
2025年8月29日に劇場公開されるや公開3日間で興行収入9.5億円、観客動員67.1万人を記録し、3日間の興行収入が2025年公開の実写映画で1位を獲得するなど、大ヒットを記録している映画『8番出口』。
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ここでは、ゲーム『8番出口』の映画化を企画した、まさに“映画化の仕掛け人”とも言うべき坂田悠人氏(STORY)へのインタビューをお届けする。坂田氏に、映画化にいたった経緯や、映画の見どころなどを聞いた。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/51526/ae9e91d6f7e75c83b4ac00772451762ed.png?x=767)
ゲームと同じく主要キャラも2択を迫られる物語にするべきだと考えた
――映画『8番出口』の制作を決心するにいたった経緯を教えてください。原作のどの部分に心惹かれて映像化するにいたったのでしょうか。
坂田
私はもともとゲームが大好きで毎年たくさんのゲームイベントに参加しており、2023年の“BitSummit Let's Go!!”にて、原作者のKOTAKE CREATEさんに出会いました。当時KOTAKEさんは『Strange Shadow(仮題)』というゲームを出展されていたのですが、そのゲームデザインに惹かれて現地でいろいろお話しさせていただきました。
才能溢れるすばらしいクリエイターだなと感じ、その後はKOTAKEさんの動向を興味深くチェックすることにしたのです。そして約半年後、KOTAKEさんは突然別のゲームである『8番出口』をリリースされました。ノンバーバル(非言語)で、シンプルながら奥深いゲームデザインと、強烈な個性を放つ日本らしいビジュアル・世界観だったため、これは海外でも確実にヒットすると感じ、即座にKOTAKEさんに連絡を入れたのを覚えています。
超日本的に整理された地下通路を舞台に、誰も見たことがないループ映画を世界に向けて作る。日本らしいユニークな映画を、インディーゲーム原作で立ち上げていきたい、そう考えたのが本プロジェクトのきっかけでした。
才能溢れるすばらしいクリエイターだなと感じ、その後はKOTAKEさんの動向を興味深くチェックすることにしたのです。そして約半年後、KOTAKEさんは突然別のゲームである『8番出口』をリリースされました。ノンバーバル(非言語)で、シンプルながら奥深いゲームデザインと、強烈な個性を放つ日本らしいビジュアル・世界観だったため、これは海外でも確実にヒットすると感じ、即座にKOTAKEさんに連絡を入れたのを覚えています。
超日本的に整理された地下通路を舞台に、誰も見たことがないループ映画を世界に向けて作る。日本らしいユニークな映画を、インディーゲーム原作で立ち上げていきたい、そう考えたのが本プロジェクトのきっかけでした。
――映画化するにあたって、とくにこだわった点を教えてください。
坂田
私自身が原作ゲームの大ファンであるため、とにかく『8番出口』のビジュアルや世界観・空気感を最大限再現することに注力しました。地下通路のビジュアルに関しては、リアリティーとの融合を目指して一部調整を施し、“誰もが見たことあるようで、じつは見たことがない”地下通路になるよう細部までこだわりました。
また、“おじさん”の相性で親しまれる男性キャラクターのビジュアルについてもこだわり、河内大和さんに完全に同じ歩きかたで歩き、芝居をしていただきました。
ゲームがそのまま現実世界にやってきたような、日常の延長線上で「もしかすると自分も迷い込んでしまうかも?」と感じられるような『8番出口』の地下通路世界を表現できたと思います。
また、“おじさん”の相性で親しまれる男性キャラクターのビジュアルについてもこだわり、河内大和さんに完全に同じ歩きかたで歩き、芝居をしていただきました。
ゲームがそのまま現実世界にやってきたような、日常の延長線上で「もしかすると自分も迷い込んでしまうかも?」と感じられるような『8番出口』の地下通路世界を表現できたと思います。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/51526/ab101353cfca5cde8b9280e0ca1c46712.jpg?x=767)
――原作にはストーリーはないので、物語を作るうえで膨らませるのに苦労されたのではないかと思うのですが、どのように物語を紡いでいったのでしょうか。とくに苦労した点はありますか?
坂田
川村(川村元気氏)監督、脚本の平瀬(平瀬謙太朗氏)さんを中心に、KOTAKEさんにもアイデアをいただきつつ日々議論をしながら物語を構築していきました。
このゲームは、進むか、引き返すかの2択を問われ続ける作品であるため、映画に登場する主要キャラクターも2択を迫られる物語にするべきだと考えました。詳細はぜひ劇場で確かめていただければと思いますが、二宮和也さん演じる“迷う男”も、大きな2択を突きつけられた状態で地下通路に迷い込みます。地下通路で“異変”と対峙するごとに、その大きな2択についても考えを巡らせられる、そんな作品を目指して作りました。
脚本協力として二宮さんにも本打ちにご参加いただき、毎日微調整をしながら、物語がない原作に物語を作っていく作業を丁寧に行ってきました。
このゲームは、進むか、引き返すかの2択を問われ続ける作品であるため、映画に登場する主要キャラクターも2択を迫られる物語にするべきだと考えました。詳細はぜひ劇場で確かめていただければと思いますが、二宮和也さん演じる“迷う男”も、大きな2択を突きつけられた状態で地下通路に迷い込みます。地下通路で“異変”と対峙するごとに、その大きな2択についても考えを巡らせられる、そんな作品を目指して作りました。
脚本協力として二宮さんにも本打ちにご参加いただき、毎日微調整をしながら、物語がない原作に物語を作っていく作業を丁寧に行ってきました。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/51526/a4d41765f2a3f222565ba7d786f5a1d08.jpg?x=767)
――物語を膨らませるのに付随して、映画版のテーマとして、どのようなことを考えていたのですか?
坂田
2025年現在、世界では日々さまざまな出来事が起きています。スケールの大きな社会問題から、身近なニュースまで。大小さまざまではありますが、我々はそんな日常の変化と向き合うこともあれば、素通りすることもある。時には見て見ぬふりをしてしまうこともあります。
ゲーム内でプレイヤーが対峙する“異変”は、とくに説明もなく我々に襲いかかってきますが、この“異変”を膨大な情報がスマホから流れ込んでくる“我々の日常”にリンクさせられるとおもしろいな、と考えたのが物語の軸になっています。日常の些細な変化に気づく喜びや驚きを、この映画を通じて届けられるとうれしいです。
――キャスティングでこだわったポイントを教えてください。とくに、二宮和也さんを主人公に起用した理由は?
ゲーム内でプレイヤーが対峙する“異変”は、とくに説明もなく我々に襲いかかってきますが、この“異変”を膨大な情報がスマホから流れ込んでくる“我々の日常”にリンクさせられるとおもしろいな、と考えたのが物語の軸になっています。日常の些細な変化に気づく喜びや驚きを、この映画を通じて届けられるとうれしいです。
――キャスティングでこだわったポイントを教えてください。とくに、二宮和也さんを主人公に起用した理由は?
坂田
本作は地下通路というクローズド空間で、非常に少ない登場人物で構成される映画です。そのため、繊細な表現で多くの情報を観客に与えられるようなキャスティングを目指しました。
二宮さんは、何よりもご自身がゲーマーであること、そして表情や身振り手振りなど些細な身体の動きで多くの感情を表現をしてくださる点から、超初期段階からこの役をお願いしたいと考えておりました。そんな二宮さんのおかげで、延々と続く地下通路のループ演出も、毎回どこか違った見えかたになったと感じております。二宮さんなくして本作は成立しなかったと感じますね。
また我らが“おじさん”については、あの無機質で、不穏で、それでいてどこか親しみを持てるキャラクター像を目指してキャスティングを考えました。しかしながらなかなかイメージぴったりの方が思い付かず、川村監督、平瀬さん、私の3人で頭を悩ませていたとき、キャスティング担当の方の最初の提案として紹介いただいたのが河内さんでした。
河内さんは舞台経験が豊富で、“歩く”という単純な動作を精密にくり返し行う身体表現に長けている方でして、この役にぴったりだなと。舞台出身ということもあり、テレビや映画での露出がまだ始まったばかりのタイミングだったことも、“おじさん”の持つ匿名性にマッチしていたと思います。
二宮さんは、何よりもご自身がゲーマーであること、そして表情や身振り手振りなど些細な身体の動きで多くの感情を表現をしてくださる点から、超初期段階からこの役をお願いしたいと考えておりました。そんな二宮さんのおかげで、延々と続く地下通路のループ演出も、毎回どこか違った見えかたになったと感じております。二宮さんなくして本作は成立しなかったと感じますね。
また我らが“おじさん”については、あの無機質で、不穏で、それでいてどこか親しみを持てるキャラクター像を目指してキャスティングを考えました。しかしながらなかなかイメージぴったりの方が思い付かず、川村監督、平瀬さん、私の3人で頭を悩ませていたとき、キャスティング担当の方の最初の提案として紹介いただいたのが河内さんでした。
河内さんは舞台経験が豊富で、“歩く”という単純な動作を精密にくり返し行う身体表現に長けている方でして、この役にぴったりだなと。舞台出身ということもあり、テレビや映画での露出がまだ始まったばかりのタイミングだったことも、“おじさん”の持つ匿名性にマッチしていたと思います。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/51526/afed4e6c7e291032af0e4e19f269bc75f.jpg?x=767)
――キャストの皆さんとやりとりするにあたって、要望は出したのでしょうか。また、すごく気になるのでうかがってしまうのですが、現場の雰囲気はどんな感じでしたか?
坂田
川村監督の現場は、みんなで作り上げる現場です。役割に関係なく、脚本や演出の方向性について各カットごとに皆で話し合いながら作り進めました。キャストの皆様からも、脚本段階では想定していなかったすばらしい演出案をたくさんいただき、本当にみんなで作り上げた作品でした。
撮影期間中の制作スタイルも少し特殊で、直前に撮ったカットを即座に編集して前後のつながりを確認しながら進行しておりました。その裏ではつぎのシーンの準備をキャストの皆様・撮影スタッフの皆様が進めており……。撮影・編集がほぼ同時並行で進行する特殊なスタイルだったと思います。
振り返ってみると、無機質な空間を舞台にした作品なのに、非常に人肌を感じるアットホームな現場だったと感じます。
撮影期間中の制作スタイルも少し特殊で、直前に撮ったカットを即座に編集して前後のつながりを確認しながら進行しておりました。その裏ではつぎのシーンの準備をキャストの皆様・撮影スタッフの皆様が進めており……。撮影・編集がほぼ同時並行で進行する特殊なスタイルだったと思います。
振り返ってみると、無機質な空間を舞台にした作品なのに、非常に人肌を感じるアットホームな現場だったと感じます。
――原作者のKOTAKEさんから何か要望はありましたか。
坂田
映画チームを信じてくださり、とくに細かい要望をいただかず自由に制作させていただきました。この点は本当にKOTAKEさんに感謝しております。「リアリティーを追求するならこんな演出はどうか?」といった形で、一部KOTAKEさんからアイデアをいただいたパートもあったりします!
――「一度撮影したら軽く形にして毎度チェックする」との手法で撮影を進めたとうかがいましたが、その手法を採用した理由を教えてください。どのようなメリットがあるのでしょうか。
――「一度撮影したら軽く形にして毎度チェックする」との手法で撮影を進めたとうかがいましたが、その手法を採用した理由を教えてください。どのようなメリットがあるのでしょうか。
坂田
この映画は、誰も見たことがない新しい作品を目指して作りました。佐藤雅彦さんとよくごいっしょされている平瀬さんから、“新しいものを作るには、作りかたを新しくするべきだ”という意見をいただき、ゲームにおけるリアルタイムレンダリングのように、映像を編集して完成系を出力しながら作り進めるスタイルを採用することにしました。本作は膨大な数のループシーンが登場するため、カットの前後のつながりを確認しながら進行できるこの方法は大正解だったと思います。
――お気に入りの異変、再現したかったけれど断念した異変などはありますか?
坂田
予告編でも登場している、振り返ると“歩く男”(“おじさん”)が笑顔で立っている異変が大のお気に入りです。自分が帰り道に地下通路で遭遇したらと思うと、寒気がします(笑)。
再現したかったけれど断念した異変ももちろんありますが、そのぶん多くの異変を再現できたと思いますので、ぜひ劇場で異変を探してもらえたらと思います!
――ちなみに、坂田さんにとって“8番出口”は何の象徴になりますか?
再現したかったけれど断念した異変ももちろんありますが、そのぶん多くの異変を再現できたと思いますので、ぜひ劇場で異変を探してもらえたらと思います!
――ちなみに、坂田さんにとって“8番出口”は何の象徴になりますか?
坂田
私たち現代人の“人生”の象徴だなと思います。毎日同じ場所を通って、学校や職場に向かう。一見まったく同じに見えるけれど、じつは毎回些細な変化が起きている。その変化に対して、どう反応するのかを試される。くり返えされる毎日が、まさに『8番出口』だなと思います。
――最後に、ファンにメッセージをお願いします。
――最後に、ファンにメッセージをお願いします。
坂田
ゲームを楽しまれた方も、ゲームを知らない方も、どちらも非常に楽しめる内容に仕上がっております。広い世代で楽しめる作品にもなっておりますので、ぜひぜひ劇場でご覧いただけますと幸いです! またこの映画は、2回目以降のほうが確実に楽しめる内容になっておりますので、1回と言わず、2回、3回……8回見ていただきたいです! よろしくお願いします。