『デジモンストーリー タイムストレンジャー』先行レビュー。デジモンたちの街を歩くだけで楽しい。育成RPG最新作はガルルモンの背に乗って世界を駆ける夢を叶えてくれた
 バンダイナムコエンターテインメントから2025年10月2日(木)に発売予定(※)の、『デジモンストーリー タイムストレンジャー』。プラットフォームはプレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(Steam)となっている。
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※Steam版は2025年10月3日(金)発売予定。[IMAGE]

 『
デジモンストーリー』シリーズとしては、10年ぶりの最新作。今回、いち早く探索パートと戦闘パートをプレイする機会をいただけた。その様子をお伝えしていく。

 シリーズ最新作はどのような進化を遂げているのか。育成RPGとしての面白さについてはどうなのか。デジモンファンのみならず、気になるかたはぜひリポートをご覧あれ。

 なお、今回プレイさせていただいたのは開発中のものであるため、製品版とは一部異なる仕様がありうる点はご了承いただきたい。
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10年ぶりのシリーズ最新作を、PS5で先行プレイ。街に息づくデジモンたちの姿や、シリーズ最高峰の戦闘の迫力に、往年『デジモンファン』としては感涙するばかり。

デジモンの街には生活感と懐かしさが山盛り

 『デジモンストーリー タイムストレンジャー』の舞台となるのは、日本の東京、そのなかでも新宿がメイン。超常現象の調査、解決を専門とする秘密組織“ADAMAS”に所属する主人公=プレイヤーは、封鎖された新宿の一区画で未知の生物“デジモン”と出会い、8年前の世界にタイムスリップすることになる。

 主人公は過去の新宿だけでなく、デジモンたちが暮らす異世界“デジタルワールド・イリアス”にも向かうことに。そこでセントラルタウンを統治する“メルクリモン”をはじめ、さまざまな出会いが待っている。
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デジタルワールドに住むデジモンは、どの個体も非常に個性的。
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ときにはデジモンが襲いかかってくることも。主人公はデジモンを育成して戦いに臨み、倒したデジモンのデータを“コンバート”することで新たな仲間として迎えていく。
 今回の先行プレイでは、まずはデジタルワールド・イリアスの中心となる街“セントラルタウン”の一部を探索できた。地下道のような場所を抜けたさき、マンホールを開けたところに広がる“デジモンの街”の様子は、圧巻のひと言。
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街の広さもさることながら、そこに住むデジモンの生き生きとした様子にこそ驚いた。
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今回のプレイでは確認できなかったが、ほかにも海や森など、さまざまなエリアが存在するようだ。
 ストーリー進行の目標地点まで歩いていくだけでも、さまざまなデジモンが街のそこかしこで見られる。往年のファンには、懐かしさが込み上げること請け合いだ。

 さらにそれらNPCデジモンが1体ずつ別の動きをしている。商売を営んでいるデジモンもいれば、立ち話に花を咲かせるデジモンもいた。暮らしの様子がしみじみと伝わってくるようだ。
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 街角に立っているデジモンの組み合わせにも、新作の発売を心待ちにするファンを狙い撃ちしているかのようなものがいくつか見受けられた。一例として、とくにアニメシリーズのファンである筆者は、アルケニモンとマミーモンが楽しそうにしゃべっているのを見て、うっかり泣きそうになった。街にいるということは、今作でも仲間にして育成できるんですかね。
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ファンにはうれしいデジモンのオンパレード。本作から始めるデジモン初心者でも「なんだこのデジモン?」と気になるデザインのキャラクターが多いことだろう。

 街は思った以上に広いが、“デジライド”で仲間デジモンに乗ればすばやく移動可能。そういえば、アニメでは子どもたちが大柄なデジモンに乗るシーンが多く描かれていたが、ゲームではこういう描写はあまりなかった。
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 そうして街を移動していると、やや物騒な雰囲気がただよう区画に到達。このエリアでは、敵対姿勢を見せる“タイタン族”のデジモンが、こちらを見かけると襲いかかってくる。

 こんな場所では“デジアタック”が有効。ボタンひとつで、仲間のデジモンが前方にいる相手へと果敢に飛びかかってくれる。相手のレベルが低い場合はこれだけで倒すことができ、レベルが対等以上の場合、先制攻撃をしかけつつ戦闘に突入する。
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デジアタックをしかける仲間デジモンは、相手に対して有利な仲間が自動で選ばれる(対象がデジモンの場合)

 また、街中では箱などのオブジェクトを調べたり、デジアタックで壊したりすることで、さまざまなアイテムが入手可能だった。後述する“アタッチメントスキル”など、戦闘や育成にかかわるものも入手できるようなので、街中はすみずみまで探索したいところ。

 街はそうとう入り組んでおり、ハシゴなどで移動できる高低差のある場所も豊富。非常に探索しがいがありそうだった。“アナライズ”機能を使えば視界内にあるオブジェクトの位置などが瞬時に表示されるので、積極的に使っていきたいところ。
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今回探索したのはセントラルタウンのほんの一部だけだが、それでも寄り道できそうな道が10近くは見かけられた。

 デジモンとのバトルも、本作を語る上では避けられないところ。戦闘はパラメーターに応じた行動順で敵味方のデジモンが1回ずつ行動していく、コマンド入力式のターン制バトルだ。

 デジモンの種族は7種類があり、その内、データ、ワクチン、ウィルスは三つ巴の関係になっている。優位な種族に対しては与えるダメージが大幅に増え、さらにその相手から受けるダメージが大きく減る。またそのほかの種族は、いずれの種族にも有利不利を持たない。
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ボス戦のみならず、敵との種族相性はつねに大事。

 この種族相性による補正が大きいため、戦闘中の入れ替えも効果的だ。デジモンを入れ替えても行動ターンを消費しないので、臨機応変に対応できる。
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 さらに各デジモンには属性の概念があり、火属性に強かったり、地面属性に弱かったりと、攻撃の属性によっても受けるダメージが変わる。こうなると種族だけでなく、持っている技も吟味しなくてはならない。

 本作では“アタッチメントスキル”という、デジモンに追加で技を覚えさせられるアイテムが登場。幅広くさまざまな属性の技を覚えさせたり、特定の属性や攻撃、回復などに特化させるなど、戦略性とカスタマイズ性が非常に幅広い。
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アタッチメントスキルにより、デジモンの育成や戦略の可能性はほぼ無限大。

 また、戦闘の速度は最大5倍速にすることができ、戦闘がさくさく進んだのも印象的だった。『デジモンストーリー』シリーズでは戦闘を多くこなすことになるので、この機能はうれしいところ。

 なぜ戦闘を多くこなすかと言えば、デジモンを仲間として迎えるためだ。倒せば倒すほど“スキャン率”が上がっていく。これが100%になると“コンバート”が可能になり、仲間デジモンとして迎えられる。スキャン率は最大200%まで溜めることができ、多く溜めてからコンバートすることで、最大HPと才能値(レベル上限)がアップする。
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戦闘で仲間デジモンのレベルを上げるのと同じかそれ以上に、スキャン率を高めることも重要。

 さらに、仲間デジモンのレベルを上げるなどしてパラメーターや条件が揃うことで、そのデジモンは“進化”を行なえる。進化することで飛躍的にパラメーターが伸びるほか、新たな技を使用可能になったりと、大幅な戦力アップが望める。
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デジモンといえば進化。本作でも進化シーンはしっかりと描写されており、ファンとしては非常にテンションが上がる。

 こうして広い街などのフィールドマップを探索し、デジモンをバトルで育成し、さらに新たな仲間デジモンを集めていく。この繰り返しが、基本的なフローになるようだ。
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各デジモンには複数の進化先があり、逆に退化させることも可能。お気に入りデジモンを探してコンバートし、さまざまな進化を試してみたくなる。

ボス戦は相性と戦略がカギ

 続いて、ボス戦のパートも体験できた。相手はアニメ劇場版などでも最初の強敵としておなじみの“パロットモン”だ。
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アニメ版のファンとしては、パロットモンを見るとデジモンが始まったなぁという感覚がある。

 ボス戦ではさきほど説明した種族と属性の相性が、さらに重要になってくる。種族、属性ともに有利なものが重なれば、今回のプレイでは最大300%、つまり3倍のダメージ補正を確認できた。

 逆に不利な種族の場合、ただでさえ痛いパロットモンの攻撃によるダメージが2倍に。これはまずいと、手持ちの他デジモンと即座に入れ替えた。
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相性は非常に重要だと、ボス戦で身をもって理解できた。なお、相手にどの属性の攻撃がどれくらい有効かは、一度命中させないと判明しない。
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相性がばっちり有利なら大ダメージ。決まるとかなり気持ちいい。

 また、今回のプレイではしっかり育成し、成熟期の段階まで進化したデジモンを用意してもらっていたため、派手な大技も見ることができた。これまたアニメ版ファンとしての視点となるが、キュウビモンが鬼火玉を撃つ演出には
『デジモンテイマーズ』の記憶が鮮明によみがえった。
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こちらが鬼火玉の演出の一部。キュウビモンといえばこれですよ。

 そんなふうに演出にうっとりしていた筆者だが、のんびりしている場合ではなかった。いつのまにやらパロットモンが2回行動したり、全体攻撃をしかけてきたりするようになっている。

 一部ボス戦では、敵の行動によって溜まる“クリティカルポイント”(CP)によってボスが強化される。CPはとくにボスから弱点攻撃をされると増えるようで、ますます相性の大事さが身にしみる。
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本作のボス戦は、攻防ともに相性が大事。

 さてどうしようか、と考えごとをしつつコマンドを入力しているうちに、急に画面に「×ボタンを押せ」と言わんばかりのアイコンと、タイムリミットを示すものらしいゲージが出現した。敵を攻撃した際に追加で発動できる“ストライクプラス”が発動したのだ。

 ストライクプラスの発動は一定確率によるものなので、いつ発生してもおかしくない。コマンド入力式のバトルだが、油断は禁物ということか。さらに戦闘中に条件を満たすと主人公が発動できる切り札“クロスアーツ(X-Arts)”をいつ使うかなど、考えることも多い。
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ストライクプラスには攻撃のほかに、ストライクエフェクトという特殊効果も発生する場合があり、デジモンの種族や性格によって回復や補助など効果が変わる。

 さらに戦闘が進むと、パロットモンが地上に降りてきて、いかにも力を溜めるような動作をとり始めた。これはもうRPGではおなじみの、止めないとえらいことになる大技の予兆だ。

 ここでいままでは1部位しか攻撃できなかったパロットモンに、胴体と頭部という、2部位の攻撃箇所が出現。明らかに力を溜めている頭部のほうを攻撃してみるも、まさかのこれまで有効だった火属性が半減という結果に。
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こういった弱点属性の罠は、単純だが引っ掛かりがち。また最初から有利属性を探さなくては。

 そのあと、なんとか頭部を集中攻撃して大技を食い止めることには成功した。もし止められなかった場合、防御を固めないとほぼ全滅するレベルの攻撃が飛んできていたようだ。
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こちらが止められなかった場合に放たれる、パロットモンの大技。防御を固めていてもこの多段ヒットダメージで、しかも麻痺の追加効果つき。

 大技を止めても止められなくても、バロットモンの体力はまだまだ残っており、苦しい長期戦になりそうな予感がしてきた。しかしここで、まさかの援軍が登場。セントラルタウンを治めるオリンポス十二神デジモンの一角、メルクリモンが助けに来てくれた。
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メルクリモンの登場シーンも、じつにかっこいい。さすがはオリンポス十二神。

 メルクリモンの圧倒的なスピードとパワーによって、パロットモンは撃退される。なるほど、これがオリンポス十二神の力かと、ストーリー的にも強く印象に残った。

 街中の探索だけでなく、戦闘中の演出もこのように大幅にパワーアップしている本作。今回プレイできたのは30分程度だったが、その短時間でもストーリーや世界観の濃密さ、バトルの戦略性の高さなど、さまざまな面白さが十分に伝わってきた。
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デジモンならではの心を熱くしてくれるかっこよさや、さまざまなキャラクターが生み出すドラマ性が、短時間のプレイでも存分に味わえた。

 “デジモンファンに向けたゲーム”としてだけでなく、RPGとしての遊び応えも十分に感じられた本作。開発のこだわりについて、プロデューサーを務める原良輔氏へのインタビューも実施している。こちらも合わせてご覧いただきたい。