メインのストーリーのシナリオを追うだけでなく、街を移動しているだけでもなんか楽しい。オープンワールド作品のプレイヤーには、そういった楽しみかたをしている人も多いことと思う。
建物の作り込みがすごい、マップが広い、配置されているオブジェクトが多いなど、さまざまな尺度があるが、筆者が注目してほしいのは、これ。

ゴミである。
ゴミの存在はオープンワールドにおいてもはや必須と言えよう。ゴミがない街なんか存在しないし、ゴミが捨てられていることは、捨てた人が存在するということだ。この図式により生活感が演出され、リアリティーのあるマップが表現される。マップ制作において抑えておきたいツボ、刺激的なスパイスであると筆者は考えている。
ということで、本稿ではゲーム開発スタッフによって配置された最高のゴミをいくつかご紹介したい。
その存在にはそれほど意味はないが、現代ゲームにおいては必須と言っても過言ではないゴミたち。その勇姿をご覧あれ。
- 『サイバーパンク2077』
- ストリートファイター6
- 『デス・ストランディング 2: オン・ザ・ビーチ』
- 『サイレントヒルf』
- 番外編:ゴミを探したけど全然なかった!
- ゴミとはゲームの世界をさらに盛り上げてくれる立役者?
『サイバーパンク2077』
サイバーパンクという世界設定においては、近未来のバイオテクノロジーによる肉体改造や、極度の発展を見せ、しかしそのせいで荒廃した街並みがおなじみだ。そして本作はそのテイストを存分に味わえるオープンワールドアクションとなっている。
この世界はもう荒れに荒れているため、ゴミがそこかしこに放置されている。なんなら人間も遺棄されている。
超大ボリュームのマップにはいたるところにゴミが置かれており、その作り込みが不潔な生活環境や人間の息遣いを感じさせてくれる。
ただ、地面にはいたるところにあの忌み嫌われている黒光りする虫が闊歩しているので、虫が苦手な人は要注意。
巨大メトロ都市・ナイトシティはゴミとゴミ人間の宝庫

ドラム缶に無造作に詰め込まれたゴミの山。分別? しないしない。そんな、常識人じみた“分別”のある人間はナイトシティには存在しない。

空き缶のほかに見てほしいのは、“何かもともと箱に入っていて蓋部分を取り外した後に残る段ボールの空き箱”のようなゴミがあること。じつに細かい作り込みだと感嘆せざるをえない。しかも、空き箱を無造作に捨てて商品だけ持って行くというスタイルは、そもそもどこかから盗んできたのではないかと想像させる。
こういうゴミがナイトシティに現実感を生み出している。





ゴミ焼却で暖を取る。有害物質の排出に目をつむれば一石二鳥と言えるかもしれない。

打ち捨てられた廃車。おそらくどれも盗難車で分解された挙句パーツは売られたのだろう。多種多様な乗り物を運転できる本作では、クルマの廃棄物も多種多様な形となっている。廃車は基本的にはタイヤがついていない。けっこう高く売れるのかも? 必ず4つ付いているし。


おいしそうな食べ物とゴミのコントラストが味わえるのも『サイバーパンク2077』の醍醐味。絶対衛生的にヤバい。ナイトシティには料理屋も多く、屋台には謎のアジア系料理が立ち並ぶ物が多い。「ふたつで十分ですよ!」(映画『ブレードランナー』の屋台)のような、サイバーパンク世界のお約束?

ゴミ袋や収集場所のようなコンテナは存在しているのだが、肝心のゴミ収集が機能していなさそう。あと、やけに食べかけのピザがそのまま捨てられている。なぜ。ふつうなら残さないと思うが、もしかしたら食べている最中に命を……。


市街地の雰囲気がある場所には、家電やバイクっぽいゴミも落ちている。当然不法投棄。よく見ると体に悪そうなマークが描かれているけど気にしない。原子力発電モーターバイク……?

ちなみに、ゴミの中にも回復アイテムや換金アイテムなどが落ちていることがあり油断できない。拾った飲食物なので胃腸には悪そうだが、背に腹は代えられない。

ストリートファイター6

“ワールドツアー”モードで散策できるメトロシティは、一般人もファイターとして戦いに明け暮れる破天荒な場所。一部のエリアはアウトローな人間のたまり場となっており、そういった場所にはたくさんのゴミが落ちている。
整理された都市部と、荒廃したスラムのコントラストが同時に楽しめるのが本作の魅力だ。
あのメトロシティも荒れに荒れている
もっとも賑やかな中心部はゴミは少なめ。ただ、いきなり乱闘が始まったりする。それがメトロシティだ。

商店の軒先には、回収待ちのゴミ袋が積み重なっている。まだ回収はされていないが、むやみに打ち捨てられているわけではなくきちんと指定の場所に置かれているようなので、そのうち回収されるのだろう。段ボールなどの資源ゴミっぽいものも確認できる。ナイトシティに比べれば分別されている感がある。


ゴミがきちんと1箇所にまとめられているだけも治安がよく見えるから不思議。割れ窓理論に近いものがある。店の前は店員が掃き掃除をしているのか、軒先はかなりキレイにまとまっている。

しかし、メトロシティの中心部から少し離れるだけでいきなり荒れに荒れまくる。道の中央にクルマが打ち捨てられるくらい日常だ。隣りにあるドラム缶はベコベコのベコ。恐らく、ファイターたちがボーナスゲームで破壊したものの残骸だろう。

ちなみに、『ストリートファイターV』にも登場したアビゲイルが運営している(であろう)“アビゲイルスクラップメタル”には数々のゴミが集まっていて、ゴミマニアとしては見どころだ。クルマなどのゴミを解体して再利用しているのかもしれない。

『ストリートファイター6』の世界での大人気キャラクター、ブランカちゃんの人形も落ちていた。何かを語り合っているようにもみえる。キレイな状態なので手に入れたばっかりなのかも。

物語の中盤から訪れる土地“ナイシャール”は、インフラが整っておらずそこかしこにゴミが溢れている。ゴミの種類も、木片やブロック、布、縄、汚れた衣料品などが目立ち、メトロシティにあるものとは種類が異なる点に注目。雨風にさらされて、いまにも朽ち果てそうだ。


『デス・ストランディング 2: オン・ザ・ビーチ』

そんな環境のため、地上には大自然が広がり建物などは旧時代のものが雨風によって朽ちかけているのが現状だ。ゴミというよりは遺跡のカテゴリーに当てはめたほうがいいのかもしれない。この世界で、また人類がゴミを捨てられる日が来ることを祈るばかりだ。
ゴミというよりは遺物と言ったほうがいいかも?

人類を未曾有の危機に陥れた災害からはそれほど年代が経っていないのだが、この世界では触ると対象の時間が高速で経過してしまう“時雨”が降り注ぐため、何10年も時間が経っているような朽ちかたをしているのかもしれない。






旧時代のものと予想する朽ち果てたタンク(画像上)と、テクノロジーを感じるキレイなタンク(画像下)。シェルターの周囲で確認できるので、住人の飲料水などを溜めているのかも? ろ過して飲んでいるのかも?


『サイレントヒルf』

シリーズとしては久しぶりの完全新作となり話題となったホラー作品。主人公の雛子が住む戎ヶ丘(えびすがおか)は岐阜県下呂市金山町がモデルとなっており、入り組んだ地形が物語の不気味さを際立たせている。
肝心のゴミはというと、古びた置物などは確認できるものの目につくものは少ない印象。人口過密の都市でもなく、治安も(ゲーム開始時点までは)崩壊しておらず、何よりきれい好きの日本人が住んでいるからかしら……。街や建物は全体的に錆や経年劣化を感じさせるが、いまなお使われていそうな生活感を感じさせる。
日本だから? ゴミは少ないけど生活感を生む小物は多数。でも人がいなくて不気味
ゴミではない生活小物は多く置かれており、非常に生活感がある。しかしゲーム中では主要人物以外は登場しない。生活感はあるのに人がいないという違和感はかなり不気味に感じる。こういった日常感と非日常感が、本作の不気味さをさらに盛り上げてくれている。





ゴミと呼べるゴミは、ときどきビール瓶が落ちているくらい。ゲーム中ではお菓子や飲み物などの回復アイテムは拾えるが、ビールは拾えない。未成年だから。現実では酒屋さんに持っていくとすこしお金がもらえたものだ。




番外編:ゴミを探したけど全然なかった!
ロスト ジャッジメント:裁かれざる記憶
日本を代表するオープンワールドゲーム『龍が如く』シリーズのスピンオフ作『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』では、おなじみの神室町に加え、伊勢佐木異人町が物語の舞台となるが、繁華街となる場所にもまったくゴミは落ちていない。
ゴミはきっちりとゴミの収集場所にまとめられており、ホームレスの住居となる場所や、飲み屋街の一画でやっと確認できる程度となっていた。
本来ならゴミを見つけてもうれしくないが、今回は探索中にまったくゴミが見つからなかったので、空き缶のゴミを見つけたときは「やっと見つけた!」とうれしくなってしまったほど。
神室町のような危険な町も清潔な環境が維持されているのは、日本が誇るべき文化だと断言できる。










「神室町ならゴミなんていくらでも落ちているだろ」、と思っていたのがたいへん恥ずかしい。
日本有数の繁華街でさまざまな職種の人間が集まる場所であっても、道は清潔に保たれているのが特徴的だ。神室町の最奥とも言えるチャンピオン街の片隅で、やっと空き缶のゴミを発見! ラベルを見るとアルコール飲料のようなので、お店の外で飲酒していた人が捨てたものなのだろう。飲み過ぎである。さすがチャンピオン街。

ゴースト オブ ヨウテイ
江戸時代初期の蝦夷地(現在の北海道)での戦いが描かれる本作。きびしい大自然のなかで最低限の暮らしのなかを生きる人々たちは、まだゴミを出すだけの余裕は存在していない。
農具や食料などはそこかしこに置かれているが、今回のテーマとなっているいわゆるゴミは、まったく確認できなかった。
ゴミとは、人間の生活の豊かさを体現するものなのだと、本作をプレイして考えさせられる。う~ん深いテーマだ。





ゴミとはゲームの世界をさらに盛り上げてくれる立役者?
ゴミとは人間がいることではじめて存在する。つまり、そこで人間が生活していることを裏付けている証拠だといえるだろう。
ゲームの世界にさらに深みを出すために配置された名脇役の存在に、ぜひともちょっとだけでも目を向けてみてほしい。意外といい味出しています。























