本記事では日本語対応の体験版をプレイして感じた魅力、そして随所から溢れる狂気をみなさまにお届けします。


そんな彼女に近づく見知らぬ影がひとつ。その影は「ニマ?」とこちらに問いかけてきます。しかし返事をしようにも、記憶が混濁した少女は返すための言葉を持ち合わせていません。そこで、彼女は獲得した単語を組み合わせ、返答に必要な語彙を獲得していきます。このように本作は、与えられた状況に対してどのように返答するかを考え、ときには新しい単語を作ることでゲームが進行していきます。



しかし、組み合わせて得られる単語は、イメージしたものとは違う結果になることも。たとえば、“お粥”と“空腹”を組み合わせると得られる単語は“気持ち悪い”。ふつうは“おいしい”や“満腹”が得られそうなのに、です。


しかし、彼女の眼前に突き出されたグロテスクな料理を見れば合点が行きます。単語はあくまで彼女の脳内で生み出される、というのが重要なポイント。そのため、ときには突飛な単語を組み合わせてみる必要があるかもしれません。


言葉を作り出した結果、自分の名前が“ニマ”であること、そして目の前の影は母親・アナベルだと彼女は理解します。お母さんが来てくれたなら、これで一安心だ……。とはいかないことなんて、もはや語るまでもないでしょう。


何を隠そう、アナベルこそが地下室にニマを閉じ込めた張本人だったのです。彼女は「あなたは泳いでいる最中に頭を打った、だからこれは監禁ではなく治療のために行なっている」と語りかけてきます。しかし、彼女の態度や挙動から、ニマはある確信を持ちます。「母親は嘘をついている」、と。


しかし、ただ確信があるだけではどうにもなりません。ここから彼女は、母との会話の中で行われる“テスト”や、室内の探索を通じて真実に迫っていくこととなります。ニマは本当に事故で記憶を失ったのか? 治療と称して監禁する母親の真意とは……?





さて、ここまで本作を紹介してきましたが、じつは読者の皆さんにひとつ隠していたことがあります。それは、ニマの脳内にときおり響く声の存在。その声は彼女の疑心暗鬼を駆り立て、憎しみを煽る、まさに悪魔の囁きとでも言うべきものです。


しかし、ただ悪意を振りまくだけではありません。その場を切り抜けるための冷静な提案をすることもあり、単にニマを追い詰めようとしているわけではないことがわかります。


この声の正体はニマの本性なのか、それともまったく別の存在なのか。そもそもプレイヤーがニマだと思っている少女は、本当にニマなのか。プレイヤーが頭を悩ませる中、今回のデモ版は衝撃的なエンディングを迎えます。そのラストシーンとは……。続きはぜひ、あなたの目で確かめてください。
プレイしてみての感想ですが、本作は不穏な雰囲気作りがとくに優れていると感じました。心が休まる時がないんですよね……。アナベルは狂気の中に一瞬母親らしい感情が垣間見え、反対にニマは年相応のかわいらしさの中に狂気を潜ませている。どちらも信用できない、じっとりとしたドキドキ感がつねに付きまとってきます。

また、単語を組み合わせて新たな言葉を作る遊びもおもしろい。思わぬ単語どうしが合わさり、予想だにしない言葉が生まれ、その結果真相に近づく楽しさはこのゲームでしか味わえません。言葉を扱うゲームとして気になるローカライズも良質で、本作の不穏な雰囲気をより高める翻訳だと感じました。


製品版でふたりはどのような結末を迎えるのか。狂気の行く末がいまから楽しみで仕方ありません。
















