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【VIPインタビュー】“世界で元気なセガ”へ。内海州史社長が語る、トランスメディア戦略とデジタルシフトで伸ばす“売る力”

【VIPインタビュー】“世界で元気なセガ”へ。内海州史社長が語る、トランスメディア戦略とデジタルシフトで伸ばす“売る力”
 ファミ通創刊40周年を記念してお届けする、ゲーム業界を牽引するキーパーソンへのインタビュー。今回は、セガ代表取締役 社長執行役員COOの内海州史氏に話をうかがった。
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 セガは、人気IPの価値を多角的に広げるべく、“トランスメディア戦略”を推進している。映画が世界的なヒットを記録した『ソニック』を筆頭に、ゲームやグッズ、映像作品、他作品とのコラボレーションなど、多彩な展開を通じてIPの魅力を世界へ発信。グローバルでのさらなる飛躍を目指している。

 “創造は生命(いのち)”の精神を胸に、挑戦を続けるセガは、これからどこへ向かうのか。今年度の注目タイトルをはじめ、創刊40周年を迎えたファミ通との思い出も交えながら、内海氏に今後の展望をたっぷりと語っていただいた。

内海州史氏うつみ しゅうじ

セガ 代表取締役 社長執行役員COO。SCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント/現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)、セガ・オブ・アメリカ、ディズニー・インタラクティブ、キューエンタテインメントなどでゲーム事業に従事。2019年にセガサミーホールディングスに入社し、新規事業を担当した後、2021年4月にセガの取締役副社長に。2024年4月より現職。

「セガを再びグローバル企業に」そのためのトランスメディア事業

――まずは、内海さんが社長に就任された2024年からの約2年間について、セガグループの事業を振り返って思うことをお聞かせください。

内海
 社長に就任したのは2年前ですが、セガに帰ってきたのは6年ほど前のことになります。そのころは新規事業やゲーム事業を担当していたのですが、社長に就任してからのこの2年は、海外のグループ会社も含めて、ゲーム以外のビジネスも見てきました。2023年に、『アングリーバード』で知られるロビオ・エンタテインメントを買収したのですが、これに関連する事業では苦労も多く、この1年は厳しい局面が続きました。一方で、IPをグッズや映像などに展開していくトランスメディア事業については、着実に成果が現れ始めていると感じています。

――そのトランスメディア事業の起点となるゲーム事業について、いまの手ごたえはいかがでしょうか。

内海
 私が過去にセガに在籍していた1990年代後半は、セガはどちらかと言うと、国内市場を主軸にしていたんですよね。いまはグローバル市場を見て、PCを含むマルチプラットフォームで展開できるようになってきました。これからもさらに、グローバル展開を推し進めていかないといけないな、と思っています。

――内海さんは「セガを再びグローバル企業にする」という目標を掲げられていますが、達成度合いはいかがでしょうか。

内海
 ようやく、海外の方にも「最近セガって元気だよね」と言っていただけるようになってきました。先日のSummer Game FestやXBOX Games Showcaseでも、新作を複数発表できましたしね。これまで、あのような大きな発表の場でセガのタイトルが出る機会は多くはありませんでした。そういう意味でも、やっと外に開いてきたのではないかな、と思います。

――往年の作品の復活や、RGGスタジオの新作などの最新情報に、国内外のファンが喜んだと思います。

内海
 横山(横山昌義氏。RGGスタジオ代表)は飛行機が得意ではなく、これまであまり海外のイベントには出ていなかったんですよ。でも今回は、その横山にもSummer Game Festに参加してもらいました。『STRANGER THAN HEAVEN』は、キャスティングもグローバル市場を意識したものになっています。そういったものづくりができる文化的な土壌が、ようやくセガにもできてきたのかな、と思います。

――海外展開と言えば、先日、セガが韓国のIP体験型モールに参画するという発表がありました。海外でIPを広げるための活動が盛んになっていますが、これは上海や東京・渋谷にリアル店舗を出店した経験が影響しているのでしょうか。

内海
 そうですね。渋谷のストアは期待以上の結果が出ましたし、上海も立地に恵まれ、こちらもいい成果を上げられました。ただ、他社と比べると、我々は後発なんですよね。遅まきながらにはなるのですが、セガもたくさんIPを持っているので、ファンの方々に作品との接触機会を提供できるように尽力しているところです。
――遅まきながら……とは言いますが、逆に言えば、すでに成功しているストアの状況を研究しながら、セガらしいものを作れるようになってきた、ということですね。

内海
 はい。さらに言えば、ゲーム関連以外のストアも参考にしています。いまはもう、ゲームが“ゲームだけ”では終わらない時代です。そういったところを意識して事業に当たっています。

――ストアを展開する地域は、今後拡大していく予定ですか?

内海
 本当にいろいろなところへの出店を検討していて、アメリカや中東なども候補には入っています。ゲームが文化的なものとして、世界中で普及してきているので、支持していただける場所で施策を打っていきたいですね。

――そういったトランスメディア事業の中で、やはり『ソニック』が果たす役割は大きいように思えます。

内海
 『ソニック』はセガの象徴のような存在で、『ソニック』が元気になれば、会社全体も元気になると思います。実際、『ソニック』の映画がヒットしたおかげで実現できた展開もあるので、それらをうまく活用して、ほかのIPにもつなげていければと考えています。

――現在制作中の『ソニック』映画の新作も楽しみです。

内海
 今回もなかなかすごい映像になっていますよ。もちろんジム・キャリーも出ますし、エミー・ローズも出てきます。おもしろい映画になっているので、日本でももっとヒットするよう、努力していきます。

――ロビオに関する事業では苦戦されているというお話がありましたが、『アングリーバード』のライセンス事業を、今年1月にトランスメディア事業に統合したねらいをお聞かせください。

内海
 『アングリーバード』は現在、映画3作目の制作を進めているところです。『ソニック』が映画によって追い風を得られたように、映画化はいい機会になると思っています。『アングリーバード』関連のビジネスをトランスメディア事業に統合したのは、『ソニック』のチームで得られた経験や、お客様にアピールする手段を、『アングリーバード』側にシェアできると考えたからです。

――『ソニック』を多角的に展開する中で得られたものを、他IPでも活かしていけるということですね。

内海
 一方で、『アングリーバード』が得意としていることもあります。そちらを『ソニック』の展開にも利用できる可能性がある、ということです。であれば、バラバラに動くよりはひとつにまとまったほうがいいな、と。IP展開に関しては、アトラスのチームも連携を取って動いていて、ともにグローバルに商品化を進められるようにしています。

――セガIPとアトラスIP、そしてロビオIPをトランスメディア事業として展開していくと。

内海
 そうですね。先日、ラスベガスでライセンシング・エキスポというイベントが開催されたのですが、セガブースでは『ソニック』と『アングリーバード』、『ペルソナ』をプッシュしました。

――内海さんがこの数年トランスメディア事業に取り組んできた中で、セガの強みだと感じる部分、逆に課題だと感じている部分はどこでしょうか。

内海
 セガは、トランスメディア事業が動き出したのが最近なこともあって、他社と比べるとまだまだではありますが、そのぶん伸びる余地があると思っています。今後も前のめりに取り組んでいくつもりですが、IPをすり減らすような形でのビジネスはしたくないですね。ユーザーの方との接点ですから、大切にしたいです。先日発表された『ペルソナ4 リバイバル』や『ペルソナ6』、『STRANGER THAN HEAVEN』などは国内でももちろん大きな需要があると思いますし、海外にもこれらを求める声は多くあると思っています。皆さんの要望に応えられるように進めていきたいですね。

前年度は苦戦もあったゲーム事業 よりグローバルに、デジタルを意識

――続いて、ゲーム事業についてうかがいます。2025年度は、ライセンス収入やダウンロードコンテンツは好調だった一方で、運営型の新作タイトルの展開に苦戦したとのことでした。これらについて、どのように分析されていますか?

内海
 昨年はとてもきびしかったと考えています。先ほどお話しした通り、ロビオの苦戦がありましたし、『ソニック』関連タイトルで大きなグローバル展開をねらっていたのですが、目標には届きませんでした。『ソニック』の新作は、ゲーム自体の出来はよかったので、もっと売れてほしかったというのが正直なところですね。そういった結果を鑑みて、いまは「各タイトルをもっと売る力をつけよう」と施策を進めています。

――売るために、とくに重要だと考えていることは?

内海
 コンソール(家庭用ゲーム機)やPC向けの、フルゲームと呼んでいるタイトルに関して言えば、デジタルシフトが重要だと考えています。もちろんコンソールも大事なのですが、いまはやはり、PCで遊ぶ人の割合がどんどん増えていますので。コンソールが十分に普及していない地域であっても、「PCでなら遊べる」という人は多い。その市場を開拓していくためにも、デジタル化を強化していくのは大事だと考えています。我々はつい、フィジカルから考えてしまう文化があるので、よりデジタルを意識し、よりグローバルにしていく必要があるかなと思います。

――セガはゲームソフトの流通事業にも積極的ですから、パッケージへの意識が強いのかと思います。

内海
 もともとプラットフォーマーでしたし、もちろん、フィジカルの文化はいまでも大切にしています。そこを完全に捨てるのではなく、並行して、デジタルの大切な部分も考えて動けるようにする、そのシフトにいま挑戦しているところです。

――続いて、今年度プッシュしていきたいタイトルについてお聞きします。6月に多数の新情報が発表されましたが、やはり『STRANGER THAN HEAVEN』の注目度は高いですね。

内海
 『STRANGER THAN HEAVEN』はキャスティングがすごいですし、発表内容を見ていただいた方には、「とてもおもしろいものになるぞ」ということが伝わったと思います。各キャストさんの役割や、ゲームの詳細な内容を、ファミ通の皆さんにもご協力いただきながら発信していきたいですね。本作で取り上げる“裏社会”と“ショービジネス”は、グローバルに共通するテーマで、その中で自分の居場所やアイデンティティを探すというストーリーは、非常に魅力的なものになっています。本当に期待していただきたいですね。
【VIPインタビュー】“世界で元気なセガ”へ。内海州史社長が語る、トランスメディア戦略とデジタルシフトで伸ばす“売る力”
――『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS(バーチャファイター クロスロード)』も、どんなゲーム体験になるのだろうか、と話題を呼んでいます。

内海
 今回の『バーチャファイター』はRGGスタジオが制作していますので、きちんとしたストーリー性を持ったゲームになると思います。かつてのAM2研(『アウトラン』や『バーチャファイター』などを生み出したセガの開発チーム)のスタッフがRGGスタジオに合流して作っているので、対戦格闘ゲームとしてもしっかりと作り込まれていて、かつリアリティーを持った、セガならではのファイティングアドベンチャーゲームになります。こちらもぜひご期待ください。

――過去作とは違ったストーリー性やリアリティーが楽しめそうです。

内海
 単にこれまでの形をなぞるだけでは、先行しているほかの対戦格闘ゲームと張り合うのは難しくなります。ですので、RGGスタジオらしい色を加えた、新しい形の『バーチャファイター』になっています。
【VIPインタビュー】“世界で元気なセガ”へ。内海州史社長が語る、トランスメディア戦略とデジタルシフトで伸ばす“売る力”
――また、6月にはアトラスタイトルにも動きがありました。『ペルソナ4 リバイバル』の発売日が決定し、さらにナンバリングタイトル新作『ペルソナ6』がついに発表されました。

内海
 『ペルソナ』の30周年という記念すべき年に、いい発表ができたと思っています。『ペルソナ6』の発表を受けてファンの熱も高まっているところで、『ペルソナ4 リバイバル』はひとつの起爆剤になってくれると思っています。30周年にふさわしい、『ペルソナ』祭りを盛り上げる担い手として、ファンの皆さんもそうだと思いますが、私も非常に期待しています。

海外開発のタイトルについて日本市場でファンを育てたい

――国内ユーザーからは、先ほどお話しいただいたタイトルに注目が集まっていると思いますが、このほかに、プッシュしたいタイトルはありますか?

内海
 海外のタイトルで挙げるなら、『トータルウォー:ウォーハンマー40,000』と『Football Manager(フットボールマネージャー)』シリーズですね。これらも非常に重要なタイトルだと考えています。『トータルウォー:ウォーハンマー40,000』はすごくコアなファンの方が多くて、そういった方々にとっては夢のタイトルになっていると思います。本作を開発しているCreative Assemblyは、コロナ禍を経て非常に苦労しており、それを乗り越えて「久しぶりに大型タイトルが出る!」とあって、スタッフ全員が開発を“自分ごと”として真剣に取り組んでいる印象を受けます。

――スタッフも、ファンも相当な思い入れを持っているタイトルということですね。

内海
 去年のThe Game Awardsでタイトルを発表したのですが、その際のウィッシュリスト登録数は全タイトルの中でもトップでしたからね。それだけ熱量が高いタイトルです。どちらかと言えばPCユーザーがメインにはなりますが、今回はコンソールでも発売します。

――『Football Manager』シリーズの今後についてはいかがでしょうか。

内海
 去年からゲームエンジンを変えたのですが、前作はその影響で不具合が多く、ユーザーの皆さんからの評価も含めて満足できるものではなかった、というのが正直なところです。今後はそういった評価を受け止めて、UIにも手を入れる予定です。それによって、クオリティーをさらに引き上げられるという確信があるので、非常に期待しています。

――ワールドカップで世間のサッカー熱が高まっている今年にぴったりのタイトルです。

内海
 セガのタイトルとしては『プロサッカークラブをつくろう!2026』もありますので、サッカーが盛り上がってくれるととてもプラスの影響があります。

――セガは近年、海外タイトルを積極的にローカライズし、ダウンロード版だけでなく、パッケージ版を国内で展開したりもしていますね。これにはどういった意図があるのでしょうか。

内海
 国産のタイトルにさまざまな言語を搭載してグローバル市場にリーチしていくのと同じように、海外開発のタイトルについて、日本市場でファンを育てていかないといけないと思っています。海外にある多数のグループ企業を大事に思うなら、なるべく多くの言語でサポートしていくことが重要だと考えています。言語対応に加えてコンソールでも展開することで、より広いお客さんにリーチしていきたいですね。

――残念ながら日本語対応がされないゲームも世に多数ありますが、対応してもらえると、「この国で、本気でこのゲームを展開してくれるんだな」と思えますよね。

内海
 せっかくセガグループにいい会社がたくさんあるので、そのタイトルを日本の皆さんにもぜひ体験していただきたいと思ったんです。『トータルウォー:ウォーハンマー40,000』は、本格的なストラテジーゲームが好きな方にはぜひ触ってほしいです。この分野においては、世界一のタイトルだと思います。

――また、『ストーカー2:ハート・オブ・チョルノービリ』や『クレール・オブスキュール:エクスペディション33』など、良質なタイトルのパッケージ販売を担っているのも、セガ独自の動きですよね。

内海
 それは、セガが流通を持っているというのが大きな理由ですね。また、インディー規模でもおもしろいゲームを作っている方はたくさんいらっしゃって、そこから我々が刺激を受けることも多いです。『エクスペディション33』のチームは『ペルソナ』が好きで、それで生まれた交流もあるんですよ。日本のマーケットに海外の良質なタイトルが入って来ることで、いい効果が生まれるんじゃないかと思っています。

60年以上にわたる歴史とIPを活かし、ゲーマーを元気づける

――6月は、『クレイジータクシー』の新作『クレイジータクシー:ワールドツアー』がセガファンを大いに沸かせました。『クレイジータクシー』のほかにも、レガシーIPの新作を開発中とのことですが、進捗はいかがでしょうか。

内海
 すでに発表している『ジェットセットラジオ』や『ベア・ナックル』など、開発を進めてはいます。まだ詳しいことはお伝えできませんが、私もとても楽しみにしています。往年のファンの方はぜひ、忌憚のない意見を言っていただきたいです。それと同時に、当時を知らない方にも「セガってこういうゲームも作るんだな」ということを見ていただきたいです。当時の面影をしっかり残しながら、現代に合わせたテイストにしていきますので。

――65年以上の歴史と、数々のIPを持っていることがセガの強みですよね。

内海
 こういった多彩なIPを活かす展開を通じて、「やっぱり、ゲームが文化になっているな」と感じました。昔は「ゲームなんて、不良やオタクだけが遊ぶもの」なんて言われていたじゃないですか。でも、彼らはある意味でいち早く遊びの文化をキャッチしていた、アンテナが立っていた人たちだったと思うんですよね。そしていま、その文化がほぼすべての人に広まっているな、と。

――世界中の人が楽しむ文化だと、胸を張って言える状況だと思います。

内海
 我々は“感動体験を創造し続ける”というミッションを掲げていますが、これは英語では“Empower the Gamers(エンパワー・ザ・ゲーマーズ)”としています。ゲームを通じてプレイヤーを勇気づけたり、UGC(ユーザー生成コンテンツ)などで、みなさまが自分のアイデンティティを示す際のサポートをするツールとなったり、これまでもセガがそうしてきたように、これからも多様な「ゲーマー」をエンパワーすることを続けていければ、と思います。

――“感動体験を創造し続ける”ことが、“ゲーマーを力づける”ことになるというのは、素敵な解釈ですね。

内海
 海外でも通じるように、かつ、日本人でも覚えやすいような英語で訳すように意識しています。セガのグループバリューである“創造は生命”も、英語では“Creativity is Genesis(クリエイティビティ・イズ・ジェネシス)”としているんですよ。ジェネシスという単語自体には、“根源”といった意味があるんですけど、もちろん我々が出したゲームハードにもかけています。
※メガドライブは、北米ではジェネシスという名称で発売された
――単純に「Creativity is Life」とは訳さないのが粋ですね。

内海
 最初は、ふつうにライフだったんですよ。でもそうじゃないだろうとなって、議論した結果ジェネシスになりました。
【VIPインタビュー】“世界で元気なセガ”へ。内海州史社長が語る、トランスメディア戦略とデジタルシフトで伸ばす“売る力”
セガは今年4月、さまざまなエンタテインメントコンテンツを通じて往年のIPを展開する“SEGA UNIVERSE”を発表。「NO OLD, STAY GOLD」をコンセプトに、IPの新たな魅力を発信していくという。2026年8月8日(土) には、1日限りのリアルイベント“SEGA UNIVERSE PLAYGROUND”&期間限定ショップ“SEGA UNIVERSE POPUP STORE”の開催が予定されている。

セガのゲーム音楽をより聴きやすい環境を作る

――今年の4月に、セガの音楽事業を手掛けるウェーブマスターがセガ・ミュージックに社名を変更しました。この社名変更には、“セガ”の音楽をより積極的にアピールしていくという思いが表れているのでしょうか。

内海
 はい。ゲームは、音と映像と企画とテクノロジー、このすべてが入った総合アートだと思っているのですが、その中で、音楽はやや裏方のような存在に見えていたと思うんですよね。でも、ゲーム音楽が好きな人はたくさんいますし、何十時間もゲームをプレイすると、音が自分の体に入ってくるじゃないですか。だから、もう少し音楽にスポットライトを当てて、誇ってもいいんじゃないかと思ったんです。

――ゲーム音楽の歴史の中で、セガの存在は欠かせないと思います。

内海
 ビジネス的な観点でも、これだけすばらしい音楽を持っている会社はなかなかありません。僕はワーナーミュージック・ジャパンの社長を担っていたことがありますが、音楽業界で活動した身から見ると、「セガの音楽は、すごいものが揃っているな」と思います。そういった楽曲を、たとえばSpotifyやAmazon Musicなどで、皆さんがより聴きやすい環境を作れるようにしたいと考えています。

 なお、アトラスは1アーティストとして音楽配信サービスに登録されていますが、Spotifyでは、世界的に売れているアーティストと並ぶような順位にいるんです。それだけゲーム音楽って人気なんですよね。

 セガの音楽を好きなファンも世界中にたくさんいるので、たとえばセガ楽曲をリスト化して聴きやすくする、といったことができたらいいですね。もちろん、ほかのアーティストとのコラボやライブなども視野に入れています。

――ゲーム関連のライブでは、海外の方も日本語でいっしょに歌っていて、音楽の力を感じますね。『龍が如く』の人気曲『ばかみたい』を、国内外の方が合唱するさまを見たこともあります。

内海
 すごいですよね。『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』の曲も世界的に広まっていますし。ゲームから発信される音楽は、それだけでもすばらしい魅力があります。この音楽を活用し、もっとクリエイティブに遊んでいくことで、アーティストやクリエイターの方が刺激を受けて、さらにゲームの文化が深まっていくのかな、と思います。
※本インタビュー後、クリエイターにフォーカスした音楽プレイリスト企画“セガ・クリエイタープレイリスト”がスタート。第一弾として、大谷智哉氏セレクトのプレイリストが公開されている。

長く続けていく秘訣は“伝承と革新”にあり

――ファミ通は、セガほどの歴史はまだないのですが、6月に40周年を迎えることができました。40年前、1986年のころの内海さんは何をされていましたか?

内海
 1986年は、ちょうど大学を卒業したころですね。年齢がバレちゃうな(笑)。私がゲーム業界に入ったのはプレイステーションが出てきたころなので、1994年のころですね。

 ファミ通と言うと、あのころはやっぱり、クロスレビューの点数で社内が毎回大騒ぎでしたね。殿堂入りできるのか、もう1点くらいどうにかならないのか、なんて(笑)。

 ドリームキャストを発売した1998年の前後にも、ファミ通には本当にお世話になりました。あのころから、ソニーが開発者のことを“クリエイター”と呼ぶようになって、開発者のインタビューの機会も増えてきた気がしますね。

――確かに、創刊当時のファミ通は、クリエイターのインタビュー記事は多くはないんですよね。プレイステーションが登場したころから、「作っている人の声をもっと載せよう」という機運が高まっていったのだと思います。

内海
 過去のゲームでは、スタッフロールに載っているスタッフの名前は本名ではなくて、ペンネームみたいなものでしたよね。あれには「優秀な人材を引き抜かれないように」という意味合いもありました。

 ですが、音楽業界の流れを汲んでいたのかはわかりませんが、ソニーが開発者を“クリエイター”と呼んで、「ゲームを作っている人は格好いいんだ」ということを掲げたんですよね。それが開発者インタビューが増えるきっかけになったんじゃないかと思います。

――本格的な3DCGがゲームで登場したタイミングでもあり、ゲーム業界が大きな変革期を迎えていたのも影響していたかもしれないですね。

内海
 あのころは本当に、ウルトラ成長期でしたね。そんななかでひとつの文化、コミュニティを作ったのが、ファミ通だと思うんです。当時、私はアメリカにいることが多かったのですが、向こうのスタッフたちが、がんばって日本語のファミ通を読もうとしていたんですよ。ファミ通を読みたくて日本語を勉強していたんです。日本は進んでいるんだなというのを感じましたね。そういう面でも、ファミ通がゲームを文化に引き上げたところはあると思います。ファミ通という名前を、グローバルでみんな知っていましたからね。

――海外の方に取材をすると「ファミ通だ!」と喜んでいただけることが多くて、ありがたいです。今後も喜んでいただけるようなメディアとして続けていかなければ、と思います。ぜひ、ファミ通より25年先を往くセガの皆さんに、長く続ける秘訣を教えていただきたいです!

内海
 社内ではよく、“伝承と革新”、英語で言うと“Lore and Innovation”という話をしています。自分たちが持っている特有の強みや価値を意識しながら、時代の変化に合わせて、イノベーションに対して前向きであることが大事だと思うんです。ファミ通も時代に合わせて新しいことをされてきていると思うので、ぜひ今後もそうあり続けてほしいです。
【VIPインタビュー】“世界で元気なセガ”へ。内海州史社長が語る、トランスメディア戦略とデジタルシフトで伸ばす“売る力”
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