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『RetroSpace』レビュー。ダクトに潜って巨大宇宙船を救え! ユーモアとともに“イマーシブシム”の古典的作品にオマージュを捧げるレトロ風FPS

『RetroSpace』レビュー。ダクトに潜って巨大宇宙船を救え! ユーモアとともに“イマーシブシム”の古典的作品にオマージュを捧げるレトロ風FPS
 奇怪なミュータントや暴走するアンドロイドたちが徘徊し、乗組員はほぼ全滅。宇宙漂流する巨大宇宙船“オーロラ5”を救えるのは、張り巡らされたダクトを知り尽くした清掃員だけ……。『RetroSpace』は、そんなコメディタッチのレトロSFな一人称視点FPSだ。
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 2026年10月2日にプレイステーション5/Xbox Series X|S/PCで配信開始(※)される本作のPCレビュー版をプレイしたので、その内容をご紹介しよう。なお日本語にはテキストでローカライズ対応している。(※改善のため、Nintendo Switch 2版は発売延期となっている)

ダクトだらけで探索が楽しい。あまり身構えずに遊べるイマーシブシム

 さて本作、ジャンル的には“イマーシブシム”に分類され、特にその往年の名作『System Shock 2』を元ネタにオマージュを込めた作品となっている。

 イマーシブシムとは、プレイヤーの創発的な問題解決を促進するためのシステムを核とする作りのゲームのことで、『
Deus Ex』や『ディスオナード』シリーズなどが代表的だ。
『RetroSpace』レビュー
高難度モードのひとつも『System Shock 2』の発売年にちなんだ“1999モード”。
 たとえば“ゲートで封鎖された隣の部屋に入る”という目的に対し、探索で手に入れた解錠コードを入れるのもよし、ハッキングミニゲームで強制解錠するのもよし、貨物の箱を積み上げて通常のジャンプでは上がれない所から進むのもよし、壁の下のダクト(通風口)の蓋をレンチでぶっ壊して通ってもいい……という感じ。

 でも実は“そもそも本当は隣の部屋に入る必要はない”ことすらあるという、くり返しプレイするなかでの試行錯誤や発見、そしてそれらを駆使したスマートな攻略で「俺スゲー」が楽しいタイプのジャンルと言えるだろう。
『RetroSpace』レビュー
ロッカー漁ってたら怪しい番号が……。
 というわけで本作、各エリアにやたらダクトが張り巡らされているので、それらを発見して攻略ルートを見出すのが楽しい。回復や弾薬アイテムもあらゆるところに配置されているので、思わず探しちゃう。

 それなのに苦労して敵を一掃してからさらにダクトを発見し「え、こんな所繋がってたの?」と驚かされることもしばしば。清掃員としてダクトを制することなく、本作を制することはないのだ。
『RetroSpace』レビュー
大型ファンは羽根をぶっ壊せば通れるようになる。
『RetroSpace』レビュー
ダクトを通っていたら清掃員のオアシスを発見。歴代の月間最優秀清掃員は全員同じ格好。
 ではイマーシブシムとしての特色は? まずはほどよく要素が絞り込まれて若干ライト寄りなことと、(一応設定自体はSFホラーなんだけど)陰鬱なディストピアSFが多いのに対してヘンテコな明るいノリが基調なのが印象的だ。

 開発のThe Wild Gentlemenは、獣人たちのノワールアドベンチャー『
Chicken Police』シリーズなどを手掛けてきたスタジオで、ジョーク交じりのどこまで本気かわからないストーリーはお手の物。まぁこれは「渋くて暗いのがいいんじゃない」という人もいると思うけど、プレッシャー少なめに「これはどうよ?」とアイデアを気楽に試せるのはいい。

 ちなみに主人公が清掃員という設定は武器やガジェット類にも活かされていて、なかでも“お掃除スプレー”は活用法がいろいろあって楽しい。壁などの汚れを取ったら解錠コードが出てくることもあれば、酸のボトルに変更して床に噴きつければ即席トラップのできあがり。わざと音をたてたり敵の習性を利用して誘い込めばいい。
『RetroSpace』レビュー
設定に沿ってガジェットがお掃除道具だったりするのもいい。汚れている所にスプレーをかけると……。
『RetroSpace』レビュー
生存者はヘンなやつばっか。
『RetroSpace』レビュー
『バイオショック』っぽくダイイングメッセージがあったり、生首が大量に置かれてたり、SFホラー的な側面も当然あるんだけど、シリアス一辺倒ではない。
 最近のインディー系タイトルから取り込んでいる要素もあって、『Void Bastards』のように“死亡からの復活時にクローンエラーで余計なデバフが付与される”というローグライトっぽい仕組みになっている。

 しかもその内容が大分バカ。定期的にくしゃみしちゃうとか罵詈雑言を放っちゃうとか(ステルス時はなかなか最悪)、時折ジャンプスケア的にクリーチャーの幻影が画面全面に映されるとか、食べ物で回復しようとするとゲロるとか、くだらなくて笑っちゃう。
『RetroSpace』レビュー
敵は聴覚の概念があるので、うるさくしない方がいいんですけど……。
『RetroSpace』レビュー
いきなりドアップはやめてよマジで。
 デバフは割と簡単に治療できるけど、「そもそもデバフかかりたくないんだけど……」という人は、マニュアルで実行可能なクイックセーブを多用するのもいいだろう。セーブスロットの数が限られているという制限はあるが、その代わりにオートセーブでクイックセーブを上書きしないようにする追加設定まで用意されている。好きなようにプレイすればいいのだ。

 というわけで本作、ローポリグラフィック全開な見た目だけのレトロオマージュに終わらず、ユーモアたっぷりな中でジャンル的な醍醐味はしっかり味わえるタイトルとなっていると感じた。

 初代『
System Shock』リメイクなど過去の名作を遊びやすくなってきている状況もあるけども、もうちょっと軽い気持ちで肩肘はらずに始めてみたい時の候補にも悪くないんじゃないだろうか。
『RetroSpace』レビュー
ゲームが中盤に入ると追加機能を買ったり、さまざまなミュータント能力をインストールできるようになる。それによってまた攻略の幅が広がるというワケだ。