんの反響という形で現れてくれていると感じています。
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