『AIR』25周年。ビジュアルノベルの歴史に名を刻む1作。有名なセリフ「…もうゴール、していいよね」は涙なしには見られない【今日は何の日?】

byカワチ

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『AIR』25周年。ビジュアルノベルの歴史に名を刻む1作。有名なセリフ「…もうゴール、していいよね」は涙なしには見られない【今日は何の日?】

インターネットでは“国歌”と呼ばれている主題歌『鳥の詩』も人気

 2000年(平成12年)9月8日は、PCで『AIR』が発売された日。本日で25周年を迎えました。

 『AIR』は、ビジュアルアーツのブランドであるKeyが『
Kanon』に続く形で制作したWindows用18禁アドベンチャーゲームの第2弾。発売されたのは『Kanon』から約1年3ヵ月後の2000年
9月で、その年だけで10万本以上売り上げる大ヒット作に。ビジュアルノベルの歴史に名を刻む1作となりました。
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※本稿はネタバレを含みます。これからプレイされる方はご注意ください。[IMAGE]
 舞台となるのは夏を迎えた田舎町。物語は亡くなった母の言葉である「空のどこかで今も苦しみ続けている」少女を見つけて救い出すための旅を続けている主人公である国崎往人(くにさき ゆきと)が、ヒロインである神尾観鈴(かみお みすず)と出会うところから始まります。
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 作品は三部構成で、観鈴と霧島佳乃(きりしま かの)、遠野美凪(とおの みなぎ)の関係を描く“DREAM編”と、空の少女に関係する“SUMMER編”、そして観鈴にスポットが当たるグランドルートの“AIR編”に分かれます。
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 佳乃は魔法が使えるようになるため、右手に黄色いバンダナを巻いている女の子。このルートでは佳乃の姉である聖(ひじり)が開いている診療所に住み込みで働きながら佳乃と交流を深めていく展開で、佳乃がバンダナを巻いている理由、魔法で叶えたい望みが明らかに。彼女の悩みと向き合っていくことになります。
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 美凪は天文部の部長で不思議な女の子。お米が大好きで、なにかと常備している“お米券”を往人に進呈してくれます。美凪のルートは彼女の友人である“みちる”という少女がキーマンに。往人と美凪、みちるは、町にある駅舎を中心に交流を深めて幸福な時間を過ごしていましたが、往人が美凪の家にいったことで事態が変化。美凪の母親が美凪のことをみちると呼ぶところを聞いてしまい、美凪とみちる、ふたりの隠された真実を知っていきます。
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 メインヒロインとなる観鈴は、じつの母親を亡くしたあとに叔母の晴子(はるこ)に預けられ、母娘としての距離を掴めないまま10年の時が経過していました。観鈴は千年に渡る呪いを受けており、特定の誰かと心の距離を縮めすぎると癇癪を起こし、まともなコミュニケーションが取れなくなってしまいます。

 観鈴は往人と出会うことで幸せな時間を手に入れますが、呪いによって徐々に身体が動かなくなり、一方の往人も呪いに苦しめられることになります。一度は観鈴から離れて別の町に行こうとした往人ですが、彼女の笑顔のために付き添うことを決心する……というストーリーが展開します。

 “DREAM編”をクリアーすることでプレイできる“SUMMER編”は千年前の出来事で、翼人の末裔である神奈備命(かんなびのみこと)と元・浪人で神奈備命の衛者を務める柳也(りゅうや)の物語が描かれます。

 “AIR編”は終盤のネタバレになるので詳細は伏せますが、観鈴と晴子、そしてカラスの“そら”による物語。終盤に観鈴が言葉にする「…もうゴール、していいよね」は涙なしには見られません。このセリフ自体がネタバレではあるのですが、このセリフに至るまでの過程が大事。インターネットでセリフだけ知っているという人は多いかもしれませんが、実際にゲームをプレイしてこのシーンまで辿り着いてほしいですね。

 ストーリーやキャラクターが魅力の『AIR』ですが、作品の儚さを表現しているような音楽も見逃せません。明るい行事が多い夏を舞台にしながらも切ない物語が展開する本作の雰囲気を見事に再現しています。麻枝准氏の作曲する
『夏影』や『青空』、戸越まごめ氏による『Farewell song』など、どれも名曲ばかりです。

 なかでも作詞を麻枝准氏、作曲を折戸伸治氏が手がけ、Liaさんが歌唱するオープニング曲
『鳥の詩』は珠玉の曲。インターネットでは“国歌”と呼ばれるこの曲はいまも多くの人に愛されています。

 2001年7月には全年齢版が発売。その後、ドリームキャストやプレイステーション2(PS2)などのコンシューマーにも移植されました。メディア展開も行われ、2005年には京都アニメーション製作のテレビアニメ版、東映アニメーション製作の劇場版アニメがそれぞれ公開されました。

 いま、改めて本作をプレイするのであれば2021年9月9日に発売されたNintendo Switch版や2025年3月5日に発売されたSteam版がおすすめ。色褪せぬ名作なのでぜひ遊んでみてください。

撮影協力:SIGH
※画像はSteam版のものです。
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