短期連載最終回となる本記事では、短期連載として実際に収録されている内容を紹介します。年100回以上専門学校や大学で講演をしている中で、イラストレーターになるコースを選択している学生が増えてきているという実態に直面します。そんな実態について語った本書の“第四章:イラストレーターを安易に目指すな”から、一部抜粋して掲載します。
安易にイラストレーターを目指してはいけない
そこでわかったことをまとめると。
- ゲームコースの志望者が減っている
- コミック&イラストコースの志望者が多い
正確にはコミック(漫画)ではなくイラストコース=イラストレーター志望が多い。
ゲーム業界志望者が減っているのは悲しい限りですが。
今回は②のコミック&イラストコースについてのお話
そもそもコミック(漫画)コースの志望者が減っているのは何故か?
学校関係者いわく“みんなお話を考えるのが苦手だから”だそうです。
だから消去法でイラストレーターを目指している、と。
これを聞いて私は先生方に「え、イラストレーターなめてんの? 」って言ったら「なめてます」って言われました。
(中略)
ということで何故安易にイラストレーターを目指してはいけないか? という話をします。
理由(1)単価が安い
ゲーム業界だとスマホゲームのカードイラストでもだいたい1枚の相場が5万円から10万円くらいです。
「え? カードイラストってそんなにもらえるの?」って思った人は次の理由(2)をよく読んでください。
理由(2)生産効率が悪い
「え? 集中してやれば○○時間でイケますよ!」って言っちゃう人は仕事だってことを忘れてますよ。イラストの仕事には必ずクライアント(場合によっては版権元)が存在します。
集中して絵を描くだけならば○○時間かもしれませんが、実際はそうはいきません。
世界観・設定などがすでに存在していて、まずはそれに準拠したラフを数点制作してそれを提出。その後クライアント側から「確認します」と言われて数日後(だいたい翌週)に「もっとこうしてください」というリクエストが返ってきます。
その修正案を描いたらまた提出して返答待ち。その後に線画→着彩→仕上げという工程の度にチェックバックを待たなければなりません。
たった1枚の絵を完成させるのに10日から2週間かかるのが実態です。
相手あっての仕事ですから。これは避けて通れません。
理由(3)生活が出来ない
そこから確定申告して税金を納めるんですよ? とてもじゃないですが生活は出来ませんよね? そうなるとどうなるかというと結局バイトをしてしまうのです。全くイラストの仕事とは関係のないバイトをね。
こうなるともうお終いです。
生活のためのバイトだって体力を使いますし人間関係だってあるわけですから、もうイラストのことなんか全然考えられなくなってしまいます。
だんだん「きついのでイラストの仕事減らしていいですか? 」ってワケのわからない思考になっていきます。
こうなるともう“職業=イラストレーター”ではありません。
今回はあえて“ひどいパターン”のイラストレーターの末路を紹介させていただきましたが、もちろんそうでない方もいらっしゃいます。
ライトノベルの表紙に大抜擢されてその作品が大ヒットしてアニメ化もして、一躍有名イラストレーターになって一気にギャラが高騰した例ももちろんあります。
けど、そんな例ってどれくらい転がってますか?(しかもそんな有名イラストレーターも最初は上記のような条件からスタートしています)
日本を代表するイラストレーターの名前って何人言えますか?
イラストだけで食べているプロのイラストレーターやキャラクターデザイナーの名前ですよ。
10人くらいは言えますか?
では世の中でイラストレーターを目指している人は何人いるのでしょう?
専門学校や大学の数に加えてフリーターなんかも入れるとその数は10万人以上ですよ。
そうなると1万人に1人がプロになれるって計算です。
文字通り「万が一」の確率でしかプロのイラストレーターにはなれないんですよ。
それをわかった上で「イラストレーターになりたい」って言うのであれば良いと思います。
ただ、忘れないでほしいのです。イラストレーターの実態を。
(中略)
この章を読んだ方で「は? イラストレーターとして俺はやっていけてるし」と思われる人もいるかもしれません。そういう方はなんの問題もないと思いますし夢が実現出来て実に喜ばしことだと思います。
問題はそういう人はほんの一握りしかいないという現実に対してあまりにも無作法に無計画に無自覚になんとなく目指しているだけの人が多いという事実です。
しかも誰も本当のことを教えてくれず、学校の先生ですら「君が目指すのなら応援するよ」とあまりにも無責任な対応をしてしまっていることです。
実に残酷な事だと私は思います。
正しい知識と戦略を持ってなるだけ無駄な時間を過ごさせずに真っすぐに送り出してあげたいものです。
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