『冒険家エリオットの千年物語』レビュー。“レベル”の概念はないのに「強くなっている」と実感できるアクションRPG。とことん親切な作りに心地のいいプレイ感。用意されたクエストはオマケじゃない!

『冒険家エリオットの千年物語』レビュー。“レベル”の概念はないのに「強くなっている」と実感できるアクションRPG。とことん親切な作りに心地のいいプレイ感。用意されたクエストはオマケじゃない!
 2026年6月18日に発売予定の『冒険家エリオットの千年物語』。スクウェア・エニックスの浅野智也氏率いる“浅野チーム”が初めて作るアクションRPG作品で、主人公のエリオットの4つの時代を跨いだ壮大な冒険が描かれていく。
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 本記事では、本作をクリアーまで遊んだ担当ライターのレビューをお届け。物語の核心に触れるようなネタバレはしていないが、新鮮な気持ちでゲームを遊びたいという人は注意してほしい。
 なお、“HD-2D”表現や魔石システムなどの要素は、先月公開したプレビュー記事で紹介している。こちらも併せてチェックしてほしい。

4つの時代をまたいで描かれる壮大な冒険譚。ひとつひとつのクエストはオマケじゃない濃密さ

 ヒューザー王国のヒカルド王から依頼され、古代の遺跡を探索することになる冒険家のエリオット。その依頼をきっかけに、冒険は“時の扉”を介して4つの時代を行き来する壮大なものへと発展。そして徐々に明らかになる、世界に忍び寄る巨大な脅威に立ち向かっていく。

 エリオットが訪れるのは、現代となる“加護の時代”、かつての繁栄の跡を残しながらも滅亡の危機に瀕する“再建の時代”、魔法技術によって栄華を極める“魔法の時代”、文明が芽吹いたばかりの“萌芽の時代”の4つ。この4つの時代を行き来しながら、冒険を進めていくことになる。
 ストーリーは、王道ファンタジーといったイメージ。世界の脅威に立ち向かう勇敢なエリオットの冒険譚は、心をワクワクさせてくれる。プレビュー記事でも触れたが、筆者はエリオットのカッコよさにゾッコンだった。
同じ場所でも時代が異なれば街並みが全然違う。魔法の時代にはエレベーターのような魔法施設も。
 それぞれの時代には、ユニークなキャラクターたちが登場。立ち絵が用意されたキャラクターは限られているものの、いずれも個性豊かな面々で、エリオットの冒険を彩ってくれる存在だ。

 個人的に気に入っているのは、再建の時代に登場するヒューリックとディオナの関係。幼なじみのディオナの病気を治す方法を探すため、大陸中を冒険するヒューリック。一方で、ディオナはヒューリックにはそばにいてほしいと思っている様子。お互いに想い合いながらも、すれ違うふたりにドギマギとさせられることも。ふたりの青春っぷりがまぶしい……!
 そんな個性豊かなキャラクターたちが登場する本作には、本編以外にもクエストが用意されている。いわゆる“サイドクエスト”のような存在だが、本作ではクエストひとつひとつにしっかりとしたエピソードが用意されているのが特徴。

 クエストで描かれるエピソードは、心温まるようなものや、時代を超えて目標を達成していくと未来にちょっとした変化があるものなどさまざま。単なる“お使い”ではなく、それぞれ独自の物語が用意されているので、「クエストを進めよう」という原動力にもなっている。もちろん、クエストごとに魅力的な報酬が用意されているのもポイントだ。
 クエストは、膨大な数……とまではいかないが、けっこうな種類が用意されていて、ボリュームはたっぷり。本編以外の物語もすごく丁寧に作られていて、いわゆる作業感はいっさいなしでプレイできた。クエストをプレイして世界や、キャラクターのことを深く知ると、冒険の舞台への愛着がさらにわいてくるはず。

“レベル”の概念はないのに「強くなっている」と実感できる

 アクションは、それぞれの武器に用意された通常攻撃と、チャージ後にくり出せる必殺技を使い分けて戦うシンプルな作り。ふだん、アクションゲームを遊ばないという人でも、すぐに仕組みが理解できるとっつきやすいものになっている。
 エリオットが装備できるのは、剣、槍、弓、ブーメラン、爆弾、ハンマー、鎖鎌の全7種の武器。それぞれ威力や攻撃範囲が異なり、状況に合わせて武器を切り替えて戦うのが基本となる。
ふたつの装備スロットに武器をセット。装備スロット画面を開いている間は時間が停止し、戦闘中でも武器を切り替えられる。
グレードの高い武器を手に入れると、さらに強力な必殺技がくり出せるようになる。
 操作自体はシンプルながら、当たったときのエフェクトや敵のリアクションなどがうまく表現されていて、敵を攻撃しているという感覚がしっかりと味わえる。コンボなどのシステムはないものの、アクションゲームとしての爽快さを存分に堪能できて、プレイしていてとにかく気持ちがいい。

 序盤こそ武器で数回攻撃するだけで敵を倒せるが、中盤以降から徐々に手強くなっていくので、盾を使ったガードで敵の攻撃を防ぐことも重要に。物語を進めると、タイミングよくガードボタンを押すと敵の攻撃を跳ね返す“ジャストガード”も使えるようになり、より遊び応えが増していく。
 ボス戦では、爆弾を吸い込ませて隙を生み出したり、氷をぶつけて外殻を破壊したりと、さまざまなギミックも待ち受けている。ボスごとに全然ギミックが違っていて、「この攻撃に対してはこう立ち回ろう」と試行錯誤するのもなかなかにおもしろい。ときには、2体のボスと同時にバトルもあって、手に汗を握るような緊迫したバトルも楽しめた。
 なお、本作には経験値を貯めてレベルを上げるといった育成要素はなく、いくら敵を倒してもエリオットは強くならない。“生命の欠片”を集めて最大ライフを増やしたり、グレードの高い武器や強力な効果のアクセサリを手に入れたり、冒険に役立つ薬を詰められるガラス管を手に入れたりと、各地を探索してエリオットを強化していくのが基本。

 間接的にエリオットを育成していくのだが、それでも「徐々に強くなっている」と実感できる作りになっていると感じられた。強くなる実感を得られるからこそ、各地を探索するモチベーションにつながって、夢中になりながら冒険を楽しむことができた。
生命の欠片が手に入る生命の社では、シビアなジャンプアクションを要求されたり、パズルのような仕掛けに挑んだりと、さまざまな試練が待ち受けている。場所によって待ち受ける仕掛けが違うので、挑むだけでも楽しい。
 レベルの概念こそないものの、アクションゲームに不慣れでも十分に準備をすれば強敵とのバトルを制しやすくなる。そんなRPGらしさもしっかりと感じられるのも、本作の醍醐味のひとつだろう。

遊びやすさを重視したプレイヤーフレンドリーな親切設計

 同じ場所でも訪れる時代によって異なる体験が待っている……ということはプレビュー記事でもお伝えしたとおり。ただ、4つの時代を行き来して、フィールドの隅々まで探索するのはけっこうたいへん。
 そんなときに便利なのが“魔力コンパス”。これはゲームを進めると手に入れられるキーアイテムで、まだ獲得していない武器、宝箱がある場合、マップ画面で確認できるようになるというもの。

 さらにゲームを進めていくと、まだ保護していないネコが表示されるようになるなど、利便性が増していく。このアイテムがあるおかげで、「探索しに行ったけど何もなかった」ということがなくなり、ストレスなく探索を楽しめたのが好印象だった。
マップで未探索の場所がひと目でわかる。どの場所に宝箱があるかも確認可能。
 ほかにも、快適に遊べる機能が多数用意。たとえば、会話したNPCにチェックマークがついたり、妖精フェイのナビ会話でこの先に探索するポイントがあるのかどうかを確認できたり、クエストが発生している場所のヒントが確認できたりと、挙げるとキリがないほど。
新要素が登場するたびにTIPS的な冒険の心得が表示される。まさかゲームの設定までも教えてくれるとは……!
 アクションの手触りは、スーパーファミコン時代のアクションゲームを彷彿とさせ、どこか懐かしさも感じられるものだが、ゲームプレイを支える機能は、最近のゲームの中でもトップクラスの快適さ。さまざまな部分がプレイヤーフレンドリーな親切な設計になっていて、遊んでいてストレスを感じることはまったくなかった。

腰を据えてじっくりと堪能したい傑作アクションRPG

 そのほかにも、プレビュー記事で紹介した、武器アクションに追加効果を付与する魔石システムや、フェイが新たな魔法を覚えるたびに追加される“フェイの魔法レッスン”など、さまざまな要素が用意されていて、遊び応えは十分。
魔石は種類が豊富。組み合わせによって大きくアクションの手触りを変えることもできて、いろいろと試すのがおもしろい。
“フェイの魔法レッスン”は、新たな遊びが楽しめるミニゲーム的な要素。音楽を聴けるレコードも入手可能だ。
 ストーリーやアクションなど、どれをとっても丁寧に作られているのが印象的だった。いずれの要素もすごく遊びやすくて、一切、ストレスを感じることなく、4つの時代を跨いだ冒険をワクワクしながら楽しめた。クリアーした後も、心の底から「遊んでよかった。むしろ遊ばせてくれてありがとう」と思えるほど、なにもかもが心地のいい作品だった。
 浅野チーム初のアクションRPGとなる『冒険家エリオットの千年物語』。筆者のような浅野チーム作品のファンはもちろん、じっくりとアクションを楽しみたい人にも自信を持ってオススメしたい。心待ちにしているプレイヤーは、まずは6月18日に発売される本作の物語やアクションをたっぷりと堪能してほしい。
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