シーズン 〜未来への手紙〜(プレイステーション5)のレビュー・評価・感想情報
気に入った風景や気になる場所を見つけたら足を止め、写真を撮ったり、周囲を気の向くまま探索し、自身だけの日記を作っていく。それは終末世界を舞台にした“冒険”ではなく“旅”。自転車のほどよいスピード感と、眼前に広がる風景、路面で変わる振動が、心地よい移動を演出。スピリチュアル寄りの物語は好みが分かれる部分だが、“旅行”ではなく“旅”が好きな人に刺さるロードムービー的ゲーム。
週刊ファミ通1784号より
美しい風景を眺めながら自転車に乗って旅をする雰囲気が最高。現実的な世界観をベースに、ちょっと不思議な要素が加えられた物語にも心惹かれる。道中で写真の撮影や録音をしたり、チラシなどを拾ったりと、プレイとしては地味めだけども、主人公の思いも織り交ぜながら自由に日記に書き記す行為を挟むことで、それらの出来事がより印象深く、エモーショナルな体験に昇華されます。
週刊ファミ通1784号より
旅を意味する“ジャーニー”と、記者などを指す“ジャーナリスト”とは、同じ語源から作られた言葉だとか。異国からの、そして移ろいゆく時代の旅人が、見聞きしたものを書き留め、誰かに伝えていこうとするノートからは、旅情だけでなく使命感も穏やかに立ち上ってくるような。そのノートに何をどう記すのか、自身はどんな物語を紡ぐのか。やり直しのきかないシステムが、選択に重みと現実味を付与します。
週刊ファミ通1784号より
“世界の謎を探る”という物語内目標が、“失うこと・捨てること”に対するパーソナルな洞察にリンクする形で提示されるため、一連の取材活動に身が入ります。レポートのビジュアルを自分なりのセンスで構成できる要素も、“自分だけの秘密時間”感覚を高めてくれます。そんな性質ゆえ、何かと急いでいる人にとっては、地味な手続きを反復させられる本作のゲームテンポが、からきし合わないでしょう。
週刊ファミ通1784号より
ファミ通公式レビューアーイラスト:荒井清和
ファミ通公式のレビュー文、レビューアーイラスト(画像)等の無断転載・複製をお断りしています。