『オクトパストラベラー』や『トライアングルストラテジー』などを手掛けた、スクウェア・エニックスの浅野智也氏率いる“浅野チーム”が、初めて作るアクションRPG。2025年7月に配信された“Nintendo Direct”で初めてこの作品を見たときに、すぐに心を奪われた。 その作品のタイトルは『冒険家エリオットの千年物語』。2026年6月18日(Steam版は6月19日)に発売予定で、対応機種はNintendo Switch 2、プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC(Steam、Windows)。
浅野チームの特徴ともいえる、ドット絵のキャラクターと3DCG背景を組み合わせた映像表現“HD-2D”を採用しており、冒険家エリオットを操作して、シンプルで歯応えのあるバトルが楽しめる作品になっている。
今回は、本作の序盤部分となる、主人公のエリオットたちが生きる“加護の時代”、それより過去の“再建の時代”の終わりまでを体験したプレビューをお届けしていく。
時空を超えた壮大な冒険譚。同じ場所でも時代が違えば異なる体験が!
物語の舞台となるのは、魔物や蛮族たちがはびこる大陸“フィレビルディア”。冒険家エリオットは、ヒューザー王国のヒカルド王から依頼を受け、新たに発見された遺跡の調査に向かうことに……というのが序盤のストーリー。

主人公のエリオットは「人助けをするために冒険家をしている」というぐらいのお人よし。そんな好青年のエリオットが織りなす物語は、ときには胸を熱くさせてくれるし、ときにはほっこりとした気持ちにさせてくれる。エリオットの人柄のよさに触れていくと、自然と彼のことが好きになっていくはず。筆者もいつの間にかエリオットに心をときめかせていた。


プレイ中は、ヒューザー王国の王女・ヒューリアや、妖精のフェイがつねに語りかけてくれる。プレイをほめてくれることもあるので、自己肯定感が上がる! ちなみにこの会話頻度は、オプションから多め/控えめの2種を切り替え可能。
物語を進めていくと、“時の扉”を通じて、別の時代のフィレビルディア大陸を冒険することに。今回のプレイでは、エリオットが生きる現代の数百年前の過去“再建の時代”を体験できた。
再建の時代は、かつて栄華を極めた魔法文明が崩れ去り、荒廃した時代の模様。そうやって複数の時代を行き来しながら、世界の危機に立ち向かう……というのが、本作の大まかなあらすじだ。


地形自体は大きく変わらないものの、雰囲気はガラリと変化。写真は左が現代の“加護の時代”、右が荒廃した過去の“再建の時代”。
同じ場所でも、訪れる時代によって異なる体験が待っているのも特徴。たとえば、同じ遺跡でも、加護の時代なら北に抜けられるルート、再建の時代なら東のルートが開かれている……といった具合。このあたりは、スクウェア・エニックスの名作RPG『クロノ・トリガー』を彷彿とさせる遊びだと感じられた。
新たな遺跡を見つけたら「別の時代ではどうなっているのか?」と気になってくる。そして自然と寄り道が止まらなくなる。設定とゲームプレイがうまくかみ合っていて、まさに時間泥棒なシステムになっているのだ。


ファストトラベルで時代を行き来できるのもポイント。移動時間にストレスを感じることなく、ゲームプレイに没頭できるのはうれしい。
また、ドット絵に独自の画面効果を加えた“HD-2D”で表現される世界は、まさに圧巻。基本的には見下ろし視点でゲームが展開するが、イベントシーンではカメラワークが変わり、ドラマチックに物語が描かれていく。臨場感たっぷりの演出に、物語にグイグイと引き込まれていくのだ。

フィールドでの3DCG表現もすごくて、水場を走るとうねりが表現され、雪原では移動した場所から雪が一時的に消える。このような細かい表現もしっかりと作り込まれていて、「世界を冒険している」という感覚をしっかりと感じられた。

ドット絵のキャラクターの作り込みも注目すべきポイントで、主人公のエリオットはもちろん、敵ごとにさまざまなモーションを用意。どちらを向いているのか、攻撃を仕掛けようとしているのかなど、アクションゲームをプレイするうえで重要になる情報が、モーションひとつひとつに詰め込まれている。
そういった2D表現が3DCGに見事に溶け込んでいるので、違和感なくゲームを遊べるはず。少なくとも、これまでの浅野チーム作品のファンなら、存分に楽しめるはず。

操作自体はシンプルながら、敵との間合いが重要になるアクションバトル
基本的なアクションは、見下ろしタイプのアクションゲームとしてはオーソドックスなもの。全7種の武器が用意されていて、それぞれ異なるアクションが用意されている。まずは、各武器のアクションの特徴を紹介していこう。

攻撃ボタンを長押しするとチャージでき、最大まで溜めた状態でボタンを放つと強力な必殺技がくり出せる。

ふたつのスロットに2種の武器を装備。スロットに応じたボタンを押すと、その武器の攻撃がくり出される仕組みだ。
【武器アクション】
剣:攻撃力は低いが振りが速い。隙が少なく、使いやすさはピカイチ。必殺技では、遠くに斬撃を飛ばせる。
槍:向いている方向に対してのリーチが長い攻撃をくり出せる。チャージすれば突進をしながら前方に多段ヒットの突きを放つ。
弓:アイテムの矢を消費して離れた敵を攻撃できる。チャージすれば、前方扇範囲に広がる矢を放てる。
ブーメラン:投げた後に自分のもとに戻ってくる挙動で、投げたときと戻ってくるときのそれぞれでダメージを与えられる。チャージすれば離れた位置でブーメランが留まり、連続でダメージを与えられる。
爆弾:アイテムの爆弾を消費して敵にダメージを与えたり、一部の壁や岩を壊したりできる。チャージはできないが、置いた爆弾を持ち上げて、遠くに投げることもできる。
ハンマー:振りは遅いが衝撃+大ダメージを与えられる。チャージすると強力な打ちおろし攻撃が発動。この攻撃の衝撃に当たった敵を気絶させる効果も持つ。また、道を塞ぐ杭も必殺技で埋められる。
鎖鎌:周囲にいる敵をまとめて攻撃できるが、敵との距離が近いと当たらない。チャージ中は鎖鎌を振り回し続け、周囲の敵を攻撃可能。必殺技は攻撃を当てた相手を引き寄せる効果を持つ。
操作自体は、ボタンを押すとその武器の攻撃がくり出され、ボタンを長押しすると必殺技がくり出されるという、いたってシンプルな作り。複数のボタンを組み合わせてコンボをくり出すなど、複雑な操作は要求されない。
ではボタンを連打しているだけで勝てるのかと言えば、そんなことはない。ゲームを進めると、敵が強力な連続攻撃を仕掛けてきたり、周囲の仲間にバリアを付与する能力を持つ敵が現れたりと、徐々に相手も手強くなっていく。そんな強敵に対しては、しっかりと動きを見極め、攻撃を避け、隙を見てダメージを与えていくことが重要になるのだ。

攻撃をくり出すドット絵モーションもしっかりと作り込まれていて、どのタイミングで攻撃が仕掛けられるかがわかりやすくなっている。このあたりは丁寧に作り込まれていて、すごく遊びやすい。

敵の攻撃は、軸をずらすことで回避できるほか、盾を使ってガードできる。ただし、盾は前方からの攻撃しか防げず、攻撃を受けるたびに盾の耐久力が減っていき、ゼロになるとしばらくガードができなくなる。

敵によって攻撃方法もさまざま。たとえば象の見た目をしたこの敵は、巨大な岩を放り投げてくる。

着弾のダメージに加えて、衝撃波によるダメージも。この衝撃波はガードでも耐えられるが、タイミングよくジャンプすれば避けられる。
また、ゲームを進めていくと、妖精のフェイが冒険をサポートしてくれるようになる。フェイは、各地で待つ修練を乗り越えることで、新たな魔法が使用可能になる。
フェイの魔法は、火を灯したり敵を炎で燃やしたりできる“チャッカ”、エリオットが高速移動する“シッソー”など、さまざまな種類が用意されていて、ときには仕掛けを解くために必要になる場面も。ちょっとした謎解きパズル的な要素も楽しめる作りになっている。


筆者のお気に入りはシッソー。Switch 2で去年7月に配信された先行体験版でも楽しめた高速移動。スケートを滑っているような感覚で移動できて、すごく気持ちがいい。
フェイには、「先に行って」、「戻って」、「止まって」、「隠れて」という十字ボタンで簡易的な指示を出せるほか、右スティックを使って手動で操作することも可能。左スティックでエリオットを操作して、右スティックでフェイを動かして……と、ツインスティックシューター的な操作でも遊べるが、こちらはなかなか練度が必要そう。

フェイの操作はオフライン2P協力プレイ(ローカル2Pプレイ)にも対応。ふたりでワイワイと言い合いながら遊ぶのも楽しそう。
ゲームを進めていくと、新たな武器や妖精のフェイの魔法などが追加され、どんどん遊びの幅が拡張されていく。新しい敵もどんどん登場してくるし、さらにはギミック満載の手強いボス戦も用意されていて、途中で飽きを一切感じず、夢中になってプレイできた。
本作には“レベル”の概念はなく、生命の欠片を集めてライフを増やしたり、魔石(後述)を手に入れて強化したりといった要素でしかエリオットを強化できない。だからこそ、いかにうまくアクションできるかがカギとなる。まだ序盤しか遊んでいないが、それでも十分にアクションゲームとしての遊び応えを感じられた。

途中でライフがゼロになっても、お金さえあれば復活できる。事前に備えておけば、リトライ回数を増やせるやさしい作り。
“魔石”でアクションにスパイスが加わり、遊びの幅を広げてくれる
街の中にある魔石屋では、冒険中に手に入れた“魔石の欠片”を消費して“魔石”が生成できる。魔石は魔石箱の中に入れると効果が発揮され、武器ごとにセット可能だ。

お金を使って魔石箱のレベルを上げるとコスト上限が増える。より多くの魔石がセットできるようになる。
魔石の効果は、攻撃力やクリティカルダメージ上昇などの武器の性能を底上げできるもののほかに、武器アクションにちょっとした変化を加えるものも。たとえば、チャージが溜まったときに敵をノックバックさせるオーラを放出する“闘気全開”、爆弾に触れた敵が凍結する“フリージングボム”など。
いずれも基本的な武器アクション自体は変わらないが、「この効果を活かすためにも、こういった立ち回りをしよう」といった感じで、手に入れた魔石によって立ち回りの幅が広がっていく。

また、魔石屋での魔石生成では、どんな魔石が入手できるかはランダムというのもミソ。剣をメインに使っていたけど、槍用の強そうな魔石が手に入ったから槍を使ってみよう……といったように、手に入れた魔石によって違う武器を使ってみようというモチベーションにつながるのもポイント。

どの武器の魔石が手に入るかはランダム。
この魔石は、セットすることでアクションの味付けが変わり、ゲームプレイにちょっとした影響を与えてくれる、いわば料理の隠し味のようなもの。もともとの味は大きく変わらずとも、組み合わせしだいでは美味しくもなるし、まずくもなる。
まだ序盤のプレイなので、見つけた魔石の種類は少ないが、この魔石をどう組み合わせるのかを考えるのもおもしろそうだ。

本編以外のお遊び要素も
本編のストーリーを進めつつ、フィールドをじっくりと探索しているだけでもかなりのプレイボリュームだが、それ以外のお遊び要素も用意されているのも本作の魅力。
フェイが新たな魔法を覚えるたびに追加される“フェイの魔法レッスン”は、新たな魔法を使った操作を練習できるもの。魔法ごとにまったく異なるゲーム性になっていて、どれもミニゲーム感覚で遊べるのが特徴だ。

今回プレイできたのは序盤だが、さまざまな要素に触れることができた。時空を超えた冒険に乗り出すエリオットに、どんな運命が待ち受けているのか。浅野チームタイトルのいちファンとして6月18日の発売を心待ちにしたい。
