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『FF7 リメイク インターグレード』が手の中で快適にプレイできる時代が到来! 年末に向けて体験版も準備。順調に開発が進む最終作は「期待に応えられる手応えあり」(浜口D)【TGS2025】

by杉原貴宏

by村田征二朗

『FF7 リメイク インターグレード』が手の中で快適にプレイできる時代が到来! 年末に向けて体験版も準備。順調に開発が進む最終作は「期待に応えられる手応えあり」(浜口D)【TGS2025】
 2025年9月25日~28日、千葉・幕張メッセで開催される東京ゲームショウ2025(25日、26日はビジネスデー)。同イベントのスクウェア・エニックスブースでは、2026年1月22日に発売予定のNintendo Switch 2版(以下、Switch 2)、Xbox Series X|S版、ウィンドウズ版『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』(以下、『FFVII リメイク インターグレード』)の試遊機が出展されている。
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 本稿では、ひと足早くSwitch 2と、Xboxのゲームを手の中で遊べるポータブルゲーム機ROG Xbox Allyシリーズのハイスペック機ROG Xbox Ally Xでのプレイできたので、それを踏まえ、浜口直樹ディレクターのインタビューをお届けする。

浜口直樹氏ハマグチナオキ

「ファイナルファンタジーVII リメイク シリーズ」ディレクター 2003年にスクウェア・エニックスに入社し『FFXII』の制作にプログラマーとして参加する。その後、『FFXIII』シリーズ、スマホアプリ『メビウス FF』など、数々の制作に携わる。 『ファイナルファンタジーVII リメイク』では、共同ディレクターとしてチームを牽引。 (文中は浜口)

ライティングを維持することでハンドヘルド機でも遜色のない印象に

――『FFVII リメイク』の発売から早いものでもう5年が経ちました。三部作という形でのリメイク展開は、他タイトルではない初の試みですが、改めて振り返ってみていかがですか?

浜口
 開発期間を含めると、私自身は10年以上「FFVII リメイク シリーズ」に関わっているのですが、ようやく少しゴールが見えてきたので、そこに向けて進んでいる真っ最中ですね。

――先ほどSwitch 2とROG Xbox Ally Xにて『FFVII リメイク インターグレード』の序盤(ガードスコーピオン戦)をプレイさせていただきました。PS4やPS5など据え置き機でプレイしたときと遜色ない印象で驚きました。

浜口
 ありがとうございます。gamescom 2025やPAX West 2025にてSwitch 2版を触っていただいた皆さんに「こんなにしっかり動くんだ!」と驚いていただいています。

 また、これは自分で感じたことでもあるのですが、据え置きのゲーム機だとプレイヤーと画面が離れているじゃないですか。ですがハンドヘルドマシンだと画面が目の前にあるので、ゲームとより一体感を得られるのではないかと思います。

 据え置き機でプレイ済みの人も「『
FFVII リメイク』が手元で動いている!」という感動をぜひ体験していただきたいですね。

――ポータブルマシンで遊べるようにする際、何か気をつけたポイントや苦労などありましたか?

浜口
 『FFVII』シリーズはキャラクターが非常に重要なので、キャラクターのグラフィックがほかのプラットフォームに比べて著しく違うと、ユーザーとしても不満を感じやすいと思うんです。

 そのキャラクター描写で重要なのは、ライティングです。ここが変わってしまうと顔や表情の印象も変わってしまうので、ライティングに関しては基本的に変更を加えていません。それに加えて、ポストエフェクトやフォグといった部分を近似的な計算に変えて、見た目の印象が変わらないよう調整しています。

 ここはレンダリングエンジニアががんばって最適化してくれた部分で、そのおかげで据え置き機と比べても遜色ない、という印象を抱いていただけているのかなと思います。
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――ゲーム機個別の最適化も重要だと思いますが、それぞれどんなところを重視しましたか?

浜口
 Switch 2に関しては、携帯モードでも安定して動かすための最適化が必要だったので、そこは苦労しました。また、消費電力を抑えることも気をつけています。

 Switch 2の移植タイトルに関しては、まだSwitch 2が発売されて間もないということもあり、「どの程度しっかりと移植できているか」という点でゲームファンの注目度も高く、その目もきびしいのですが、『FFVII リメイク インターグレード』についてはメディアからもゲームプレイヤーからも、非常にポジティブなコメントをいただけています。最適化に注力してよかったなと思いましたね。

――Switch 2のTVモード時の解像度やフレームレートはどうなっているのでしょうか。

浜口
 最大解像度はフルHD(1920×1080)で、フレームレートは30fpsです。携帯モードではDLSS機能(AIを活用したアップスケーリングで解像度を引き上げる技術)により、TVモードとあまり変化を感じることなくプレイできると思います。

――ちなみに、マウス操作などのハードの特徴に合わせた調整は行われていますか?

浜口
 『FFVII リメイク インターグレード』に関しては、マウス操作によって操作性やプレイ体験が著しく向上する場面がないので、マウス操作は考慮していません。

――ROG Xbox Allyシリーズへの対応も行われていますが、こちらについてはいかがでしょうか。

浜口
 ROG Xbox AllyシリーズはOSがウィンドウズベースなので、PC版に近いんですよ。そういう意味で、PC版に対して注力していけば自然とROG Xbox Allyシリーズにも対応できる、というのは非常に魅力的な部分ですね。

 ただ、まだハード自体が新しいこともあって手探りな部分もありますが、マイクロソフト側のエンジニアともやり取りをしつつ、最適化を進めています。
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マルチプラットフォームになっても目指すクオリティーは変わらず

――今後、「FFVII リメイク シリーズ」はマルチプラットフォームで展開していくというアナウンスがありました。

浜口
 それは社長の桐生(桐生隆司氏)の方針ですね。桐生は、今後スクウェア・エニックスが届けるタイトルをマルチプラットフォームにしていく、というビジョンを掲げているので、その意向によるところが大きいと思います。

 いまの時代、特定のハードや環境にだけゲームを届けていれば、大多数に届く時代ではなくなっていると思いますし、そういう意味でマルチプラットフォーム展開という戦略は私自身ポジティブに受け取っています。

――作る側からすると、マルチプラットフォーム展開はたいへんなのでは?

浜口
もちろん、たいへんではあるのですが、ゲームを作る側からすると「自分の作ったコンテンツを多くの人に楽しんでもらえる」というのがいちばんのモチベーションになるんですよね。ですので、ハードウェアの垣根を超えてたくさんのプレイヤーに触ってもらえるチャンスがある、というのは、やり甲斐があります。

 仮にひとつのプラットフォームに絞っていたとしても、開発がたいへんであることは変わりませんし(笑)。

――なるほど。マルチプラットフォーム展開のタイトルでよく聞かれるのは、スペックが低いハードに対応するためにクオリティーが犠牲になる、ということなのですが、これについてはいかがですか?

浜口
 そういった声はよく聞きますが、その心配はまったくありません。基本的に開発環境は高いスペックに向けた環境を軸にしていますので、我々が目指すべきクオリティーは変わらないですし、そのクオリティーをハンドヘルド機でもいかに遜色なく実現するか、という風に考えています。ゲームのクオリティーについては不安を感じていただく必要はまったくありません。安心してください。

 現時点で絶賛最適化中の『
FFVII リバース』のSwitch 2版も目指すべきクオリティーで動いています。今回の移植で得られたノウハウも今後、大きく活きてくると思います。

――どのプラットフォームでも同じようなゲーム体験になる、と。では、各機種でのリリースタイミングなどはいかがでしょう? 「FFVII リメイク シリーズ」の最終作が遊べるのはだいたい同じタイミングになるのでしょうか?

浜口
 まだ具体的にはお伝えできませんが、3作目が出る前にSwitch 2版やXbox Series X|S版のプレイヤーにも『FFVII リバース』をプレイする時間的猶予はある形で展開し、皆さんにご納得いただける流れで最終作につなげていければ、と考えています。

――その最終作ですが、先日行われた『FFVII エバークライシス』の生放送では、野村さん(野村哲也氏。「FFVII リメイク シリーズ」のクリエイティブ・ディレクター)から「3作目の開発はスケジュール通り、順調に進んでいる」とのコメントがありました。

浜口
 野村が言ったように開発は非常に順調で、当初のスケジュールとほぼ変わらないペースで進んでいますので、そこは安心してください。

 先ほど言った通り、私自身は「FFVII リメイク シリーズ」に関わって10年以上になります。3作目はシリーズの集大成として多くの人に納得してもらい、愛される形で終わらせたい。そういった想いがありますし、その期待に応えられるものになるという手応えもあります。

――それは頼もしいですね!

浜口
 情報が出るまでもう少しお待たせするかとは思いますが、開発は順調に進んでいますので、今回の移植版などを遊びながら、万全の体勢でお待ちいただければと思います。

体験版もリリース予定。実際に動く『FFVII リメイク』を体験してほしい

――マルチプラットフォーム展開になり、自分が所有しているハードで遊べるのはうれしいですね。いろいろとゲーム機を持っているゲームファンにとっては、どの機種で遊ぶのか悩ましいことになりそうですが。

浜口
 そうですね(笑)。海外だとSteam Deckがすごく人気のようで、PC版を購入した海外ユーザーのけっこうな割合の人がSteam Deckでプレイしているようなんです。もちろん、PCと並行して遊んではいるとは思うのですが、北米などでもハンドヘルド機でのゲーム人口が広がっているのを感じています。

――以前は、海外では携帯型ゲーム機は苦戦していましたが、プレイスタイルも多様になってきたと。

浜口
 ただ、Steam Deckは外に持って出る、というよりはソファに座ってポータブル機で遊ぶ、といったような使いかたをしている人が多いようです。

 Switch 2やROG Xbox Allyでは外に持って行く機会も増ると思いますので、今後、電車の中などで『FFVII リメイク』を遊んでいる人を見かけたら、すごくうれしい気持ちになりそうです。

――では最後に、東京ゲームショウ2025に来場予定の人や2026年1月22日の発売を楽しみにしている方へひと言、メッセージをお願いします。

浜口
 東京ゲームショウ2025ではSwitch 2の携帯モードやROG Xbox Allyで『FFVII リメイク インターグレード』の試遊体験ができます。プレイすると、「ハンドヘルドの機器でもこんなにゲームが動く時代なのか」と驚いていただけると思いますし、ある意味で新しい時代の流れを感じられるものかと思います。

 もちろん東京ゲームショウ2025にご来場されない方も多くいらっしゃいますので、Switch 2版、Xbox Series X|S版の体験版を年末ごろに配信できるように準備を進めています。今回、我々としても力を入れて最適化を行ったので、ある意味、Switch 2で遊ぶHDゲーム移植のモデルケースとして、ぜひチェックしていただけたらと思います。
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据え置き機で遊んだイメージがそのまま手の中に

 本稿の締め括りにSwitch 2とROG Xbox Ally Xでプレイした筆者のプレイリポをお届けしよう。

 プレイしたのは序盤のボスであるガードスコーピオン戦から魔晄炉脱出まで。時間にして約30分ほどだ。まずはSwitch 2の携帯モードでプレイした。

 ふだん据え置きハード、Switch 2でも基本的にはTVモードで遊ぶ筆者としては、ポータブルゲームマシンやSwitch 2の携帯モードで遊ぶ際、解像度はある程度許容するにしても、動きはカクカクしかないか、文字は見づらくないか、など心配ごとが多く、ポータブルゲームマシンについてはあまり食指が動かなかったのが正直なところ。

 だが、実際にプレイしてみると、グラフィックはキレイだし、動きも問題なし。据え置き機でプレイしたときの印象と何ら変わりのないゲーム体験になっており、逆に“変化のなさに驚く”という奇妙な感覚に。PS4でリリースされた際は、当時の対応ソフトの最高峰のグラフィックだった『FFVII リメイク』が携帯型ゲームのように遊べる、というのは、たった5年しか経っていないが隔世の感。技術の進歩ってスゴイ。そのうちスマホでも遊べるようになりだ……。

 遠くのエフェクトが簡略化されていないか、などと少し意地の悪い見かたでカメラを動かしてみたが、少なくとも魔晄炉内部で明らかな描画の省略は感じられない。クラウドの髪の毛に注目してみても、いわゆるジャギジャギ感はなくツンツンヘアーが見事に描かれている。

 また、30分とそこまで長いプレイ時間ではなかったのもあるかもしれないが、Switch 2とROG Xbox Ally Xともに、本体の発熱をさほど感じなかったのも驚かされたポイント。長時間のプレイでどうなるのかは気になるところだが、少なくとも今回のプレイでは本体に大きな負荷がかかっているような印象はなかった。HDゲームを手に持ってのプレイも、なかなか快適。いいじゃないか。東京ゲームショウ2025に行く人や体験版がリリースされたら、ぜひ一度、体験してほしい。
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