アニメ『ダンジョン飯』初のフィルムコンサートが3月9日に開催。監修を務めた音楽家・光田康典氏インタビュー。オーケストラと古楽器の融合が実現!

アニメ『ダンジョン飯』初のフィルムコンサートが3月9日に開催。監修を務めた音楽家・光田康典氏インタビュー。オーケストラと古楽器の融合が実現!
 2024年1月から連続2クールで放送され、その好評さから第2期の制作も決まったテレビアニメ『ダンジョン飯』。本作はその内容はもちろんのこと、『クロノ・トリガー』や『ゼノギアス』などの楽曲で知られる、作曲家の光田康典氏が音楽を担当していることでも、ゲームファンのあいだで話題になっていた。

 2025年3月9日には、本作のコンサートが開催される。本公演は、東京交響楽団の豪華編成による演奏と、滅多に見ることのできない古楽器とのコラボレーションが実現。今回、そのコンサートの開催前に本コンサートの監修を務めた光田康典氏のインタビューを特別公開する。

 これまでにない組み合わせで実現する、1日限りの特別なコンサート。本記事で気になった方は、現在好評発売中のチケットもどうぞ!
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※本インタビューは、イベントのチケット特典として配布予定の“限定プログラム『How to cook a concert from ダンジョン飯』”の内容を一部抜粋したものです。
――1日限りの特別なコンサートが開催されることになりました。どのような感慨がありますか?

光田
日本ではアニメやゲームがエンターテインメントの最たるものだと思うんですけど、脚本、映像、声優さんの演技と音楽を含めた様々な要素が融合した時に初めて良い作品が生まれるんですよね。そういう要素の1つである音楽にスポットライトを当てていただけるのが本当にありがたいです。今回ご一緒する東京交響楽団は大好きな楽団で、これまでもいろいろなお仕事をさせていただいています。リュート奏者の久野幹史さん、クルムホルン奏者の近藤治夫さん、ハンマーダルシマー奏者の田辺紀子さん、リコーダーの幅 絵理香さんとコンサートでご一緒するのは初めてなので、とても楽しみです。

――オーケストラと古楽器が融合したコンサートですが、古楽器は様々な面でコントロールが難しいですよね?

光田
そうなんです。例えば夏と冬とではピッチも変わってきますし、楽器の状態自体も日々変化します。そういう調整を奏者のみなさんにもしていただきつつ、こちらもできる限りのことをしました。スタジオの温度管理などは、本当に大変でした。そもそも基本的にヨーロッパの楽器ですから、日本の高温多湿な気候には合わないというのもあるんだと思います。古楽器は繊細なので環境に合わせるのはとても難しいです。レコーディングの時は奏者の方がスタジオに入ってから楽器を全部取り出して、30分くらいそのまま触らないで放置して環境に慣れさせるんです。現代の楽器みたいにスタジオに入ってすぐにケースから取り出して音を出してレコーディングするというのは、なかなか難しかったです。
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――古楽器をシミュレーションしたデジタル音源を使えばコントロールは容易ですが、生の音色には敵わないということですね。
光田
はい。やはり本物の古楽器は魅力的なんです。1音1音が鳴る度にその楽器特有の個性が出ますから。そういうのは生楽器でないと味わえないですね。デジタルの音色だとなかなか人間的な表情が出ないです。それっぽくは聴こえるんですけど、嘘っぽさがどことなくあって。空気感というのは生楽器ならではのものがあるんです。そういう楽器の生演奏も聴ける今回のようなコンサートはなかなか貴重だと思います。

――コンサートに向けては、どのような準備をしていますか?

光田
コンサートのためのアレンジもしていますし、メドレーも用意しています。セットリストに関しては、基本的にアニメの流れに準じて組んでいます。その方がファンのみなさんもお聴きになりながらシーンをイメージしやすいでしょうし、いろいろ思い出しやすいでしょうから。現時点で放送されている『ダンジョン飯』の魅力を、音楽を通じて一気にお伝えできたらなと思っています。

――コンサートの中で登場する古楽器は、クルムホルン、リュート、ハンマーダルシマー、あとリコーダー類ですよね?

光田
はい。ただ、リコーダーに関しては現代のリコーダーなのか、中世・ルネサンス期のものになるのかはまだわからないです。クルムホルン、リュート、ハンマーダルシマーは、確実にステージで演奏しているところを観られるはずです。

――クルムホルンは、見た目がかわいいですよね。

光田
クルムホルンは14世紀から16世紀くらいにかけてのルネサンス期の楽器なんです。当時かなりポピュラーな存在だったんですよね。現代では奏者も楽器自体を作る職人も少ないので、実際に音を聴く機会はなかなかないと思います。クルムホルンはダブルリード楽器で、オーケストラの楽器だとオーボエ、ファゴットと同じカテゴリーになりますね。でも、現代の楽器とは真逆で、音域が非常に狭くて、分かりやすく言うと基準のドから1オクターブ上のドまでと、それプラス2全音くらいのレかミくらいまでしか出ないんです。使える音域はほぼ1オクターブなので、その範囲でメロディを作らなきゃいけないんですよね。楽器の種類としてはソプラノクルムホルン、アルトクルムホルン、テナークルムホルン、バスクルムホルン。あと、コントラバスクルムホルンもあるのかな? 今回のコンサートで使うのはソプラノ、アルトです。非常に音量が大きくて特徴的な音なので、もしかしたらPAは要らないのかなと思っています。

――ソプラノ、アルト、テナーとかがあるというのは、サキソフォン(サックス)みたいですね。

光田
そうですね。でも、ダブルリードなので演奏がなかなか難しいんです。その点を解消するために進化していったのがシングルリードのサキソフォン、クラリネットということなんだと思います。同じくダブルリードのオーボエ、ファゴットはピアニッシモからフォルティッシモまで音色を変化させられるんですけど、クルムホルンはダイナミクスを付けることができなくて、ただ息を吹き込んで音を出すだけの原始的な楽器です。息を強く吹き込んでも弱く吹き込んでも音量はあまり変わりません(笑)。そういう点でも現代の音楽に取り入れるのは難しい楽器なんだろうなと思います。バグパイプとかもそうですけど、昔の楽器は大体ダイナミクスが付けられないんですよ。だから「人間味あふれる」という感じではなくて、淡々とひたすらうるさい系の音が出る音楽になってしまう傾向があります。逆に言うとそういうところも古楽器の特徴ですね。

――特徴を上手く調整するのが今回のコンサートの課題の1つということですね。

光田
はい。初めての試みなのでドキドキしています(笑)。リュートはチューニングが大変なので、そこも心配しています。でも、とても独特な良い音がするので、ぜひ生でみなさんに聴いていただきたいです。ハンマーダルシマーは、わかりやすく楽しめると思います。

――ハンマーで弦を叩くので、音が出る仕組みがわかりやすい楽器ですよね。

光田
そうなんです。ハンマーダルシマーはピアノの先祖と呼ばれています。ヨーロッパだとハンマーダルシマーとオーケストラが一緒に演奏することはよくあって、現地のみなさんにとっては馴染みの深い楽器だったりもするようです。でも、楽器の構造上、苦手なスケールもあったりするので、今回のコンサートではシンプルなフレーズのアレンジにしました。スティックを指の間に挟めば和音も出せるんですけど、3和音、4和音を綺麗に鳴らすのは難しいと思います。コンサートでは、アルペジオのフレーズをたくさん聴いていただくことになると思います。

――お客様から「古楽器の演奏をもっと聴きたいです」というお声を公演後に頂くことにもなるかもしれないですよ。

光田
古楽器の奏者をさらにお招きしたり、古楽器だけの『ダンジョン飯』のコンサートとかもいつかできたらいいですね。コンサートホールで演奏するとどういう音になるのか今回経験することができますし、今後に繋がる良い機会にもなるかと思います。

――お客様の大きな拍手喝采を頂けたら、今後に繋がるかもしれないです。

光田
そうですね(笑)。堅苦しいクラシックのコンサートではないので、気楽で自由に盛り上がっていただけたら嬉しいです。オーケストラコンサートってかしこまって聴かなければならないような雰囲気がありますけど、ヨーロッパとかでは仕事帰りの会社員とかがお酒を飲んでからふらっと聴きに行くような感じなんですよ。バーに行ってバンドの演奏を聴くような感覚で楽しんでいる方が多いなという印象ですね。日本でもそういう感覚でオーケストラのコンサートを聴きに行けるようになったらいいですね。

――ライオス役の熊谷健太郎さんと光田さんのトークのコーナーもあるとお聞きしているのですが、どのようなお話をすることになりそうですか?

光田
僕もどうなるのかまだわからないんです(笑)。『ダンジョン飯』の打ち上げの時に初めてキャストのみなさんとお会いしたんですけど、その時点でコンサートの開催が決まっていたので、「MCとしてご出演されるそうですね」というお話をしたら、「ライオスの歌はやるんですかね?」とすごく心配していらっしゃいました(笑)。

――(笑)。アニメの中でライオスが歌う場面がある「人魚の唄」ですね。

光田
はい。人魚が歌っているところにライオスたちが現れるあの場面です。熊谷さんに「もしかしたらあるかもしれませんよ」と言ったら、「オーケストラをバックに歌うのは……」と(笑)。でも、「歌うなら本気でやりますよ」とおっしゃっていたので、個人的にはぜひ歌っていただきたいなと思っています。

――どうなるのかは、当日のお楽しみですね。

光田
はい。打ち上げの時、「ライオスのあのシーンは、すごく印象に残っています」とキャストのみなさんがおっしゃっていました。「絶対にコンサートでやってほしい」と念を押されていたので、熊谷さんとしてもやらないわけにはいかないのかも(笑)。外堀は既に埋められているみたいです。

――今のお話から察するに、熊谷さんとライオスは重なるところが少なからずありそうですね。

光田
キャラが丸被りしているところが結構あるみたいです(笑)。他のキャストのみなさんも演じていらっしゃる役と似ているところがあるのかなと、お会いした時に思いました。

公演情報

公演名:TVアニメ「ダンジョン飯」〜Delicious in Concert〜
開催日程:2025年3月9日(日)
DAY 開場14:15 / 開演15:00(終演予定16:30) ※完売御礼
NIGHT 開場17:45 / 開演18:30(終演予定20:00)
会場: 大宮ソニックシティ 大ホール (埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-5)
料金
1 特典付S席 15000円[税込] ※SOLD OUT!
2 特典付A席 12000円[税込]
3 通常B席 8800円[税込]
特典内容:限定プログラム「How to cook a concert from ダンジョン飯」全12P
※本公演に関する資料や関係者コメント、アニメ資料を収録予定。

<来場者全員特典>「オリジナルデザインチケット」
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※公演ごとにデザインが異なります。
※来場者1名につき1枚のお渡しとなります。

※画像はイメージです。実際の商品とは仕様が一部異なる場合がございます。
※背表紙ページには“来場者全員特典デザインチケット”が差し込める仕様となっております。

チケット一般販売中
受付期間:12月21日(土)10:00~

「親子チケット」「U18チケット」に関するご案内
「ダンジョン飯」の世界観をより多くの世代の方々に親しんでいただく為、「親子チケット」「U18チケット」を受付中。(18歳以下のお子様はチケット代無料、19歳以上の保護者さまは半額にてご観覧いただけます。)通常B席のみの一部ご案内となりますが、この機会にぜひ、プロオーケストラによる「ダンジョン飯」の音楽の世界をご堪能ください。
詳細はコンサート特設サイトをご確認ください。
※枚数制限:お一人様4枚まで
※受取方法:電子チケットのみ
※発券開始日:公演日1週間前

公演に関するお問い合わせ
KADOKAWAカスタマーサポート
※お問い合わせの際は必ず公演名をお伝えください。

チケットに関するお問い合わせ
イープラスFAQ :http://eplus.jp/qa/

主催・企画:株式会社KADOKAWA
制作:株式会社ハートカンパニー
後援:公益財団法人埼玉県産業文化センター・さいたま市教育委員会
協力: 「ダンジョン飯」製作委員会

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