現在SNKより発売中の対戦格闘ゲーム『餓狼伝説 City of the Wolves』(以下、『餓狼CotW』)。2026年6月29日には、アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』とのコラボキャラクターであるケンシロウがついに参戦する。 それに合わせて、SNK公式より『北斗の拳』の作者のひとりである原哲夫氏の映像が公開。メッセージや、実際にケンシロウに触れてみた様子が確認できる。
今回ファミ通.comではその収録の様子を見学させてもらったほか、原哲夫氏への2メディア合同インタビューも実施。プレイした感想やケンシロウの監修について、そしてアニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』の感想についてもお聞きした。
ちなみに収録中の様子を見させてもらったところ、詳しい性能などはわからなかったが、ケンシロウが北斗残悔拳を決めて相手を気絶させたり、北斗百裂拳で大ダメージを与えるなど、ケンシロウらしい技の数々が垣間見えた。


原哲夫氏がSNKに来社! 『餓狼伝説 City of the Wolves』ゲームデザインディレクターの近谷駿斗とゲームプレイを楽しんだ。
原哲夫氏が触れた『餓狼CotW』のケンシロウ!

――今回、『餓狼CotW』でのケンシロウを試遊してみた感想を教えてください。
原
僕はあまりゲームを遊んだことがないのですが、わかりやすく説明してもらったのもあって、自分でも技は出せましたし、ケンシロウらしい技も揃っているなと。中国拳法と言いますか、カンフーのようなアクションもできますので、ブルース・リー好きの僕としてはいいですね。ローキックができたり、しゃがんでから後ろ回し蹴りができたり、けっこうすごいなと思いました。

――ビジュアルなどの見た目部分でいうと、ケンシロウの出来栄えはどう見ていますか?
原
いい仕上がりだと思います。ただ、ひとつ言うとすれば髪の表現ですかね。今回描いた色紙の絵を見てもらえばわかると思うんですけど……。

取材時、色紙にケンシロウのイラストを描く場面も。

髪の立体感はもちろん、絵の迫力がスゴい。
――ボリューム感がありますね!
原
ですから、ケンシロウの髪型は、アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』のスタッフに伝えたんですけど、おいおいブラッシュアップしてもらえるといいなと。今回、ゲームのデザインはアニメを踏襲しているということなので、まずはアニメ、そしてゲームもいずれお願いしたいですね。
一方で、フォルムやアクションの動きはケンシロウらしく作られています。漫画だとデフォルメすることもあり、僕は全身の絵を描くことは少ないです。ゲームとなると全身のケンシロウが描かれていますので、そのフォルムやバランス感がいいなと思います。ケンシロウの身体の大きさ、相手との対比もすごく強そうになっていてよかったです。
――今回のプレイを脇で見させていただきましたが、北斗残悔拳や北斗百裂拳なども炸裂していました。技の出来栄えはいかがでしょうか?
原
北斗百裂拳の表現がすごくいいですね、アニメとも違う北斗百裂拳の描き方だったので。北斗残悔拳をそんなにフィーチャーするんだ、とちょっと驚きましたが(笑)。もっといろいろな技が出せるともお聞きしていますし、今後もどんどん追加していってほしいですね。
アニメですと今後、さらなるライバルたちとの戦いが描かれるはずですから、そのあたりの技なども見たいです。ちなみに僕としては、レイやサウザー、ラオウなどなど、ほかのキャラクターたちも出してほしい思いがありますよ。

――ええっ! そんなにたくさん出ていいんですか!?
原
もちろんです。
――今回ケンシロウはゲストキャラクターとして参戦します。『北斗の拳』のゲームはたくさんありますが、もとから世界観や物語がある世界に、ケンシロウがやってくるということに、どんな感想をお持ちですか?
原
スマートフォンゲームに参戦みたいなのはあっても、ほとんどなかったですね。僕としては、何でもおもしろければいいなと思っています。『餓狼伝説』シリーズのキャラクターと格闘で戦えるなんて、それだけおもしろいんじゃないかなって。
――では、原先生もノリノリでコラボ参戦を決められたんですね。
原
ノリノリでしたね。僕は作者ではありますが『北斗の拳』の大ファンで、自分の描いた作品でもいちばん好きです。漫画が終わったら、それ以外はもう描かないことにしようと思っていたくらい好きなんです。まあその、当時の日本の税金がものすごく高すぎて、あれだけ大ヒットしたのに全然食っていけないものですから、ほかの作品も描くようになったわけですが(苦笑)。
というのは半分冗談として、ケンシロウがより有名になることは僕としてもうれしい限りです。40年来の付き合いになりますから、ケンシロウをフィーチャーしてくださるのはとてもありがたいことです。ケンシロウはもっと大きな存在というか、より最強の男にしたいので、僕が生きているうちにブラッシュアップしていきたいです。

――今回の参戦にあたり、原先生の監修も入っているとお聞きしていますが、どのような点を監修しましたか? 先ほど髪の毛の話もありましたが。
原
うーんと思うのは髪型くらいで、ほかはよくできてるほうだと思います。サイズ感やほかのキャラクターと立ち会ったときのバランス感なども監修しました。
ただ、本当はもっと大きくしたいのです。だって、革ジャンを破りながら筋肉が増大するってことは、もっともっとデカい男のはずなんです。ただ、それをやりすぎるとゲストというより完全なる主人公にしか見えないくらい目立ってしまいます。
個人的にはその世界でいちばんの存在じゃないといけない、と思っている心がありながらも、ゲストとしてのせめぎ合いみたいなところで、サイズ感としてはふつうのマッチョな男性くらいに留めています。

――今回は厳密に言うと現在放送中のアニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』とのコラボ参戦になっていますよね。アニメの出来栄えについて、原先生はどう見ていますか? 原作ファンたちなどからもすごく評判のいいタイトルですが。
原
放送まで少し不安でしたが作品を観てホッとしました。前田洋志監督に、すごく頑張ってもらっているんだなと思います。今後はもっとよくなっていくんじゃないかなと、楽しみにしています。
本当に好きな人が作らないとダメなんですよね。好きな人が作っているのかどうかって、僕はずっとケンシロウを描き続けているからすぐわかるんですよ。ファンにも気持ちが入っているか入っていないのかもすぐ伝わりますからね。
――“愛のある人が作っているか、すぐわかる”というお話がありましたが、『餓狼CotW』でのケンシロウはどうでしたか?
原
すごく愛を持って作ってくださったんだなと思いました。SNKさんはすごいスタッフたちが集ってゲームを作っているんだなとわかりました。
細かいところはやはりこだわってこそだと思うので、粘り強く監修しました。アニメがもとであることと、僕の監修とで、SNKさんは板挟みになってたいへんだったかもしれませんが。
ただ、やはりもっと技を使えるようにしてほしいですね。たとえば、超必殺技みたいなものってアレは各キャラクターに何個あるものなんですか?

――超必殺技2個と、潜在超必殺技2個、そしてヒドゥンギアという切り札の計5つになっていますね。
原
いやもうケンシロウならば、10個くらいほしいですよね。5つだけだと、もうすぐ出し切れちゃうような。超必殺技も、その潜在超必殺技というのも、2個ずつじゃ少なすぎないかなって、僕としては(笑)。
――ゲーム的なセオリーではありますね。そしてなにより、ケンシロウはすべての技が本当の“必殺技”なので扱いも難しそうですが(笑)。
原
そこは常識に囚われない形で、ケンシロウだったら超必殺技が何個もあったら、皆さん驚くんじゃないかなあと。みたいな感じでやってもらったほうがファンの方々も喜んで、ゲームファンの人も驚いてもらえるんじゃないかなって。もちろん制作側のことを考えたら、すごくたいへんだってことはわかるんですけれども(笑)。
原哲夫氏と、ケンシロウ
――時代が変わっても、ケンシロウが多くの方々の憧れの存在である理由はどこにあると思いますか?
原
弱きを助け、強きを砕くキャラクターなので、大きな力や権力に屈せずに生きられる男です。そこに、男の子の夢が詰まっています。男の子って、どうしても自分より強い人のほうが多いですよね。虐げられたり、惨めな思いをさせられる経験ってあると思うんです。強い人たちは、もっと強い人たちに挑んだりするわけで。
そういう意味では、強い男たちにも絶対負けないっていう男の子の夢を、ケンシロウというキャラクターに込めました。そのイメージを中学生のときくらいから考えていたので、そこがケンシロウに憧れてもらえる理由なのかなと思います。
僕たちはどうしても弱い存在ですから、漫画の中だけでもそういう気分に浸ってほしいなと思います。
――今回のコラボレーションなども含めて、原先生が創作にチャレンジし続けている原動力を教えてください。
原
僕はもう『北斗の拳』が描ければよくて、この作品をこの世に残せればいいやと若いころは思っていました。だからこそ2000年に、仲間たちといっしょに株式会社コアミックスを立ち上げました。チームでやらないと、もっと作品を大きくしたり、残し続けることはできないなと考えたんですよね。
漫画家として編集部と仕事するというのは、じつは日雇いみたいなもので、作品の人気がなくなれば後がなくなり、、クビになっちゃうわけで。そして、僕は読者の方々に喜んでもらうことが何より大好きです。それが生きがいです。だったら、挑戦し続けるしかなくて。
それがずっとあったので、続けられているんだと思います。ですからファンレターや「子どものころから好きでした!」みたいな言葉をいただくと、いまでもすごくうれしいんです。いまなら“いいね!”でもいいですね。
――もしケンシロウにひとりの人間として向き合うとしたら、どんな言葉をかけますか?
原
僕は絵描きなので「絵に描かせてもらっていいですか?」って声をかける存在ですかね(笑)。ですから『北斗の拳』のバットみたいな役割です。「ケンシロウさん!」ってお付きみたいな感じで、ずっと付いていきたいですね。それが僕の憧れでもあります。
昔から僕はカッコイイ人を見ると、絵に描きたくなる人だったんですよ。なぜだか自分がなりたいとは思わなくて。ですから、もし会えたら“ケンシロウさん”と呼んでいるでしょうね。
