2026年5月22日から5月24日にかけて京都・みやこめっせで開催されるインディーゲームイベント“BitSummit PUNCH”。本イベントで出展されている『里山のおと 春さんぽ』の試遊リポートをお届けする。

昔話絵本を読んでいたあのときを思い出す物語。それはそうとタヌキかわいい
“里山”とは人間の手によって維持されてきた自然環境のこと。雑木林や田畑、ため池など広がる風景と言えば想像しやすいだろう。
探索アドベンチャー『里山のおと 春さんぽ』は、タイトルにもある通り、自然豊かな“里山”とその暮らしを描いた探索アドベンチャーだ。主人公は昔話でもおなじみのタヌキ。

試遊版のストーリーは、主人公のタヌキくんがキツネくんとお花見をするため桜の木を目指して里山を進むというシンプルなもの。マウスだけで完結するポイント&クリック形式で、プレイヤーは“お弁当を用意する”、“目的地に向かう”といった各目標のクリアーを目指す。

キツネくんからお手紙をもらってニッコリのタヌキくん。

基本操作は気になる部分をクリックするだけ。ゲーム初心者にもやさしい設計だ。
プレイヤーはタヌキとして探索を進めるわけだが、まずもってこのタヌキが超あざといしかわいい。かわいすぎる。

畑仕事に勤しむタヌキくん。この格好もかわいい。
ノートを見ていたらページが風に飛ばされ「のおとおおおおおおお!」と絶叫したり、ルンルン気分でお着替えや料理をしたりなどなど。あざとすぎて思わず笑みがこぼれる。SNSで「タヌキかわいい」みたいなものが流れてくるたびに、「わからん」と思っていたが、いまならわかる。タヌキはかわいい。

舞い飛ぶノートに手を伸ばす不憫タヌキの図。後ろ姿もかわいい。

ヤバイ状況だとあざとさを忘れて真顔になるタヌキくん。じつに表情豊かでかわいい。
絵本&昔話感で保育園児時代を思い出す
温かみのある墨絵のグラフィックと、篠笛が奏でるやわらかなBGMも特徴的。プレイすると思わず郷愁に浸ってしまう。幼少期に読んでもらった昔話の絵本が思い出され、あのときの温かい気持ちが蘇ってくる感覚とも言えるだろう。

思えば、舞台が里山で主人公がタヌキという昔話は多い。『ぶんぶく茶釜』に『狸和尚』。タヌキ主人公というだけで、これらがパッと思い出せるぐらいには昔話界におけるタヌキはメジャーなのだろう。タヌキをトリガーに幼少期が思い出されるのも無理はない(たぶん)。
※いちばんメジャーな“山”のやつはタヌキがかわいそうなので出しません。なお、その作品は現代向けの表現になっているものとする。
カジュアルに話す動物たち、美しい背景、心を穏やかにする音楽。これらの要素が絡み合い、相乗効果で昔話の絵本感も加速していく。目をキラキラさせて絵本を楽しんでいたあのころを思い出してしまった。おそらく試遊していたあの瞬間、心は無邪気な子どもに還っていたはずだ。

色がつくとより絵本感が際立つ。やさしいナレーションもそれっぽい。

昔話では主役級の存在、おばあさんも登場。おじいさんも来たらもう役満だ。
頭に叩き込まれる動植物ガチ知識
かわいい雰囲気や物語に心をキャッチされたが、本作には別ベクトルのよさもある。里山に生息しているであろう動植物ときちんと向き合っており、その知識がうまく探索アドベンチャーのギミックとして活かされているのだ。
たとえばこんな場面があった。イタチ……ではなくテンに会ったとき「アズマイチゲの花がほしい」と言われた。こう言われても「あぁあのアズマイチゲね……いや知らないんだけど!」と恐らく多くのプレイヤーが頭を抱えるだろう。少なくとも筆者は抱えた。なに、アズマイチゲって?

「おっイタチきた」って思ったらテンだった。間違えてごめん。
こちとらふだんから年中引きこもってキーボードカタカタ、ボタンポチポチ、スティックガチャガチャしているような人間である。野草の学などない。
ではスマホを片手に調べながらプレイしなくてはならないのか。それは断じてない。そんな無粋なことをしなくても、筆者のような動植物知識0でもプレイできるように設計されている。
というのもお助けアイテムとして“里山のおと”(里山ノート)がある。タヌキくんが風でぶっ飛ばされたアレだ。あのノートには周辺に生息する動植物の知識が眠っており、マップ探索中にページを集めれば冒険の手助けとなる。
このノートさえあれば、あなたも私も里山マスター。端がギザギザになっている葉っぱのことは“鋸歯”(きょし)だとわかるし、アズマイチゲが10枚ほどの白い花弁をつけることもわかる。これも全部ノートのおかげだが、無事正解できたときには安堵とともに爽快感、達成感も得られる。

ノートにはいろいろな情報が載っている。ありがたい。

無事テンさんの依頼も達成。めでたしめでたし。
なお、メインの目標は桜の木の下に行くことなので、彼ら動物たちの依頼は無視できなくもない。だが、こうした依頼をこなせば、どこかで役立ちそうな動植物の知識が手に入るし、なによりメイン目標への近道になることもある。テンさんはお願いを聞いたら近道につながるヒントをくれたし、ほかの動物たちもそうだった。やさしい世界はここにあったようだ。
操作難易度、アドベンチャーとしてのギミック難易度もそこまで高くなく、誰でも遊びやすいタイトルとして仕上がっている。リリース予定時期は来年2027年の春。心地よい春の季節を味わうのにピッタリなので、この機会に注目してみてはいかがだろうか?