千葉県・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2026の会期に合わせて、Urban Gamesは、2026年9月30日発売の『Transport Fever 3』(トランスポートフィーバー3)の、メディア向けハンズオンを開催した。 なお、同作の対応機種はプレイステーション5(PS5)、XBOX Series X|S、PC(Steam、Epic Games Store、GOG)となっている。

本作収録のキャンペーンシナリオのひとつの、冒頭部分をプレイさせていただいた。
前作にあたる『トランスポートフィーバー2』は2019年のPC版発売以来、ミリオンセラー突破を経て世界中のプレイヤーに愛され続けている“タイクーン”系タイトル。さまざまな輸送手段を選び、街の施設や生産地の物流をつなげていく経営シミュレーションだ。
こう聞くとかなり硬派で、シミュレーションというだけで難しいゲームのイメージがあるかもしれないが、実際にプレイしてみるとその印象とは正反対。のんびり遊べて、リラックスできる癒しのゲームだった。


なんというか“ほぐれる”タイトルだった。ぜんぜん難しくないし、むしろ遊ぶほどに癒されていく。
今回はPCの日本語版でのハンズオンに加え、開発を手掛けるUrban Gamesのシニア3DアーティストであるManu Oehler(マヌ・エーラー)氏にインタビューに応じていただいた。発売直前となった本作の魅力を、プレイフィールとインタビューの両側面からお伝えしていく。

Urban Gamesシニア3Dアーティスト、Manu Oehler氏。
なお、記事内で使用している画像は資料として英語版からいただいたもので、ハンズオンのプレイ内容を撮影したものではない点はご了承いただきたい。
※この記事はParadox Interactiveの提供でお届けします。物流の設定は一瞬で終わり、馬車と漁船でチル体験
まずはハンズオンのプレイフィールをお伝えする前に、本作の概要から紹介しておこう。『トランスポートフィーバー3』では運送手段にヘリコプターや貨物トラムなどが追加され、昼夜システムなどアート面でも興味深い新システムを採用。前作から大幅にボリュームアップした最新作だ。

さまざまなキャンペーンシナリオをプレイできるほか、自由に輸送網を構築できるプレイモードでは、温帯、乾燥帯、熱帯、亜寒帯ツンドラの4種類の気候帯と、1900年から2020年まで、10年刻みでゲーム開始年代を設定可能。年代の進行に合わせて建物、車両、市民なども変化していく。また、地形などすべてを自分でエディットできるサンドボックスモードも収録されている。


輸送手段が増えただけでなく、昼夜システムのおかげで時間帯による風景の変化も楽しめるようになった。


輸送路の構築だけでなく、各輸送手段のカスタマイズ要素も充実。
今回のハンズオンでは、筆者があまりシリーズタイトルをプレイしていない初心者ということもあって、ストーリーに沿ってつぎつぎと課題をこなしていくキャンペーンシナリオのひとつをプレイさせていただいた。
シナリオの舞台はアメリカ・ニューオーリンズで、歴史的なカーニバルであるMardi Gras(マルディグラ)が開催されているというシチュエーションだ。開始早々、街に着いたプレイヤーの前には氾濫した川と、その近くを我が物顔で歩き回るワニという、だいぶヤバめな光景が広がる。

実際はちゃんと街があるのでこの画像ほど荒涼とはしていなかったが、わりとカルチャーショックを受ける始まりだった。
最初の課題は、伐採場を歩き回るワニの捕獲。このゲームのジャンルってなんだっけと思いつつも、伐採場内にいる5体のワニをクリックしていく。なるほど。建物の中に隠れているワニを探したりすることで、カメラの角度調整などの操作のチュートリアルになっていたわけか。
ワニを捕まえたら、いよいよ街の輸送網の整備に取りかかる。まずは新たに、舗装された道を敷く。道の種類だけでも、街路樹が両側に生えた見映えのいいものや、よりお金がかかる高速道路など、8種類以上の存在が確認できた。

道路などのインフラが本作の要。車などが実際にこのインフラ上をリアルタイムで移動するので、より速く行き来できる交通網を作れば運送効率が上がる。

ちなみに道の渋滞具合など、さまざまな要素が緑やオレンジといった色で直感的に理解できるのも本作の特徴。
なお、道を敷くのも非常に簡単。使う道路の種類を選んだら、後はちょんちょんとクリックしていくだけで、指定した場所どうしを結ぶ道ができあがる。道の近くに施設があれば自動で道路に接続されるし、逆に道路横に施設を置く場合も、近くに置こうとすれば自動で接続される。


橋やトンネルも同じ方法で、さくさくと伸ばせる。さくさくすぎてつい欲張ってしまい、完成後の費用が高くなってしまうことまで含めてお約束。
シナリオの案内役となるNPCいわく、まずは伐採場の材木をホテルの建設現場に運んでほしいとのこと。その実際のプロセスは、以下のとおり。
- 車庫を作り、そこで馬車を購入
- “路線マネージャー”メニューを開き、新たな路線をひとつ用意
- 路線の設定を開き、伐採所とホテル現場を停車位置に登録
- 車庫から馬車を路線に登録し、輸送開始
けっこうやることが多く見えるかもしれないが、実際にやってみると各過程で多くても4回くらいしかクリックはしていない。また、停車位置に指定するだけで、馬車には伐採所で積めるだけの材木を積み、建設現場に着いたら全部降ろすという、基本的な輸送の設定が自動で行なわれた。
もちろん、材木の一部だけを特定の停車位置で降ろしたりといった細かな設定も後から可能。車両は車庫から“路線に送る”を選ぶだけで、好きな路線にワンタッチで派遣できる。だいぶ操作が簡略化されており、シミュレーション初心者でも遊びやすくなっている印象だ。


採取や生産なども、施設を建設すればほぼ自動でやってくれる。プレイヤーは成果物をどう輸送するかに集中できる。
実際に馬車が路線に配備され、材木の輸送が始まった。がんばっているかが気になったので、道を走っている馬車をクリックしてみる。すると馬車の情報ウィンドウが表示され、そのなかでも大きめで目立つ、カメラ型のボタンが目に入った。
なんだこれ、とクリックしてみると、視点が馬車からのものに変化。俯瞰視点で馬車を捉え続ける視点にも変更できた。

本作ではさまざまな輸送手段を、主観カメラや俯瞰追従カメラでじっくり鑑賞できる。
馬車がかっぽかっぽと道を走っていくのを、しばらく眺めてみる。馬が生き生きと走っている姿と小気味いいリズムが、じつに牧歌的でチルい。ついでに道端に目をやってみると、牛の群れがのんびりしているところを目撃。サファリパークみたいでいいじゃないか。

参考までに、こちらが本作の馬が写っている画像。馬車視点で田舎町を駆けていくのが、想像以上に癒される。

自然豊かな郊外から、にぎわう街並みへとリアルタイムで入っていく瞬間もワクワクした。子どものころ、新幹線の車窓から風景を眺めてテンションが上がったのを思い出す。
このあたりで、筆者は気づいてしまった。本作、じつは輸送経営シミュレーションとしての完成度はもちろん、この“チルさ”も大きな魅力なのではないだろうか。
輸送の設定はめちゃくちゃ簡単だ。路線の停車場所を後から挿入しても、最適なルートを自動で設定してくれる。騒音や公害といった要素もあるが、あまり乱雑に路線を増やしたりしなければそこまで気にしなくてもよさそうだ。今回のキャンペーンシナリオが時代的に近現代ではなかったのも理由かもしれないが、かなり肩の力を抜いて遊べた印象があった。

シミュレーションと聞いて身構えてしまいがちだが、本作ではむしろさまざまな乗り物で癒される、箱庭的な楽しみかたができる。筆者としても、この遊びかたがだいぶ気に入った。
キャンペーンシナリオではその後、今度は船の路線を作って漁場から港へと、魚を運ぶように指示された。基本的なやりかたは馬車のときと同じ。ついでに船のカメラで、ゆっくりと水面を進む漁師の船からの光景を楽しんだ。
馬車や漁船がゆっくりと進む乗り物である点も、癒しの面からはよかった。ゲームの合間に、コーヒーブレイクをしながら過ぎゆく風景を眺めたくなる。本作では時間経過速度を倍速よりもさらに速く設定できるが、最高速にしても速すぎることはなく、まだ移動を楽しめた。


海路も長時間眺めていても飽きない。時間経過で朝日や西日が差す水面も最高だ。
今回は時代的に空路を体験できなかったが、飛行機やヘリコプターをカメラで追尾したら、それはもう絶景が楽しめることだろう。後で訊いたところによると、陸路では道端に牛がいたように、空では鳥が見つかるとのこと。


空の風景もぜひ見てみたくなった。間違いなくワクワクできる。
こうして馬車や船から田舎町の風景を堪能しつつ課題を進めていたところ、いつのまにか30分以上が経過していた。本当に時間経過の実感がなかったのだが、ものすごい満足感がたしかに残る。連日の東京ゲームショウの取材疲れで凝り固まっていた体がだいぶほぐれるという、リラクゼーション効果を確認できた。
カツカツに支出や利益とにらめっこし、経営やインフラ整備を突きつめていくのも本作ではおもしろそうだ。しかし筆者としてはその合間、プレイ中にけっこうできる空き時間に差し込んでいく癒しの時間に大きな魅力を感じた。


筆者が製品版をプレイするときには、山奥に採算度外視の絶景路線を作ったりと、お気に入りの路線にこだわってみたい。
【インタビュー】1年間さらに磨いた自信作、注目点は……馬?
ハンズオンに続いて、シニア3DアーティストのManu Oehler氏へのインタビューを実施。以下、その模様をお届けしていく。

発売直前ということで、Manu Oehler氏からは本作のより具体的な魅力について回答をいただけた。
Manu Oehler(マヌ・エーラー)
Urban Games シニア3Dアーティスト。文中はマヌ
――まずは9月30日の本作発売まで、いよいよ目前となったいまのご心境を伺えますか。
マヌ
かなりの自信を持っております。私個人の視点ではありますが、『トランスポートフィーバー3』はシリーズ作品の中でも最高傑作になりました。シリーズを通してタイクーン系タイトルとして目指してきた、その目的がついに達成できたと思っています。
――日本ですとタイクーン系のゲームになじみがない層も多いかと思いますが、そういった層に向けての施策などもあるのでしょうか。
マヌ
とっつきにくいジャンルというイメージが強いかと思いますが、本作では遊び始めるまでの行程も含め、かなりシームレスな設計になっています。ゲームをより単純化と言いますか、シンプルにする試みをいくつか導入しました。
ほかにも、たとえばキャンペーンモードはわかりやすく簡単めに楽しんでいただけるようになっています。タイクーン系タイトルが未経験の方は、まずはこのキャンペーンから試してみていただければと思います。
――逆に前作『2』を何年も遊んでくれているファンも多いということで、ファンの皆さんに『3』の魅力をアピールしていただけますか。
マヌ
『2』からの変化という点では舞台裏で起きているものが多いのですが、まずは“簡単には勝てない”という点をお伝えしたいです。都市の成長については、無限にお金を生み出せる仕組みなどはなくなっています。ゲームを進めていっても、引き続き歯応えのあるゲーム体験が味わえるような仕組みをご用意しました。
――実際にプレイさせていただいて、乗り物や景観、時間経過などのアート面にかなり注力されていると感じました。こうしたアート面で、ぜひ注目してほしい点はありますか。
マヌ
アートについては全体にクオリティーアップを施しています。ぜひすべて注目していただきたいのですが、そのなかでも個人的に見てほしいところを挙げるなら、馬です。
――う、馬? 電車などではなくて?
マヌ
これまでのシリーズタイトルですと、そこまでうまく描けていなかったんです。さまざまな生き物のグラフィックも向上していますので、ぜひ見つけてみてください。


本作では生き物のほか、街の人間も全員リアルタイムで描写される。彼らもひとりひとり生活し、最適な交通手段を自分で選んでいく。
――『2』からさらに輸送手段が増えていますが、とくに注目してほしい点はありますか。
マヌ
車両などの種類も増えましたが、内装のディテールには注目していただきたいです。とくに列車全般は、ゲームプレイとビジュアルクオリティーのバランス取りなどを考えつつ、かなりこだわった作りになっています。
本シリーズでは列車が好きなプレイヤーの皆さんにも好評をいただいており、細かなミスでもすぐに必ずご指摘をいただくほどなんです。


各車両は外観だけでなくカメラの切り替えで、車両内部や施設内での様子なども鑑賞可能。乗り物見学だけでも1時間以上は溶けそう。
――ヘリコプターなどの便利そうな輸送手段も増えていますが、これらによって『2』からゲームテンポが変わっていたりもするのでしょうか。
マヌ
基本的には、テンポ面はあまり変わっていません。お話に出ていたヘリコプターは、速さよりも高低差がある場所へ物を運べるところに主軸を置いています。今作では前作よりも地形の変化や高低差といった要素が大きいため、それに対応した追加要素という側面を持っているわけです。

――『2』では有志のプレイヤーによるMOD製作も盛んだとお聞きしています。これまででとくに記憶に残っているMODなどあれば、教えていただきたいのですが。
マヌ
とくに記憶に残っているのは、スクリプト型のMODですね。より上級プレイヤー向けのゲームプレイを拡充させるようなMODです。
また、すでに『3』でのMOD製作のために動き出しているものもあるとのことで、そのひとつが時刻表MODです。これがかなり複雑によくできたもので、簡略化を目指す我々としてはゲームに公式導入はしないであろう要素です。
――さまざまなMODが世に出てきたなかで、本編の参考にしたものなどはあったのでしょうか。
マヌ
車両MODなどは、正式にどの車両を導入するかの参考になった例があります。たとえば新幹線はさきにMODとして登場しており、後に我々のほうでも実装することになった車両です。
あとひとつ思い出したのは、線路ですね。MODにものすごくいい出来のものがありまして、テクスチャーをいじりつつ正式採用させていただくことになりました。
――昨年のTGSでのインタビューでは、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)が登場するというサプライズ情報をいただいたのですが、今年もそういった新情報は……?
マヌ
今回はそこまで大きなサプライズ情報をご用意できませんでした。というのも、この1年間はできあがった本作のブラッシュアップに全力を注いでいたので、1年間で新たなサプライズが増えたりはしていないんです。
――むしろ1年間磨き上げたというのは、期待が高まる嬉しい情報ですね。それでは最後に、読者の皆さんへのメッセージをいただけますか。
マヌ
非常にリラックスしたゲームプレイを楽しんでいただけるタイトルですので、日本のプレイヤーの皆さんにも、ぜひ本作を手に取ってみていただければと思います。空いた時間が多くあるという方には、とくにお試しいただきたいです。
じつは私の父も『2』を何時間もプレイしている猛者でして、父も『3』をとても楽しみにしています。日本のプレイヤーの皆さんも、父と同じように『3』を楽しみにしてほしいです、
――日本のプレイヤーはのんびりと言いつつ朝まで遊んだりしますので、お父さんに負けずに長く遊んでくれる人も多いかと思います。
マヌ
我々のタイトルは、総プレイ時間が長めになる傾向がありますからね。Steamでの平均プレイ時間は150時間と出ていますから。
――平均で150となると、何千時間と遊ぶ人も出てくるんでしょうね。
マヌ
その点も含めて、我々も発売日が楽しみです。ぜひ皆さんにもご期待いただければと思います。
