大堀康祐氏が代表を務めるゲーム開発会社マトリックスに設立されたゲームブランド“マトリックスクリエイターズ”から、『逆道』と『骸ノ螺旋』の2タイトルがそれぞれSteamにてリリースされた(※)。
※『逆道』は2026年2月6日、『骸ノ螺旋』は2026年2月13日に配信開始。 1タイトル目の『逆道』は、『サルゲッチュ』、『ICO』、『ワンダと巨像』などを手掛けてきた海道賢仁氏が手掛ける1980年代のアーケードゲームを再現したアクションゲーム。ヘリコプターに逆さ吊りになったキャラクターを操作して激しい空中戦をくり広げるインパクト満点のグラフィックが特徴で、2026年2月6日にSteamにてリリースされた。
もう1タイトルは、忍者の主人公・螺旋を操作して迫りくる敵を倒しながら塔を登っていく『骸ノ螺旋』。『カスタムロボ』シリーズや『コズモギャング・ザ・ビデオ』、『コズモギャング・ザ・パズル』、『ゼビウスアレンジメント』などを手掛けた見城こうじ氏が制作するローグライトアクションゲームで、2026年2月13日にSteamにて発売された。
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本稿では、いよいよリリースとなった『骸ノ螺旋』のサウンドを手掛けた2名のコンポーザーである古川典裕氏、Sean Bialo(ショーンバイロー)氏へのインタビューから、ゲームの魅力を紹介。
和楽器のテイストを取り入れつつ、それぞれの個性が光るサウンドの魅力や、ゲーム開発時のエピソードなどを語っていただいた。
『骸ノ螺旋』では、上記のおふたりが手掛けた楽曲を自由に切り換えてプレイできるのが特徴。気分や好みによって好きなBGMを設定して、塔を上って上って上りまくろう。
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古川典裕氏(ふるかわ のりひろ)
『骸ノ螺旋』ではBGMに加え、SEの制作を担当。元ZUNTATAのメンバーで、なかやまらいでん名義でも活躍。代表作は、『電車でGO!』シリーズ、『グリッドシーカー』、『ライトブリンガー』など多数。(文中は、古川)
Sean Bialo氏(ショーン・バイロー)
古川氏とともに『骸ノ螺旋』のBGMを制作。レトロサウンドの制作を得意とするカナダ出身のコンポーザーで、直近では『Donut Dodo(ドーナツ・ドド)』や『Double Dragon Gaiden(ダブルドラゴン外伝)』などの音楽を手掛けている。(文中は、バイロー)
「大ベテランの見城さんの名前に驚きました」──古川典裕氏インタビュー
――ゲームの企画を聞いたときの第一印象をお聞かせください。
古川
まず見城さんの名前にたいへん驚きました。アーケード・家庭用ゲームでさまざまなタイトルを手掛けられてきたというのはもちろんですが、なんといっても自分が学生時代に読んでいた雑誌(※)のライターさんの印象が強かった方だったので。もう、業界の大ベテランですよね。
※電波新聞社『マイコンBASICマガジン』のこと。“チャレンジ! ハイスコア”や“激論! ビデオゲーム”など、アーケードゲームに関する記事を執筆していた。 最初にゲーム画面を見せていただいたのですが、モノクロ主体でとにかくスタイリッシュ。筆文字のタイトルロゴもたいへんカッコよく、これは間違いなくおもしろくなるぞと期待が高まりました。
――本作は和風の忍者アクションですが、世界観をどのように捉えて、どのように表現しましたか? また、とくに心掛けた点などがあれば教えてください。
古川
まず和楽器によるサウンドはところどころに散りばめたほうがよいのかなというところと、ノンストップなアクションゲームということで曲のスピード感はかなり意識しました。最初にFM音源のベースラインを作ったあとでサウンドを膨らませ、最終的にあの形になりました。
また、「自分の色も強く出していい」とも言われていたので、メロディをしっかり聴かせる楽曲に仕上げています。会社員時代の先輩がとある有名忍者ゲームを手掛けているのですが、それを頭の片隅くらいには意識したかもしれません。
――オーダーから楽曲を仕上げるまでにかなりのスピード感だったと聞いているのですが、何か心掛けていることはあるのでしょうか。
古川
仕事が早いというよりは、夏休みの宿題を先にやってしまいたいタイプなので、イメージが湧いたとっかかりの集中力が続いているうちに一気に形にした次第です。心掛けていることとしては、今回は効果音も担当していますが、ふだんから「このサウンドでゲームをやっていて楽しいかどうか」をいちばんに考えて作成しています。楽曲はゲームのイメージを拡げますが、効果音は“ゲームそのもののおもしろさ”に直結する、と考えていますので。
――ディレクターの見城氏とのお仕事は初めてとのことですが、じつは以前に面識があったとうかがいました。
古川
1988年の夏ごろだったと記憶しています。私が所属していた会社の新作ゲームがロケテスト(ゲームセンター等で実際にユーザーにプレイテストをしてもらうこと)をしていて、仲のよい同期といっしょに様子を見に行きました。まだ未発売なのに、たいへんにうまいプレイヤーさんがいらっしゃいまして、同期が「見城さんだ!」と気づいたのです。私も名前はよく知っていましたがお顔は知らなくて……。これはたいへんな有名人に出くわしたなぁと(笑)。
その場で軽く挨拶をして、その新作についていろいろ話が盛り上がったのを覚えています。『骸ノ螺旋』の打合せでネット越しに顔を合わせたのが、その時以来の再会ということになります。長く業界に居ると、こんなうれしい偶然もあるのですね。
――そんな出会いがあったんですね。そのほか、こんなこだわりがある、といったエピソードがあれば教えてください。
古川
じつは本作のサウンド制作をするにあたり、スケジュールの都合上ほとんど動く絵を見ることができませんでした。そのため、開発資料の情報だけをヒントにイメージだけでサウンドを作ったのですが、見城さんが作成された開発資料にかなり詳細に情報が詰まっていたので、制作はスムーズでした。ゲームが実際に動いてからは、効果音数個の調整だけで済んだので、本当に助かりました。最近はキャラクターの動きに合わせてサウンドを作ることが多くなりましたが、昔はテキスト頼りの制作も多かったので、業界に入ったばかりのころの感覚を思い出していましたね。
――最後に、プレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
古川
サウンドからも、ゲームをよりおもしろくできていたらいいなぁ、熱く遊んでもらえたらいいなぁと思っています。私の楽曲ももちろん聴いてほしいですが、ショーン・バイローさんのBGMもめっちゃくちゃカッコいいので、どちらも思い切り楽しんでください!
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「和風忍者のアーケードゲームならではのサウンドを意識しました」──ショーン・バイロー氏インタビュー
――ゲームの企画を聞いたときの第一印象をお聞かせください。
バイロー
お話をいただいたときは、本当にワクワクしました! サウンドを手掛けるのが、まさに私自身がふだんから遊んでいるようなタイプのゲームだったからです。私が大好きなゲーム音楽の多くは、本作のようなアーケードスタイルの作品にあります。作曲家として、このような機会をいただけたことは非常に刺激的な挑戦でした。
――本作は和風の忍者アクションですが、世界観をどのように捉えて、どのように表現しましたか? また、とくに心掛けた点があれば教えてください。
バイロー
和風忍者ゲームということで、楽曲全体を通して“平調子(ひらぢょうし)”という日本の伝統音楽でよく使われる音階を取り入れました。また、琴や三味線といった和楽器の音も使用しています。これらをさまざまなアーケード音源のサウンドと融合させて、“和風忍者のアーケードゲーム”ならではの響きを作り出すことを意識しました。
――ディレクターの見城氏とは、以前からSNSでつながりがあったと聞いています。どのようなつながりだったのでしょうか?
バイロー
はい、今回のお仕事のまえからSNSでお互いにフォローし合っていました。見城さんが『Donut Dodo』(ドーナツ・ドド)の音楽を気に入っていると投稿してくださったのですが、私は見城さんが生み出した『カスタムロボ』シリーズが大好きだったので、本当に感激しました! 私はニンテンドーDSの『激闘! カスタムロボ』で初めてこのシリーズに触れ、そこからさかのぼってニンテンドウ64やゲームキューブのタイトルも遊び、すっかりファンになったんです。長年憧れていた伝説的なゲームクリエイターといっしょにお仕事ができるなんて、まさに光栄の至りです。
――日本に何度もいらしてるとのことですが、日本のどこが気に入りましたか? また日本でどのようなことをされましたか?
バイロー
日本で何より好きなのは、ゲーム、音楽、食、建築など、あらゆるものに対する“職人魂(クラフトマンシップ)”への深い敬意です。私自身、創作において細部にまでこだわり抜くことを大切にしているので、そうした価値観が多くの人に共有されている日本は、とても居心地がよく感じます。ふだんはBitSummitや東京ゲームショウなどのイベントに合わせて訪日しますが、滞在中はゲームセンターに行ったり、新しい料理に挑戦したり、チップチューン(ファミリーコンピュータなど、クラシックゲーム機のサウンドを再現した音楽ジャンル)のDJイベントに出演したり、友人や同業者とお酒を飲んだりと、いつも充実した時間を過ごしています。
――先日も来日されて、大堀氏や『骸ノ螺旋』のスタッフとお会いされたとのことですが、そのときの思い出を教えてください。
バイロー
最高にすばらしく、夢のような体験でした! ようやく見城さんに直接お会いできましたし、チームの皆さんとお会いできたことも本当にうれしかったです。マトリックス社のオフィスも見学させていただき、とても楽しめました。個人的にもうひとつのハイライトだったのが、大堀さんと『アランドラ』についてお話しできたことです。大堀さんが1997年にディレクションされたこの作品は、私に大きな影響を与えた、人生で最も好きなRPGのひとつなんです。大堀さんからサイン入りの攻略本をいただいたのですが、いまでは私の最も大切な宝物になっています!
――カナダのゲーム音楽と日本のゲーム音楽に何か違いはありますか?
バイロー
日本のゲーム音楽は、たとえ激しいゲームやダークなゲームであっても、非常に強くて記憶に残る“メロディ”を重視していると感じています。一方で、欧米のゲーム音楽は“雰囲気やリアリズム”に重点を置くことが多いですね。私個人としては、その両方、つまり強いメロディセンスと濃厚な雰囲気の両立をつねに目指しています。
――そのほか、何か裏話的なエピソードがあれば教えてください。
バイロー
本作の和の雰囲気と、アーケードゲームらしい疾走感を融合させるのは楽しい挑戦でした。本作は異なる作曲家のサウンドをプレイヤーが選択できるので、古川さんの楽曲のテイストに合わせつつも、私自身の個性がハッキリと伝わるような音楽にしたいと考えました。そのために、音の質感やリズムの選択においては、より実験的な試みを重ねることができました。
――最後に、プレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
バイロー
私の音楽が、皆さんがこのゲームの世界へより深く没入する手助けになれば幸いです。私のものだけでなく、ぜひ古川さんのサウンドでもプレイしてみてください! お互いの楽曲がゲームに独自の風味を加えていますし、何度もくり返しアクションを楽しむためのスパイスになっていると思います。
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