『Lost Soul Aside』がプレイステーション5とPC向けに2025年5月30日に発売される。
同作は、ソニー・インタラクティブエンタテインメント上海(SIE上海)による、中国のゲームクリエイターを支援する“China Hero Project(チャイナヒーロープロジェクト)”のサポートを受け、Ultizero Gamesが開発を手掛けているシングルプレイ用のアクションアドベンチャーRPG。そもそもは、Ultizero Games 創業者兼CEOの杨冰(ヤン・ビン)氏が立ち上げたプロジェクトで、ヤン氏が公言する通り、『ファイナルファンタジーXV』(FF15)や『デビルメイクライ』などの日本のゲームに影響を受けたスタイリッシュなタイトルとなっている。
そんな『Lost Soul Aside』の発売日決定を記念して、Ultizero Gamesのヤン・ビン氏にインタビューを実施。『Lost Soul Aside』の詳細について聞いてみた。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/34117/a1334b7034b210850fe6dbc55f0a2a8f9.jpg?x=767)
杨冰(Yang Bing)氏(ヤン・ビン)
Ultizero Games 創業者兼CEO
『Lost Soul Aside』プロデューサー兼ディレクター
とにかく戦闘シーンには注力した
――『Lost Soul Aside』の発売日決定おめでとうございます。いまの率直な感想を教えてください。
ヤン
まずは、本日は取材をしてくださりありがとうございます。長年かけて進めてきたプロジェクトをようやく正式に発表することができて、自分としても非常にワクワクしています。
――“China Hero Project”がサポートするタイトルとして発表されたのは8年ほど前ですが、それ以前の開発も含めるとどれくらいの開発期間を要したのですか?
ヤン
チームとして動き始めたのは2017年でしたが、個人的にプロジェクトを立ち上げたのは2014年でした。そこから数えると、10年以上かかったプロジェクトになります。
――約11年にわたる開発のなかで、とくに注力したのはどのような部分でしょうか。
ヤン
やはり、戦闘シーンです。プレイヤーの皆さんが激しい戦闘を体験できるように、戦闘全体のバランスも考慮しましたし、戦闘シーンの設計や、戦略性についても考えました。アクションのスムーズさやスキルを組み合わせる要素、操作に対するフィードバックの快適さ、敵の反応など、多岐にわたって力を入れています。
システム面での変遷もありましたが、全体の方向性としては視覚的な部分も重視しつつ、戦闘に注力してきました。敵のデザインや数についても、長い時間をかけて徐々に豊かなものにしていき、中身を充実させています。もちろんアートや物語の構成といった部分も、開発期間のあいだ絶えず熟成させて、よいものにできたと思っています。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/34117/a8077a2604dfc98c2f71c849dc4d51597.jpg?x=767)
――バトルを始めとした各要素を納得できるクオリティーに引き上げるのに、8年という時間がかかったわけですね。
ヤン
そうですね。ようやくプレイヤーの皆さんに楽しんでいただけるところまできました。プレイステーションのチームとも連携して発売のタイミングを決め、そこに向けて一生懸命努力してきた結果がついに出せます。
――この8年間でとくに苦労したのはどのようなことですか?
ヤン
いろいろたいへんなことがありました。最初に私がデモビデオを公開したときは、すべて私ひとりで作っていたんです。その後チームとして動くことになったのですが、個人とチームではものの作りかたも変わってくるので、そういった部分には苦労しましたし、落ち込むようなこともありました。
でも、映像を見た皆さんの反響やプレイステーション側の多大なサポートもあったおかげで、「皆さんの期待に応えるんだ」という想いでチームとしてここまで努力してくることができました。新しいコンテンツを発表するたびに、世界中の皆さんから「待っています」、「楽しみです」といった声が届いて、皆さんが忍耐強く待ってくださっていることに感動しましたし、それが大きな力になりました。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/34117/a943f2b0aa171125a8fa14703ebe05ac9.jpg?x=767)
『FF』シリーズの現実と幻想を融合させる世界設定は魅力的
――以前のインタビューで、本作の主人公のキャラクターデザインは『ファイナルファンタジーXV』に影響を受けたと伺いました。『FFXV』のビジュアルでとくに印象的だったのはどのようなところですか?
ヤン
『FF』シリーズはずっと好きな作品でした。現実と幻想を融合させるあの世界設定は、非常に魅力的だと思います。幻想がもたらすロマンチックさのなかに、安心感のようなものもあります。そういった絶妙なバランスを織りなしているところに私は非常に魅せられていて、『Lost Soul Aside』でもその融合を目指しています。
たとえば、主人公の顔つきや髪型は、現実的というよりはマンガ的になっていますが、肌や髪、服の質感は非常にリアルなものになっています。そういった組み合わせは、とてもおもしろいと思っています。
――本作のデザインを進めるうえで、『FF』シリーズの影響を強く受けた部分を教えてください。
ヤン
多くのインスピレーションを受けていますが、やはり大きいのは主人公のデザインですね。主人公の服はデザイナーの方にデザインしてもらったのですが、『FF』と同じように現実的な要素とファンタジーの要素を組み合わせようと思ったんです。
服のデザインができた後に、実際にその服を作って、それをゲームの中で再現しているんですよ。そうすることで、プレイヤーの皆さんにも実際に存在するもののように感じていただけて、主人公であるカゼルも血の通った、リアルなキャラクターとして感じてもらえるのではないかと思ったんです。
――デザイン面以外で『FFXV』の影響を受けた部分はありますか?
ヤン
ほかの『FF』シリーズもそうですが、非常にクリーンなイメージを感じさせてくれる、心地よい体験ができるゲームですよね。私たちの『Lost Soul Aside』も同じように、キャラクターや各場面を通して、非常にクリーンなゲームだと感じていただきたいと思っています。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/34117/af6d2006735f406807550a55f1df152bd.jpg?x=767)
戦闘のスピード感を維持しつつ、一定の深みを持たせている
――本作はとくにバトルに重きを置いているとのことですが、アクション面については『ベヨネッタ』や『NINJA GAIDEN』、『デビルメイクライ』の影響を受けていると伺いました。それぞれ、とくに強く影響を受けた部分を教えてください。
ヤン
まず『ベヨネッタ』は、キャラクターの能力が非常に派手ですし、それが華やかに表現されていますよね。『NINJA GAIDEN』は個人的にはいちばん遊んだアクションゲームで、あのスピード感のある戦闘が好きです。『デビルメイクライ』は多彩なコンボを操ることができて、プレイヤーがアクションを追求する楽しみがありますよね。
『Lost Soul Aside』には主人公にとっても重要な存在となる、アリーナというキャラクターが登場します。アリーナは姿をさまざまに変えることができ、武器に変わって戦闘をサポートすることもできます。アリーナのための戦闘スキルもたくさん用意しているので、戦闘においても大きな存在となります。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/34117/a59ee3b6cdd6addbbbefba7316715aa8e.jpg?x=767)
――『デビルメイクライ』などのように、プレイヤーが自分なりのコンボを探す楽しみもあるのでしょうか。
ヤン
そうですね。戦闘システムについてもつねに改善と改良を続けていて、戦闘のスピード感を維持しつつ、一定の深みを持たせています。プレイヤーは独自のスタイルを発展させることができますし、仮に連続技が得意でなくても、各種システムを活用することで高いパフォーマンスを発揮し、ゲームをスムーズに進められます。
――個人での活動から数えると約11年という長い時間のなかで、最初に描いていたビジョンから変わらずに開発を進めていったのか、それとも制作の過程で新たな要素を取り入れたのか、どのように開発は進んだのでしょうか。
ヤン
大枠自体は8年前、チームができたころから持っていました。方向性としては、最初からハイレベルな戦闘を、華麗でスムーズに楽しめるものにしたい、と考えていました。もちろん、8年間の開発期間でメンバーも増えていき、チーム自体も成長していくなかで、みんながアイデアを持ち寄って、考えを融合させてきました。
プレイヤーの体験をより豊かにするにはどうすればいいか、といった話し合いも行いました。作品の大枠自体は変えずに、そのなかで作品を成熟させ、より確実なものへと変えていったイメージですね。
――ちなみに、これまでにプレイしてきたなかでいちばん印象的なゲームを挙げるとすれば何でしょうか。
ヤン
子どものころから夢中でゲームを遊んできたので、印象に残っているゲームはたくさんあります。でも1本を選ぶのであれば、最近だと昨年(2024年)発売された『黒神話:悟空』ですね。あれは非常にすばらしい作品だと思います。それ以外であれば、『Lost Soul Aside』でしょうか(笑)。
――本作を楽しみにしている日本のゲームファンへのメッセージをお願いします。
ヤン
皆さんが『Lost Soul Aside』に寄せてくれた関心と期待に感謝しております。我々はこのゲームを制作するにあたって、非常に多くの努力を注いできました。ぜひ皆さんに楽しんでいただきたいですし、楽しんでいただける作品になっていると思います。
戦闘シーンも非常に刺激的ですし、いろいろな世界を探索できるので、非常に独特なゲーム体験になると思います。丹念に作り上げてきたゲームですので、ぜひプレイヤーの皆さんに、本作のなかで自分たちの冒険を楽しんでいただきたいです。そして皆さんといっしょに、この幻想的な世界を共有できることを楽しみにしています。改めて、皆さんのサポートに感謝しています。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/34117/a1e9e90c38c1cbd925829ad47b61ec378.jpg?x=767)