※本稿は『モータルコンバット/ネクストラウンド』の提供でお届けします。前作を観ていなくても、『モータルコンバット』はFATALITY(フェイタリティ)のグロ動画しか知らなかったとしてもまったく問題ない。
“舞台にあがった瞬間どちらかが死ぬ”という異様な緊張感の中で行われるハードコアなタイマンバトル。ほとんどアクションシーンで、日本が誇るアクションスター真田広之も活躍! 知識ゼロの手ぶら状態で観に行っても大満足。もちろん『モータルコンバット』ファンならニヤリな要素も盛りだくさんな映画となっている。
『ソニック』や『スーパーマリオ』など、ゲーム原作映画作品が盛り上がりをみせる中、怪しい輝きを放つ本作。すでに5月8日には米国にて公開されており、北米興行収入ランキング初日No.1(首位争い)で、週末全体では4000万ドル(約63億円)を突破。早くも映画第 3 弾製作も噂される、世界的には勢いと人気もものすごい映画シリーズだ!
そして日本の劇場でも6月5日から、血みどろの戦い“モータルコンバット”が開幕する!
覚悟は、いいか
死を強烈に意識する格闘大会。対戦カード発表から汗がヤバい

その大きな特徴は、なんといっても内臓や骨をぐっちゃぐちゃに破壊し尽くす容赦ない人体破壊描写。トドメ技“FATALITY(フェイタリティ)”はグロテスクな定番アクションシーンとしてとても人気だ。
しかし、その凄惨な描写が仇となり、日本向けになかなかローカライズ、販売されない“不遇の歴史”を持っていることでも知られている。それゆえ国内ではメジャーとはいえないが、逆に海外(とくに南北アメリカ、欧州)では熱狂とも呼べるほど大変な人気。
前述した派手で残虐な“FATELITY”、有名映像作品とのコラボなどで定期的に話題を集めており、マイナーながらも日本のコアゲーマーから多大な注目を集めているシリーズといえるのは間違いない。
“ゲーム原作の実写映画化”と聞くと不安に思う映画ファンも多いだろう。しかし、昨今ではそんな負のイメージは払拭されてきている。長編アニメ『スーパーマリオ』2作をはじめ、実写映画版『マインクラフト』、『ソニック』3部作の大ヒットは記憶に新しい。
そのほか、『名探偵ピカチュウ』や『グランツーリスモ』など、国内外問わず原作ファンも唸る映像作品がつぎつぎ公開されている。
映画『モータルコンバット』もその輝かしい歴史に名を残す映像作品のひとつ。FATALITYをはじめとする凄惨なアクションを完全再現し海外はもちろん、国内でも好評。「グロいけど爽快!」と人気を博した。そんな同作の続編が『モータルコンバット/ネクストラウンド』なのである。
前作(2021年公開)で描かれたのは魔界側と人間界側による熾烈な前哨戦だった。要するにモータルコンバットはまだ開催されていないのである。本作ではついにその本戦が開幕!
ひとり足りない状態で戦いの日を迎えた人間界側は、落ちぶれたハリウッドアクションスターのジョニー・ケイジ(演:カール・アーバン)を最後のファイターとして迎えるも、当の本人には参加する意欲も気力もない。


そもそも『モーコン』とほかの一般的な格ゲーが決定的に異なる部分がある。それは、舞台にあがった瞬間、どちらかの死がほぼ確定してしまうということだ。これは街中の喧嘩でもなければ、ファイターのキングを決める大会でもない。数秒後には骨が砕かれ、内臓が引っ張り出されてもおかしくはない。

前作主人公のコール・ヤング(演:ルイス・タン)をはじめ、メカ腕を持つ軍人のジャックス(演:メカッド・ブルックス)、炎を操る格闘家のリュウ・カン(演:ルディ・リン)、敵の親玉シャオ・カーン(演:マーティン・フォード)など、敵味方問わず個性強めのファイターがつぎつぎ登場する本作。だからこそ「メタい視点で見れば両方死ぬわけないんだけど、どっちかは死ぬんだよなぁ」という考えが頭をよぎる。それでも容赦なくどちらかは死ぬ。対戦カード発表からかなりドキドキさせられたものだ。

アクションにつぐアクションというかなり一直線な構成ではあるものの、こういった緊張感がほどよいスパイスとなっているため、ダレないし飽きない。また、勝敗そのものがストーリーの進捗に直結しているので、話のテンポも損なわないのだ。
ジョニー・ケイジを観ているだけで幸せになる
ジョニー・ケイジといえば原作シリーズでも初期から登場し続けている長ーい歴史を持つ人気かつ定番のキャラクターだ。原作版の彼は、映画で培ったアクションを偽物呼ばわりする世間に本物と認めさせるためモーコンに参戦したという、かなりの変わり者。『ターミネーター』に影響されたのか物々しいサングラスが彼のトレードマークだ。

それでもやはり、モーコンで長年活躍しているだけあって格闘センスは一流。大事な人のピンチを救うべく緑のオーラを纏い、覚醒して最強になるカタルシス爆発シーンもあったりと決めるときにはキッチリ決めるタイプだ。そして卓越したアクションの腕前は映画でももちろん爆発する。
すばらしいアクションを見ると、キャラクターの過去や背景に思いをはせてしまう。スーツ姿の殺し屋なら過酷な銃器訓練、柔道的な近接訓練にいそしんだ過去が見える。インドネシア発のバイオレンスアクションならシラット(東南アジアの武術)に打ち込んできた姿が見える。いいアクションからはストーリーが見えるのだ。
本作のジョニー・ケイジもまさにそれ。ジーパン、革ジャンのカジュアルな装いで、ハリウッド映画らしいた空手のように拳と開手を前に構える。そして前蹴りを見せつつ、大胆にも正拳突きを敵に叩き込むのだ。

また、ジョニーをカール・アーバンが演じているのも意味深い。『ロード・オブ・ザ・リング』や『スタートレック』、リブート版『ジャッジ・ドレッド』(2013年版)、昨今ではブラックコメディドラマ『ザ・ボーイズ』のブッチャー役など、さまざまな人気作に出演してきた彼が、往年のハリウッドスターを演じるのだから。
過去の栄光に引きずられながらも、打ちのめされた現状に嘆き酒をあおる、悲壮感漂う背中。口を開けば皮肉たっぷりで周囲から反感を買いがち。でも、ピンチのときには気合を入れてキッチリ決める。そんなジョニーを『ザ・ボーイズ』内で豪胆に暴れまくったカール・アーバンが演じるのだ。ハマらないわけがない。




現代的ハリウッド異能バトルは必見! でもグロ注意!
ビームや火炎放射、メカ腕、飛んでいく丸ノコ(みたいな帽子)などなど、王道からクセ強まで多彩な異能が正面から衝突する。それだけに限らず現代的なハイレベルのコンバットも見られる。ド派手な異能×現代的マーシャルアーツのシナジーはきっとアクション好きの心を捉えるだろう。
ただし、ゴア表現に慣れていない人が目を背けたくなるような表現は多々ある。日本で原作が発売されない理由を徹底的に叩き込まれるだろう。
原作ファンが楽しめるかについては、前作同様、自信を持って間違いなく“イエス”と答えられる。格闘戦にコマンド技を忍ばせるぐらいは当たり前。超ド派手なFATELITYだって気前よく見せてくれる。楽しめないわけがない。
“前作を見ておいたほうがいいか問題”に言及しておくと、正直見なくても全然楽しめる。たしかにキャラクターの関係性、因縁など見ておくとわかりやすい要素はある。
ただ、本シリーズで楽しんでほしいのはドラマ性よりもあくまでもアクションのように思う。ファイターがふたり並んで能力と格闘技を使って容赦なく殺し合う。そこは前情報などなくともキッチリ楽しめる。なんなら、本作のキーパーソンであるジョニーとキタナは前作には登場していないくらいだ(匂わせ要素はある)。
【おまけ】編集部で原作ゲームをプレイ
だが、ファミ通編集部には多数のゲームアーカイブのコレクションがある。ジョニー・ケイジたちに思いをはせ、いろいろなキャラクターで遊んでみた。

モータルコンバット トリロジー

シンプルなボタン操作、めちゃくちゃ強めに設定された敵NPCとレトロゲームらしさを存分に味わえた。
→→P、↑↓Kなどコマンド技は比較的シンプルで出しやすいが、なにせ敵が強い。コマンドを入れるあいだにもう画面端に追い込まれているなんてことはザラだった。
最初に選んだのはもちろんジョニー・ケイジだ。おなじみのサングラスを戦いに挑む姿が映画とダブる。まったく同じアクションというわけではないが、「これがジョニーの原点なんだなぁ」とゲームプレイすると感慨深いものがあった。
イメージカラーなのか緑のオーラをまといながら放つ技が特徴的。彼がなぜ超人的な技を使えるのかいっさいの説明がなかったが、高名なハリウッドアクションスターなら、弾も自在に出せるようだ。



モータルコンバット II
手から炎をくり出し敵を燃やす鳳凰北拳(フェニックスファイアーショット)、空中で連続蹴りを放つバイシクルキックこと空打裂傷脚(エア・シューター)を発動できたときには、「映画のまんまじゃん」と感動してしまったのも事実。ちなみにこのふたつは前作の映画でも見られる。機会があればぜひチェックしてほしい。


『モータルコンバット/ネクストラウンド』作品概要
- 監督:サイモン・マッコイド
- 製作:ジェイムズ・ワン、トッド・ガーナー、サイモン・マッコイド、E・ベネット・ウォルシュ
- 制作:ニュー・ライン・シネマ ほか
- 出演:カール・アーバン、真田広之、浅野忠信、ルイス・タン、ジョー・タスリム ほか
- 全米公開:2026年5月8日
- 原題:MORTAL KOMBATⅡ
- 配給:東和ピクチャーズ・東宝
- 映倫区分:R15+










