誇り高き女王だけど、異世界転移したらパズルだらけなので解きまくります



しかし、パズルで操作するのは女王自身ではなく、そのステージごとに決められたキャラクターたちだ。彼らはそれぞれ異なる能力を持っており、たとえば戦士のヴァレンスならクリスタルなどの物体を押せるし、盗賊の少女ティフならそれらを引ける、魔法使いのイシドールなら向き合った対象と自分の位置を入れ換えることができる。

キャラクターの能力を駆使してステージをクリアーすると、再び女王のいる世界に戻り、新たなパズルステージに挑めるようになる。このようにメインとなるオーバーワールド(いわゆるワールドマップ)では女王を操作しつつ、各エリアのパズルは固定キャラクターを動かすという2段構えとなっているのだ。

さらに、オーバーワールドにもパズル要素があり、各エリアにゲートやスイッチなどの仕掛けが置かれている。これらを操作することで、つぎのエリアに進めるようになるのだが、仕掛けを解放するには星型エンブレムのパズルステージをクリアーする必要がある。要するに、パズルステージをクリアーしていくと、オーバーワールドで行ける場所が増えていく、ということだ。
エリアを進むと、少しずつ景色が変わってくるのも見どころ。Theklaの人気作『The Witness』の風景の美しさ、そのセンスが本作にも受け継がれているようだ。

プレイヤーへの挑戦状!? キャラクター能力もみずから探り当てる快感


それに、プレイヤーに寄り添ったステージ構成になっているのも見て取れる。新たな要素が加わったときのパズルステージはシンプルで、実践型チュートリアルのようだ。そこで勝手をつかんだら、つぎのステージではそれを応用する仕掛けが待っている。
体感として、グンッとカーブを描くように難度が上がっている印象もあるが、「さっきのが解けたんだから、これも解けるよね?」と言われているような気がして、必死に食らいつきたくなる。パズルを解き続けることで、つねに自分の頭脳の限界を更新していくような感覚にもなった。

各エリア終盤のステージなどはかなりの歯応えで、もう、わからないときは本っ当にわからない。脳疲労というのを身をもって感じるほど、クタクタになる。そんなときはひと晩寝るか、オーバーワールドの別の方角に行って気分転換してみると、案外スルッと解けたりするものだから、またパズル沼にズブズブとハマってしまう。

異世界の東西南北に難問奇問が待っている

北側の地には、キャラクターを切り換えながら解くパズルステージが連なっている。序盤から操作できるのは3人のキャラクターだが、エリアを進んでいくと新たなキャラクターが登場する。なお、操作できるキャラクターはステージごとにあらかじめ決まっている。


東側では、商人の男性が“鏡の試練”に挑む。その名の通り、島に置かれた鏡が反射する先に移動できるというのが大きな特徴だ。合わせ鏡にしたり、クリスタルを映して移動させたりとさまざまな鏡の使いかたがある。


南側では、しゃべる船と船乗りの少女が、島から島へと渡っていく。道中に落ちている“飛び石”は、押すと弾みながら向こう岸に着地する性質がある。ここではステージがつながっており、飛び石をつぎのエリアに持ち越すこともある。


西の鉱山では洞窟探検家を操作し、集めた宝石でビーム装置を起動させていく。ビームにはいくつかの種類があり、たとえば黄色のビームを浴びているあいだは岩などを破壊できるなど、さまざまな効果が得られる。
また、意味ありげな場所で宝石を捧げると、行動範囲を広げてくれるアイテムが手に入ることも。この鉱山は何層ものフロアで構成されており、フロア自体も広い。




試行錯誤するプレイヤーのモチベを支える便利機能
さらに、ボタン長押しで連続アンドゥすることもできるのだが、処理スピードが速くてもはや動画の早戻しを見ているかのよう。この辺りは、さすが時間操作パズル『Braid』を生み出したスタジオだと感心してしまう。もちろん、ステージの最初からやり直すボタンもある。

また、キャラクターを切り換える際、ボタンを押して順ぐりに交代できるほか、右スティックを対象の方向に倒すことでダイレクトに選ぶこともできる。“運び屋の英雄たち”ではキャラクター切り替えを頻繁に行うし、登場人物が多いステージではとくに重宝した。

ストーリーもまるでパズルな群像劇
それでもキャラクターボイスのおかげで人物像はすぐつかめたし、日本語テキストも自然だった。また、これだけ多くのパズルステージに会話が用意されており、しかもフルボイスというのもすごい。





本作のストーリーはこのように独特な手法で語られているため、正直、最初はワケがわからずとまどったが、ふと、この世界に飛ばされた女王と同じ状況なのだと思いいたった。
あれ、このコ意外と好きかも……? 推しキャラクターを勝手に発表!
『Order of the Sinking Star』は、個性豊かなキャラクターも魅力のひとつ。筆者もプレイするうちに、いつの間にかお気に入りのコが増えていった。ここでは個人的に推したいキャラクターをピックアップ!
【憎めないおじいちゃん・イシドール】
イシドール、愛称・イジーは、“運び屋の英雄たち”で序盤から登場する魔法使いで、先述のように対象と位置を入れ換えられる能力を持っている。これは事故で身についた力なのだとか。
この入れ換え能力がね、便利で不便なんですよ! 一瞬で移動できるのはいいんだけど、仲間や敵がいるのを忘れて振り向こうものなら、ボンッとワープしちゃう。というか、むしろイシドールがふつうに歩けるほうが珍しい。彼がうっかりワープをしないように、先に仲間を移動させておいて、入れ換えるというひと手間が往々にして必要になるので……。だけれど、彼は魔法研究に熱心なオタクといった性格で、妙な親しみを感じてしまうのも確か。

吟遊詩人は、奏でる音楽で味方も敵も、クリスタルですら引きつけてしまう能力を持っている。音楽の範囲内に入った対象を、一定の距離を保ったまま誘導できるのが重宝する。彼女自身も大人の女性らしい魅惑的な語り口で、男性陣との会話シーンは見ていてほほえましい。また彼女の能力で、ふだんなら絶対踊らなそうな味方キャラクターが踊っている姿が見られるのもイイ。

杖を持った僧侶のようなキャラクターは、不思議な力に守られているようで、敵の攻撃を受けてもへっちゃら。その一方で、クリスタルなどを押したり引いたりはできない。出会って間もないころは、盾扱いするのはちょっぴり気が引けたが……。
彼女はしゃべらないのだが、最初はイシドールのオタトークに閉口しているだけなのかと思ってしまった。

ドルイドは触れた対象をクリスタルにしたり、戻したりできる能力を持つ。仲間をクリスタルにするときは、毎回「ヒッ」と怖くなるが、固まっちゃえば敵の攻撃も効かないので非常に助かる能力だ。彼の低いボイスと、任務に忠実な仕事人という様相にもシビレる。

パズルファンが行き着く、ひとつの終着点
難しいステージは解いていて本当に疲れるけれど……。こんなに真剣に考えたパズルはこれまでになかったかもしれない。「ココを通りたいけど、ゴブリンがジャマだから、先にああしてこうして」と、1手先、2手先、いやゴールまでの道筋を思い描いたり、それが何も思いつかないときには、とにかく動かしてみたり。つねに脳みそフル回転で、プレイ中はいつもあっという間に時間が過ぎていった。
行き詰まってしまったときは、家族の知恵を借りることもあった。自分では思いつかなかった方法が出てきたり、話すことで問題が整理されていったり。もしヒント機能があったら見てしまうだろうけど、そうなれば小躍りするほど喜べなかったと思う。(ヒント機能をつけないでくれてありがとう!)
いろいろな形でパズルを解き進める楽しさを長く味わえる本作は、パズル界のエンドコンテンツというか、パズル好きが最終的にたどり着くパズル天国なのだと思った。
『Order of the Sinking Star』製品概要
- 対応プラットフォーム:Nintendo Switch 2、プレイステーション5、PC
- 発売元:PLAYISM
- 開発元:Thekla
- 発売日:Switch 2版とPS5版は2026年10月29日発売、PC版は2026年10月9日発売
- 価格:3400円[税込]
- 対象年齢:IARC 3歳以上対象
- ジャンル:パズル・アドベンチャー
- 備考:PC版のパブリッシャーはArc GamesとGamirror Games















