『マインクラフト』開発会社Mojang Studios責任者に訊く。映像化に加えて『マイクラ』ランドの計画など、累計3億本を販売する世界一のタイトルは15周年を迎えてさらに進化する

by喫茶板東

by古屋陽一

『マインクラフト』開発会社Mojang Studios責任者に訊く。映像化に加えて『マイクラ』ランドの計画など、累計3億本を販売する世界一のタイトルは15周年を迎えてさらに進化する
 2009年に『Minecraft』がリリースされてから、今年で早くも15周年。そのあいだに『Minecraft』はアップデートされ続け、さまざまな新しい要素が追加されていった。また『Minecraft Dungeons』や『Minecraft Legends』といったスピンオフ作品も多数作成され、さらには映画や動画シリーズなど映像コンテンツの制作も進んでおり、『マイクラ』はすっかり日常に溶け込んだものとなっただろう。

 今回、
『Minecraft』の開発スタジオであるMojang Studiosの責任者、Åsa Bredin (オーサ・ブレディン)氏が来日されたので、気になったことをアレコレ伺ってみた。
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Åsa Bredin氏 オーサ・ブレディン

過去15年間、ゲーム業界で上級技術リーダーを務め、複数のテクノロジー企業での取締役も務めた。 2021にエンジニアリング責任者としてMojang Studiosに入社、効率性の向上やイノベーションの促進を果たして『Minecraft』ゲーム製品のリーダーに就任。2023年10月に、Mojang Studiosの責任者に就任した。

『Minecraft』が受け入れられたのはファンとの密接なコラボが理由のひとつ!

――本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、今回はどのような目的で来日されたのでしょうか?
オーサ
 はい、今年は『Minecraft』15周年のおめでたい年なので、世界の皆様と直接お会いしたいと考えたんです。日本に来る前は韓国に行きましたし、つぎはオーストラリアへ向かう予定なんですよ。メディアの皆様以外にも、クリエイターの方々ともお会いしています。

――なるほど、世界中の『Minecraft』ファンに会いに来た、ということなんですね。では、『Minecraft』15周年を迎えて、どのようなお気持ちですか。

オーサ
 『Minecraft』がアーリーリリース(早期先行版)でいちばん最初に登場したのは2009年。それから15年経過し、販売数は3億本を突破して、世界でいちばん売れたゲームにまで成長しました。『Minecraft』のフランチャイズを広げ、さまざまな体験をゲーマーの皆さんに提供できたことは本当に素晴らしいことだと思っており、コミュニティの皆さんと15周年を祝いたいと考えています。

――『Minecraft』がここまで受け入れられ、支持された理由については、どのように分析されていますか?

オーサ
 『Minecraft』はサンドボックス(砂場)みたいなものだと思っていて、さまざまな遊びかたを提供しているからだと考えています。クリエイティブ的な要素を楽しめますし、探険を楽しみたい人、バトルを堪能したい人にも応えられていると思います。そして、どんなプレイスタイルでも、ゲームの中で自分だけの物語を紡いでいけることが、多くのゲーマーの皆さんに支持されている理由ではないでしょうか。

 もうひとつの理由としては、コミュニティとの密接なコラボレーション(協力)を果たせているからだと思います。最初のα版以来、「こういう要素が好きだ」「こういう要素がほしい」といった要望が多く寄せられ、ゲーム製作の方針と合っていれば採用させていただくことがあります。

 ひとつの例を挙げると、2023年のバージョン1.20で実装されたサクラバイオームおよびサクラの木ですね。こちらはリクエストから実現した要素なんですよ。

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サクラバイオームの実装で、サクラの木が登場。またサクラの木材で作れる階段やドア、フェンスなどの装飾ブロックもたくさん増えた。
――コミュニティとのコラボをつねに意識し、信頼関係が築けたからこそ、『Minecraft』はハードの垣根を越えてここまで大きく成長したのでしょうね。

オーサ
 ええ、それこそが成功の理由だと思いますし、今後も重視していきます。我々はコミュニティーの皆さんと、オープンで信頼のある関係を維持していくつもりです。

 ただ、
『Minecraft』コミュニティーの全員がゲームを遊ぶかというと、そうでもないんですね。『Minecraft』のイラストが描かれた洋服などのグッズが好きとか、『Minecraft』のLEGOが大好きとか。『Minecraft』本編よりも、スピンオフ作品を好む人もいると思いますので、違う好みに応えるという意味で、さまざまな『Minecraft』関連作品を製作しているのです。ただし、『Minecraft』自体は老若男女すべての人に楽しんでもらえると思いますし、大切なのは本編との親和だと考えています。だから関連作品すべてにクリーパーが登場したりするのです。

 本編のゲームだけではなく、こういったグッズや映像作品、関連作品なども含めて、
『Minecraft』コミュニティーであると位置づけています。

映画にアニメ、さらには現実の世界に『Minecraft』ランドを建設!?

――『Minecraft』で、ゲーム以外で、いまいちばん力を入れているのはどの領域なのですか?

オーサ
 そうですね、ひとつが映像化です。まず、映画をワーナー・ブラザース社とコラボで製作しています。俳優のジェイソン・モモア氏、ジャレッド・ヘス監督が関わっていますよ。

 『Minecraft』はご存じの通り、プレイヤーひとりひとりが自分だけの物語を紡ぐことができるゲームです。ワーナー・ブラザース社と対話する中で、その物語のひとつを多くの人たちに伝えたいとなり、映画化が決定しました。

 また、新しいアニメシリーズもNetflixとのコラボで制作されます。さらに、
『Minecraft』ランドのようなものを実際に作る、という計画もあるんです。


――『Minecraft』ランド! すごいですね、どこに作られるのでしょうか?

オーサ
 テキサス州のダラスを予定しています。ですが、恒久的なランドを建設するのではなく、持ち運びできる組み立て形式での制作を考えています。これだと、ツアーで各地に行けますからね!

――ははぁ、サーカスの巡業のように、世界を巡るイメージなんですね!

オーサ
 そうです。詳細を記載したブログがありますので、そちらも参照していただければと思います。

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2024年6月14日にリリースされた、トリッキートライアルアップデート。

『Minecraft』はファンを満足させるため今後も開発を続けていく

――世界で3億本も売れたことから、ゲームの『Minecraft』はもう普及しきったと考え、これからは別の方向で『Minecraft』を発展させる、という考えなのでしょうか。

オーサ
 いえ、我々はすべての分野においてまだ成長し続けていると考えており、コアゲームを軸足としていることに変わりはありません。『Minecraft』本編は、クリエイティビティ(創造性)、セルフエクスプレッション(自己表現)、コラボレーション(協力)という3つの指針を中核として、どんどん進化させて行ければと思っています。

 コミュニティから素晴らしいアイデアは絶えず生み出されていて、まだまだ対応し切れていません。ですので、ゲーム長期間遊んでくれているプレイヤーを支援しながら、ゲームを拡大できていけたらと思っています。

――3つの軸を中心に『Minecraft』をアップデートさせていくわけですね。

オーサ
 はい。老若男女向けであるとか、スピンオフであれば『Minecraft』本編との親和性を重視するとか、そういったことも大切にする要素ですが、中でもクリエイティビティ(創造性)は、とくに大切であると考えています。

 たとえば、本作にはチュートリアルがなく「このようにゲームを進めてください」と教えていないので、初めてプレイしたとき、少し迷子になったような気持ちになると思います。でもこれこそが我々の意図しているところで、プレイヤーの皆さんに試行錯誤しながら自分だけのプレイスタイルを確立し、自分だけのストーリーを紡いでもらいたいと願っているからなんです。

――なるほど! クリエイティブというと、どうしてもクリエイターのための言葉かと思ってしまいがちですが、『Minecraft』にとってはユーザーのための言葉なのですね。

オーサ
 そうですね! もちろん、私のスタッフはとても革新性があってクリエイティブですが、彼らはユーザーの皆さんがクリエイティブを楽しめるように、ゲームやツールを開発しています。

 クリエイティブというお話しですと、
『Minecraft』(統合版)はユーザーが作成したコンテンツを販売できるマーケットプレイスという仕組みがあり、ここでスキンやマップなどのコンテンツを販売し、それが事業になっている人たちもいるんです。ストリーミング、配信に関しても、同じことが言えると思います。『Minecraft』を通じて、いろいろな人たちがインスピレーションを湧かせ、広がっていると思います。

――3億本売れてもまだまだ『Minecraft』に終わりは見えない、というわけですね。そういえば、2018年にリリースされたNintendo Switch版のパッケージ版が、いまもなおファミ通のランキングで上位に入り続けているんですよ。いまだに新しいユーザーが増え続けているのは、とてもすごいことですよね。

オーサ
 はい、まさにそれこそが『Minecraft』の美しさであると思っています! 私にはふたりの息子がいるのですが、『Minecraft』とともに成長してきたと思っていますし、未来の子どもたちも『Minecraft』とともに大きく育っていくと考えています。こういったコミュニティーの動向を見て、我々のスタジオスタッフひとりひとりも、インスピレーションを受けているんですよ。

――息子さんたちの成長から、『Minecraft』の影響を感じたことはありますか?

オーサ
 はい。長男の夢に現れていますね! 彼はゲームのデベロッパーやデザイナーになりたいと、開発者を目指しているんですよ。

 次男も開発に興味があるようで、
『Minecraft』でペイストリーというスウェーデンのパンが作れるMOD(ユーザーが作成した追加コンテンツ)を作成したことがあるんです。

――『Minecraft』は日本でもすっかり一般化するほど定着しました。日本のユーザーのことは、どのように見られていますか?

オーサ
 日本は、プレイヤーエンゲージメントが本当に高いと感じています。つい先日、6月14日に“トリッキートライアルアップデート”が配信され、新しい“ブリーズ”というモブを追加したのですが、7月上旬時点で、日本のゲーマーだけですでに500万体倒されているんです!

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リッキートライアルアップデートで地下に試練の間(トライアルチャンバー)が自然作成されるように。そこにあるトライアルスポナーから、新しいモブ“ブリーズ”が出現。竜巻を使うモンスターだ。

 また、ゲーマー以外の熱狂的なファンも多いという印象です。たとえば今回の来日では、空港ですぐ
『Minecraft』のTシャツを着た女性を見つけましたし、クレーンゲームの景品になっている“クリーパー”も見ました。もちろん遊んでみたのですが、残念ながらゲットできませんでした(笑)。もう1回チャレンジしたいですね。

 さらには、配信の数も視聴数もとても多いですよね。このように、日本の市場には多くのプレイヤーがいることは確かだと思いますよ。

――せっかくの機会なので、お聞かせください。オーサさんにとってずばり『Minecraft』とは?

オーサ
 『Minecraft』はもうゲーム以上の存在になっており、もはや文化現象と呼んでもいいレベルだと思います。何億というファンがいるからこそ、このフランチャイズを守る側として、真剣に仕事に向き合いたいと考えています。私としては、そんな『Minecraft』に携われていうことをとても光栄に思っております。

――フランチャイズを守るという気持ちは強いのですね。

オーサ
 はい、スタジオ内ではこのゲームをできるだけ長く続けられるよう願いをこめて、我々自身のことをガーディアン(保護者)と呼んでいるぐらいですよ。

――では、最後に日本の『Minecraft』ファンに向けてメッセージをお願いします。

オーサ
 日本には、非常に熱狂的で大きなファンコミュニティーがあると認識しています。今後も愛され続けるゲームでありたいと思いますので、ぜひファンの皆様、ゲーマーの皆様には、引き続き『Minecraft』を遊んでいただいて、フィードバックを寄せていただけたらと思います。我々は『Minecraft』をできるだけ進化、拡大できるよう、務めていくつもりです。

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