『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』は恐怖に満ちている。
世界観のベースは1986年に実際に起きたチョルノービリ原発事故。ポストアポカリプス風の世界や不穏な空気の中で異形のモノが襲いかかってくるホラー要素、油断がすぐ死に直結するハードコアなサバイバル体験。これらが一体となって多くのFPSプレイヤーを魅了する『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズの最新作だ。
荒廃した地域には立入禁止区域“ゾーン”が広がる。そこには、バンディット(ならず者)やミュータントたちと戦いながら困難な依頼の完遂を目指す命知らずがいた。彼らは“ストーカー”と呼ばれ、主人公のスキフもそのひとりだ。ジャンルをひと言で表すとサバイバルシューティング。そこにホラーの要素もつきまとう。
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ときには超常現象を調査。幻想的で美しくもあるが、同時に恐怖も呼び起こさせる。
と、本作の魅力はいろいろあるものの、筆者がとくに惹かれたのは“ホラー”要素だった。ミュータントをはじめ、ゴースト、異常現象、ポルターガイスト、精神異常など、どこかクトゥルフ神話を思い起こさせる。異常現象を探知する装置があったり、逆に怪異をうまく利用したりする場面があったりと、これぞ“まさにクトゥルフ神話的”。SPC財団の兵隊になった気分だ。
ちなみに、筆者は本シリーズ初体験。すでにPC版のレビュー記事は掲載されているので、初見の素直な感想やPS5版の触り心地を中心にしてほしいと編集者からオーダーを受けている。
「新作を遊べるぞー」とわくわくしながら取材現場に向かい、説明を受けたら気分が重くなってしまった。開発を手掛けたのはウクライナのゲームデベロッパー・GSC Game Worldだ。度重なるハッキングやロシアによる侵攻など度重なる困難に阻まれながらも制作された本作。延期を重ねながらも何とか2024年11月21日にPC/Xbox Series X|S版がリリースされたと聞き、背筋が伸びる。
そんな同作のプレイステーション5(PS5)版が2025年11月20日に発売予定。シリーズ初見の身ではあるが、“ハードコアなサバイバル体験”がどのようなものなのか、素直に気になる。ゲームパッド(コントローラー)でのFPSに慣れているので、なんなら「ちょっと試してやるか」ぐらいに思っていた。
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当然のように、本作は甘くなかった。ミュータントにビビりまくりながら死にまくるはめに。開発陣の殺意は容赦がない。『S.T.A.L.K.E.R. 2』を舐めて自信喪失した筆者の体験会のレポートお届けしよう。
可能性を感じたジャイロセンサー
PS5版の特徴と言えば、DualSenseワイヤレスコントローラーを使ったジャイロセンサーの操作精度。これがあまりにも高い。高すぎて妙に感動してしまった。
ジャイロセンサーはコントローラーの動きを検知して照準などを操作できる機能だ。腕を振るようにしてスムーズに銃の向きを変えられる。これが“直感的な操作”というやつか。
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ADS(サイトを覗き込んで撃つ精密射撃)の際にジャイロセンサーを使って操作できる。
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覗き込んでいないとき、ジャイロセンサーは反応しない。
コントローラーで遊ぶコンシューマーゲームのシューター(FPS/TPS)は、多くの場合、敵を狙う際に親指でスティックを操作して調整するが、それでは微調整が効かないので、遠い小さな目標を狙うのはなかなか難しい。
もちろんそれを解消するためのエイムアシストもあるにはあるが、100%自分の狙いどおりに標準を合わせてくれるわけではないので、ときには邪魔になる場合もある。
エイム微調整問題を解消する糸口こそ、このジャイロセンサーかもしれない。個人差はあるだろうが、筆者は相性がよかったようで、とくにストレスは感じなかった。しかも、よくある上下操作だけではなく左右にも対応している。すばらしい。
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標準から少しズレていてもコントローラーを少し動かすだけで対応できる。意外にもこれがけっこう楽だった。
もちろん慣れは必要だが、個人的にはマウス操作に遜色ないポテンシャルがありそうな予感。新しいエイムの形を示してくれた。問題があるとすれば、コントローラーをブンブン振り回す姿をさらすのがちょっと恥ずかしいくらいだ。他人に見られることはないだろうし、見られたとしても、そのときはそのとき。羞恥にも慣れるのが勝利のコツである。
脳筋を苦しめるほどにハードコア。ヒーローを気取ると死ぬ
正直に言おう。本作はけっこう難しい。エイム力に任せて高性能な装備でゴリ押そうとすると、すぐに死ねるハードコアな難度に仕上がっている。
銃を持っている敵NPCは神エイムでビシバシ弾を当ててくるし、マップによっては草が生い茂っていて敵が見えない(のにアイツらは当ててくる)。ダッシュで襲いかかって来る犬もいれば、ノシノシ突進してくる化け物もいる。
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犬(と勝手に読んでいるなにか)。振り返るとなぜかいるし、すばしっこいので厄介。ショットガンを避けるな。
危険なゾーンでは物資の管理が重要だが、潤沢とは言えない。事前に持っていける銃弾や回復、補給用のアイテムには限りがあるし、向かう先にアイテムがある保証もない(むしろないことのほうが多い)ため、現地調達も難しい。
限られたアイテムをやりくりしてミッションをこなさなくてはならない……にもかかわらず、敵はあふれかえっている。数メートル歩いたらすぐにエンカウントして戦闘開始だ。弾はバンバン撃たされるわ、回復用の注射器も絶え間なく使わせられるわ……。あいつら人じゃねぇ。当たり前だけど。
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お世話になりまくりな回復用の注射器。残数にビビって節約すると死ぬので使わないという選択肢はない。
そのため、遮蔽物に隠れてリーン(上半身の一部だけを出すこと)しながら撃つ、そもそも見つからないように動くなど、臆病者のムーブがかなり重要だ。というか、それでも全然死ねるので足りないくらい。
筆者は昨今のフィジカル&エイムでなんとかなってしまうFPSに慣れてしまっているので、“死”の感覚の調整にかなり時間を費やしてしまった。戦略的かつ慎重な戦闘行動が攻略において非常に重要という当たり前が無理やり身体に刻み込まれる。みなさんがゾーンに行く際は、事前に「自分はヒーローじゃない」と3回復唱することをオススメする。いや本当に。
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岩陰からビビりながらリーンする一例。これぐらい慎重じゃないと即死する。
ジャンルをクトゥルフホラーに改名してほしい
そしてもうひとつ難度を上げている要因がある。“ホラー”の部分がちゃんと怖ぇのだ。聞いてた話と違くないか? 編集者は「ホラーがメインのゲームじゃないから」と言っていたのに。
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作中に登場するという化け物。もう怖い。
突然変異したミュータントと戦うという話だったじゃないか……。いやまぁたしかにゾンビみたいな犬、ムキムキで鈍重な4足歩行のゴリラみたいななにかなど、フィジカルに任せて襲ってくるミュータントはいた。獣らしく徒党を組んで襲ってくるし、なにもアイテムを落とさないしでコイツらも嫌っちゃ嫌なんだが……。
いるはずのない女の子の幻聴が聞こえたり、後ろから謎の足音が迫っていたり、精神に作用してカメラジャックしてくるやつがいたり、空を飛ぶプラズマ、謎の竜巻、つぎつぎ発生するポルターガイスト現象……まさかショットガンがこんなに頼りないとは思っても見なかった。銃で死ぬやつだけ来てほしい。
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暗い廃墟でひとり、ミッション目標の近くで激ツヨミュータントに出くわしたときの図。詰んでいるかもしれない。
たとえ銃で撃てたとしても硬いし強いし……。もうこれ新しいクトゥルフホラーじゃん。
とくに幻聴はやばかった。ないはずの足音、話し声が聞こえてくるせいで集中力をそがれる。おかげで探索中の何気ない環境音にもビビる始末。いわずもがなFPSは環境音も情報収集において非常に重要だ。にもかかわらず、それを惑わせるという邪悪。許せん。
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霧が深くて誰もいない暗い廃墟跡で、どこからともなく女の子の声が聞こえたときを想像してほしい。
しかもなにがヤバいってこちらはジャイロ操作で敵を狙っていることだ。ビビって震えればそれだけ操作に影響が出る。ジャイロ操作の精度がけっこういい分モロに出る。それで外せば敵が迫ってきて焦ってまた外す……という悪循環にもハマる。これモンスター映画でパニックになって乱射して死ぬやつじゃん。あれ俺だったんだ。
怖さを紛らわせようと軽いノリで書いてみたが、だめだった。やっぱり怖いわ。
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